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新規微生物及びこれを用いるポリ塩化ビフェニルの分解方法

国内特許コード P120007269
掲載日 2012年4月9日
出願番号 特願2012-046270
公開番号 特開2013-179890
登録番号 特許第5930289号
出願日 平成24年3月2日(2012.3.2)
公開日 平成25年9月12日(2013.9.12)
登録日 平成28年5月13日(2016.5.13)
発明者
  • 原 富次郎
  • 高塚 由美子
  • 室月 祥枝
  • 三嶋 瑠璃子
  • 木島 龍朗
  • 神尾 好是
  • 田中 俊也
出願人
  • 国立大学法人山形大学
発明の名称 新規微生物及びこれを用いるポリ塩化ビフェニルの分解方法
発明の概要 【課題】PCB汚染油として大量(大容量)に存在する比較的低濃度のPCBを、生物製剤により処理するだけで、短時間に浄化処理する方法を提供する。
【解決手段】特定な配列からなるアミノ酸配列と95%以上の相同性を有するそれぞれのアミノ酸配列からなるビフェニル分解酵素群をコードするDNAを含み、ポリ塩化ビフェニル分解活性を有する、コマモナス属に属する微生物を培養して得られた菌体を含む生物製剤とポリ塩化ビフェニルとを接触させる。
【選択図】図2
従来技術、競合技術の概要


ポリ塩化ビフェニル類(以下、「PCB」と称する場合がある。)は、ビフェニルの1個以上の水素原子を塩素原子で置換した化合物の総称をいう。置換塩素の数及び位置によって多くの異性体が存在するが、金属に対して安定で、絶縁性、不燃性、高脂溶性、可塑性などに優れているため、電気製品、熱媒体、絶縁油、可塑剤、塗料及びノンカーボン紙の溶剤など、非常に幅広い分野に使用されてきた。しかし、生体に対する毒性が高く、脂肪組織に蓄積しやすく、発癌性があり、また皮膚障害、内臓障害、ホルモン異常を引き起こすことから、現在ではその使用が禁止されている。PCBは、化学的に安定で長期間にわたって自然分解することなく残留するため、人体への影響のみならず地球環境にも深刻な影響をもたらすことが問題となっている。



国内でこれまでに製造・販売されたPCBは、およそ55000トンと見積もられ、2016年までに処理する計画が立てられているが、使用状況の正確な把握が難しく、その処理コストも高いことから、その分解処理が進んでいないというのが現状である。また、PCB濃度が10mg/kg程度の微量PCBの割合が約2割、11000トンもあると考えられ、微量PCBを含む大量の処理物が存在すると推定される。
このようなPCB廃棄物の分解方法としては、従来から、焼却方法以外に、脱塩素化分解法、水熱酸化分解法、水素供与物質による還元熱化学分解法、紫外線照射法等による光分解法が知られている。これらのうち、紫外線分解法は、PCBを極性有機溶媒中に溶かして紫外線を照射することにより脱塩素化し、残留するPCBを生物処理又は触媒処理等によって無害化するものであり、常温、常圧処理できるため安全性が高いという利点がある。



特許文献1に記載された方法は、最初にPCBを紫外線に曝して脱塩素処理を行い、次に大型発酵プラントの細菌で分解に至るものである。しかしながら、この処理法は、60~80重量/容量%にもなる高濃度PCB汚染油を一度に大量処理する点に問題があり、紫外線照射工程に続く微生物処理工程で大量の培地を加えてPCB濃度を調整しなければならず、微生物の培養、増殖とPCBの分解とを同時に行わなければならないという困難性があった。



微生物によるPCB分解は、ビフェニル分解に関与する酵素群によって行われる。例えば、ビフェニル又はその誘導体(例えばPCB)の分解微生物シュードモナス属細菌(Pseudomonas sp.)KKS102株では、図1に示す経路で分解が行なわれることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。この経路において、PCBは、まず、ビフェニルジオキシゲナーゼ(BphA酵素)により、2つの水酸基(OH)が付加される。BphA酵素は4つのサブユニット(BphA1、BphA2、BphA3、BphA4)から構成されている。そして、図1に示す通り、BphA1とBphA2とが複合体を形成し、基質との結合及び酸素添加反応を触媒し、フェレドキシンが電子伝達体として機能し、フェレドキシンリダクターゼがNAD又はNADPHとフェレドキシンの酸化還元反応を触媒する。



