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シガトキシン類CTX1Bおよび54-デオキシ-CTX1Bを認識するモノクローナル抗体およびそれを用いるシガトキシン類検出キット

国内特許コード P120007396
整理番号 S2011-0018-N0
掲載日 2012年4月23日
出願番号 特願2010-226734
公開番号 特開2012-077060
登録番号 特許第5757497号
出願日 平成22年10月6日(2010.10.6)
公開日 平成24年4月19日(2012.4.19)
登録日 平成27年6月12日(2015.6.12)
発明者
  • 藤井 郁雄
  • 円谷 健
  • 平間 正博
  • 山下 修治
出願人
  • 公立大学法人大阪府立大学
発明の名称 シガトキシン類CTX1Bおよび54-デオキシ-CTX1Bを認識するモノクローナル抗体およびそれを用いるシガトキシン類検出キット
発明の概要 【課題】A環部にジヒドロキシブテニル基を有するシガトキシン類を特異的に検出できる手段を提供する。
【解決手段】A環部にジヒドロキシブテニル基を有するシガトキシン類を特異的に認識するモノクローナル抗体、および該抗体を含むシガトキシン類検出キットにより上記の課題を解決する。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


食中毒シガテラは、ポリネシア、ハワイ、カリブ海、沖縄などの広いサンゴ礁海域で頻発し、年間5万人以上の中毒患者が発生している。シガテラ毒素は植物プランクトンが生産し、食物連鎖を介して魚介類に含まれることとなる。したがって、一旦発生すると多数の食用魚が広範に毒化して深刻な社会問題となることから、シガテラ毒素を迅速に検出することが食中毒シガテラの予防にとって重要となる。



食中毒シガテラの主要原因毒素であるシガトキシン類(ciguatoxin、CTX)の免疫学的手法を用いた検出に関する研究は、ラジオイムノアッセイの発展に伴い、1977年頃からはじまった。免疫学的手法による研究においては、シガトキシン類を認識する抗体が必要であるが、シガトキシン類は天然からごく微量しか採集されず(例えば850匹、4トンのウツボから得られる毒本体のシガトキシンはわずか0.35 mg)、培養による生産も困難なことから、抗体を製造することも困難である。



ハワイ大学ホカマらは、シガテラ毒の本体であるシガトキシン(1μg)をヒト血清アルブミンにカルボジイミド法で連結したコンジュゲートを作製し、これを抗原としてマウスに免疫して、モノクローナル抗体を作製したと報告している(非特許文献1参照)。
しかしながら、この抗体はシガトキシンに結合するが、シガトキシン類と類似の構造を有する海産ポリエーテル系毒素であるオカダ酸とも強い交差結合活性を示し、その親和性の差は非常に小さい(非特許文献2参照)。
また、この抗体は、その他の海産ポリエーテル系毒素であるブレべトキシン、マイトトキシン、パリトキシンなどと交差反応を示すことが分かっているが、詳しいデータは発表されていない(非特許文献3参照)。
このホカマらの抗体を用いて、シガトキシン類に汚染された魚類を免疫的手法により検出するための試薬や、キット(Cigua Check (商標))などが開発されている。



ところで、シガトキシン類は、単一の化合物ではなく、多種の毒素の混合物であり、次の一般式(III):
【化1】


で表される4種(化合物1~4)が主に知られている。



本発明者らは、以前にシガトキシンのうちCTX1B左側のABC環部を化学合成し、これを合成ハプテンとしたタンパク質コンジュゲートを用いて、3種のモノクローナル抗体を調製したが、これらはいずれもシガトキシンに非常に弱いアフィニティーしか示さなかった(非特許文献4参照)。
また、他のグループも合成ハプテンJKLM環部のコンジュゲートを用いて動物の免疫を試み、シガトキシンを認識するポリクローナル抗体を作製しているが、モノクローナル抗体は得られていない(非特許文献5参照)。



このような状況のなかで、本発明者らは、シガトキシンCTX3C(上記の式中の化合物1)の右末端の部分構造であるIJKLM環部を含む合成ハプテンを設計、合成し、この合成ハプテンのタンパク質コンジュゲートでマウスを免疫する工程を含む方法により、受託番号FERM BP-8293のハイブリドーマ3D11を作製し、該ハイブリドーマを用いてシガトキシン類に特異性の高いモノクローナル抗体3D11を製造することに成功した(特許文献1参照)。
モノクローナル抗体3D11のシガトキシンCTX3Cに対する解離定数(Kd)は、122 nMであった。また、シガトキシンに構造が類似した海産ポリエーテル系毒素とモノクローナル抗体3D11との交差結合活性を調べたところ、赤潮毒ブレベトキシン類と交差活性が確認されたが、その交差結合活性は、シガトキシンとの結合に比べると約350分の1以下の非常に弱いものであった。



