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熱化学水素製造方法

国内特許コード P120006612
整理番号 13501
掲載日 2012年2月9日
出願番号 特願2010-092720
公開番号 特開2011-219331
登録番号 特許第5610271号
出願日 平成22年4月14日(2010.4.14)
公開日 平成23年11月4日(2011.11.4)
登録日 平成26年9月12日(2014.9.12)
発明者
  • 久保 真治
  • 笠原 清司
  • 田中 伸幸
  • 今井 良行
  • 小貫 薫
  • ワン ライチン
出願人
  • 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
発明の名称 熱化学水素製造方法
発明の概要 【課題】副反応の発生を避けるために、微少量のHI及びH2SO4を含む、ヨウ素-硫黄サイクルにおけるブンゼン反応生成物であるH2SO4相及びHIx相を精製することが求められる。
【解決手段】H2SO4相及びHIx相の精製に、酸素と不活性ガスの混合ガスを用いることを提案する。このプロセスは、これまでの不活性ガスのみを用いた精製機構、すなわち逆ブンゼン反応:2HI + H2SO4 = SO2 + I2 + 2H2Oとは異なる、HI酸化:4HI + O2 = 2I2 + 2H2Oによって、H2SO4を消費することなく、H2SO4相の完全な精製が実現できる。ストリッピングガスとして酸素含有混合ガスを用いるHIx相の精製では、混合ガス中の酸素が適切に副生成物SあるいはH2Sと反応し、SO2を形成するので、これまでの不活性ガスのみを用いた精製と比べてSO2の選択率を増大できる。
【選択図】図2
従来技術、競合技術の概要



水素は、最良の二次エネルギーと考えられ、人類の次世代のエネルギーとしても知られている。しかし、これまでの水素製造方法は、CO2放出、低効率などの欠点により、水素エネルギーの開発に制限が与えられていた。そのため、これまで、クリーンで、効率的で、かつ持続可能な水素製造方法についての研究に、より多くの注意が払われてきた。多くの熱化学水素製造方法の中でも、とりわけ、ゼネラルアトミック社(General Atomic)によって最初に提案された、ヨウ素-硫黄(IS)サイクルは、クリーンで、経済的であり、高温の核熱エネルギーを使用する大規模水素製造の持続可能な方法であると思われる。しかし、ISプロセスを用いて工業的に水素製造を行うためには、今なお、解決されるべき技術的課題が幾つか存在する。そのような課題の一つに、H2SO4相及びHIx相から成るブンゼン反応生成物の精製がある。





上述のISプロセスは、以下の3つの反応から構成される。

ブンゼン反応:SO2 + I2 + 2H2O = 2HI + H2SO4 (1)

H2SO4分解反応:H2SO4 = SO2 + 1/2O2 + H2O (2)

HI分解反応:2HI = H2 + I2 (3)





過剰なヨウ素が存在すると、ブンゼン反応生成物は、軽いH2SO4相と重いHIx相の2相に分離される。配分平衡となることにより、H2SO4 相及びHIx相内に、それぞれ少量のHI及びH2SO4が生ずることは避けがたいことである。二つの相内の微少成分の存在は、以下に示されるような、硫黄形成(4)や硫化水素形成(5)などの幾つかの副反応を発生させる。

硫黄形成反応:H2SO4 + 6HI = S + 3I2 + 4H2O (4)

硫化水素形成反応: H2SO4 + 8HI = H2S + 4I2 + 4H2O (5)





副反応は、プロセス原料バランスへの影響、全体効率の悪化、閉サイクルの連続運転を妨げる配管の詰まりなど、多くの重大な問題を引き起こす。したがって、副反応の発生を防止するためには、H2SO4相及びHIx相を精製し、微少成分を除去することが不可欠となる。





現在世界的に知られている精製原理は、逆ブンゼン反応(6)である。

逆ブンゼン反応:2HI + H2SO4 = SO2 + I2 + 2H2O (6)





日本、韓国、及び中国の研究者らは、それぞれ非特許文献1、2及び3において報告しているように、上述の精製反応(6)を採用し、ストリッピングガスとして窒素を使用するストリッピング塔によって、H2SO4相及びHIx相を精製するようにしている。





上述のプロセスを用いて二つの相を精製する際中に幾つかの欠点がある。H2SO4相内の少量のHIは、逆ブンゼン反応によって取り除かれるが、同時に、ある量の硫酸が消費されざるを得ない。上述のプロセスを用いるHIx相の精製は、度々、精製効率を低下させる、硫黄あるいは硫化水素発生などの副反応を伴う。この課題を解決するための一つの手段が特許文献1に開示されている。





上述の特許文献1では、精製プロセスにおける副反応(式(5)参照)の結果生成する硫化水素を除去する手段として、酸素ガスの添加が提案されている。酸素ガスの添加により、以下の反応が進行する。





H2SO4 + H2S + O2 ⇒ 2SO2 + 2H2O (7-1)

また、この反応の生成物である二酸化硫黄及び水を、(1)ブンゼン反応を進行する容器に輸送し水素を製造することで、水素製造効率を向上できる。さらにまた、特許文献1では、精製プロセスにおける(4)副反応の結果生成する硫黄を除去する手段として、ろ過器の導入が提案されている。硫黄を蓄積したろ過器に酸素ガスを導入することで以下の反応が進行する。





S + O2 ⇒ 2SO2 (7-2)

そして、上述の特許文献1には、この反応の生成物である二酸化硫黄を、(1)ブンゼン反応を進行する容器に輸送し水素を製造することで、水素製造効率を向上させることができる旨記載されている。

産業上の利用分野



本発明は、水素製造効率に優れた熱化学水素製造方法に係り、特にヨウ素-硫黄(IS)水素製造サイクルにおいてH2SO4及びHIx相を精製するための精製プロセスを改良した、熱化学水素製造方法に関する。この改良された水素製造方法では、上述の精製プロセスおいて用いるストリッピングガス(stripping gas)としては、これまで使用されてきた窒素に代わって、酸素と不活性ガスから成る混合ガスを使用する。

特許請求の範囲 【請求項1】
原材料であるH2Oから、ブンゼン反応によってH2SO4相及びHIx相を形成する段階、形成されたH2SO4相及びHIx相を分離する段階、その後、それぞれの相を反応性ストリッピングガスを用いて、H2SO4相及びHIx相の各相に含まれる不純物を別個に精製する段階、最後に、精製されたHIxからHI分解反応によって水素を製造する段階からなる熱化学水素製造方法において、
前記精製段階で用いられる反応性ストリッピングガスが、酸素と不活性ガスから成る混合ガスであることを特徴とする熱化学水素製造方法。

【請求項2】
請求項1に記載の熱化学水素製造方法において、
酸素と不活性ガスから成る前記混合ガスが、窒素、ヘリウム、アルゴンを含有する1種又は数種の不活性ガスと、酸素の混合ガスであることを特徴とする熱化学水素製造方法。
国際特許分類(IPC)
画像

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出願権利状態 登録
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