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イチゴ葉縁退緑病の病原体CandidatusPhlomobacterfragariaeの検出方法

国内特許コード P120007432
掲載日 2012年5月1日
出願番号 特願2010-203701
公開番号 特開2012-055271
登録番号 特許第5741894号
出願日 平成22年9月10日(2010.9.10)
公開日 平成24年3月22日(2012.3.22)
登録日 平成27年5月15日(2015.5.15)
発明者
  • 田中 穣
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 イチゴ葉縁退緑病の病原体CandidatusPhlomobacterfragariaeの検出方法
発明の概要 【課題】イチゴの苗および果実生産現場から早期にCa.P.fragariaeを検出・排除することで本病の蔓延防止および果実生産の被害の軽減が期待できることから、Ca.P.fragariaeを高感度で検出することができる技術を提供する。
【解決手段】(a)特定な配列からなるヌクレオチド配列;(b)(a)の配列の少なくとも95%の同一性を有するか、ストリンジェントな条件下でその相補鎖とハイブリダイズするか、もしくはその配列において1もしくは数個の置換、付加および/もしくは欠失を含む改変配列;(c)(a)もしくは(b)の少なくとも10ヌクレオチドを含むフラグメント配列;または(d)(a)、(b)もしくは(c)の相補鎖配列を含む核酸分子。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


イチゴ葉縁退緑病は、バクテリア様微生物Candidatus Phlomobacter fragariae(本明細書において、「Ca.P.fragariae」とも省略する。)がイチゴに感染することで生じる病害であり、この病害に感染したイチゴでは生育不良、果実品質の低下等により、商品価値のある果実の生産ができなくなる。日本では2003年に発生が初めて報告されたが、それ以前はフランスで報告されているのみであり、国外からの侵入した病害と推定される。現時点ではその発生は一部地域に留まっているが、本病は昆虫伝搬性であるとともに、イチゴに全身感染しランナー(匍匐枝)を通じて親株から子株へ伝搬するため、感染した苗が流通することにより全国的に蔓延するおそれがある。



イチゴ葉縁退緑病の病原体Candidatus Phlomobacter fragariaeは絶対寄生菌で培養できず、また菌体の大きさも幅25nm×長さ250nm程度とごく小さいため、光学顕微鏡での観察は困難であり、形態観察には電子顕微鏡が必要である。しかし、形態だけでは本菌の同定は不可能であり検出および同定が可能な手段は遺伝子診断法に限られる。



Candidatus Phlomobacter fragariaeの16SリボゾームRNA遺伝子(16S rDNA)を標的遺伝子としたプライマーセットFra5/Fra4を用いたPCR法による検出(非特許文献1)が報告されている。また、Ca.P.fragariaeの16S rDNAを標的としたLAMP(Loop-mediated isothermal amplification)法による迅速検出法が報告されている(非特許文献2)。さらにCa.P.fragariaeのグアノシン-3’,5’-ビス(ジホスフェート)3’-ピロホスホヒドラーゼ(ppGPPase)遺伝子を標的としたプライマーセットPfr1/Pfr4を用いたPCR法により標的DNAを増幅した後、制限酵素RsaIおよびAluIによるRFLP解析により病原体を検出・同定する手法が報告されている(非特許文献3)。



16S rDNAを標的にしたPCR法およびLAMP法に関しては、16SrDNAの塩基配列が原核微生物で高く保存性されているため、これらの手法を用いるとCa.P.fragariaeと近縁な細菌も検出される、特に昆虫の共生細菌にはCa.P.fragariaeと極めて近縁な種が存在するため、昆虫体内からの検出では非特異的な増幅が多発し、Ca.P.fragariaeの特異的な検出は困難である。また検出限界も低く無病徴感染イチゴから確実にCa.P.fragariaeを検出することは困難である。一方、昆虫における非特異増幅を避けるために開発されたプライマーセットPfr1/Pfr4を用いたPCRでは、一部の昆虫共生細菌では依然として非特異増幅が生じるため、最終的な同定を行うためにはRFLPを併用する必要があり煩雑である。また、検出限界はFra5/Fra4を用いたPCR法よりさらに1/10程低く、実用的なCa.P.fragariaeの検出法として用いることは困難である。

産業上の利用分野


本発明は、イチゴ葉縁退緑病の高精度診断技術に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
(a)配列番号1~5のいずれか1つに示す配列;
(b)(a)の配列の少なくとも95%の同一性を有するか、ストリンジェントな条件下でその相補鎖とハイブリダイズするか、もしくは(a)の配列において1もしくは数個の置換、付加および/もしくは欠失を含む改変配列;
(c)(a)もしくは(b)の少なくとも1ヌクレオチドを含むフラグメント配列;または
(d)(a)、(b)もしくは(c)の相補鎖配列
を含む核酸分子であって、
該ストリンジェントな条件は、洗浄条件が0.1倍濃度のSSC、65℃での洗浄を含む、
カンジダツス・フロモバクター・フラガリエ(Candidatus Phlomobacter fragariae)またはイチゴ葉縁退緑病を検出することができる核酸分子

【請求項2】
配列番号~5中以下の箇所:配列番号1の212-232位、配列番号1の330-351位、配列番号1の715-733位、配列番号1の715-738位、配列番号1の749-766位、配列番号1の769-788位、配列番号1の789-813位、配列番号1の814-838位、配列番号1の838-858位、配列番号1の841-862位、配列番号1の870-889位、配列番号1の890-911位、配列番号1の928-949位、配列番号2の596-620位、配列番号2の715-738位、配列番号3の847-861位、配列番号3の919-943位、配列番号4の572-591位、配列番号4の672-691位、配列番号5の123-144位、配列番号5の214-232位、配列番号5の2230-2250位および配列番号5の2376-2399位からなる群より選択される少なくとも1つの配列またはその相補配列の少なくとも1ヌクレオチドを含む、請求項1に記載の核酸分子。