さらに、本発明者らは、シガトキシンCTX3Cの左末端の部分構造であるABCDE環部を含む化合物をハプテンとして設計、合成し、この合成ハプテンのタンパク質コンジュゲートでマウスを免疫する工程を含む方法により受託番号FERM BP-8292のハイブリドーマ10C9を作製し、該ハイブリドーマを用いてシガトキシン類に特異性の高いモノクローナル抗体10C9を調製することに成功した(特許文献2参照)。
また、本発明者らは、上記の2種のモノクローナル抗体(3D11および10C9)を組み合わせて、検出特性をより改善したサンドイッチ法によりシガトキシンCTX3Cを検出するキットを作製した(特許文献3および非特許文献6参照)。



さらに、本発明者らは、M環部にヒドロキシ基を有するシガトキシン51-OH-CTX3CやCTX1Bを検出する抗体を作製するために、シガトキシン類のHIJKLM環部の構造を有する化合物をはじめて合成し、これをハプテンとして動物を免疫することにより受託番号FERM BP-11400として寄託されたハイブリドーマ8H4を作製し、該ハイブリドーマを用いてシガトキシン類51-OH-CTX3CやCTX1Bに特異的に結合する特異性の高いモノクローナル抗体8H4を調製することに成功した。また、本発明者らは、上記モノクローナル抗体8H4と10C9とを組み合わせることにより、検出特性を改善したサンドイッチ法によりシガトキシン51-OH-CTX3Cを検出するキットを作製した(特許文献4および非特許文献7)。



しかしながら、シガテラ食中毒の主要毒素であるシガトキシンには、上記の式に示すように、主にA環部およびM環部の置換様式が異なる4種類の類縁体が存在することが知られており(上記の化合物1~4)、これらはいずれも毒素としての強さは異なるもののシガテラ食中毒の毒素として作用し得る。従って、シガテラ食中毒を広く予防するためには、これらのシガトキシン類全てを検出することも必要である。特に、シガトキシンCTX1Bは、世界中で最も普遍的に存在するシガテラ原因毒と考えられているため、その検出は重要である。

産業上の利用分野


本発明は、シガトキシン類、特にA環部にジヒドロキシブテニル基を有するシガトキシンCTX1Bまたは54-デオキシ-CTX1Bを認識することができるモノクローナル抗体、該モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ、および該モノクローナル抗体を用いるシガトキシン類検出キットに関する。
本発明は、また上記のモノクローナル抗体を得るために用いられる化合物、該化合物がキャリアータンパク質に結合してなるコンジュゲート化合物にも関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
次の式(I):
【化1】


(式中、nは整数を表す)
で表されるタンパク質コンジュゲートでマウスを免疫して得られる、A環部にジヒドロキシブテニル基を有するシガトキシン類を特異的に認識するモノクローナル抗体を産生する、受託番号FERM BP-11401として2010年9月15日に独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(郵便番号305-8566、日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に寄託されたハイブリドーマ3G8。

【請求項2】
A環部にジヒドロキシブテニル基を有するシガトキシン類が、シガトキシンCTX1Bまたは54-デオキシ-CTX1Bである請求項1に記載のハイブリドーマ3G8。

【請求項3】
請求項1または2に記載のハイブリドーマ3G8により産生される、A環部にジヒドロキシブテニル基を有するシガトキシン類を特異的に認識するモノクローナル抗体。

【請求項4】
請求項3に記載のモノクローナル抗体と、受託番号FERM BP-11400として2004年12月22日に独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(郵便番号305-8566、日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に寄託されたハイブリドーマ8H4または受託番号FERM BP-8293として平成14年(2002年)3月5日に独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(郵便番号305-8566、日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に寄託されたハイブリドーマ3D11により産生されるモノクローナル抗体とを含む、シガトキシン類検出キット。

【請求項5】
請求項3に記載のモノクローナル抗体、または受託番号FERM BP-11400として2004年12月22日に独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(郵便番号305-8566、日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に寄託されたハイブリドーマ8H4により産生されるモノクローナル抗体もしくは受託番号FERM BP-8293として平成14年(2002年)3月5日に独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(郵便番号305-8566、日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に寄託されたハイブリドーマ3D11により産生されるモノクローナル抗体が標識されている請求項4に記載のシガトキシン類検出キット。

【請求項6】
標識が酵素標識である請求項5に記載のシガトキシン類検出キット。

【請求項7】
次の式(II):
【化2】


で表される化合物。

【請求項8】
請求項7に記載の化合物がキャリアータンパク質と結合してなる、次の式(I)
【化3】


(式中、nは整数を表す)
で表されるタンパク質コンジュゲート。

【請求項9】
キャリアータンパク質が、ウシ血清アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニンまたは卵アルブミンである請求項8に記載のタンパク質コンジュゲート。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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