TOP > 国内特許検索 > 担子菌類の産生する不凍タンパク質

担子菌類の産生する不凍タンパク質 新技術説明会

国内特許コード P120006693
整理番号 SHINGI20120224
掲載日 2012年2月24日
出願番号 特願2003-057888
公開番号 特開2004-024237
登録番号 特許第4257970号
出願日 平成15年3月5日(2003.3.5)
公開日 平成16年1月29日(2004.1.29)
登録日 平成21年2月20日(2009.2.20)
優先権データ
  • 特願2002-072612 (2002.3.15) JP
発明者
  • 星野 保
  • 切明 路子
  • 津田 栄
  • 扇谷 悟
  • 近藤 英昌
  • 横田 祐司
  • 湯本 勳
出願人
  • 独立行政法人産業技術総合研究所
発明の名称 担子菌類の産生する不凍タンパク質 新技術説明会
発明の概要

【課題】温度ヒステリシス活性、氷の再結晶阻害活性等の不凍活性の高い不凍タンパク質を提供する。
【解決手段】イシカリガマノホタケ等の担子菌類が産生して細胞外に分泌する不凍活性の高い新規タンパク質を単離、精製する。新規な不凍タンパク質を産生する菌株を低温条件で培養し、該培養液から不凍タンパク質を回収する。
【選択図】 図2

