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信号検出装置、信号検出方法及び信号検出装置の製造方法 新技術説明会

国内特許コード P120007448
掲載日 2012年5月1日
出願番号 特願2010-532862
登録番号 特許第5354505号
出願日 平成21年8月27日(2009.8.27)
登録日 平成25年9月6日(2013.9.6)
国際出願番号 JP2009064929
国際公開番号 WO2010041526
国際出願日 平成21年8月27日(2009.8.27)
国際公開日 平成22年4月15日(2010.4.15)
優先権データ
  • 特願2008-262688 (2008.10.9) JP
発明者
  • 章 忠
  • 三宅 哲夫
  • 今村 孝
出願人
  • 国立大学法人豊橋技術科学大学
発明の名称 信号検出装置、信号検出方法及び信号検出装置の製造方法 新技術説明会
発明の概要

【課題】実信号マザーウェーブレットを用いてリアルタイムで対象信号のウェーブレット変換を可能とする。
【解決手段】リフティングスキーム構造又は多重解像度解析による多重解析構造の対象信号分解部と、該対象信号分解部の所望の分解フィルタへ連結される寄生フィルタであって、対象信号分解部へ実信号マザーウェーブレットを入力して汎用的な離散ウェーブレット変換を実行したとき入力された実信号マザーウェーブレットを実質的に再現して出力する寄生フィルタと、ここに、実信号マザーウェーブレットは対象信号から構成されたものであり、対象信号を対象信号分解部へ入力し、実信号マザーウェーブレットを用いて離散ウェーブレット変換を実行する手段と、寄生フィルタの出力に基づきウェーブレット瞬時相関を演算する手段と、を備えてなる。
【選択図】図3

従来技術、競合技術の概要


従来、信号検出のために、相互相関法[非特許文献1]やバンドパスフィルタ[非特許文献2]、パターンマッチング[非特許文献3]がある。しかし相互相関法では平均的な結果しか得られないので非定常信号には不向きである。バンドパスフィルタ法では、多数の特徴成分を含む対象信号を検出する場合に、多数の異なるバンドパスフィルタを並列に配置する必要があり、その実現は困難である。パターンマッチング法は対象信号の発生時刻に敏感であるが、対象信号の強さを検出することはできない。



これらの欠点を克服するために、連続ウェーブレット変換(CWT)を用いたウェーブレット瞬時相関(WIC)が提案された[非特許文献4、特許文献1及び特許文献2参照]。ウェーブレット瞬時相関法は、対象信号の発生時刻と強さを同時に検出することが可能であり、非定常信号の検出や設備の状況監視などに有効である。
解析信号f(t)の連続ウェーブレット変換(CWT)は式(1)で表現される。
【数式1】


関数Ψ(t)はマザーウェーブレット(MW)と呼ばれ、式(2)に示すのアドミッシブル条件(admissibility condition)を満たさなければならない。

【数式2】


また, Ψ(t)が遠方で充分速く零になる関数であれば,式(2)は次式(3)のようにかなり緩やかな条件に簡単化できる。

【数式3】


この意味で、MWの選択範囲は広く、その構成も簡単である。



さらに、対象信号からマザーウェーブレットを構成し(以下,実信号マザーウェーブレット、RMWと呼ぶ),それを用いたCWTにより得られたスケールa=1における|w(1,b)|をRMWと解析信号とのウェーブレット瞬時相関(WIC) R(b)と定義し、

