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有機デバイスの製造方法および当該製法で得られた有機デバイス

国内特許コード P120006823
整理番号 E079P41
掲載日 2012年3月12日
出願番号 特願2010-187072
公開番号 特開2012-049168
登録番号 特許第5660532号
出願日 平成22年8月24日(2010.8.24)
公開日 平成24年3月8日(2012.3.8)
登録日 平成26年12月12日(2014.12.12)
発明者
  • 中村 栄一
  • 曽我 巌
  • 佐藤 佳晴
  • 尾畑 直樹
  • 田中 秀幸
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
  • 三菱ケミカル株式会社
発明の名称 有機デバイスの製造方法および当該製法で得られた有機デバイス
発明の概要 【課題】高い機能性の有機物薄膜を有する有機デバイスの提供。また、構造が制御された有機物薄膜を有する有機デバイスの提供。
【解決手段】基板1上に機能膜層Aが形成された有機デバイスの製造方法であって、基板1上に直接または他の層を介して有機物を含有する有機物薄膜層を形成する工程A、有機物薄膜層の上に被覆層Bを形成する工程B、被覆層Bの形成後の有機物薄膜層の少なくとも一部に構造変化を生じさせることにより機能膜層Cを形成する工程C、および機能膜層Cを形成した後に被覆層Bを除去する工程Dを含む、有機デバイスの製造方法。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


光電変換、熱制御、電流制御、センシング等の機能を有するデバイスにおいては、デバイス機能を担う機能膜層が性能を決定する上で重要となる。そして機能膜層の基本機能は機能膜層を構成する材料の物性によって支配されるため、様々の物質およびその組み合わせが提案されている。機能膜層に有機物を用いたデバイスについては軽量化や塗布成膜が容易になることから注目を集めており、近年種々な検討がなされている。



たとえば、C.W.Tang著、「Two-Layer organic photovoltaic cell」、Applied Physics Letters、48巻、183-185頁、1986年(非特許文献1)には、電子供与体である銅フタロシアニンと電子受容体であるペリレン誘導体とを組み合わせた光電変換素子が開示されている。
また、G.Yu等著、「Polymer Photovoltaic Cells:Enhanced Efficiencies via a Network of Internal Donor-Acceptor Heterojunctions」、Science、270巻、1789頁、1995年(非特許文献2)および特表平8-500701号公報(特許文献1)には、電子供与体であるポリフェニレンビニレンと、電子受容体であるフラーレン誘導体とを組み合わせた光電変換素子が開示されている。
また、Y.Sato等著「Organic photovoltaics based on solution-processed benzoporphyrin」、Proceedings of SPIE、6656巻、66560U頁、2007年(非特許文献3)には、電子供与体であるベンゾポルフィリンと、電子受容体であるフラーレン誘導体とを組み合わせた光電変換素子を、ベンゾポルフィリンの前駆体を用いることにより塗布法で作製した光電変換素子が開示されている。



このような有機デバイスにおいては、機能膜層の基本機能は機能膜層を構成する材料の物性に依存するが、材料の物性のみならず、材料の存在形態や層構成等にも依存する。
特に、有機デバイスに含まれる機能膜層が有機物の集合体である有機デバイスの特性は、化合物としての物質単独の物性以外に有機物の集合状態、さらには機能膜層の膜構造によって大きく変化する。
したがって、有機デバイスの性能を向上、安定化させるためには有機デバイスの機能を担う機能膜層の構造を、機能を発現するために好ましい構造とする必要がある。



しかし、無機デバイスの機能膜層と比較すると有機デバイスの機能膜層として用いられる有機物薄膜は有機物を含んでいるために構造制御が難しい。たとえば、有機物は無機物と比較してより低温で複数のガラス転移温度、結晶化温度、融点を示すことが多く、それらの存在により同一条件の製法でも構造が変化する。また、結晶性の高い有機物では結晶化、結晶の成長、結晶のサイズ、配向等が製造方法で左右されることがある。
さらに、有機物薄膜の構造変化は成膜工程の結果として現れるのみでなく、成膜された後の膜の変化としても生じうる。このような事後的な変化は意図的な場合であっても既に基板上に薄膜として形成された機能膜層に対する制御要因が限定されるため構造制御が難しくなる。また意図しない形で発現した場合は、特性を低下、不安定化させる要因となる。このように有機物薄膜は製造工程上の温度変化等の擾乱によりその構造が変化しやすい。



有機物薄膜の製法としては溶媒に対する溶解性の低い有機物に対しては蒸着法が主として用いられる。蒸着法は真空中で有機物を溶融して1分子レベルで蒸発させ基板上に堆積させる手法であり、サイズ・形状異方性のある分子が逐次ランダムに到着した結果得られる膜は充填度が低いアモルファス状であることが多く分子集合体として安定化された状態のものとはいえない。また溶解性の低い有機物は結晶性が高いものが多く、膜上でアモルファスから結晶へ転換してしまうことがある。そのため目的とする構造を得ることが難しいとともに、製造工程で膜構造が意図せずに変化してしまう可能性がある。