従来技術、競合技術の概要
不凍タンパク質(AFP)は、水溶液の凍結を防止する効果を有するタンパク質であり、一般に低温環境に適応した魚類、昆虫、植物、菌類、細菌等多くの生物で発見されている。魚類及び植物由来の不凍タンパク質はいずれも、氷核を、三角錐2つを底面で合わせたようなバイピラミッド型氷結晶に成長させることが知られており、その機構は以下のように解釈されている。通常の場合氷結晶は、水溶液中に氷核が表れると、まず扁平な六角の板状に成長する。氷結晶の垂直方向への成長速度は、板状平面方向への成長速度に比べ約100倍遅い。これに対して、水溶液中に不凍タンパク質が存在すると板状平面方向への氷結晶の成長は阻止され、最初に形成された板状体を基底面として、この基底面に対し垂直方向に、順次、より小さい板状体が積み重ねられていき、最終的にはピラミッドを二つ重ねたバイピラミッド型の氷結晶にゆっくりと成長していく。
【0003】
不凍タンパク質は、これを溶解した水溶液に対し、1)温度ヒステリシス、2)氷の再結晶阻害、3)氷結晶形状制御等をもたらし、凍結防止効果を有する。通常、水の凝固点と氷の融点は同一であるが、溶液中に不凍タンパク質が存在するとそれが氷結晶と結合するため、水の凝固点が通常より降下する。この現象を温度ヒステリシスといい、この時、生じる氷の融点と水の凝固点の差を凝固点降下度という。この凝固点降下度の値が大きい程、凍結防止効果が高いといえる。また、形成した氷結晶は、-10℃以上の比較的高い温度での昇華又は一部融解によって生じた水分を吸収し、成長する。氷の再結晶阻害とは、この現象を阻害する効果をいい、この氷再結晶阻害活性が高いほど、凍結防止効果が高いといえる。これら不凍タンパク質の性質を利用し、保冷により周囲の水分子が付着再結晶することによって風味や味が損なわれるアイスクリームへの添加や、細胞や臓器の冷凍保存剤に用いることが提案されている。また、氷スラリーを使用する冷熱供給システム又は冷熱蓄熱システム等における氷の再結晶による配管系の閉塞を解消し得る有効な添加剤としても期待されている。
【0004】
しかし、これまでに報告されている動植物由来の不凍タンパク質類は安定に大量を入手することが困難なものが多い。従って、魚類や昆虫由来の不凍タンパク質に関しては、一部遺伝子組換え技術を用いて生産性を高めているものもある。しかし、遺伝子組換え体に対する消費者の反発から、食品に応用されるに至っていない。一方、微生物由来の不凍タンパク質に関しては、細菌においては不凍タンパク質の精製に成功しているが、起源となる細菌の性質上、食用には適さず、また生産性も十分ではない。食用として広く利用されている担子菌類では不凍タンパク質の存在が報告されているものの、不凍タンパク質が単離・精製されたことはない。
【0005】
これまで、主に植物及び魚類由来の天然の不凍タンパク質を用いて、アイスクリーム等の冷凍食品の品質保持、細胞の冷凍保存耐性の向上、冷熱供給システム又は冷熱蓄熱システム等への応用が試みられてきた。しかし、従来の不凍タンパク質の活性が必ずしも十分ではないこと、従って、目的の機能を果たすために大量の不凍タンパク質が必要とされること、また、生産性が不十分なこと等の理由により、いずれも実用化には至っていない。
産業上の利用分野
本発明は、菌類由来の新規なタンパク質に関する。具体的には、優れた不凍活性を示し、氷再結晶阻害剤及び氷点下低温保存剤として有用な不凍タンパク質及びその製造方法に関する。
特許請求の範囲 【請求項1】 Typhula ishikariensis BRB(FERM P-18741)株の産生する分子量15~30kDaの不凍タンパク質であって、
以下のアミノ酸配列:
Ala-Gly-Pro-Ser-Ala-Val-Ala-Gly-Leu-Thr-Ala-Gly-Asn-Tyr-Ala-Ile-Leu-Ala-Ser-Thr(配列番号1)、
Ala-Gly-Pro-Ser-Ala-Val-Pro-Leu-Gly-Thr-Ala-Gly-Asn-Tyr-Val-Ile-Leu-Ala-Ser-Thr(配列番号2)、
Ala-Gly-Pro-Thr-Ala-Val-Pro-Leu-Gly-Thr-Ala-Gly-Asn-Tyr-Ala-Ile-Leu-Ala-Ser-Thr(配列番号3)及び
Ala-Gly-Pro-Ser-Ala-Val-Pro-Leu-Gly-Thr-Ala-Gly-Asn-Tyr-Ala-Ile-Leu-Ala-Ser-Thr(配列番号4)
から選択されるN末端アミノ酸配列含む前記不凍タンパク質。
【請求項2】 Difco社製ポテト・デキストロース液体培地1lを3l容三角フラスコに移し、121℃にて15分間オートクレーブ滅菌を行い、種菌としてTyphula ishikariensis BRB(FERM P-18741)株を接種し、-1℃で1ヶ月間培養し、培養液を遠心分離し、得られた上清液を透析した後、Q-及びS-バイオゲルカラムクロマトグラフィーで分画して得られる、請求項1記載の不凍タンパク質。
【請求項3】 以下の(a)又は(b)のタンパク質。
(a)配列番号9で表されるアミノ酸配列を含むタンパク質
(b)配列番号9で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ水溶液の凝固点を降下させる効果を有するタンパク質
【請求項4】 以下の(a)又は(b)のタンパク質をコードする不凍タンパク質遺伝子。
(a)配列番号9で表されるアミノ酸配列を含むタンパク質
(b)配列番号9で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ水溶液の凝固点を降下させる効果を有するタンパク質
【請求項5】 以下の(a)又は(b)のDNAを含む遺伝子。
(a)配列番号8で表される塩基配列からなるDNA
(b)配列番号8で表される塩基配列からなるDNAに対し相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ水溶液の凝固点を降下させる効果を有するタンパク質をコードするDNA
【請求項6】 請求項又は記載の遺伝子を含有する組換えベクター。
【請求項7】 請求項記載の組換えベクターを含む形質転換体。
【請求項8】 請求項記載の形質転換体を培養し、得られる培養物から不凍タンパク質を採取することを特徴とする不凍タンパク質の製造方法。
【請求項9】 請求項1~のいずれか1項に記載のタンパク質を含む凍結防止剤。
【請求項10】 請求項1~のいずれか1項に記載のタンパク質と特異的に反応する抗体。
【請求項11】 Typhula ishikariensis BRB(FERM P-18741)株。
産業区分
  • 微生物工業
  • その他無機化学
  • 有機化合物
国際特許分類(IPC)
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2003057888thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
参考情報 (研究プロジェクト等) 2012年2月24日(金) 産総研 新技術説明会
ライセンス等を御希望の方又は特許の内容に興味を持たれた方は,下記「問合せ先」まで直接お問い合わせくださいますよう,お願い申し上げます。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close