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大気圧コロナ放電イオン化システム及びイオン化方法 新技術説明会

国内特許コード P120007336
整理番号 11-1
掲載日 2012年4月18日
出願番号 特願2011-174462
公開番号 特開2013-037962
登録番号 特許第5822292号
出願日 平成23年8月10日(2011.8.10)
公開日 平成25年2月21日(2013.2.21)
登録日 平成27年10月16日(2015.10.16)
発明者
  • 高山 光男
  • 関本 奏子
出願人
  • 公立大学法人横浜市立大学
発明の名称 大気圧コロナ放電イオン化システム及びイオン化方法 新技術説明会
発明の概要 【課題】試料物質の同定にとって重要となる反応イオン種の特定又は制御を可能にする大気圧コロナ放電イオン化システム及びイオン化方法を提供する。
【解決手段】針電極(1)の先端部が大気圧下のイオン化領域(α)に配置される。大気成分又は溶媒分子は、針電極のコロナ放電によりイオン化して反応イオン(Y-)を生成する。試料イオン(M+Y-)が試料分子(M)と反応イオンとの反応により生成し、質量分析装置(MS)のオリフィス(7,11,21)に導入される。針電極は、曲面に成形された先端面(4)を備える。針電極の相対位置又は相対角度の設定により先端面及びオリフィスの相対位置が設定され、或いは、イオン化領域に発生する電場又は電界の電位勾配が制御され、これにより、オリフィスに流入する反応イオンのイオン種が特定され又は制御される。
【選択図】図3
従来技術、競合技術の概要


針電極の大気圧コロナ放電により大気成分又は溶媒分子をイオン化して反応イオンを生成する大気圧コロナ放電イオン化法が知られている。大気圧コロナ放電イオン化法は、例えば、特開2000-180659号公報(特許文献1)に記載されるように、針電極(ニードル電極)の大気圧コロナ放電によって大気成分又は溶媒分子をイオン化して反応イオンを生成するイオン化法として知られている。即ち、大気圧下のコロナ放電を用いた大気圧コロナ放電イオン化法は、水、アセトニトリル、メタノール等の溶媒蒸気や、大気成分(N2、O2)をコロナ放電によりイオン化して反応イオンを生成し、反応イオンを気化試料中の試料分子と反応せしめて試料イオンを生成し、試料イオンを質量分析装置のオリフィスに導入するイオン化法である。試料物質は、質量分析装置の分析部により得られるマススペクトルの解析により同定される。



コロナ放電を利用したイオン化法に関する先行技術文献(学術論文)として、以下の非特許文献1~4が挙げられる。



非特許文献1(「Atmospheric pressure ionization mass spectrometry: Corona discharge ion source for use in liquid chromatograph-mass spectrometer-computer analytical system」)及び非特許文献2(「Determination of sulfa drugs in biological fluids by liquid chromatography/mass spectrometry」)には、ヒーターを備えたガラス管を液体クロマトグラフ(LC)の溶液出口に配設し、ガラス管中で溶液試料を気化するようにした質量分析方法が記載されている。ガラス管中で気化した試料分子は拡散移動し、針電極の正コロナ放電によりイオン化される。



非特許文献3(「Characteristics of a liquid chromatograph/atmospheric pressure ionization mass spectrometer」)には、大気圧中で溶液試料を加熱噴霧するヒーターを液体クロマトグラフ(LC)の溶液出口に配設し、溶液試料の分子構造を分解することなく、溶液試料を急速加熱して瞬間的に噴霧・気化し、正電極コロナ放電によって試料分子をイオン化させる質量分析方法が記載されている。



非特許文献4(「Analysis of solids, liquids, and biological tissues using solid probe introduction at atmospheric pressure on commercial LC/MS instruments」)には、エレクトロスプレーイオン化法(ESI)又は大気圧化学イオン化法(APCI)を液体クロマトグラフ(LC)の溶液出口に適用した質量分析方法が記載されている。質量分析すべき試料(固体、液体、生体試料等)は、「melting point capillary」として記載された棒状体の先端に塗布され、噴霧蒸気によって気化する。気化した試料は、正電極コロナ放電によってイオン化し、質量分析装置の分析部に供給される。



