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コルジセピンの製造および精製方法 コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P120006758
整理番号 FU460
掲載日 2012年3月1日
出願番号 特願2011-262995
公開番号 特開2013-111060
登録番号 特許第5850497号
出願日 平成23年11月30日(2011.11.30)
公開日 平成25年6月10日(2013.6.10)
登録日 平成27年12月11日(2015.12.11)
発明者
  • 櫻井 明彦
  • 増田 美奈
出願人
  • 国立大学法人福井大学
発明の名称 コルジセピンの製造および精製方法 コモンズ 新技術説明会
発明の概要 【課題】高純度のコルジセピンを簡便にかつ効率よく製造する方法を提供する。また、コルジセピンを簡便にかつ高回収率で分離精製する方法を提供する。
【解決手段】ろ過滅菌した培養液を用いて冬虫夏草を培養することにより、培養液中に高濃度でコルジセピンを産生させる。また、得られた培養液から分離した培養上清より、温度変化やpH変化による晶析により、コルジセピンを高純度かつ高回収率で分離精製する。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


冬虫夏草は、子嚢菌類に分類される菌類で、昆虫に寄生するキノコの総称である。寄生の形態は以下の通りである:(1)飛散した胞子が宿主である昆虫に取り付き、その体内に入り込む。(2)体内に入った胞子が、養分を吸収して菌糸を伸ばしながら成長し、菌糸の固まりである菌核を形成する。(3)成熟後、昆虫の体を突き破って、キノコ(子実体)を生じる。



中国においては、コウモリガ(Hepialus armoricanus)の幼虫に寄生するCordyceps sinensisが、1700年代から、漢方薬として用いられてきた。近年では、Cordyceps sinensis以外の冬虫夏草についても抗菌、抗腫瘍、免疫増強、血糖降下、血管拡張作用など様々な薬理活性機能を有することが明らかにされてきており、その有効成分としてコルジセピン、エルゴステロールパーオキシド、ミリオシン、各種多糖および糖タンパク質などの存在が報告されている。これらの有効成分のなかでも、ヌクレオシド(アデノシン)のアナログであるコルジセピンは、抗菌、抗腫瘍作用を示す物質として特に注目を集めている。このように、医薬品や健康食品への利用が期待されている冬虫夏草であるが、それらは極めて小さく、また生息数が少ないため採集が困難であり、天然に生育する冬虫夏草を採集収穫するだけでは、高まりつつある需要を十分に満たすことはできない。



そこで、近年、冬虫夏草の菌糸体や子実体を人工的に培養する方法、さらにはそこから有効成分を抽出する方法として、いくつかの提案がなされている。例えば、冬虫夏草の菌糸体や子実体の人工的な培養方法としては、水を用いて高温加熱下で抽出した蚕の蛹の組成成分の抽出液に、炭素源、アミノ酸類、ミネラル類、またはビタミン類の中から少なくとも一種を添加した培地で冬虫夏草の菌糸体と子実体を培養する方法(特許文献1)、冬虫夏草の菌糸体を合成または天然の培地で培養するに際して、対象とする冬虫夏草の寄生した昆虫と同一種の昆虫の抽出エキスを培地に添加する方法(特許文献2)などが挙げられる。人工的に培養した冬虫夏草の菌糸体や子実体から有効成分を抽出する方法としては、特許文献3~5などが挙げられる。すなわち、特許文献3には、無菌飼育した蚕の蛹あるいは蜘蛛の体内に、ハナサナギタケ(Isaria japonica)等の冬虫夏草菌株の胞子懸濁液を接種して子実体を形成させ、得られた子実体からエタノールや水を用いて有効成分を抽出する方法が記載されている。また、特許文献4には、玄米などの穀類と昆虫組織体(寄生した昆虫と同一目、同一科の昆虫を使用)を主成分とし、アミノ酸類、ミネラル類、またはビタミン類の中から少なくとも一種の添加物を添加した固体培地に冬虫夏草菌を接種し、18~26℃、湿度80%以上全暗で菌糸体を発育させた後、照度100Lux以上、1日6時間以上照射して子実体を培養し、培養品をそのまま粉砕する、あるいは、必要に応じて有効成分を抽出する方法が記載されている。さらに、特許文献5には、350~550nmの波長域にピークをもつ光を連続又は間欠的に照射して冬虫夏草菌糸体を培養し、得られた菌糸体から、有機溶媒や水等で有効成分を抽出する方法が記載されている。



