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濃酸処理部、濃酸処理方法、植物資源相分離系変換装置並びに変換方法

国内特許コード P120007490
掲載日 2012年5月7日
出願番号 特願2010-534837
登録番号 特許第5633742号
出願日 平成21年10月21日(2009.10.21)
登録日 平成26年10月24日(2014.10.24)
国際出願番号 JP2009068149
国際公開番号 WO2010047358
国際出願日 平成21年10月21日(2009.10.21)
国際公開日 平成22年4月29日(2010.4.29)
優先権データ
  • 特願2008-273633 (2008.10.23) JP
発明者
  • 舩岡 正光
  • 三亀 啓吾
  • 野田 秀夫
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
  • 関西化学機械製作株式会社
発明の名称 濃酸処理部、濃酸処理方法、植物資源相分離系変換装置並びに変換方法
発明の概要 植物資源からリグニン誘導体と加水分解された糖質を効率よく連続して製造する植物資源相分離系変換装置、変換方法、濃酸処理部、濃酸処理方法を提供する。濃酸処理部(3)は反応部(20)と攪拌抽出部(25)を有してなり、植物資源に由来する原料(15)を溶媒(14)で脱脂し収着用フェノール類(13)を収着してなるフェノール収着原料(16)を導入し、リグノフェノール誘導体を含むフェノール溶液とセルロースの加水分解物を含む濃酸溶液との混合溶液として送出する。反応部(20)はフェノール収着原料(16)と濃酸(21A)を攪拌混合しセルロースを膨潤させリグニンのリグノフェノールへの変換を行い、セルロースの一部を加水分解させる。攪拌抽出部(25)は反応部(20)から送出された被処理液を導入し抽出用フェノール類(33)を加え攪拌し濃酸溶液中に分散しているリグノフェノールを抽出用フェノール類中に溶解抽出させる。
従来技術、競合技術の概要


植物資源を石油の代替工業原料として有効に利用するためには、植物資源を分子素材として活用する必要があり、分子レベルで高度に複合化された植物体の各構成成分について分子機能を活かした状態で効率よく分離することが重要となる。



例えば、木材は、構造及び性質の全く異なる炭水化物とリグニンの複合体である。木材を炭水化物とリグニンの2成分に分離する手法として、オルガノソルプ法やソルボリシス法などが提案され、前処理方法として、爆砕法、オートハイドロリシス法などが提案されている。しかし、これらの方法による成分分離は、高エネルギーを必要とし、しかも分離は完全には進行しない。これは、細胞壁中で、炭水化物とリグニンとが複雑に絡み合っていることによる。さらに、上記の分離手法は、高エネルギー付加時にリグニンが大きく変質し、その後の利用が困難となる。
したがって、リグニン本来の特性を破壊することなく完全な成分分離を達成するためには、構成素材個々に最適環境を設定し、低エネルギー条件下で両者の絡まりを解くことが必要である。



木材の組織構造を分子レベルで破壊する一つの方法は、硫酸による処理である。例えば濃硫酸処理によってセルロースは膨潤しさらに部分的な加水分解および溶解を生じ、結果として細胞壁構造が破壊される。濃硫酸による木材の加水分解手法は、すでに技術的にはほぼ確立されており、さらに成分分離という意味において完璧かつ安価な方法である。



しかし、木材の完全利用を目指した成分分離手法として、濃硫酸による木材の加水分解手法は、縮合によるリグニンの不活性化という重大な欠点を有する。この種の高縮合リグニンは分子が剛直であるため、通常、構造修飾による活性化あるいはその解重合は困難であり、これが酸加水分解を核とする木材工業がこれまで成立しなかった理由の一つである。濃酸処理過程におけるリグニンの不活性化は、反応系にリグニンに対する媒体がないことに基づく。



植物体の主たる構成成分である細胞壁構成成分、すなわち、リグニンとセルロースやヘミセルロースなどとのリグノセルロース系複合材料を、フェノールと濃酸とを用いて分離・誘導体化する技術がある(例えば、特許文献1及び2参照)。



フェノール誘導体、例えば、クレゾールはリグニンの良溶媒であり、しかもその反応性はリグニン芳香核のそれに類似している。クレゾールはリグニンとの親和性が高く、反応系において常にリグニンと共存する。反面、クレゾールは濃酸とほぼ混合しない。そこで、木粉をまずクレゾールで処理し、木粉内部にクレゾールを十分浸透させる。その後、混合物を室温で激しく撹拌しながら、炭水化物との親和性が高い濃酸を加えると、先ずセルロースが速やかに膨潤し、これによって木粉の組織構造が破壊され、セルロースは更に加水分解される。リグニンは濃酸と混合しないクレゾールによって取り囲まれているので、濃酸が加えられた時点ではリグニンの酸との接触は可及的に抑制される。攪拌により酸がクレゾール中に混入し、リグニンのベンジル位にフェノールが結合しリグノフェノール誘導体が生成する。