【数式4】


それにより解析信号中の対象信号を検出,評価を行う方法が提案された。



一方、ウェーブレット変換のパラメータ、スケールをa=2j、時間をb=k2jとしたとき、ウェーブレット変換を離散ウェーブレット変換と呼ぶ。連続ウェーブレット変換と異なり、離散ウェーブレット変換(DWT)にはMallatの多重解像度解析(MRA)に基づく高速アルゴリズム[非特許文献5]、またはSweldensのリフティングスキーム(Lifting Scheme)による高速アルゴリズム[非特許文献6]が提案されている。
図1はMallatの多重解像度解析による多重解析構造である。図1(a)は分解アルゴリズム、(b)は再構成アルゴリズムである。このようなDWTは周波数領域においてオクターブ分析により時系列信号の解析を行う。ナイキスト周波数からの各オクターブは、レベル-1、レベル-2、・・・、と呼ばれる。このアルゴリズムは、まずスケーリング関数により得られた解析信号f(t)の離散データc0、kをもとにしてレベル-1でのウェーブレット係数(高周波成分) d-1、kとスケーリング係数(低周波成分) c-1、kを、双対ツースケール数列{ak}と双対ウェーブレット数列{bk}のみを用いて式(5)と式(6)により高速に計算する。
【数式5】


【数式6】


この計算は次に図1(a)に示した分解アルゴリズムに沿って、式(5)と式(6)によりレベル-1のc-1、kからレベル-2でのc-2、kとd-2、kを計算でき、そして、すべてのウェーブレット係数dj、kを漸進的に求めることができる。
また、ツースケール数列{pk}とウェーブレット数列{qk}を用いて式(7)により、 dj、kとcj、kからもとのcj+1、kを高速に計算できる。
【数式7】


さらに、図1(b)に示した再構成アルゴリズムをたどって、式(7)によりdj+1、kとcj+1、kから原信号の離散データc0、kに漸進的に戻ることができる。



図2にリフティングスキームの構造を示す。図2(a)は分解アルゴリズムで、(b)は再構成アルゴリズムである。図2の各要素は以下の処理を行う。
1) Split:入力された解析信号を奇数列,偶数列に分解する。
【数式8】


2) Predict:偶数列を用いて奇数列から高周波数成分を求める。
【数式9】


【数式10】


ただし、P とU はマザーウェーブレット(MW)(以下ではベースマザーウェーブレット(BMW)と呼ぶ)により定めた関数(フィルタ)である。
リフティングスキームは様々な特徴を持つが、その1つとして,従来のDWTに用いられている多重解像度解析(MRA)と異なり、ダウンサンプリングを先に行いその後にフィルタ処理を行うため、計算量が比較的少ないという利点がある。
本発明の実施例においては、DWTの計算をリフティングスキームにより行っている。勿論、多重解像度解析による高速アルゴリズムにより行うこともできる。
実信号マザーウェーブレットにつき、非特許文献7を参照されたい。




【特許文献1】特開2007-205885号公報

【特許文献2】特開2007-205886号公報

【非特許文献1】Manolakis, D. G., V. K. Ingle and S. M. Kogon, {\it Statistical and adaptive Signal Processing}, Artech House, p.237, 2005.

【非特許文献2】Lee, J. H., et al., A new knocking-detection method using cylinder pressure, block vibration and sound pressure signal from a SI engine, SAE paper no.981436, 1998.

【非特許文献3】Zhang Z. and E. Tomita, A new diagnostic method of knocking in a spark-ignition engine using the wavelet transform, SAE paper no.2000-01-1801, 2000.

【非特許文献4】章 忠,池内宏樹,石井秀明,堀畑聡,今村孝,三宅哲夫,実信号マザーウェーブレットおよびその異常信号検出への応用 (平均的複素数実信号マザーウェーブレットの設計とその応用),日本機械学会論文集(C編),73-730(2007.6),pp.1676-1683.

【非特許文献5】Mallat, S. G., A wavelet tour of signal processing, Academic Press, 1999.

