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新規抗HCV剤 コモンズ

国内特許コード P120007041
整理番号 OP00768
掲載日 2012年3月23日
出願番号 特願2011-219377
公開番号 特開2013-079204
登録番号 特許第4931162号
出願日 平成23年10月3日(2011.10.3)
公開日 平成25年5月2日(2013.5.2)
登録日 平成24年2月24日(2012.2.24)
発明者
  • 加藤 宣之
  • 池田 正徳
  • 綿矢 有佑
  • 金 惠淑
  • 土居 弘幸
出願人
  • 国立大学法人 岡山大学
発明の名称 新規抗HCV剤 コモンズ
発明の概要


【課題】本発明は、ウイルスの遺伝的多様性に影響されずに強力な抗HCV活性を発揮する新規抗HCV剤を提供することを課題とする。
【解決手段】上記課題は、一般式(I)で表されるペルオキシド誘導体を有効成分として含む新規抗HCV剤により、解決される。一般式(I)中、Cは置換しても良い脂環式炭化水素環基、nは1~6の整数を示し、Rは水素原子またはヒドロキシアルキル基である。上記ペルオキシド誘導体は、HCVのRNA複製を著しく抑制することにより、強い抗HCV活性を発揮するものである。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


C型肝炎ウイルス(HCV)感染者は国内で約200万人と推定されている。HCVが感染した場合、高い確率でC型慢性肝炎を引き起こし、10~20年でC型慢性肝炎は致死的な肝硬変、肝癌へと移行する。



HCVには数十の遺伝子型が存在し、我が国では、1b遺伝子型が約70%、2a遺伝子型が約20%、2b遺伝子型が10%の割合となっている。現在、C型慢性肝炎に対してペグインターフェロン(PEG-IFN)とリバビリン(RBV)の併用療法が標準的治療(2004年12月に保険適用)となっており、その治癒率は、2aや2b遺伝子型では80%以上であるのに対して、1b遺伝子型では約55%と低い。PEG-IFNとRBVの併用療法に追加して、テラプレビル(HCVプロテアーゼ阻害剤)の治療が開始する予定であり、これらの3剤併用療法により1b遺伝子型における治癒率も70~80%程度に上昇するものと期待されている。しかしながら、テラプレビルがRBVの副作用(貧血)を増悪させることによる治療中止例、IFN治療により生じる鬱病の発症例、IFNの効かない無効例やIFNを使えない高齢者が多数存在しているという問題点は依然として克服されていない。従って、これらの症例についても、治癒が可能な新たな抗HCV剤の開発が必要となっている。



抗HCV剤の探索には、1999年にドイツのグループにより開発されたHCVレプリコン複製細胞(細胞内でHCVサブゲノムRNAが自律的に複製増殖する)(Lohmann V et al. Science, 285:110-113,1999)やHCVの構造領域を加えた全長HCV RNAが自律的に複製する細胞(全長HCV RNA複製細胞)(Ikeda M et al., J. Virol. 76:2997-3006,2002)を基に開発されたレポーターアッセイ系が主に使用されている(Ikeda M et al., BBRC, 329:1350-1359, 2005)。本発明者らは別のアッセイ系としてOR6細胞を用いたアッセイ系を開発した(特許第4009732号)。OR6細胞は、HCV RNAにレニラルシフェラーゼ遺伝子をコードするRNAを連結させてあるため、レニラルシフェラーゼ活性を測定するだけで、HCV RNAの複製レベルを定量的にモニターでき、従来のRNA定量に比べて、時間と経費の面で大幅な改良が加えられている。OR6細胞を用いたアッセイ系では、HCV RNAの複製阻害剤を化合物ライブラリー等から探索することができることから、既に多くの化合物のスクリーニングがなされ、抗HCV活性を示す化合物が複数選択され、それらの一部は臨床応用に向けての試験もなされている。本発明者らは、OR6細胞を用いたアッセイ系を用いて既存薬等のスクリーニングを行うことにより、抗HCV剤として、スタチン剤(特許文献1:特開2007-63284号)、テプレノンと5-HETE(特許文献2:特開2010-59080号)、オンコスタチンM(特許文献3:特開2010-59081号)などを見出している。



