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広範な病害抵抗性を付与するイネ遺伝子

国内特許コード P120006726
掲載日 2012年2月28日
出願番号 特願2010-526583
登録番号 特許第5591703号
出願日 平成21年3月4日(2009.3.4)
登録日 平成26年8月8日(2014.8.8)
国際出願番号 JP2009054081
国際公開番号 WO2010023974
国際出願日 平成21年3月4日(2009.3.4)
国際公開日 平成22年3月4日(2010.3.4)
優先権データ
  • 特願2008-217603 (2008.8.27) JP
発明者
  • 森 昌樹
  • 林 長生
  • 菅野 正治
  • 高辻 博志
  • 廣近 洋彦
  • 小田 賢司
  • 松井 南
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 広範な病害抵抗性を付与するイネ遺伝子
発明の概要 FOX hunting systemを用いて作製されたイネ完全長cDNA高発現系統シロイヌナズナ(イネ-ナズナFOX系統)を対象に、病原細菌感染抵抗性選抜、病原糸状菌感染抵抗性選抜、及びサリチル酸感受性選抜の3段階のスクリーニングを試みた。その結果、これら3種類のスクリーニングのいずれにおいても選抜されたシロイヌナズナ1系統(K15424系統)を選抜することに成功した。K15424系統はイネの完全長cDNAを有する。AK070024を過剰発現するイネを作製し、T1世代でイネ白葉枯病抵抗性検定を行った結果、AK070024過剰発現イネは白葉枯病及びいもち病に抵抗性であることが確認された。
従来技術、競合技術の概要


病害がイネの生産に与える被害は大きい。農業の現場では農薬を用いて防除しているが、農薬にかかるコストおよび農薬が人体および環境に及ぼす影響への懸念から、無農薬または低農薬での稲作が望まれる。特に遺伝子を用いる方法が有効と考えられ、近年、モデル植物であるシロイヌナズナなどから病害抵抗性遺伝子が単離されている。しかしながら、病害抵抗性遺伝子のスクリーニングは主にloss-of-function(機能欠損)を指標に行われてきたため、多くの重要遺伝子が見逃されていると考えられる。



一方シロイヌナズナの病害応答において、サリチル酸(SA)がシグナル分子として働くシグナル伝達経路が存在し、その分子機構が詳細に研究されている。病原体がシロイヌナズナに感染すると細胞内SA濃度が上昇し、それにより、シグナル伝達経路においてSAの下流で制御されるPR遺伝子など多数の遺伝子の発現変化を含む病害応答反応が誘導される。また、SAやその誘導体であるINA(2,6-dichloroisonicotinic acid)を外部から処理することにより、SAシグナル伝達系が活性化され、下流で制御される病害抵抗性遺伝子やPR遺伝子の発現が誘導される。



SAシグナル伝達系においては、NPR1タンパク質が重要な役割を果たしている(非特許文献2)。シロイヌナズナのnpr1変異体では、SAやINAなどによる病害抵抗性遺伝子及びPR遺伝子の発現の誘導が見られなくなると同時に、SAを含む培地上で生育出来なくなることが知られている。しかしながらイネに関しては、SAシグナル伝達経路およびこの経路に関わるシグナル伝達因子に関する知見が極めて乏しい。



本発明の先行技術文献を以下に示す。
【非特許文献1】
Becker, D et al., (1990) Nucleic Acid Res., 18(1): 203
【非特許文献2】
Cao, H et al (1997) Cell 88:57-63
【非特許文献3】
Ichikawa, T et al., (2006) Plant J. 48: 974-985
【非特許文献4】
Kikuchi, S et al., (2003) Science 301: 376-379
【非特許文献5】
Mori, M et al., (2007) Plant Mol. Biol., 63:847-860
【非特許文献6】
Nakamura, H et al., (2007) Plant Mol Biol. 65:357-371
【非特許文献7】
Taji, T et al., (2002) Plant J., 29(4): 417-426,
【非特許文献8】
Toki, S et al., (2006) Plant J. 47:969-76.

産業上の利用分野



本発明は、病原細菌及び病原糸状菌のいずれか又は両方に抵抗性を与える植物体の製造方法及びこれを用いて得られる植物体、並びにその利用に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
下記(a)及び(b)の工程を含む、植物に病原細菌及び病原糸状菌の両方に対する抵抗性を付与する方法;
(a)下記(i)から(iv)からなる群より選択されるDNA又は該DNAを含むベクターを植物細胞に導入する工程、及び
(b)工程(a)においてDNA又はベクターが導入された植物細胞から植物体を再生する工程、
(i)配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするDNA、
(ii)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA、
(iii)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において5以内のアミノ酸が置換、欠失、付加、及び/又は挿入されたアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするDNAであって、植物に病原細菌及び病原糸状菌の両方に対する抵抗性を付与する活性を有するタンパク質をコードするDNA、及び
(iv)配列番号:1に記載の塩基配列を含むDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、配列番号:2に記載のアミノ酸配列に対し90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、植物に病原細菌及び病原糸状菌の両方に対する抵抗性を付与する活性を有するタンパク質をコードするDNA。

【請求項2】
病原細菌がトマト斑葉細菌病細菌、イネ白葉枯病菌、イネ立枯れ病菌、籾枯れ細菌病菌からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。

【請求項3】
病原糸状菌がアブラナ科野菜類炭そ病菌、いもち病菌、うどんこ病菌からなる群より選択される、請求項1又は2に記載の方法。

【請求項4】
病原細菌がトマト斑葉細菌病細菌であり、病原糸状菌がアブラナ科野菜類炭そ病菌である、請求項1から3のいずれかに記載の方法。

【請求項5】
下記(a)から(c)の工程を含む、植物に病原細菌及び病原糸状菌の両方に対する抵抗性を付与する薬剤の候補化合物のスクリーニング方法;
(a)配列番号:3に記載の塩基配列を含むDNAとレポーター遺伝子とが機能的に結合した構造を有するDNAを含む細胞と、被検化合物を接触させる工程、
(b)該レポーター遺伝子の発現レベルを測定する工程、及び
(c)被検化合物の非存在下において測定した場合と比較して、該発現レベルを増加させる化合物を選択する工程。

【請求項6】
病原細菌がトマト斑葉細菌病細菌、イネ白葉枯病菌、イネ立枯れ病菌、籾枯れ細菌病菌からなる群より選択される、請求項に記載の方法。

【請求項7】
病原糸状菌がアブラナ科野菜類炭そ病菌、いもち病菌、うどんこ病菌からなる群より選択される、請求項又はに記載の方法。

【請求項8】
病原細菌がトマト斑葉細菌病細菌であり、病原糸状菌がアブラナ科野菜類炭そ病菌である、請求項からのいずれかに記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録


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