他にも、最も重要な有効成分の1つであるコルジセピンの生産性を高めるため、好適な培地・培養条件が検討されている(特許文献6および7、非特許文献1~3等)。すなわち、特許文献6には、グルコース、スクロース、糖蜜、マルトースから選ばれた少なくとも1種を1~6重量%、ペプトン、イースト、モルト、ミルクから選ばれた少なくとも1種を1~7重量%、アスパラギン、アスパラギン酸、グリシン、DNAから選ばれた少なくとも1種を0.1~0.5重量%、あるいはさらに微量のビオチンおよび/またはビタミンB類を含有する冬虫夏草用培地を用いて、コルジセピンの含有率を向上させる方法が記載されている。特許文献7には、冬虫夏草用培地にコルジセピンを産生する冬虫夏草菌を接種し、暗所にて5~28℃で20~90日間培養する第一工程と、その培養後、照度100~150000Luxの光照射下において、35℃以下の範囲内で第一工程より温度を上げて培養し、コルジセピンの含有量を向上させる方法が記載されている。また、非特許文献1には、通気攪拌槽を用いた深部培養において、培養開始から溶存酸素濃度(DO)を飽和の60%に制御し、コルジセピンの比生産速度が低下する時点で30%にするという2段階のDO制御方式により、高い生産量と生産性を得る方法が記載され、非特許文献2には、炭素源として、42g/L グルコース、窒素源として、15.8g/L ペプトンを含む培地を用いて、25℃、110rpm、20日間振盪フラスコによる培養を行い、高いコルジセピン生産性を得る方法が記載されている。さらに、非特許文献3には、窒素源として、45g/Lの酵母エキスを用い、8日間の振盪培養の後、8日間の静置培養を行うことにより、効率的にコルジセピンを得る方法が記載されている。



しかしながら、従来の冬虫夏草の人工培養法は、培地に蛹粉、蛹の抽出液、および/または昆虫の抽出液を用いたり、昆虫の体内に菌を接種したり、温度、pH、光照射を細かく制御したりするなど、操作が煩雑で実用化を考慮した大量生産は困難である。また、コルジセピンを得ようとした場合、その収量は、非特許文献1に記載の方法で培地中に0.195g/L、非特許文献2に記載の方法で0.345g/L、非特許文献3に記載の方法で2.2g/L、特許文献6に記載の方法では菌体1gあたり0.02~0.1g、特許文献7に記載の方法では菌体1gあたり0.05~0.1gと、いずれも十分であるとはいえない。



また、生産したコルジセピンの精製方法については、検討例が少なく効率的な方法が知られていない。例えば特許文献8では、はじめに冬虫夏草を粉末化した後エタノールで抽出し、抽出物を濃縮乾固させ、次に乾固物を蒸留水に溶解した後、ブタノールで抽出し抽出物を濃縮乾固させた後、さらに、この乾固物をシリカゲルクロマトグラフィーおよび高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分画するという、非常に煩雑な方法によって、高純度のコルジセピンを得ている。

産業上の利用分野


本発明は、冬虫夏草の培養により、高純度の生理活性物質コルジセピンを簡便かつ効率よく製造および精製する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
Cordyceps militaris NBRC 9787の変異株(受託番号:FERM P-21315)を、ろ過滅菌した培養液を用いて培養し、培養液中にコルジセピンを産生させる工程、前記培養液から培養上清を分離し、該培養上清を粉末化して、コルジセピン濃度が20g/L以上となるように水に再溶解する工程、および、前記水溶液から晶析によりコルジセピンを分離精製する工程を含む、コルジセピンの製造方法。

【請求項2】
養が液体表面培養により行われる、請求項1に記載の製造方法。

【請求項3】
粉末化が凍結乾燥により行われる、請求項1または2に記載の製造方法。

【請求項4】
水に再溶解する工程におけるコルジセピン濃度が20g/L~69g/Lである、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。

【請求項5】
晶析によりコルジセピンを分離精製する工程が、30~90℃でコルジセピンを溶解した後、0~10℃でコルジセピンを析出させる工程を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。

【請求項6】
晶析によりコルジセピンを分離精製する工程が、4未満または12.5を超えるpHにてコルジセピンを溶解させた後、pHを4~12.5としてコルジセピンを析出させる工程を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。

【請求項7】
Cordyceps militaris NBRC 9787の変異株(受託番号:FERM P-21315)を、ろ過滅菌した培養液を用いて培養して得た培養液から培養上清を分離し、該培養上清を凍結乾燥した後、コルジセピン濃度が20g/L以上となるように、30~90℃で水に再溶解して得た水溶液を、0~10℃に冷却して析出するコルジセピンを回収する、コルジセピンの分離精製方法。

【請求項8】
Cordyceps militaris NBRC 9787の変異株(受託番号:FERM P-21315)を、ろ過滅菌した培養液を用いて培養して得た培養液から培養上清を分離し、該培養上清を凍結乾燥した後、コルジセピン濃度が20g/L以上となるように、pHが4未満の酸性またはpHが12.5を超えるアルカリ性の水溶液に再溶解し、次いで水溶液のpHを4~12.5として、析出するコルジセピンを回収する、コルジセピンの分離精製方法。

【請求項9】
Cordyceps militaris NBRC 9787の変異株(受託番号:FERM P-21315)を、ろ過滅菌した培養液を用いて培養して得た培養液から培養上清を分離し、該培養上清を凍結乾燥した後、コルジセピン濃度が20g/L以上となるように、pHが4未満の酸性またはpHが12.5を超えるアルカリ性の水溶液に30~90℃で再溶解し、次いで水溶液のpHを4~12.5とし、0~10℃に冷却して、析出するコルジセピンを回収する、コルジセピンの分離精製方法。

【請求項10】
養が液体表面培養により行われる、請求項7~9のいずれか1項に記載の分離精製方法。

【請求項11】
再溶解する際のコルジセピン濃度が20g/L~69g/Lである、請求項7~10のいずれか1項に記載の分離精製方法。
産業区分
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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