上述したレポーターアッセイ系はHCV RNAの複製レベルを簡便に、かつ定量的にモニターできる点においては有用なアッセイ系である。しかしながら、これまでヒト肝癌由来の1細胞株であるHuH-7 (Nakabayashi H et al., Cancer Res. 42:3858-3863,1982) 由来の細胞でなければこのようなアッセイ系を利用できないという難点があった。HuH-7由来のアッセイ系のみのスクリーニングで得られた化合物が抗HCV剤候補として臨床試験に進むには、治療効果の面からリスクを伴う。さらに、1種類の細胞のみでのスクリーニングでは、抗HCV活性を示す薬剤を見逃している可能性もある。このようなリスクを下げるために、本発明者らは、HuH-7とは異なるヒト培養細胞株由来でアッセイ系に使用可能な細胞の開発に取り組み、2008年、ヒト肝癌細胞株Li23由来で、HCV RNAの複製レベルをレニラルシフェラーゼ活性を測定することでモニターできる細胞(ORL8とORL11)の開発に成功した(国際公開第WO2010/026965号、Kato N et al., Virus Res. 146:41-50, 2009)。その後、OR6細胞とORL8細胞を用いたアッセイ系により、既に報告されている抗HCV剤候補の評価を行ったところ、EC50(50%有効濃度)値が既報の値と比較して3倍以上高い場合や1/3以下と低い場合が約半数で認められた。また、OR6細胞とORL8細胞を用いたアッセイ系の間での比較においても、EC50値が最大2000倍も異なる薬剤(メトトレキセート)も見つかった(非特許文献1:Ueda Y et al., BBRC, 409:663-668, 2011)。



抗マラリア剤として使用されている薬剤であるArtemisininについて、これまでHuH-7由来のHCVレプリコン複製細胞を用いたアッセイ系によりArtemisininに弱いながらも抗HCV活性があることが報告されている(非特許文献2:Paeshuyse J et al., BBRC, 348:139-144, 2006)。本発明者らは、上記2種類の細胞株(HuH-7とLi23)由来の全長HCV RNA複製細胞(OR6細胞やORL8細胞等)を用いてアッセイを行った。しかしながら、OR6細胞でのArtemisininのEC50は81μMであり、ORL8細胞でのEC50も23μMと高濃度であったことからArtemisininは抗HCV剤候補とはならないことを明らかにした(非特許文献1:Ueda Y et al., BBRC, 409:663-668, 2011)。他の抗マラリア剤として抗マラリア活性を指標にしたスクリーニングにより得られた化合物N-89について本発明者により報告されている(特許文献4:特開2000-229965、非特許文献3:Kim H-S et al., J. Med. Chem., 44:2357-2361, 2001)。また、化合物N-251についても、抗マラリア活性が報告されている(特許文献5:特許第4289911号、非特許文献4:Sato A et al., Parasitology Int., 60:270-273,2011)。しかし、これらの化合物はArtemisininとは構造が全く異なる。



ウイルスの遺伝的多様性に影響されずに強力な抗HCV活性を発揮する安全性の高い抗HCV剤の開発が望まれている。

産業上の利用分野


本発明は、新規な抗C型肝炎ウイルス(HCV)剤に関するものであり、より詳細には一般式(I)で表されるペルオキシド誘導体を有効成分として含む新規抗HCV剤に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
以下の式(II)または式(III)で示されるペルオキシド誘導体を有効成分として含む新規抗HCV剤。
【化学式1】


【化学式2】



【請求項2】
ペルオキシド誘導体が、HCVのRNA複製を阻害する作用を有する、請求項1に記載の新規抗HCV剤。

【請求項3】
インターフェロンα(IFN-α)及び/又はリバビリン(RBV)と併用することを特徴とする、請求項1または2に記載の新規HCV剤。

【請求項4】
請求項1~のいずれか1に記載の新規抗HCV剤を含有していることを特徴とする、C型肝炎に対する治療用及び/又は予防用組成物。

【請求項5】
さらに、IFN-α及び/又はRBVを含有する、請求項に記載のC型肝炎に対する治療用及び/又は予防用組成物。

【請求項6】
請求項1~のいずれか1に記載の新規抗HCV剤を備えていることを特徴とする、C型肝炎治療用及び/又は予防用キット。

【請求項7】
さらに、IFN-α及び/又はRBVを備えていることを特徴とする、請求項に記載の治療用及び/又は予防用キット。
産業区分
  • 高分子化合物
  • 薬品
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2011219377thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
参考情報 (研究プロジェクト等) 特許第4931162号
特許掲載公報未公開
特許内容に関しての問い合せ窓口は岡山大学連携機構知的財産部門です。

技術移転に関しては岡山TLOが窓口になります。


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