TOP > 国内特許検索 > エレクトロスプレーによるイオン化方法および装置

エレクトロスプレーによるイオン化方法および装置 外国出願あり

国内特許コード P120007402
整理番号 P06-016
掲載日 2012年4月23日
出願番号 特願2008-513335
登録番号 特許第4862167号
出願日 平成19年4月26日(2007.4.26)
登録日 平成23年11月18日(2011.11.18)
国際出願番号 JP2007059438
国際公開番号 WO2007126141
国際出願日 平成19年4月26日(2007.4.26)
国際公開日 平成19年11月8日(2007.11.8)
優先権データ
  • 特願2006-125398 (2006.4.28) JP
  • 特願2006-135205 (2006.5.15) JP
発明者
  • 平岡 賢三
  • 高見澤 淳
出願人
  • 国立大学法人山梨大学
発明の名称 エレクトロスプレーによるイオン化方法および装置 外国出願あり
発明の概要

前処理なしの生体試料を測定対象とすることができ,しかも大気圧下でイオンの脱離イオン化が可能で,nmオーダの分解能をもつイメージングを可能とする。大気圧下,前処理なしの生体組織などを測定対象試料とする。XYZ軸駆動ピエゾ素子のSTM探針(プローブ)を用い,Z方向駆動の振動数:数Hzないし数kHz,振幅:数10μmないし数mmで上下振動させ,nmオーダ深さで生体試料と接触させて探針先に試料分子を捕捉する。探針にパルス状高電圧を印加し,探針エレクトロスプレーを実現する。探針先端に捕捉した試料分子をプラズモン支援エレクトロスプレー,または赤外レーザ加熱支援によって脱離イオン化し,直交型飛行時間質量分析計,イオントラップ質量分析計などの質量分析計を用いて質量分析する。探針をXY方向に掃引して振動を繰返し,生体試料のnm領域分子イメージング像を測定する。また,他の態様では,液体クロマトグラフの出口に接続されたキャピラリーの先端に生成される液滴にプローブを接触させて液体試料を捕捉し,エレクトロスプレーを発生させる。