上記特許文献1及び非特許文献1~4に記載されたイオン化法は、いずれも、正電極コロナ放電による試料分子のイオン化を意図したものであり、負電極コロナ放電による試料分子のイオン化を意図したものではない。これは、負電極コロナ放電により生成する反応イオン種には再現性がなく、反応イオン種を制御することもできないと考えられてきたためである。



即ち、従来の大気圧イオン化法においては、正電圧を針電極に印加し、反応イオンとして主にプロトン(H)を正コロナ放電によりイオン化領域に生成するようにして実施されてきた。このように正コロナ放電を用いた大気圧イオン化法によれば、反応イオンと試料分子との反応により得られる試料イオンのマススペクトルを解析することにより、比較的容易に試料物質を同定することができる。



他方、大気圧イオン化法において負電圧を針電極に印加して負コロナ放電により反応イオンを生成した場合、反応イオン種を特定又は制御し難く、試料分子に適合した反応イオン種の生成を確認することができないことから、質量分析装置によって得られたマススペクトルを合理的に解析することができず、従って、負コロナ放電を用いた大気圧イオン化法においては、試料物質を同定することが極めて困難であった。このため、負コロナ放電を用いた大気圧イオン化法による質量分析は、その再現性を確保し難く、その実用化は極めて困難であると考えられてきた。

産業上の利用分野


本発明は大気圧コロナ放電イオン化システム及びイオン化方法に関するものであり、より詳細には、針電極の大気圧コロナ放電により大気成分又は溶媒分子をイオン化して反応イオンを生成する大気圧コロナ放電イオン化システム及びイオン化方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
大気圧コロナ放電イオン化システムと、該システムによって生成した試料イオンが導入されるオリフィスを備えた質量分析装置とを有する質量分析システムにおいて、
前記大気圧コロナ放電イオン化システムは、針電極の先端部を大気圧下のイオン化領域に配置し、該針電極のコロナ放電により大気成分又は溶媒分子をイオン化して反応イオンを生成し、試料分子と前記反応イオンとの反応により生成した試料イオンを質量分析装置のオリフィスに導入する大気圧コロナ放電イオン化システムであって、曲面に成形された先端面を前記針電極に設けるとともに、前記オリフィスに対する前記針電極の相対位置及び/又は相対角度を可変設定可能に支持する針電極支持手段によって前記針電極を支持し、前記針電極支持手段による前記針電極の相対位置及び/又は相対角度の設定によって、前記先端面と前記オリフィスとの相対位置を設定し、前記オリフィスに流入する反応イオンのイオン種を特定し又は制御するようにしたことを特徴とする大気圧コロナ放電イオン化システムであり、
前記オリフィスは、該オリフィスの流路長を設定変更するための流路長設定変更手段を有することを特徴とする質量分析システム。

【請求項2】
前記大気圧コロナ放電イオン化システムにおいて、前記針電極に印加される電圧を可変設定可能な電圧制御手段に該針電極を接続し、前記針電極支持手段によって前記針電極の相対位置又は相対角度を設定するとともに、前記先端面と前記オリフィスとの間に発生する電場又は電界の電位勾配を電圧制御手段によって設定して、前記オリフィスに流入する反応イオンのイオン種を特定し又は制御するようにした請求項1に記載の質量分析システム

【請求項3】
大気圧コロナ放電イオン化システムと、該システムによって生成した試料イオンが導入されるオリフィスを備えた質量分析装置とを有する質量分析システムにおいて、
前記大気圧コロナ放電イオン化システムは、針電極の先端部を大気圧下のイオン化領域に配置し、該針電極のコロナ放電により大気成分又は溶媒分子をイオン化して反応イオンを生成し、試料分子と前記反応イオンとの反応により生成した試料イオンを質量分析装置のオリフィスに導入する大気圧コロナ放電イオン化システムであって、曲面に成形された先端面を前記針電極に設けるとともに、該針電極に印加される電圧を可変設定可能な電圧制御手段に前記針電極を接続し、前記先端面と前記オリフィスとの間に発生する電場又は電界の電位勾配を前記電圧制御手段によって設定して、前記オリフィスに流入する反応イオンのイオン種を特定し又は制御するようにしたことを特徴とする大気圧コロナ放電イオン化システムであり、
前記オリフィスは、該オリフィスの流路長を設定変更するための流路長設定変更手段を有することを特徴とする質量分析システム

