TOP > 国内特許検索 > LC-MALDIで得られたデータの比較解析方法

LC-MALDIで得られたデータの比較解析方法 外国出願あり

国内特許コード P120006956
整理番号 51
掲載日 2012年3月23日
出願番号 特願2010-196367
公開番号 特開2012-052940
登録番号 特許第5636614号
出願日 平成22年9月2日(2010.9.2)
公開日 平成24年3月15日(2012.3.15)
登録日 平成26年10月31日(2014.10.31)
発明者
  • 吉田 昌樹
  • 黒岩 常祥
  • 吉田 大和
出願人
  • 学校法人立教学院
発明の名称 LC-MALDIで得られたデータの比較解析方法 外国出願あり
発明の概要 【課題】液体クロマトグラフィー(LC)によって分離した試料の画分をサンプルプレート上に所定の順番で所定の位置にスポットし、これらの画分をマトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法によるイオン化部を備えたタンデム質量分析(MS/MS)計に供して得られたプリカーサーイオンの相同性を判定する方法を提供する。
【解決手段】(1)第一の試料に由来するプリカーサーイオンが取得されたサンプルプレート上の位置に対して、第二の試料に由来するプリカーサーイオンが取得されたサンプルプレート上の位置が所定の関係を満たし、かつ、(2)両プリカーサーイオンのプロダクトイオン群の比較により両プリカーサーイオンに相同性があるとされた場合に、相同性有と判定するステップを含む方法。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


近年、様々な生物におけるゲノムプロジェクトの完了や、質量分析装置(以下MSと略称する場合がある)の発達により、生物のタンパク質を網羅的に解析するプロテオーム解析が盛んに行われるようになった。質量分析装置はイオン化部と測定部の組み合わせにより様々な方式があるが、生命科学の分野で多く用いられているものがイオン化部にマトリックス支援レーザー脱離イオン化(以下MALDIと略称する場合がある)法を採用したMALDI-MSである。



MALDI法ではマトリックスと呼ばれる試薬を分析試料に混合し、そこにレーザーを当ててマトリックス分子および試料分子をイオン化する。マトリックスはレーザーのエネルギーを効率的に吸収し、試料分子のイオン化を補助する働きがある。MALDI法は分析試料の前処理が簡便であること、マトリックスの選択により様々な生体分子の分析が可能であることから、この方式を採用した質量分析装置は生物系・医学系の現場を中心に広く利用されている。



MALDI法の特筆すべきブレイクスルーとして、2002年にノーベル化学賞を受賞した田中らの改良がある。1987年に田中らが行ったマトリックスの改良は、それまで分析が困難であったタンパク質の安定なイオン化を可能にし、生命科学分野へのMALDI-MSの普及を促した。当時のマトリックスはコバルトの粉末とグリセリンとを混合したものであったが、現在では主にα-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)や2,5-ジヒドロキシ安息香酸(DHB)といった有機化合物が使われている。



マトリックスは溶媒に溶解された後、MALDIサンプルプレートと呼ばれる導電性のプレート上で分析試料とともに結晶化される。サンプルプレートは質量分析装置内の試料室に挿入され、そこで混晶にレーザーが照射される。レーザーのエネルギーによってイオン化されたマトリックス分子および分析試料分子は、質量分析部で質量および電荷に応じて分離され、検出器に至る。検出された電荷は時系列に沿って処理され、マススペクトルとなる。



質量分析を行うには、前もって分析試料を精製しておく必要がある。従来、精製の手段としては電気泳動による分離が主であったが、近年では各種のクロマトグラフィー装置も利用されている。前処理にクロマトグラフィー装置を用いる利点は、大量の分析試料を高解像度で分離できることにある。



クロマトグラフィーと質量分析装置とを直結したオンラインのシステムとしては、液体クロマトグラフィー装置(以下LC)を接続したLC/MS、ガスクロマトグラフィー装置(以下GC)を接続したGC/MSなどがある。LC/MSのイオン化部にはエレクトロスプレーイオン化(ESI)法や大気圧化学イオン化(APCI)法が、GC/MSのイオン化部には電子衝撃イオン化(EI)法や化学イオン化(CI)法が採用される。一般にLC/MSやGC/MSと言った場合には、これらのような直結型の装置を指す。



ESI法などを採用したLC/MSは、LCで分離されてくる液相の分析試料を順次イオン化して質量分析部へ送ることができるため、スループットや網羅性に優れる。ゆえに大規模なプロテオーム解析ではLC/MSが用いられる場合が多い。LC/MSは市場規模も大きく、様々な解析法に対応したフリーウェア(非特許文献1)、商用ソフトウェアが公開されている(非特許文献2、3)。



MALDI法とクロマトグラフィーを組み合わせることも可能である。しかし、MALDI法では前述のように分析試料をMALDIサンプルプレートにのせ、マトリックスとともにウェル上で一度結晶化させる必要があるため、液相の分離を行うLCと直接接続してオンラインで分析を行うことが困難である。そこで、LCとMALDI-MSとの間にフラクションコレクタと呼ばれる装置を介在させ、これらを連携させることが行われている。フラクションコレクタは、LCから溶出されてくる試料を一定量ずつ区切ってMALDIサンプルプレート上のウェルへ自動的に一定の順序でスポットする装置であり、各社から製品が発売されている(非特許文献4、5、6、7)。このような装置を利用してLCとMALDI-MSとを連携させたシステムはLC-MALDIやLC-MALDI-MSと呼ばれる。