従来技術、競合技術の概要


生体試料や,工業製品などを対象としたイメージング質量分析法は,大別して2つある。第1はマトリックス支援レーザ脱離イオン化法(MALDI),第2は,二次イオン質量分析法(SIMS)である。これらの方法は,たとえば次のような文献に記載されている。“Imaging mass spectrometry:a new tool to investigate the spatial organization of peptides and proteins in mammalian tissue sections”Current Opinion in Chemical Biology 2002,6,676-681,“Direct molecular imaging of Lymnaea stagnalis nervous tissue at subcellular spatial resolution by mass spectrometry”Anal.Chem.2005,77,735-741.
MALDIによる試料調製法の一例を挙げれば,生体試料を-18℃程度に冷却し,ステンレスブレードなどによって15μmの生体試料切片を作成する。これを電導性のフィルムに載せ,試料を乾燥させる。さらに試料表面にマトリックスを薄く塗布してMALDI試料とし,これを真空チャンバーに挿入し,MALDIを行う。また,ポリエチレンフィルム上に生体試料を載せ,フィルムの裏側からレーザ光を照射して高分子フィルムを瞬間的に加熱して,接触界面の細胞をフィルムに転写する方法(laser capture microdissection)などもある。試料イオンの脱離イオン化には,主に337nmの窒素レーザが使用される。
これらの方法では,レーザ光のビーム径を数10μm以下に絞るのが困難で,またアブレーションが広域にわたるので,空間分解能は50μmが限界である。また,MALDIの最大の特色であるマトリックスを使用することで,イオンの検出感度が飛躍的に増大するが,他方では,試料に塗布するマトリックスの結晶サイズが100μm以上になることから,空間分解能が制約される。
SIMS法では,点光源に近い金属イオン源(Ga,Auなど)などが実用化され,μm以下の空間分解能が達成されている。しかしながら,イオンのエネルギーが大きく(10~20keV),入射イオンが試料に数100オングストロームの深さにわたって侵入し,試料が損傷を受ける。このため,生体試料など分解し易い試料からのイオンの収率が時間とともに急速に低下する。脱離する試料は表面近傍の分子に限られるので,生体関連試料に対するイオンの検出感度が低い。
この欠点を解消することを目的に,クラスターSIMSが開発されてきた。たとえば,金クラスターイオン(Au)やC60イオンを入射イオンとして用いると,二次イオンの脱離効率が急増することが明らかとなった。
しかしながら,一次イオンビーム電流が小さいこと,イオンビーム径が数μm以上になることなどから,μm以下の空間分解能を得ることが困難である。これらのSIMS法は,いずれも生体高分子等の高質量分子には適用が難しい。
以上述べたようなMALDIやSIMSによるイメージング技術が,近年,ライフサイエンスの分野で普及しつつある。しかしながら,これらの方法はその原理的な制約によってμm以下の分解能を得ることは困難である。また,高真空でのみ作動する質量分析装置の真空系に試料を導入せざるを得ないので,前処理が極めて煩雑となる。したがって,従来のMALDIまたはSIMS法にいかなる改良を加えたとしても,これらを基本技術とする限り,μm以下の分解能を実現することは不可能に近い。
生体試料などを大気圧下でそのままの状態に保ちつつ,かつ非破壊でイメージング像を実時間ナノスケール(1μm以下)計測する質量分析法はこれまでに開発されていない。
他方,従来エレクトロスプレーまたはナノレーザスプレーでは,試料液体がキャピラリー先端で円錐状の形状をなし(テイラー(Taylor)コーンと呼ばれる),円錐状の先端から微細な帯電液滴が生成する。この液滴は,液体の粘性のために,マイクロメートルないしはサブマイクロメートル以下のサイズにすることは原理的に不可能である。これは,テイラーコーンの先端が電場の力で引きちぎられて液滴が発生する際,液体の粘性によってテイラーコーンの先端径が自動的にサブマイクロメートルのサイズになってしまうからである。このように,エレクトロスプレーで生成できる液滴サイズは,自然発生的に決まってしまい,更なる極小化は困難である。
また,従来のエレクトロスプレーでは,ナノ化に伴い(ナノエレクトロスプレー),キャピラリーの径を細くする必要があり,目詰まり等,多くの制約がある。スプレーも発生させにくいし,取り扱いが煩雑である。さらに従来のエレクトロスプレーでは,塩濃度が高くなると,スプレーが困難になり,またイオンの気相への脱離効率が激減する。したがって,生理食塩水など,150mM程度のNaCl水溶液などには適用ができない。

