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薬物と高分子化合物相互作用確認用試薬及び相互作用の検査方法

国内特許コード P120007150
整理番号 2011-049
掲載日 2012年4月2日
出願番号 特願2012-027242
公開番号 特開2013-164323
登録番号 特許第5930286号
出願日 平成24年2月10日(2012.2.10)
公開日 平成25年8月22日(2013.8.22)
登録日 平成28年5月13日(2016.5.13)
発明者
  • 國嶋 崇隆
  • 山田 耕平
  • 木野 徹平
出願人
  • 国立大学法人金沢大学
発明の名称 薬物と高分子化合物相互作用確認用試薬及び相互作用の検査方法
発明の概要 【課題】本発明は、薬物と高分子化合物との相互作用を容易に確認しうる確認用試薬を提供する。また、相互作用確認のための容易な検査方法を提供する。
【解決手段】標識部位を分子構造中に含むアミン化合物からなる標識化合物(P)と高分子化合物(A)が、アミド結合により結合された標識高分子化合物(P+A)を含む、薬物(X)と高分子化合物(A)との相互作用確認用試薬(C)による。相互作用確認用試薬(C)は、例えば、リガンド化合物(L)を第3級アミンで修飾し、1,3,5-トリアジン化合物(T)を反応させ、脱水縮合剤(L'+T)を合成し、高分子化合物(A)を相互作用させ、複合体(A+L'+T)を合成し、さらに標識部位を分子構造中に含むアミン化合物からなる標識化合物(P)を反応させ、標識高化分子化合物(P+A)を合成することで調製することができる。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


血漿タンパク質(以下、本明細書において、血漿タンパク質を単に「タンパク質」ともいう。)は様々な薬物と結合し、その動態や薬効に影響を与える。薬物は血中でタンパク質と相互作用して結合している状態のものと、タンパク質と結合していない遊離型が存在する。どのタンパク質に結合するか、またタンパク質との結合率は、薬物によって異なっている。そして、これらのうちタンパク質と結合したタンパク質結合型薬物は細胞膜を通過することができず、タンパク質と結合していない遊離型の薬物だけが組織へ移行することができる。つまり、遊離型だけが、細胞膜を透過することができ、組織に分布して薬効や毒性を発現し、代謝や排泄を受けて体内から除去される。従って、血中でのタンパク質結合は薬物の体内動態や、薬効、毒性に多大な影響を及ぼす。タンパク質結合には種差があり、体内動態や薬効、毒性の種差の原因となる。また、タンパク質結合は、病態の薬物間相互作用によっても変動し、薬効の減弱や副作用の増強など臨床上好ましくない現象を引き起こす場合がある。



薬物は血清アルブミンやα1-酸性糖タンパクなどのタンパク質と結合している。血清アルブミンは脂溶性の高い酸性化合物、α1-酸性糖タンパクは塩基性化合物に対し高い親和性を示す。薬物が結合するタンパク質のうち、最も重要なものは血清アルブミンであり、血清アルブミンの薬物結合部位(以下、「結合部位」を「結合site」という。)はX線結晶解析から結合site1~3(site 1~3)など複数存在するとされており、薬物ごとに部位親和性が異なる。



上記のように、薬効や毒性にとって重要な血中での遊離型薬物濃度を知るためには、タンパク質結合に関する評価を別途行う必要がある。薬物とタンパク質との結合評価方法としては、例えば、(1)平衡透析法、(2)限外濾過法、(3)超遠心法、(4)表面プラズモン共鳴法などが挙げられる。(1)平衡透析法は、透析膜を介した平衡状態における水溶液中の遊離型薬物の割合を測定する方法であり、(2)限外濾過方法は、限外濾過によってタンパク質と分離された溶液(濾液)中の遊離型薬物の割合を測定する方法であり、(3)超遠心法は、超遠心によってタンパク質を沈殿除去した後の上清中の遊離型薬物の割合を測定する方法であり、(4)表面プラズモン共鳴法については、装置が市販されており、高感度で迅速に測定することができる。しかしながら、これらの方法は、測定操作が煩雑であったり、時間を要したりするなどの欠点や、高感度であっても装置が高価であるために容易に実用化できないなどの問題点がある。さらには、いずれの方法においても、薬物のタンパク質結合siteまでは特定することができないという欠点がある(非特許文献1)。



結合タンパク質の結合siteを同定する場合には、各結合siteのプローブリガンドを用いた結合阻害試験を行う。血清アルブミンの場合、一般にsite 1のプローブリガンドとしてワルファリン、フェニトイン、site 2のプローブとしてイブプロフェン、ジアゼパム、site 3のプローブとしてジギトキシンが利用される。α1-酸性糖タンパクの場合、プロプラノール、ワルファリン及びプロゲステロンがそれぞれ塩基性化合物、酸性化合物及びステロイドホルモン結合siteのプローブリガンドとして用いられる(非特許文献1)。



