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鱗翅目昆虫由来のBt毒素抵抗性遺伝子およびその利用

国内特許コード P120007428
掲載日 2012年5月1日
出願番号 特願2010-212723
公開番号 特開2012-065582
登録番号 特許第5769145号
出願日 平成22年9月22日(2010.9.22)
公開日 平成24年4月5日(2012.4.5)
登録日 平成27年7月3日(2015.7.3)
発明者
  • 宮本 和久
  • 野田 博明
  • 渥美 省吾
  • 山本 公子
  • 瀬筒 秀樹
  • 和田 早苗
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 鱗翅目昆虫由来のBt毒素抵抗性遺伝子およびその利用
発明の概要 【課題】 Cry毒素に対して抵抗性を示す鱗翅目昆虫由来の遺伝子を同定すること
【解決手段】 カイコの82kbpのゲノム領域から、Cry毒素に対する抵抗性遺伝子BGIBMGA007792-93を同定し、この遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸配列の234位におけるTyrの挿入の有無が、カイコにおけるCry毒素に対する抵抗性に影響を与えることを見出した。当該遺伝子を利用することにより、殺虫性タンパク質に対して抵抗性を示す鱗翅目昆虫の育種することや、殺虫性タンパク質に対して抵抗性を示す鱗翅目昆虫の遺伝子診断を行うことが可能である。
【選択図】 なし
従来技術、競合技術の概要


Cry毒素は、微生物殺虫剤として、さらには、害虫抵抗性組換え作物の作出において利用されてきた。ところが、近年、アブラナ科の野菜類の重要害虫であるコナガにおいて、Cry毒素に対して抵抗性を示す個体が出現し、これが大きな問題となった。このため、害虫のCry毒素抵抗性発達機構に関する研究が行われるようになり、一部の鱗翅目昆虫では、Cry毒素に対する抵抗性遺伝子が解明された。



例えば、ニセアメリカタバコガでCry1Acに対する劣性の抵抗性遺伝子が同定され、この遺伝子が、Cry毒素の受容体と考えられているカドヘリン様タンパク質をコードしていることが判明した(非特許文献1)。その他、同様の遺伝子が、ワタアカミムシとオオタバコガでも抵抗性遺伝子として機能していることが報告されている(非特許文献2、非特許文献3)。そして、これら遺伝子は、害虫のCry毒素抵抗性の診断などに利用されている。



一方、Cry毒素に対する抵抗性を発達させたコナガについては、抵抗性遺伝子は、従来から知られているCry毒素の受容体候補タンパク質(カドヘリン様タンパク質、アミノペプチダーゼNなど)ではないことが報告されている(非特許文献4)。また、Cry1Abに対する抵抗性系統が知られているカイコでも、これら受容体候補タンパク質の遺伝子とは異なる遺伝子の変異により、その抵抗性を発達させてきたと推定されている(非特許文献5)。また、Cry1Ab毒素抵抗性品種の持つ抵抗性が、カイコ分子遺伝子地図の第15連関群に座乗する劣性の主遺伝子に支配されていることが報告されている(非特許文献6)。



このように、コナガやカイコなどの鱗翅目昆虫においては、Cry毒素の受容体候補タンパク質をコードする遺伝子以外の遺伝子が、Cry毒素に対する抵抗性に関与していると考えられているが、その実体はいまだ明らかになっていない。

産業上の利用分野



本発明は、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)の産生する殺虫性タンパク質(以下、「Cry毒素」と称する)に対して抵抗性を示す鱗翅目昆虫由来の遺伝子、およびその利用に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
バチルス・チューリンゲンシスの産生する殺虫性タンパク質に対して感受性の鱗翅目昆虫における下記(a)~(c)のいずれかに記載の内在性DNAの発現または機能を抑制することを特徴とする、バチルス・チューリンゲンシスの産生する殺虫性タンパク質に対する抵抗性が付与された鱗翅目昆虫の作出方法。
(a)配列番号:2、4、6、8、10、12、14、16、18または20に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
(b)配列番号:1、3、5、7、9、11、13、15、17または19に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA
(c)配列番号:1、3、5、7、9、11、13、15、17または19に記載の塩基配列からなるDNAと相同性が90%以上の塩基配列からなるDNA