また、有機物薄膜の製法としては溶解性の高い有機物に対しては塗布法が用いられる。塗布法は低コストで大面積化にも適した方法として期待されている。しかし、溶解性の高い有機物は、溶媒分子との親和性が高いことが普通であり、高親和性であるため薄膜中に溶媒が残留することが多く、その脱離過程において有機膜に大きな体積変化が生じる。また溶解性を高めるために側鎖をつけたものが多いが、側鎖は分子鎖の運動性が高く膜中で構造の再配置が生じやすい。



その他、塗布法を用いる有機物薄膜の製法として、溶解性の高い前駆体有機物を使用し、薄膜を形成後、前駆体有機物を機能性有機物に転換することにより機能膜層を得る手法がある。この方法は溶解性の低い機能性有機物も塗布法で作製することが可能となる利点があるが、この手法では塗布法による有機物薄膜に生じうる構造変化に加えて前駆体有機物から機能性有機物への転換に伴う構造変化を必然的に伴うため、膜構造の制御が困難であるという問題点が残されている。



特に有機物薄膜の厚みが薄い場合は、構造変化のスケールに対して薄膜の厚みが相対的に小さいため、構造変化が膜構造自体の大きな変動につながることがある。たとえば2成分が混合した有機薄膜では、2成分の相分離に伴う構造変化が機能性薄膜表面に凹凸を発生させ、薄膜表面が荒れて特性が低下することがある。有機物の化学的構造変化を伴う構造変化では、有機物の分子体積変化に伴い薄膜に膨張・収縮の応力が加わり、膜が不均一になる可能性がある。特に、有機物の結晶化に伴う構造変化では結晶成長に伴い有機物分子が集合し、その分布が不均一になって有機物が存在しない膜欠陥部が生じることさえある。また、結晶成長が進みすぎてそのサイズが膜厚より大きくなり、突起が発生して特性が低下することがある。さらに結晶の成長方向が制御されず、様々な配向の結晶が成長して特性の面内不均一が生じ全体特性が低下することがある。

産業上の利用分野


本発明は、有機デバイスの製造方法、および、当該製造方法に従って製造された有機光電変換素子に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
基板上に機能膜層が形成された有機デバイスの製造方法であって、基板上に直接または他の層を介して下記式(A1)で表される化合物を含有する有機物薄膜層を塗布して形成する工程A、有機物薄膜層の上に被覆層を形成する工程B、被覆層の形成後に前記化合物の少なくとも一部に化学構造変化を生じさせることにより機能膜層を形成する工程C、および機能膜層を形成した後に被覆層を除去する工程Dを含む、有機デバイスの製造方法。
【化11】


(式(A1)中、XおよびXはそれぞれ独立してπ共役した2価の芳香族環を形成する基、または、置換基を有してもよいエテニレン基であり、XおよびXの少なくとも一方はπ共役した2価の芳香族基、複素環基、縮合多環芳香族基または縮合多環複素環基であり;Z-Zは熱または光により脱離可能な基である。)

【請求項2】
工程Cにおいて、有機物薄膜層に加熱または電磁波の照射を行う、請求項1に記載の有機デバイスの製造方法。

【請求項3】
前記式(A1)で表される化合物が下記一般式(I)または(II)で表される化合物である、請求項1または2に記載の有機デバイスの製造方法。
【化2】


式(I)および式(II)中、R~Rはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン原子または有機基であり、(R,R10)、(R11,R12),(R13,R14)および(R15,R16)の組はそれぞれ独立して式(III)または式(IV)で表される基が結合したものを表わし、式(II)中、Mは金属あるいは軸配位子を有する金属である。)
【化3】


(式(III)および(IV)中、R~Rはそれぞれ独立して水素原子または炭素数10以下のアルキル基を表わし、(R,R)および(R,R)の組の少なくとも1つの組はどちらも炭素数10以下のアルキル基であり、R17~R20はそれぞれ独立して水素、ハロゲン原子または有機基である。)

【請求項4】
工程Dにおける被覆層を除去する方法が化学的方法である、請求項1~3のいずれかに記載の有機デバイスの製造方法。

【請求項5】
請求項1~のいずれかに記載の有機デバイスの製造方法により製造された有機デバイス。

【請求項6】
被覆層を形成した後に、化学構造変化を生じさせることにより形成される機能膜層の厚みが25nm以下である請求項に記載の有機デバイス。

【請求項7】
有機デバイスが光電変換素子である、請求項またはに記載の有機デバイス。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2010187072thum.jpg
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) ERATO 中村活性炭素クラスタープロジェクト 領域
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