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抗ウイルス剤 UPDATE コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P120007310
整理番号 08-0057
掲載日 2012年4月11日
出願番号 特願2008-301811
公開番号 特開2010-126471
登録番号 特許第5633717号
出願日 平成20年11月27日(2008.11.27)
公開日 平成22年6月10日(2010.6.10)
登録日 平成26年10月24日(2014.10.24)
発明者
  • 小川 温子
  • 中村 公亮
  • 坂上 ひろみ
  • 棚元 憲一
出願人
  • 国立大学法人お茶の水女子大学
発明の名称 抗ウイルス剤 UPDATE コモンズ 新技術説明会
発明の概要 【課題】本発明の課題は、優れた効果を有し安価に製造可能である新規な抗ウイルス剤、特に抗HIV剤を提供することにある。
【解決手段】少なくとも2つ以上のアミノ基を有する分子(アミノ基分子)におけるアミノ基と、非硫酸化糖類又はその誘導体におけるアルデヒド基とを、還元アミノ化により共有結合させて得られ、かつ、共有結合させた後のアミノ基分子が少なくとも1つ以上の遊離のアミノ基を有するアミノ基分子-非硫酸化糖類複合体を、抗ウイルス剤として用いることを特徴とする。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


これまでに、医療技術は大きな進歩を遂げてきたが、ヒト等の哺乳動物は、依然として多くのウイルス性疾患の感染の脅威にさらされている。ウイルス性疾患の中でも、HIV(Human Immunodeficiency Virus)の感染により発症する後天性免疫不全症候群(Acquired Immunodeficiency Syndrome:AIDS)は、潜伏期間が比較的長い上に、致死率が高いため、世界的にも深刻な問題の一つとされている。近年、日本を除く先進国では、HIV感染の増加傾向に歯止めがかかっているものの、日本では特に若者の間でHIV感染が拡大しており、社会問題となっている。また、アフリカやアジアなどの発展途上国では、HIV感染が一層深刻化しており、特にアフリカ南部では危機的な状況に陥っている。



AIDSを根本的に治療し得る薬剤は現在のところ存在しないが、HIVのプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤(NRTI)及び非核酸系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)を用いた多剤併用療法(HARRT)が、HIVの増殖を阻害してAIDSの発症を抑制する標準的な方法として利用されている。しかし、この多剤併用療法には、多数の薬剤を用いる等のため非常に高価である点や、副作用が比較的多い点だけでなく、HIVウイルスが薬剤耐性(特に交叉耐性)を獲得してしまう点などの問題があった。そこで、多剤併用療法の問題点を改善した抗HIV剤、例えば、多剤併用療法とは異なる作用メカニズムを有する抗HIV剤の開発が求められている。



デキストラン硫酸を代表とする硫酸化多糖類は、以前から、HIVを含むレトロウイルス等に対して抗ウイルス作用を発揮することが知られていた(特許文献1等参照)。このデキストラン硫酸の作用機序は、ウイルス感染の最初の過程である、ウイルス粒子の宿主細胞への吸着を阻害することによるものであるとされている。しかし、ヘパリンならびにヘパラン硫酸や、デキストラン硫酸などの硫酸化多糖類には、抗凝固活性を有すること、構造多様性による効果の不均一性、出血傾向の増加、血栓症や血小板減少症の誘起、原料の小腸成分によるアレルギー反応、多糖自体の抗原性、耐性ウイルスの出現、まれに骨多孔症、脱毛を誘起する等の点で、改善の余地があった。なお、デキストラン、マンナン自身には抑制効果が認められなかったとの報告(非特許文献1参照)から、デキストラン硫酸等の硫酸化多糖においては、硫酸基がその活性発現因子であると考えられていた(特許文献2参照)。