【請求項2】
バチルス・チューリンゲンシスの産生する殺虫性タンパク質に対して感受性の鱗翅目昆虫に下記(a)~(c)のいずれかに記載のDNAを導入して対立遺伝子の双方を組み換える工程を含む、バチルス・チューリンゲンシスの産生する殺虫性タンパク質に対する抵抗性が付与された鱗翅目昆虫の作出方法。
(a)配列番号:22、24、26、28、30、32または34に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
(b)配列番号:21、23、25、27、29、31または33に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA
(c)配列番号:21、23、25、27、29、31または33に記載の塩基配列からなるDNAと相同性が90%以上の塩基配列からなるDNA

【請求項3】
バチルス・チューリンゲンシスの産生する殺虫性タンパク質に対して感受性の鱗翅目昆虫に、下記(i)~(iii)のいずれかに記載のDNAを導入する工程を含む、バチルス・チューリンゲンシスの産生する殺虫性タンパク質に対する抵抗性が付与された鱗翅目昆虫の作出方法。
(i)下記(a)~(c)のいずれかに記載のDNAの転写産物と相補的な二重鎖RNAをコードするDNA
(ii)下記(a)~(c)のいずれかに記載のDNAの転写産物と相補的なアンチセンスRNAをコードするDNA
(iii)下記(a)~(c)のいずれかに記載のDNAの転写産物を特異的に開裂するリボザイム活性を有するRNAをコードするDNA
(a)配列番号:2、4、6、8、10、12、14、16、18または20に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
(b)配列番号:1、3、5、7、9、11、13、15、17または19に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA
(c)配列番号:1、3、5、7、9、11、13、15、17または19に記載の塩基配列からなるDNAと相同性が90%以上の塩基配列からなるDNA

【請求項4】
下記(a)~(c)のいずれかに記載のDNA、または該DNAが挿入されたベクターを含む、バチルス・チューリンゲンシスの産生する殺虫性タンパク質に対して感受性の鱗翅目昆虫にバチルス・チューリンゲンシスの産生する殺虫性タンパク質に対する抵抗性を付与するための薬剤。
(a)配列番号:22、24、26、28、30、32または34に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
(b)配列番号:21、23、25、27、29、31または33に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA
(c)配列番号:21、23、25、27、29、31または33に記載の塩基配列からなるDNAと相同性が90%以上の塩基配列からなるDNA

【請求項5】
下記(i)~(iii)のいずれかに記載のDNA、または該DNAが挿入されたベクターを含む、バチルス・チューリンゲンシスの産生する殺虫性タンパク質に対して感受性の鱗翅目昆虫にバチルス・チューリンゲンシスの産生する殺虫性タンパク質に対する抵抗性を付与するための薬剤。
(i)下記(a)~(c)のいずれかに記載のDNAの転写産物と相補的な二重鎖RNAをコードするDNA
(ii)下記(a)~(c)のいずれかに記載のDNAの転写産物と相補的なアンチセンスRNAをコードするDNA
(iii)下記(a)~(c)のいずれかに記載のDNAの転写産物を特異的に開裂するリボザイム活性を有するRNAをコードするDNA
(a)配列番号:2、4、6、8、10、12、14、16、18または20に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
(b)配列番号:1、3、5、7、9、11、13、15、17または19に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA
(c)配列番号:1、3、5、7、9、11、13、15、17または19に記載の塩基配列からなるDNAと相同性が90%以上の塩基配列からなるDNA

【請求項6】
鱗翅目昆虫におけるバチルス・チューリンゲンシスの産生する殺虫性タンパク質に対する感受性または抵抗性を判定する方法であって、被検鱗翅目昆虫における下記(a)~(c)のいずれかに記載の内在性DNAの塩基配列を解析することを特徴とする方法。
(a)配列番号:2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32または34に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
(b)配列番号:1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31または33に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA
(c)配列番号:1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31または33に記載の塩基配列からなるDNAと相同性が90%以上の塩基配列からなるDNA

【請求項7】
バチルス・チューリンゲンシスの産生する殺虫性タンパク質に対する抵抗性の鱗翅目昆虫を育種する方法であって、
(a)バチルス・チューリンゲンシスの産生する殺虫性タンパク質に対する抵抗性の鱗翅目昆虫系統と任意の鱗翅目昆虫系統とを交配させる工程、
(b)工程(a)における交配により得られた個体におけるバチルス・チューリンゲンシスの産生する殺虫性タンパク質に対する感受性または抵抗性を、請求項に記載の方法により判定する工程、および
(c)バチルス・チューリンゲンシスの産生する殺虫性タンパク質に対する抵抗性を有すると判定された系統を選抜する工程、を含む方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録


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