LC-MALDIの利点としては、普及しているMALDI-MSを利用して網羅性の高いプロテオーム解析が可能であること、LCとMALDIの工程を物理的・時間的に切り離す事が可能であるために、離れた研究室や研究機関間で各工程の分業が可能であること、MALDIサンプルプレートにスポットした試料を繰り返し分析できること、試料を多数のウェルに振り分けることでMALDI法に特有のイオン化抑制効果を低減できること、MALDI法では多価イオンが生成しづらいためにマススペクトルの解釈や処理が容易であること、などが挙げられる。



逆にLC-MALDIの欠点としては、フラクションコレクタが必要であること、スポッティングと結晶化の過程を踏むためにLC/MSと比べてスループットが劣ること、試料を一定量ごとにまとめてスポットするためにLCの溶出時間の分解能が失われ、一つのスペクトル中に多数のピーク含まれること、同じ理由でそれぞれのピークについてLCからの正確な溶出時間情報が失われること、などが挙げられる。



上記の理由から、LC-MALDI と一般的なLC/MSとでは、装置から得られるデータの性質や形式が異なる。したがって、前掲のLC/MS用のデータ解析ソフトウェアをLC-MALDIに流用することはできない。しかしLC-MALDIはLC/MSと比べて普及しておらず、対応しているデータ解析ソフトウェアも少ない。LC-MALDI用のソフトウェアとしては、フラクションコレクタや質量分析装置に附属して機器の制御やデータの取得を行うためのもの(例として非特許文献5中のソフトウェアパッケージ、PROTEINEER-LC)が主である。



LC-MALDIのデータ解析に特化したソフトウェアとしては、DYNACOM社製のTWiP(非特許文献8)がある。TWiPは、LC-MALDIと島津製作所の同位体試薬であるNBS試薬キット(非特許文献9)を利用する、発現量変動解析のためのソフトウェアである。分析対象の試料と基準となる試料とを質量数の異なる同位体で標識し、質量差に基づいて相同なピークを検出して量的変化を捉える。



しかしTWiPと同位体標識による方法は、質量差から予想されるペアピークを認識するために、分析対象の試料と基準となる試料の両方に存在するペプチド断片しか認識できない。試料間での最も有意な違いである、一方の試料にのみ存在する特異的なピークの存在を見落としてしまうという欠点がある。

産業上の利用分野


本発明は、液体クロマトグラフィーを前処理としたマトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法(以下MALDI-MSと略称する場合がある)によって取得されたデータの分析方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
液体クロマトグラフィーによって分離した試料の画分をサンプルプレート上に所定の順番で所定の位置にスポットし、これらの画分をマトリックス支援レーザー脱離イオン化法によるイオン化部を備えたタンデム質量分析計に供して得られたプリカーサーイオンの相同性を判定する方法であって、
(1)第一の試料に由来するプリカーサーイオンが取得されたサンプルプレート上の位置に対して、第二の試料に由来するプリカーサーイオンが取得されたサンプルプレート上の位置が所定の関係を満たすことを判定する第一のステップと、
(2)第一のステップにおいてサンプルプレート上の位置が所定の関係を満たすと判定された両プリカーサーイオンのプロダクトイオン群の比較により両プリカーサーイオンに相同性があるかどうか判定する第二のステップと、
を含むことを特徴とする方法。

【請求項2】
上記第一のステップは、さらに、両プリカーサーイオンの質量電荷比が所定の関係を満たすことを判定するステップを備えている、請求項1に記載の方法。

【請求項3】
上記(2)の要件における両プレカーサーイオンのプロダクトイオン群の比較は、プロダクトイオン群の質量電荷比及びピーク強度を比較することにより行われる、請求項に記載の方法。

【請求項4】
さらに、相同性が判定された複数のプリカーサーイオンから、相同性有と判定されたプリカーサーイオンの集合または相同性無と判定されたプリカーサーイオンの集合を取り出すステップを備えている、請求項1に記載の方法。

【請求項5】
さらに、前記集合を表示するステップを備えてなる請求項4に記載の方法。

【請求項6】
液体クロマトグラフィーによって分離した試料の画分をサンプルプレート上に所定の順番で所定の位置にスポットし、これらの画分をマトリックス支援レーザー脱離イオン化法によるイオン化部を備えたタンデム質量分析計に供して得られたプリカーサーイオンの相同性を判定するためのコンピュータプログラムであって、
(1)第一の試料に由来するプリカーサーイオンが取得されたサンプルプレート上の位置に対して、第二の試料に由来するプリカーサーイオンが取得されたサンプルプレート上の位置が所定の関係を満たすことを判定する第一のステップと、
(2)第一のステップにおいてサンプルプレート上の位置が所定の関係を満たすと判定された両プリカーサーイオンのプロダクトイオン群の比較により両プリカーサーイオンに相同性があるかどうか判定する第二のステップと、
コンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【請求項7】
上記第一のステップは、さらに、両プリカーサーイオンの質量電荷比が所定の関係を満たすことを判定するステップを備えている、請求項6に記載のコンピュータプログラム。

【請求項8】
上記(2)の要件における両プレカーサーイオンのプロダクトイオン群の比較は、プロダクトイオン群の質量電荷比及びピーク強度を比較することにより行われる、請求項6に記載のコンピュータプログラム。

【請求項9】
さらに、相同性が判定された複数のプリカーサーイオンから、相同性有と判定されたプリカーサーイオンの集合または相同性無と判定されたプリカーサーイオンの集合を取り出すステップを備えている、請求項6に記載のコンピュータプログラム。

【請求項10】
さらに、前記集合を表示するステップを備えてなる請求項9に記載のコンピュータプログラム。

【請求項11】
請求項6乃至10の何れか1項に記載のコンピュータプログラムを記録した、コンピュータで読み取り可能な記録媒体。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2010196367thum.jpg
出願権利状態 登録
掲載情報について、詳しくお知りになりたい方は下記「問合せ先」まで直接お問い合わせください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close