産業上の利用分野


この発明は,一般的にエレクトロスプレーによるイオン化方法および装置に関し,一例としてはイメージングが可能なエレクトロスプレーによるイオン化方法および装置,他の例としては微細化が可能なエレクトロスプレーによるイオン化方法および装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】 質量分析装置のイオン・サンプリング孔を持つ部材の外側前面の大気圧空間に金属製プローブと試料とを配置し,
上記プローブの先端が試料から離れた原点位置で,上記プローブの先端が試料に接触する程度の振幅をもって上記プローブをその長手方向に振動させ,
上記プローブの先端が試料に接触する位置で上記プローブと試料とを同電位として上記プローブの先端に試料を捕捉し,
その後,上記プローブの先端が上記原点位置付近にある期間において,上記イオン・サンプリング孔を持つ部材を基準として,上記プローブに,上記プローブ先端に捕捉した試料を脱離,イオン化する高電圧を印加する,
エレクトロスプレーによるイオン化方法。
【請求項2】 上記プローブに印加する上記高電圧が数千ボルト程度までの電圧である,請求項1に記載のイオン化方法。
【請求項3】 上記原点位置における上記プローブの先端付近にレーザ光を照射する,請求項1または2に記載のイオン化方法。
【請求項4】 上記原点位置における上記プローブの先端付近に溶媒を吹き付ける,請求項1から3のいずれか一項に記載のイオン化方法。
【請求項5】 レーザ光照射と上記電圧印加とを同期させる,請求項3に記載のイオン化方法。
【請求項6】 上記電圧の値と印加する期間が調整可能である,請求項1に記載のイオン化方法。
【請求項7】 上記プローブの温度を調整する,請求項1から6のいずれか一項に記載のイオン化方法。
【請求項8】 上記プローブを試料の内部で回転させる,請求項1から7のいずれか一項に記載のイオン化方法。
【請求項9】 上記プローブの先端に凹凸を形成し,その表面積を増大させる,請求項1から8のいずれか一項に記載のイオン化方法。
【請求項10】 試料を穿孔し,この孔内に上記プローブを侵入させて試料を捕捉する,請求項1から9のいずれか一項に記載のイオン化方法。
【請求項11】 試料を試料台上に載置して供給する,請求項1から10のいずれか一項に記載のイオン化方法。
【請求項12】 上記プローブの先端と試料表面との距離を一定に保って上記プローブを試料表面にほぼ沿う方向に移動させ,上記プローブの位置に応じた試料表面像を得,この像上において探索領域を特定し,この探索領域内で上記プローブを原点位置にもたらし,上記プローブをその長手方向に振動させ,上記探索領域内において試料表面にほぼ沿う方向に上記プローブの位置を変えて,上記プローブの長手方向への振動を繰返す,請求項1から11のいずれか一項に記載のイメージングが可能なイオン化方法。
【請求項13】 液体試料をキャピラリーの先端から供給する,請求項1から10のいずれか一項に記載のイオン化方法。
【請求項14】 上記キャピラリーが電圧が印加されるエレクトロスプレーのキャピラリーである,請求項13に記載のイオン化方法。
【請求項15】 液体クロマトグラフィーから上記キャピラリーに液体試料を供給する,請求項13または14に記載のイオン化方法。
【請求項16】 請求項1から15のいずれか一項に記載の上記イオン化方法により得られたイオンの質量分析を行う,分析方法。
【請求項17】 質量分析装置のイオン・サンプリング孔を持つ部材の外側前面の大気圧空間に配置される試料を保持するための試料保持手段と,
金属製のプローブを,このプローブの先端が試料から離れた原点位置とプローブの先端が試料に接触する位置との間でその長手方向に振動させる振動装置と,
上記プローブの振動に同期してパルス状のエレクトロスプレー用高電圧を発生する電源装置とを備え,
上記プローブの先端が試料に接触する期間では上記プローブと試料とが同電位とされ,上記プローブの先端が試料に接触して試料を捕捉した後の上記プローブの先端が原点位置付近にある期間において上記電源装置から発生し,上記プローブ先端に捕捉された試料脱離,イオン化るパルス状高電圧が上記イオン・サンプリング孔を持つ部材を基準として,上記プローブ印加される,
エレクトロスプレーによるイオン化装置。
【請求項18】 プローブの先端付近にレーザ光を照射するレーザ装置をさらに備えている,請求項17に記載の装置。
【請求項19】 上記電源装置が,上記プローブに印加するパルス状電圧であって,振幅,パルス幅およびパルス波形の少なくとも一つが可変なパルス状電圧を発生するものである,請求項18または19に記載の装置。
【請求項20】 上記試料保持手段が試料を載置する試料台である,請求項17または18に記載のイオン化装置。
【請求項21】 試料台またはプローブの少なくともいずれかを,相対的に接近離間および平行移動させる3次元変位駆動装置,
をさらに備えたイメージングが可能な請求項20に記載のエレクトロスプレーによるイオン化装置。
【請求項22】 上記試料保持手段が液体試料を保持して供給するキャピラリーである,請求項17または18に記載のイオン化装置。
【請求項23】 請求項17から22のいずれか一項に記載のイオン化装置を備えた質量分析装置。
産業区分
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2008513335thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
参考情報 (研究プロジェクト等) 特許4862167
上記の特許・技術に関心のある方は、下記問合せ先にご相談下さい。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close