【非特許文献6】Wim Sweldens, The lifting scheme: A custom-design construction of bi-orthogonal wavelets, Appl. Comput. Harmon. Anal, vol.3, no.2, pp.186-200, 1996

【非特許文献7】日本機械学会論文集、73巻、730号 C編 平成19年6月

産業上の利用分野


本発明はウェーブレット変換を利用した信号検出装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
複数の分解フィルタを連結してなり、対象信号を分解する対象信号分解部であって、前記分解フィルタの連結体は離散ウェーブレット変換ツリーの一部又は全部を構成する対象信号分解部と、
該対象信号分解部の所望の分解フィルタへ連結される寄生フィルタであって、前記対象信号分解部へ実信号マザーウェーブレットを入力して汎用的な離散ウェーブレット変換を実行したとき前記入力された実信号マザーウェーブレットを実質的に再現して出力する寄生フィルタと、ここに、前記実信号マザーウェーブレットは前記対象信号から構成されたものであり、
前記対象信号を前記対象信号分解部へ入力し、前記実信号マザーウェーブレットを用いて離散ウェーブレット変換を実行する手段と、
前記寄生フィルタの出力に基づきウェーブレット瞬時相関を演算する手段と、を備えてなる信号検出装置であって、
前記寄生フィルタは実数部と虚数部とを備え、下記条件を満足するように前記分解フィルタへ連結される、
(1) 前記実信号マザーウェーブレットを前記離散ウェーブレット変換ツリーへ入力して汎用的な離散ウェーブレット変換を実行し、前記寄生フィルタが連結された分解フィルタにおける前記実信号マザーウェーブレットのエネルギー損失が15dB以下である、
(2) 上記(1)の条件を満足しつつ計算量を最小化する、
信号検出装置。

【請求項2】
前記離ウェーブレット変換ツリーはリフティングスキーム構造である、ことを特徴とする請求項1に記載の信号検出装置。

【請求項3】
前記実信号マザーウェーブレットは複素数マザーウェーブレットである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の信号検出装置。

【請求項4】
前記実信号マザーウェーブレットは、平均的実信号マザーウェーブレットである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の信号検出装置。

【請求項5】
対象信号から実信号マザーウェーブレットを構成するステップと、
複数の分解フィルタを連結してなる離散ウェーブレット変換ツリーを準備するステップと、
前記分解フィルタの一つに寄生フィルタを連結するステップと、前記離散ウェーブレット変換ツリーへ前記実信号マザーウェーブレットを入力し汎用的な離散ウェーブレット変換を実行したときに前記寄生フィルタから該実信号マザーウェーブレットが実質的に再現されるように、前記寄生フィルタを最適化するステップと、を含んでなる信号検出装置の製造方法であって、
前記寄生フィルタは実数部と虚数部とを備え、
下記条件を満足するように前記分解フィルタへ連結される、
(1) 前記実信号マザーウェーブレットを前記離散ウェーブレット変換ツリーへ入力して汎用的な離散ウェーブレット変換を実行し、前記寄生フィルタが連結された分解フィルタにおける前記実信号マザーウェーブレットのエネルギー損失が15dB以下である、
(2) 上記(1)の条件を満足しつつ計算量を最小化する、信号検出装置の製造方法。

【請求項6】
前記実信号マザーウェーブレットは複素数実信号マザーウェーブレットである、ことを特徴とする請求項5に記載の信号検出装置の製造方法。

【請求項7】
前記実信号マザーウェーブレットは平均的マザーウェーブレットである、ことを特徴とする請求項5に記載の信号検出装置の製造方法。

【請求項8】
前記実信号マザーウェーブレットのエネルギー損失Leは下記数式
【数式14】


ここに、関数Ψ(t)は前記実信号マザーウェーブレットを示し、dはウェーブレット係数、j及びkは寄生フィルタが連結される前記分解フィルタのレベル及び離散時間を示す、ことを特徴とする請求項5~7の何れかに記載の信号検出装置の製造方法。

【請求項9】
前記計算量Qjは下記数式
【数式15】


ここに、i及びjは寄生フィルタが連結される前記分解フィルタのレベルを示す、ことを特徴とする請求項8に記載の信号検出装置の製造方法。

【請求項10】
前記離散ウェーブレット変換ツリーはリフティングスキーム構造である、ことを特徴とする請求項5~9のいずれかに記載の信号検出装置の製造方法。
産業区分
  • 測定
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2010532862thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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