ついでジヒドロジオールジヒドロゲナーゼ(BphB酵素)によって、BphAの産物から2つの水素が除かれた後、2,3-ジヒドロキシビフェニルジオキシゲナーゼ(BphC酵素)により、BphB産物に酸素1分子が付加され、HOPDA(BphDの誘導基質)が生成する。ついで、2-ヒドロキシル-6-オキソ-6-フェニルヘキサ-2,4-ジエン酸ヒドロラーゼ(BphD酵素)が、HOPDAを安息香酸と2-ヒドロキシペンタ-2,4-ジエノエートとに分解する。そして2-ヒドロキシペンタ-2,4-ジエノエートヒドラターゼ(BphE酵素)、4-ヒドロキシ-2-オキソバレレートアルドラーゼ(BphF酵素)及びアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(BphG酵素)によりアセチルCoAとピルビン酸に転換されると考えられる。



これまでにビフェニル資化性菌として報告されている微生物は、シュードモナス属細菌(Pseudomonas sp.) KKS102株(例えば、非特許文献1並びに特許文献2及び3参照)、コマモナス・テストステロニ (Comamonas testosteroni) TK102株(非特許文献2)及びロドコッカス・オパカス (Rodococcus opacus) TSP203株(非特許文献3)などがある。



シュードモナス属細菌KKS102株においては、ビフェニル分解酵素遺伝子群は、クラスターをなしており、そのビフェニル分解酵素遺伝子群の塩基配列は、例えば、GenBank等のデータベースに受入番号D17319等として登録されている。コマモナス・テストステロニTK102株も類似しているが異なる遺伝子群を有し、例えば、そのビフェニル分解酵素遺伝子群の塩基配列は、GenBank等のデータベースに受入番号AB086835として登録されている。



しかしながら、特許文献2及び3によれば、シュードモナス属KKS102系統の微生物は、PCBの中でも特に分解の難しい五塩化物をも分解することができるが、その分解速度は必ずしも速くないという問題点があった。そのため、PCB分解能は持たないが、KKS102系統の微生物の生育因子を分泌してその増殖を助けると共にPCBを乳化するバイオサーフアクタントを分泌するシュードモナス属KKL101系統の微生物と混合培養するというPCB分解方法が提案されている。



一方、コマモナス・テストステロニTK102株を用いてPCBを分解している特許文献1に記載の方法によれば、PCBを完全に分解するためには、紫外線であらかじめ脱塩素化処理を施したPCBであっても48時間から72時間という長時間に渡る煩雑な培養操作を必要とする。また、コマモナス・テストステロニTK102株は、高濃度のPCB存在下であっても生育が可能であるが、主として置換塩素数3以下のPCBを分解する性質を有し、置換塩素数が5又は4のPCBの分解は困難であることが記載されている(例えば、特許文献4、段落番号0027及び0028参照)。

産業上の利用分野


本発明は、新規微生物及び当該微生物菌体を用いてポリ塩化ビフェニルを分解する方法等に関する。より詳細には、特定のビフェニル分解酵素群を有する新規なコマモナス属に属する微生物及びそれを用いてポリ塩化ビフェニルを効率よく分解する方法等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
配列番号2~11に示す各アミノ酸配列と95%以上の相同性を有するそれぞれのアミノ酸配列からなるビフェニル分解酵素群をコードするDNAを含み、ポリ塩化ビフェニル分解活性を有することを特徴とする、コマモナス属に属する微生物。

【請求項2】
前記DNAが、配列番号1に示す塩基配列又はこれと90%以上の相同性を有する塩基配列からなる請求項1に記載の微生物。

【請求項3】
前記微生物が、受託番号NITE P-1215として寄託されているコマモナス・テストステロニYU14-111株である請求項1又は2に記載の微生物。

【請求項4】
請求項1~3いずれか一項に記載の微生物を培養して得られた菌体を含む生物製剤とポリ塩化ビフェニルとを接触させることを特徴とするポリ塩化ビフェニルの分解方法。

【請求項5】
前記生物製剤は、請求項1~3いずれか一項に記載の微生物を培養して得られた菌体の凍結融解物であるか、又は当該菌体と賦形剤とを含む凍結乾燥物である請求項4に記載のポリ塩化ビフェニルの分解方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 登録
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