【請求項3】
配列番号~5に示す配列のうち、少なくとも15ヌクレオチドを含む核酸分子と、配列番号~5に示す配列の相補配列のうち、少なくとも15ヌクレオチドを含む核酸分子とを含む、カンジダツス・フロモバクター・フラガリエ(Candidatus Phlomobacter fragariae)またはイチゴ葉縁退緑病を検出するためのプライマーセット。

【請求項4】
配列番号~5に示す配列のうち、少なくとも17ヌクレオチドを含む核酸分子と、配列番号~5に示す配列の相補配列のうち、少なくとも17ヌクレオチドを含む核酸分子とを含む、請求項3に記載のカンジダツス・フロモバクター・フラガリエ(Candidatus Phlomobacter fragariae)またはイチゴ葉縁退緑病を検出するためのプライマーセット。

【請求項5】
配列番号~5に示す配列またはその相補配列のうち、少なくとも15ヌクレオチドと、標識とを含む、カンジダツス・フロモバクター・フラガリエ(Candidatus Phlomobacter fragariae)またはイチゴ葉縁退緑病を検出するためのプローブ。

【請求項6】
配列番号~5に示す配列またはその相補配列のうち、少なくとも17ヌクレオチドと、標識とを含む、請求項に記載のカンジダツス・フロモバクター・フラガリエ(Candidatus Phlomobacter fragariae)またはイチゴ葉縁退緑病を検出するためのプローブ。

【請求項7】
カンジダツス・フロモバクター・フラガリエ(Candidatus Phlomobacter fragariaeまたはイチゴ葉縁退緑病を検出するためのキットであって、該キットは:
(A)配列番号~5に示す配列のうち、少なくとも1ヌクレオチドを含む核酸分子と、配列番号~5に示す配列の相補配列のうち、少なくとも1ヌクレオチドを含む核酸分子とを含む、プライマーセット、または配列番号~5に示す配列またはその相補配列のうち少なくとも1ヌクレオチドと標識とを含むプローブ;ならびに
(B)核酸増幅用試薬
を含む、キット。

【請求項8】
前記プライマーセットは、配列番号~5に示す配列のうち、少なくとも17ヌクレオチドを含む核酸分子と、配列番号~5に示す配列の相補配列のうち、少なくとも17ヌクレオチドを含む核酸分子とを含む、あるいは、前記プローブは配列番号~5に示す配列またはその相補配列のうち、少なくとも17ヌクレオチドと、標識とを含む、請求項に記載のキット。

【請求項9】
カンジダツス・フロモバクター・フラガリエ(Candidatus Phlomobacter fragariaeまたはイチゴ葉縁退緑病を検出するための方法であって、
(A)被験サンプルを鋳型として用い、配列番号~5に示す配列のうち、少なくとも1ヌクレオチドを含む核酸分子と、配列番号~5に示す配列の相補配列のうち、少なくとも1ヌクレオチドを含む核酸分子とを含む、プライマーセットをプライマーとして用いて核酸増幅反応を行う工程;および
(B)増幅された核酸分子に基づいて、該被験サンプル中にカンジダツス・フロモバクター・フラガリエ(Candidatus Phlomobacter fragariaeがあるかどうかを決定する工程
を包含する、方法。

【請求項10】
前記プライマーセットは、配列番号~5に示す配列のうち、少なくとも17ヌクレオチドを含む核酸分子と、配列番号~5に示す配列の相補配列のうち、少なくとも17ヌクレオチドを含む核酸分子とを含む、あるいは、前記プローブは配列番号~5に示す配列またはその相補配列のうち、少なくとも17ヌクレオチドと、標識とを含む、請求項に記載の方法。

【請求項11】
前記決定する工程は、カンジダツス・フロモバクター・フラガリエ(Candidatus Phlomobacter fragariaeに感染したイチゴから抽出したサンプルを陽性コントロールとして使用することを特徴とする、請求項に記載の方法。

【請求項12】
前記核酸増幅反応は、リアルタイムPCRまたはLAMP法によって行われる、請求項に記載の方法。

【請求項13】
カンジダツス・フロモバクター・フラガリエ(Candidatus Phlomobacter fragariaeを検出するためのプライマーであって、配列番号6~25に記載の配列から選択される配列を含むプライマー。

【請求項14】
カンジダツス・フロモバクター・フラガリエ(Candidatus Phlomobacter fragariaeを検出するためのプライマーセットであって、配列番号6および7のセット、配列番号8および9のセット、配列番号10~11のセット、配列番号12~13のセット、配列番号14~15のセット、配列番号16~21のセット、配列番号22~23のセット、配列番号24~25のセットからなる群から選択される配列セットを含むプライマーセット。

【請求項15】
カンジダツス・フロモバクター・フラガリエ(Candidatus Phlomobacter fragariaeまたはイチゴ葉縁退緑病を検出するための装置であって、該装置は:
(A)核酸増幅反応を行うための手段;
(B)配列番号~5に示す配列のうち、少なくとも1ヌクレオチドを含む核酸分子と、配列番号~5に示す配列の相補配列のうち、少なくとも1ヌクレオチドを含む核酸分子とを含む、プライマーセット、または配列番号~5に示す配列またはその相補配列のうち少なくとも1ヌクレオチドと標識とを含むプローブ;ならびに
(C)該核酸分子または該標識を検出するための手段
を含む、装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録


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