【請求項4】
前記大気圧コロナ放電イオン化システムにおいて、前記針電極に負電圧を印加し、前記針電極の先端部を大気圧下の負コロナ放電により発光させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の質量分析システム

【請求項5】
大気圧コロナ放電イオン化方法によって生成した試料イオンを質量分析装置のオリフィスに導入する質量分析方法において、
前記大気圧コロナ放電イオン化方法は、針電極の先端部を大気圧下のイオン化領域に配置し、該針電極のコロナ放電により大気成分又は溶媒分子をイオン化して反応イオンを生成し、試料分子と前記反応イオンとの反応により生成した試料イオンを質量分析装置のオリフィスに導入する大気圧コロナ放電イオン化方法であって、前記針電極の先端面を曲面に成形し、前記オリフィスに対する前記針電極の相対位置及び/又は相対角度を可変設定可能に該針電極を支持し、前記針電極の相対位置及び/又は相対角度の設定によって、前記先端面と前記オリフィスとの相対位置を設定して、前記オリフィスに流入する反応イオンのイオン種を特定し又は制御することを特徴とする大気圧コロナ放電イオン化方法であり、
前記オリフィスの流路長を設定変更することにより、前記質量分析装置の分析部に流入する試料イオンのイオン種を特定し又は制御することを特徴とする質量分析方法

【請求項6】
前記大気圧コロナ放電イオン化方法において、前記針電極に印加される電圧を可変設定可能な電圧制御手段に該針電極を接続し、前記針電極の相対位置及び/又は相対角度の設定によって、前記先端面と前記オリフィスとの相対位置を設定するとともに、前記先端面と前記オリフィスとの間に発生する電場又は電界の電位勾配を前記電圧制御手段によって設定して、前記オリフィスに流入する反応イオンのイオン種を特定し又は制御する請求項5に記載の質量分析方法

【請求項7】
大気圧コロナ放電イオン化方法によって生成した試料イオンを質量分析装置のオリフィスに導入する質量分析方法において、
前記大気圧コロナ放電イオン化方法は、針電極の先端部を大気圧下のイオン化領域に配置し、該針電極のコロナ放電により大気成分又は溶媒分子をイオン化して反応イオンを生成し、試料分子と前記反応イオンとの反応により生成した試料イオンを質量分析装置のオリフィスに導入する大気圧コロナ放電イオン化方法であって、前記針電極の先端面を曲面に成形し、前記針電極に印加される電圧を可変設定可能な電圧制御手段に該針電極を接続し、前記先端面と前記オリフィスとの間に発生する電場又は電界の電位勾配を前記電圧制御手段によって設定して、前記オリフィスに流入する反応イオンのイオン種を特定し又は制御することを特徴とする大気圧コロナ放電イオン化方法であり、
前記オリフィスの流路長を設定変更することにより、前記質量分析装置の分析部に流入する試料イオンのイオン種を特定し又は制御することを特徴とする質量分析方法

【請求項8】
前記大気圧コロナ放電イオン化方法において、前記針電極に負電圧を印加し、大気圧下の負コロナ放電により前記針電極の先端部を発光せしめることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の質量分析方法

【請求項9】
前記大気圧コロナ放電イオン化方法において、前記針電極に印加される電圧を第1制御因子として規定し、前記先端面と前記オリフィスとの相対位置を第2制御因子として規定し、第1及び第2制御因子を変数とした関数に基づいて前記イオン種を特定し又は制御することを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載の質量分析方法
産業区分
  • 電子管
  • 電力応用
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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