触媒的縮合反応を用いた簡便アフィニティーラベル化法(特許文献1)や、同様のMoAL method(modular method for affinity labeling)(非特許文献2、3)について報告がある。これらでは、リガンド化合物、標識化合物、トリアジン型脱水縮合剤前駆体を、標的高分子化合物とともに反応させてリガンド化合物と相互作用しうる標的高分子化合物が、特異的にかつ効果的にラベル化(標識化)できることが報告されている。また、標識化される部位はリガンド化合物の結合する部位の近傍のアミノ酸に対して選択的に起きていることも記されている。係る方法により、標的高分子化合物と反応しうるリガンド化合物をスクリーニングできることが期待されることが記載されている。しかしながら、タンパク質と薬物との結合や、タンパク質の結合siteについての記載は一切ない。



薬物の血中でのタンパク質との結合率や、タンパク質の結合siteについて、簡便に検出できる方法があれば、例えば医薬組成物の血中でのタンパク質との結合状態を容易に確認することができ、薬物の血中動態を把握することができ、薬効や毒性評価を容易にできるものと考えられる。従って、そのような簡便な検出方法の開発が望まれている。

産業上の利用分野


本発明は、薬物と高分子化合物との相互作用確認用試薬及び相互作用確認のための検査方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
相互作用確認用試薬(C)用いることを特徴とする、薬物(X)と高分子化合物(A)との相互作用検査方法であって、
リガンド化合物(L)が、高分子化合物(A)と結合しうる物質であり、
相互作用確認用試薬(C)が、高分子化合物(A)におけるリガンド化合物(L)の結合する部位の近傍に、標識化合物(P)が光照射を行うことなくアミド結合により結合された標識化高分子化合物(P+A)を含み、リガンド化合物(L)を含まない試薬であり、
以下の1)~3)の工程を含む、薬物(X)と高分子化合物(A)の相互作用検査方法:
1)前記相互作用確認用試薬(C)と、薬物(X)とを相互作用させる工程;
2)前記工程1)の反応溶液について、標識シグナル(I)を検出する工程;
3)相互作用確認用試薬(C)単独での標識シグナル(I)を対照として、標識シグナル(I)と標識シグナル(I)の差異を検出する工程。

【請求項2】
請求項1に記載の標識化高分子化合物(P+A)が、以下の方法により作製された化合物である、請求項1に記載の相互作用検査方法
1)リガンド化合物(L)を第3級アミンで修飾し、修飾リガンド化合物(L')を作製する工程;
2)前記高分子化合物(A)と、前記修飾リガンド化合物(L')を混合する工程;
3)前記修飾リガンド化合物(L')と相互作用した高分子化合物(A)に、1,3,5-トリアジン化合物(T)を反応させ、複合体(A+L'+T)を合成する工程;
4)さらに標識部位を分子構造中に含むアミン化合物からなる標識化合物(P)を反応させ、標識化高分子化合物(P+A)を合成する工程。

【請求項3】
請求項1に記載の標識化高分子化合物(P+A)が、以下の方法により作製された化合物である、請求項1に記載の相互作用検査方法
1)リガンド化合物(L)を第3級アミンで修飾し、修飾リガンド化合物(L')を作製する工程;
2)前記修飾リガンド化合物(L')と1,3,5-トリアジン化合物(T)を反応させ、脱水縮合剤(L'+T)を合成する工程;
3)前項2)の脱水縮合剤(L'+T)と高分子化合物(A)を相互作用させ、複合体(A+L'+T)を合成する工程;
4)さらに標識部位を分子構造中に含むアミン化合物からなる標識化合物(P)を反応させ、標識化高分子化合物(P+A)を合成する工程。

【請求項4】
高分子化合物(A)が、タンパク質又はペプチドである、請求項1~3のいずれか1に記載の相互作用検査方法

【請求項5】
高分子化合物(A)が、血清アルブミン又はα1-酸性糖タンパクである、請求項4に記載の相互作用検査方法

【請求項6】
血清アルブミン(A)の結合site1~3のいずれか1ヶ所の近傍に、標識化合物(P)がアミド結合により結合した標識化血清アルブミン(P+A)を含むことを特徴とする、請求項5に記載の相互作用検査方法に使用する、相互作用確認用試薬(C)。

【請求項7】
請求項6に記載の相互作用確認用試薬(C)を少なくとも2種以上含み、当該2種以上含まれる各相互作用確認用試薬(C)が、血清アルブミン(A)について各々異なる結合site特異的に相互作用を確認しうる試薬である、薬物(X)と血清アルブミン(A)との相互作用確認用試薬キット(D)。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2012027242thum.jpg
出願権利状態 登録
(有)金沢大学ティ・エル・オーは、金沢大学の研究者の出願特許を産業界へ技術移転することを主目的として、金沢大学の教官の出資により設立された技術移転機関です。
ご興味のある方は、下記「問合せ先」へ整理番号と共にご連絡願います。
なお、既に活用のお申し込み・お打合わせ等の段階に入っている場合もございますので、予めご承知おきください。


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