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生物の組織を薄切した切片からなる動物細胞の培養担体と、この担体を用いる動物細胞の培養方法および移植方法

国内特許コード P120006730
掲載日 2012年2月28日
出願番号 特願2001-101961
公開番号 特開2001-340076
登録番号 特許第4876275号
出願日 平成13年3月30日(2001.3.30)
公開日 平成13年12月11日(2001.12.11)
登録日 平成23年12月9日(2011.12.9)
優先権データ
  • 特願2000-098401 (2000.3.31) JP
発明者
  • 竹澤 俊明
  • 今井 敬
  • 高橋 透
  • 橋爪 一善
出願人
  • 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
  • 竹澤 俊明
発明の名称 生物の組織を薄切した切片からなる動物細胞の培養担体と、この担体を用いる動物細胞の培養方法および移植方法
発明の概要 (57)【要約】【課題】 より生体組織に近い培養環境、即ち、目的とする生体組織の場所的かつ時間的情報が組込まれた環境を提供し、目的とする細胞と、生体組織の場所的かつ時間的情報との相互作用を利用した細胞の諸性質や特性の解明、およびその相互作用を利用した遺伝子の機能解析、さらには生体組織の鋳型を利用した組織の再構築、およびその再構築組織の移植を可能とする。【解決手段】 動物細胞を培養する担体が、生体の組織を薄切した切片からなる細胞培養担体、もしくは生物の組織を薄切した切片が、支持体に付着または付着伸展された細胞培養担体と、これを用いた培養方法並びに移植方法とする。
従来技術、競合技術の概要
培養下における動物細胞は、その培養環境を工夫することで、医薬品等の生理活性物質の開発研究やその製造手段、あるいは培養臓器の作製やその移植へと活用領域が拡大し、現代社会に貢献している。そして従来より、動物由来の機能細胞に目的とする能力を発揮させるために、動物細胞用の様々な培養担体が開発されてきている。なぜなら、培養担体の素材と形状を創意工夫することで、細胞の接着、伸展、移動、浸潤、増殖、分化、極性、自己組織化等の細胞挙動、さらには細胞と培養液の相互作用機構を制御することができるからである。
【0003】
これまでの培養担体の素材は、天然物由来素材、人工素材、および天然物由来素材と人工素材のハイブリッドに分類でき、それらの形状は、支持体への吸着体、支持体の被膜、フィルム、膜、プレート、シャーレ、フラスコ、中空糸、糸および/またはその織成体、ゲル、ビーズ、等さまざまである。天然物由来素材としては、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、あるいはマトリゲル(EHS腫瘍から抽出して再構成された基底膜;Kleinman, H. K., et al. Basement membrane complexes with biological activity. Biochem. 25, 312, 1986.)などの動物組織から抽出した細胞外マトリックス構成成分、動物組織から調製した無細胞真皮マトリックス(Livesey, S. A., et al. Transplanted acellular allograft dermal matrix. Transplant, 60, 1, 1995.)、イガイ由来の接着蛋白質、絹、あるいは綿等が培養担体として開発されている。また、人工素材としては、ナイロン等の生体非吸収性の合成高分子、ポリグリコール酸等の生体吸収性の合成高分子、あるいはセラミックス等が培養担体として開発されている。
【0004】
一般に、動物の初代培養細胞は、培養担体としてプラスチックシャーレを用いて培養すると、生体内で発現していた組織特異的機能を失ってしまうが、細胞外マトリックス構成成分を含有する培養担体を用いて培養すると、比較的機能が維持されること、特に培養担体としてマトリゲルを用いて上皮系細胞を培養すると、細胞は分化して組織特異的機能が向上することが知られている。また、培養担体として無細胞真皮マトリックスを用いて表皮角化細胞を培養すると、角化細胞は分化して再構築表皮を無細胞真皮マトリックス上に形成することが知られている。これらの知見は、培養細胞に組織特異的機能もしくは三次元微細構造形態を誘導するためには、元来その細胞が生体内で存在していた場所的情報を培養担体に極力正確に反映することが重要であることを示唆している。動物の生体内組織に於いては、細胞は時間経過とともに未分化な状態から終末分化した状態へと変遷し、細胞の分化状態に対応して細胞外マトリックスも刻々と変化しているので、各々の細胞が局在している細胞外マトリックス環境も時間的支配下にある。つまり、生体内組織に於ける細胞の周囲環境は、場所的情報に加えて時間的情報も有している。
【0005】
