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アテロコラーゲンおよび幹細胞を含んでなる、精神疾患または脳神経疾患のための医薬組成物

国内特許コード P120007201
整理番号 6008
掲載日 2012年4月5日
出願番号 特願2006-326365
公開番号 特開2008-137954
登録番号 特許第5260863号
出願日 平成18年12月1日(2006.12.1)
公開日 平成20年6月19日(2008.6.19)
登録日 平成25年5月2日(2013.5.2)
発明者
  • 鵜飼 渉
  • 吉永 敏弘
  • 橋本 恵理
  • 齋藤 利和
出願人
  • 北海道公立大学法人 札幌医科大学
発明の名称 アテロコラーゲンおよび幹細胞を含んでなる、精神疾患または脳神経疾患のための医薬組成物
発明の概要

【課題】細胞移植を用いた再生医療に基づく精神疾患および脳神経疾患の治療に有効な安全性の高い医薬組成物の提供。
【解決手段】アテロコラーゲンおよび幹細胞(特に、神経幹細胞または間葉系幹細胞)を含んでなる、精神疾患または脳神経疾患のための医薬組成物。再生医療においては、強い免疫拒絶反応が起きる問題点があるが、アテロコラーゲンを用いることによって、免疫反応が通常の場合よりも抑制されることから、免疫抑制剤の量を低減することができる効果がある。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


精神疾患に対しては、様々な薬物が開発され、治療効果と安全性が徐々に改善しつつあるものの、依然として薬物に対する反応性に乏しい難治性の症例も数多く存在し、そのメカニズム解明と治療法の確立が長年の課題となっている。
近年では、神経変性疾患に加え、ある種の精神疾患においても、脳の神経回路網の形成・修復の異常が疾患に関与していることが指摘されている。特に、うつ病患者の脳においては、画像上で海馬の容積減少が認められることが明らかにされ(非特許文献1参照)、さらに、うつ病のメカニズムとして、ストレスによって神経回路網を構築する神経細胞が脱落するとともに、神経幹細胞の機能低下によって神経新生が減少するという仮説が提唱されている(非特許文献2参照)。また、抗うつ薬は、神経細胞の新生を増加させるとともに、神経回路網の再構築を促進することによりその効果を発現することも示唆されている(非特許文献3参照)。さらにまた、うつ病の他、統合失調症においても、ある種の非定型抗精神病薬と抗うつ薬との組み合わせにより得られる治療効果に、海馬における神経新生が関与していることが示唆されている(非特許文献4参照)。



しかしながら、脳梗塞等の脳血管障害やパーキンソン病等の神経変性疾患においては、神経幹細胞や間葉系幹細胞などの分化能を有する細胞を神経細胞が変性・脱落した病変組織に移植する再生医療の研究が盛んになされているにもかかわらず、精神疾患においては、アルコールやタバコ、薬物等の精神作用物質による疾患のほか、うつ病、統合失調症などといったいずれの疾患においても、薬物による対症療法的な治療が主流であるため、分化能を有する細胞を移植する再生医療の試みは現在まで全くなされてこなかった。また、神経変性疾患等に対する神経幹細胞や間葉系幹細胞等の移植についても、病変組織における移植細胞の定着率や分化率が低いことが問題となっており、実際に臨床の場において実施されるには至っていない。



一方、組織工学的手法による再生医療においてインプラント材料や再生組織用の足場材料として従来から用いられてきたアテロコラーゲンは、コラーゲン分子のN末端およびC末端に存在する主たる抗原部位であるテロペプチドと呼ばれるアミノ酸領域部位を酵素処理により除去した抗原性の低いペプチド分子であり、人体への安全性が確認されているバイオマテリアルである。最近では、アテロコラーゲンを細胞増殖の足場として自家培養軟骨細胞を培養することにより生体外で軟骨組織の作製を行い、得られた軟骨組織を移植して関節軟骨疾患の治療に用いる試みのほか(非特許文献5参照)、椎間板変性疾患の再生医療においてもアテロコラーゲンを使用する試みがなされ、間葉系幹細胞の移植において、アテロコラーゲンにより包埋した間葉系幹細胞を椎間板変性疾患のモデル動物に移植したところ、間葉系幹細胞の増殖、マトリックス形成および分化が実現したことが報告されている(非特許文献6参照)。さらにまた、腫瘍疾患動物モデルにおいて、siRNAとアテロコラーゲンの複合体の投与が、siRNA単独の投与よりも、局所および全身性デリバリーの両方において、より高い腫瘍増殖抑制効果ならびに腫瘍患部へのより効率的なsiRNAのデリバリーが観察されることが示され(非特許文献7~10参照)、遺伝子治療における担体としてアテロコラーゲンが注目を集めている。しかしながら、間葉系幹細胞や神経幹細胞等の幹細胞の移植においてアテロコラーゲンを使用することについては、未だ検討がなされていないのが現状である。




【非特許文献1】Sapolsky R. M., Science, 1996, 273:749-50

【非特許文献2】Jacobs B. L., Praag, H. and Gage F. H., Molecular Psychiatry, 2000, 5:262-9

【非特許文献3】Malberg J. E., Eisch A. J., Nestler E. J. and Duman R. S., Journal of Neuroscience, 2000, 20:9104-9110

【非特許文献4】Xu H., Chen Z., He J., Haimanot S., Li X., Dyck L. and Li X, Hippocampus, 2006, 16:551-9

【非特許文献5】Agung M., Ochi M., Adachi N., Uchino Y., Takao M. and Kawasaki K., Arthroscopy, 2004, 20:1075-80

【非特許文献6】Sakai D., Mochida J., Yamamoto Y., Nomura T., Okuma M., Nishimura K., Nakai T., Ando K. and Hotta T., Biomaterials, 2003, 24:3531-41

【非特許文献7】Minakuchi Y., Takeshita F., Kosaka N., Sasaki H., Yamamoto Y., Kouno M, Honma K., Nagahara S., Hanai K., Sano A., Kato T., Terada M. and Ochiya T., Nucleic Acids Research, 2004, 32:e109

【非特許文献8】Takei Y., Kadomatsu K., Yuzawa Y., Matsuo S. and Muramatsu T., Cancer Res., 2004, 64:3365-3370

【非特許文献9】Hanai K., Kurokawa T., Minakuchi Y., Maeda M., Nagahara S., Miyata T., Ochiya T. and Sano A., Human Gene Therapy, 2004, 15:263-272

【非特許文献10】Takeshita F., Minakuchi Y., Nagahara S., Honma K., Sasaki H., Hirai K., Teratani T., Namatame N., Yamamoto Y., Hanai K., Kato T., Sano A. and Ochiya T., Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 2005, 102:12177-12182

産業上の利用分野


本発明は、精神疾患および脳神経疾患のための医薬組成物に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
アテロコラーゲンならびに神経幹細胞および間葉系幹細胞から選択される幹細胞を含んでなる、アルコール障害、胎児性アルコール症候群、頭部外傷後後遺症、感情障害、統合失調症、自閉症、神経変性疾患、脳血管障害、くも膜下出血、てんかんまたは脳梗塞のための、静脈内投与される医薬組成物。

【請求項2】
懸濁液の形態である、請求項1に記載の医薬組成物。
産業区分
  • 薬品
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中


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