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核移植卵、単為発生胚および単為発生非ヒト哺乳動物の作出方法

国内特許コード P120007081
整理番号 J084
掲載日 2012年3月26日
出願番号 特願2007-171707
公開番号 特開2009-005649
登録番号 特許第5078074号
出願日 平成19年6月29日(2007.6.29)
公開日 平成21年1月15日(2009.1.15)
登録日 平成24年9月7日(2012.9.7)
発明者
  • 河野 友宏
  • 川原 学
出願人
  • 学校法人東京農業大学
発明の名称 核移植卵、単為発生胚および単為発生非ヒト哺乳動物の作出方法
発明の概要

【課題】本発明の目的は、哺乳動物の卵子由来の半数ゲノムを2セット有する核移植卵であって、成体の作出効率に優れた核移植卵を提供することにある。
【解決手段】本発明は、(1)除核した卵核胞期卵(GV期卵)に、非成長期卵(ng卵子)を導入した後、体外成熟培養しMII期(第2減数分裂中期)まで移行させ第1核移植卵とする工程、(2)該第1核移植卵からMII期染色体を取り出し、別のMII期卵(fg卵子)に導入し第2核移植卵とする工程からなる、ng卵子およびfg卵子由来の半数体ゲノムセットを有する核移植卵を作出する方法において、ng卵子またはfg卵子として、(A)H19遺伝子およびIgf2遺伝子の発現を制御する領域(領域A)並びに(B)Gtl2遺伝子およびDlk1遺伝子を発現制御する(領域B)の双方を欠損する卵子を用い、従来法よりも成体発生率を格段に向上させたものである。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


哺乳動物では、精子と卵子の受精により個体発生が行われ、決して卵子のみでは個体発生を完了することはない。これは、精子と卵子のゲノムの機能が決定的に異なっていることを意味する。この機能差は生殖細胞が形成される過程で後天的に刷り込まれる化学的なDNA修飾の結果、同一遺伝子の発現が精子に由来するものと、卵子に由来するものとで全く異なる遺伝子群(インプリント遺伝子)が存在するためであると考えられている。事実、新生仔の卵母細胞はこの遺伝子修飾を受けておらず、あたかも精子由来の遺伝子発現パターンを示す遺伝子が多数存在する。
このようなインプリント遺伝子の発現パターンを解析するため、本発明者は、マウスの新生仔卵母細胞由来のゲノムと成熟雌由来の卵子ゲノムから核移植卵を作出する方法を提案した(非特許文献1参照)。かかる方法は、(1)除核した卵核胞期(GV期)卵に、新生仔卵母細胞(ng卵子)を導入した後、体外成熟培養しMII期(第2減数分裂中期)まで移行させ第1核移植卵とする工程、(2)該第1核移植卵からMII期染色体を取り出し、別のMII期卵(fg卵子)に導入し第2核移植卵とする工程からなる。この方法で得られる第2核移植卵は、ng卵子由来の半数体ゲノムセットおよびfg卵子由来の半数体ゲノムセットを有する。
本来、新生仔卵母細胞(ng卵子)は、卵子成長過程の後期(マウスでは卵子の直径がおよそ60μm)になるまでは減数分裂を再開することがなく、第1減数分裂前期のディプロテン期で細胞周期を停止している。本発明者は、この細胞周期を停止している新生仔卵母細胞(ng卵子)を、十分に成長した卵母細胞の細胞質へ導入すると、減数分裂を再開することを見出し、上記方法を提案した。



導入されたng卵子由来の遺伝子は、卵子成長期に後天的に刷り込まれる化学的なDNA修飾を受けておらず、第2核移植卵はインプリント遺伝子の発現制御を解析する上で、有用な材料となることが期待される。かかる第2核移植卵からの単為発生胚は、形態的には受精卵由来の胎仔と比べ遜色のない妊娠13.5日目の胎仔まで発生することを確認したが、それ以上の成長は確認できなかった。
その後の研究により、本発明者は、上記方法においてng卵子またはfg卵子として精子形成過程で後天的遺伝子修飾をうけるインプリント遺伝子、特にH19遺伝子を欠損する卵子を用いると、成体までの発育能を有する核移植卵が得られることを見出し、特許出願し(特許文献1)、文献に発表した(非特許文献2)。この方法は、成体までの発育能を有する核移植卵が得られる点において優れた方法であるが、成体は単為発生胚に対して1.5%程度しか作出せず、成体の作出効率の向上が望まれていた。

【非特許文献1】河野友宏著、「卵子形成過程におけるゲノム刷込みと胚発生」、蛋白質 核酸 酵素Vol.43 No.4(1998),p267-274

【非特許文献2】Tomohiro Kono et al, Nature Vol.428, No.6985, pp.860-864, 22 April 2004

【特許文献1】国際公開WO2005/011371号パンフレット

産業上の利用分野


本発明は、核移植卵の作出方法に関する。さらに詳しくは、雌ゲノムのみから構成される核移植卵の作出方法に関する。また本発明は、核移植卵から単為発生胚を作出する方法に関する。さらに本発明は、該単為発生胚から単為発生非ヒト哺乳動物を作出する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
非ヒト哺乳動物の核移植卵を作出する方法であって、
(1)除核した卵核胞期卵(GV期卵)に、非成長期卵(ng卵子)を導入した後、体外成熟培養しMII期(第2減数分裂中期)まで移行させ第1核移植卵とする工程、
(2)該第1核移植卵からMII期染色体を取り出し、別のMII期卵(fg卵子)に導入し第2核移植卵とする工程、
からなる、ng卵子由来の半数体ゲノムセットおよびfg卵子由来の半数体ゲノムセットを有する核移植卵を作出する方法において、ng卵子またはfg卵子として、(A)H19遺伝子およびIgf2遺伝子の発現を制御するDNAメチル化インプリント領域(領域A)並びに(B)Gtl2遺伝子およびDlk1遺伝子の発現を制御するDNAメチル化インプリント領域(領域B)の双方を欠損する卵子であって、領域Aを欠損した非ヒト哺乳動物と領域Bを欠損した非ヒト哺乳動物とを交配して得られた卵子から、領域Aおよび領域Bの双方を欠損した卵子を選択することにより得られた卵子を用いることを特徴とする、前記核移植卵の作出方法。

【請求項2】
非成長期卵(ng卵子)は、新生仔の卵母細胞である請求項1記載の方法。

【請求項3】
別のMII期卵(fg卵子)は、排卵卵子である請求項1記載の方法。

【請求項4】
請求項1に記載の方法で得られた第2核移植卵を活性化処理した後、体外発生培養することからなる単為発生胚の作出方法。

【請求項5】
請求項に記載の方法で得られた単為発生胚を非ヒト哺乳動物の子宮に移植し成長させることからなる単為発生非ヒト哺乳動物の作出方法。
産業区分
  • 微生物工業
  • 畜産
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2007171707thum.jpg
出願権利状態 権利存続中


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