ところで、これまでに本発明者は、コアタンパク質に複数のグリコサミノグリカン(GAG)鎖が結合してなる天然のプロテオグリカンの分子構造を模倣して、直鎖高分子であるポリL-リシンに複数のヘパリン分子(GAG鎖)が共有結合してなるポリL-リシン-ヘパリン複合体を人工的に作製し、このような人工分子をシュードプロテオグリカン(pseudoproteoglycan)と命名した(特許文献3参照)。また、本発明者は、このポリL-リシン-ヘパリン複合体が、宿主のウイルス抵抗性を調節することが知られているサイクロフィリンAタンパク質(CypA)と強く結合する性質を有していることを見い出した。CypAと強く結合するこの性質は、従来のGAG鎖には見られなかった性質である。CypAは、宿主の制限因子によるレトロウイルス認識を回避して、HIV-1を保護する効果があることが報告されている(非特許文献2参照)。一方、マクロファージへのHIV-1の初期接着においては、シンデカンとよばれる細胞表面のヘパラン硫酸プロテオグリカン(HS-PG)が認識に必要であることが報告されている(非特許文献3参照)。



また、特許文献4には、ポリ(カチオン性アミノ酸)を主鎖とし、かつ前記ポリ(カチオン性アミノ酸)に対して櫛型に化学的に結合している親水性基を側鎖として有する核酸安定化用キャリアーが、外来遺伝子を細胞内に導入することにより形成されたDNA二重鎖、DNA三重鎖の安定化効果を有していることが開示されている。特許文献4には、ポリ(カチオン性アミノ酸)として、ポリ(L-リシン)が、親水性基として、デキストランが例示されている。しかし、それぞれ単独では抗ウイルス活性を持たないポリL-リシンと非硫酸化デキストランとが化学的に結合したポリL-リシン-非硫酸化デキストラン複合体が、抗HIV活性等の抗ウイルス活性を発揮することは全く知られていなかった。



【特許文献1】
特公昭62-215529号公報
【特許文献2】
特開2004-107316号公報
【特許文献3】
国際公開第2005/066212号パンフレット
【特許文献4】
特開平10-158196号公報
【非特許文献1】
Baba et al., Proc Natl Acad Sci USA (1988) Vol 85, 6132-6136
【非特許文献2】
Towers et al., Nat Med (2003) vol 9, 1138-43
【非特許文献3】
Saphire et al., J Virol (2001) vol 75, 9187-9200

産業上の利用分野


本発明は、抗ウイルス剤、特に抗HIV剤に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
少なくとも2つ以上のアミノ基を有するアミノ基分子であるポリアミノ酸におけるアミノ基と、非硫酸化糖類又はその誘導体におけるアルデヒド基とを、還元アミノ化により共有結合させて得られ、かつ、共有結合させた後のアミノ基分子が少なくとも1つ以上の遊離のアミノ基を有するアミノ基分子-非硫酸化糖類複合体を含有し、かつ前記糖類がデキストラン、ヒアルロン酸、又はマンノトリオースであり、かつ前記非硫酸化糖類の誘導体がアルキル化糖類、ヒドロキシアルキル化糖類、カルボキシアルキル化糖類、もしくは抗生物質と複合体化した糖類であり、かつ前記ポリアミノ酸を構成するアミノ酸残基がリシンであり、アミノ酸残基の分子数が31~468である抗HIV剤。

【請求項2】
非硫酸化糖類が、非硫酸化デキストランである請求項1に記載の抗HIV剤。

【請求項3】
非硫酸化デキストランが、重量平均分子量4~25kのデキストランである請求項2に記載の抗HIV剤。

【請求項4】
ポリアミノ酸が、α-ポリリシンである請求項1~3に記載の抗HIV剤。

【請求項5】
少なくとも2つ以上のアミノ基を有するアミノ基分子であるポリアミノ酸におけるアミノ基と、非硫酸化糖類又はその誘導体におけるアルデヒド基とを、還元アミノ化により共有結合させて得られ、かつ、共有結合させた後のアミノ基分子が少なくとも1つ以上の遊離のアミノ基を有するアミノ基分子-非硫酸化糖類複合体であり、かつ前記糖類がデキストラン、ヒアルロン酸、又はマンノトリオースであり、かつ前記非硫酸化糖類の誘導体がアルキル化糖類、ヒドロキシアルキル化糖類、カルボキシアルキル化糖類、もしくは抗生物質と複合体化した糖類であり、かつ前記ポリアミノ酸を構成するアミノ酸残基がリシンであり、アミノ酸残基の分子数が31~468であるアミノ基分子-非硫酸化糖類複合体を、抗HIV剤の製造のために使用する方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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