しかしながら、様々な分化状態にある細胞で構成されている生体組織の環境を反映した培養担体、つまり、生体組織の場所的かつ時間的情報を正確に反映できるような培養担体は、これまで未開発であった。
【0006】
それ故、任意の動物細胞に対して生体内に酷似した細胞外環境を付与する培養システムを実現することは、不可能であった。
産業上の利用分野
この出願の発明は、生物の組織を薄切した切片からなる動物細胞の培養担体と、この担体を用いる動物細胞の培養方法および移植方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、培養系に於いて動物細胞に生体組織の場所的かつ時間的環境情報を提供するための培養担体と、その培養担体上での動物細胞の培養方法、およびその培養担体上で培養した細胞の移植方法に関するものであり、様々な生体組織由来の担体上で様々な細胞を培養できるので、当該担体を利用した機能細胞の培養維持、細胞の挙動や機能の評価、および生体に近い組織の再構築を可能とし、遺伝子機能の評価、培養臓器の開発、もしくは細胞移植等に有用である。
特許請求の範囲 【請求項1】 動物細胞を培養する担体が、生物の組織を薄切した切片からなり、ポリリジン又はAPSコートされた支持体に付着または付着伸展していることを特徴とする細胞培養担体。
【請求項2】 支持体が、ガラス、プラスチック、ゴム、金属、天然または合成の糸および/またはその織成体、および生体吸収性材料から選ばれる1種以上である請求項1記載の細胞培養担体。
【請求項3】 生物の組織が、新鮮な組織または予め固定液で固定した組織である請求項1記載の細胞培養担体。
【請求項4】 薄切する前の生物の組織、または生物の組織を薄切した切片に無細胞化する処理が施されている請求項1記載の細胞培養担体。
【請求項5】 生物の組織を薄切した切片に、生理活性物質を結合できる抗体や核酸プローブの処理を施して、切片上の特定の場所に外来性の生理活性物質を導入することを特徴とする請求項1記載の細胞培養担体。
【請求項6】 生物の組織を薄切した切片に、酵素の処理など生物学的処理または酸やアルカリや界面活性剤の処理など化学的処理を施して、切片に於ける生物の構成成分や微細構造を改変もしくは修飾することを特徴とする請求項1記載の細胞培養担体。
【請求項7】 生物の組織を薄切するために、予め生物の組織が凍結または凍結包埋、パラフィン包埋、または樹脂包埋されている請求項1記載の細胞培養担体。
【請求項8】 生物が動物または植物である請求項1記載の細胞培養担体。
【請求項9】 動物が哺乳動物である請求項8記載の細胞培養担体。
【請求項10】 生物の組織が、生前の発生段階にあるヒトを除く動物の全身又は一部である請求項1記載の細胞培養担体。
【請求項11】 生物の組織が、生後のヒトを除く動物の全身、または動物の一部である請求項1記載の細胞培養担体。
【請求項12】 請求項1ないし11記載のいずれかの細胞培養担体を培養容器に装入して動物細胞を培養することを特徴とする細胞培養方法。
【請求項13】 動物細胞の培養を開始する手段が、細胞懸濁液、細切組織片、ヒトを除く受精卵、または三次元再構築した多細胞性凝集塊の播種によることを特徴とする請求項12記載の細胞培養方法。
【請求項14】 播種した動物細胞が付着増殖して、切片または切片に由来する組織を、請求項1又は2記載のいずれかの支持体から剥離することを特徴とする請求項12又は13記載の細胞培養方法。
【請求項15】 支持体から剥離した後に培養を続けることで、切片または切片に由来する組織を取り込んだ三次元の多細胞性凝集塊を形成することを特徴とする請求項14記載の細胞培養方法。
【請求項16】 培養する動物細胞が、初代培養細胞、株化細胞、ヒトを除く受精卵、および/またはそれらに外来性遺伝子を導入した細胞から選ばれる1種または2種以上である請求項12記載の細胞培養方法。
【請求項17】 培養する動物細胞が、未分化な幹細胞、分化過程にある細胞、終末分化した細胞、および/または脱分化した細胞に由来することを特徴とする請求項12記載の細胞培養方法。
【請求項18】 未分化な幹細胞が、特に胚性幹細胞であることを特徴とする請求項17記載の細胞培養方法。
【請求項19】 動物細胞を培養する培養液が、血清含有の培養液または血清非含有の無血清培養液であることを特徴とする請求項12ないし18記載のいずれかの細胞培養方法。
【請求項20】 請求項12ないし19記載のいずれかの細胞培養方法により培養した動物細胞を、ヒトを除く動物に移植することを特徴とする細胞移植方法。
【請求項21】 移植する動物がヒトを除く哺乳動物である請求項20記載の細胞移植方法。
産業区分
  • 微生物工業
  • 高分子化合物
  • 治療衛生
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中


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