リグノフェノール誘導体はクレゾール溶液に含まれており、またセルロースの加水分解物は濃酸溶液中に含まれている。クレゾールを留去することにより、MWL(Milled Wood Lignin)よりも明色で活性なリグノフェノール誘導体が得られる。他方、酸溶液中には炭水化物がグルコース等の単糖、オリゴ糖、ポリマーとして含有されている。
処理過程でリグニンは部分的に解重合されるが、その際生成したカルボニウムイオンはクレゾールにより速やかに安定化され、リグニンの自己縮合は抑圧される。処理後、撹拌を停止することにより、反応混合物は速やかにクレゾール溶液と濃酸溶液とに分離する。



このような技術においては、リグニンとセルロースを完全分離するために、相分離系変換という手法を用いている。すなわち、予め、リグノセルロース系複合材料をフェノール化合物で溶媒和させておいた上で、リグノセルロース系材料を酸と接触させることにより、リグニンにフェノール化合物を選択的に酸に対しグラフトさせると同時に、酸でセルロースを膨潤させさらに加水分解し溶解させ、リグニンとセルロースを分離するというものである。また、これらの方法において、分離効率を改善する技術もある(特許文献3)。



さらに、特許文献2には、リグノフェノールを成形体の成分として用い、しかも、成形体として使用が済んだ場合においても、リグノフェノールが有機溶媒に可溶であることから、再度有機溶媒で回収して再利用できることが開示されている。

産業上の利用分野


本発明は、リグノセルロース系複合材料である植物資源から糖質とリグノフェノール誘導体とに分離し回収しうる植物資源相分離系変換装置及び変換方法、該変換装置及び変換方法に用いる濃酸処理部及び濃酸処理方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
植物資源にフェノールを収着したフェノール収着原料と濃酸とを反応させ、得られた被処理液にフェノールを加えてリグノフェノール誘導体を抽出する濃酸処理部であって、
上記濃酸処理部は、フェノール収着原料と濃酸とを反応させて被処理液とする反応部と、被処理液にフェノールを加えてリグノフェノール誘導体を含む混合溶液を抽出する攪拌抽出部とから構成され、
上記反応部は、反応器本体と該反応器本体内に設けられた攪拌羽根とを有し、
上記反応器本体は、筒芯を水平にする円筒で成り、一端側にフェノール収着原料の導入口、他端側に被処理液の液出口を備え、
上記攪拌羽根は、上記反応器本体内に設けられた回転軸の周りに基端が固定され、上記回転軸から上記反応器本体の内周面に向けて放射方向に延び、櫛歯形状の羽根先端を有し、且つ、一の羽根先端と他の羽根先端とが千鳥配列してずれており、
上記羽根先端と上記反応器本体の内周面とのクリアランスが、濃酸と反応して高粘性の塊状となったフェノール収着原料を圧延し細分化しうる寸法に設定される、濃酸処理部。

【請求項2】
前記攪拌抽出部は、筒軸方向が上下方向である抽出用円筒状容器と、
該抽出用円筒状容器内に設けられた回転軸と、
該回転軸の筒軸方向に並んで設けられた外径が上記筒状容器の内面に近接しかつ被処理液を通流させる小孔を有する複数の円形板状の堰板と、
該堰板間に位置して被処理液を攪拌する抽出用攪拌羽根と、
上記抽出用円筒状容器の一側に各堰板間に対応し長尺方向に並んで設けられた複数の注入口と、
上記抽出用円筒状容器の他側に各堰板間に対応し長尺方向に並んで設けられた複数の液出口と、を備え、
前記反応部より送出された被処理液が適宜選択された上記注入口の1つから上記抽出用円筒状容器に導入され、
フェノールが適宜選択された上記液出口の1つから上記抽出用円筒状容器に導入され、
被処理液とフェノールの混合溶液が、適宜に選択された上記液出口の別の1つから送出される、請求項1に記載の濃酸処理部。

【請求項3】
前記攪拌抽出部は、さらに前記被処理液の導入口に前記回転軸に設けられた圧送用羽根を有し、該圧送用羽根が回転されて、前記被処理液の導入口から導入された被処理液を攪拌しつつ前記液出口の方向へ圧送する、請求項に記載の濃酸処理部。

【請求項4】
前記攪拌抽出部は、
筒軸方向が水平方向である抽出用円筒状容器と、
抽出用円筒状容器内に設けられた回転軸と、
抽出用円筒状容器内に筒軸方向に並んで設けられた円環状の複数の堰板と、
各堰板間に位置して回転軸に設けられた抽出用攪拌羽根と、
抽出用円筒状容器の一端に設けられた被処理液導入口と、
抽出用円筒状容器の中途に設けられた複数の抽出用フェノール注入口と、
抽出用円筒状容器の他端に設けられた被処理液とフェノールとの混合溶液の液出口と、を有する、請求項1に記載の濃酸処理部。

【請求項5】
前記抽出用円筒状容器の下部の各堰板間の位置に、液回収又はフェノール注入のために適宜使用する液出入口を有する、請求項に記載の濃酸処理部。

【請求項6】
前記被処理液の導入口に圧送用羽根がさらに設けられている、請求項に記載の濃酸処理部。

【請求項7】
植物資源に由来する原料を脱脂後、フェノールを加えてフェノール収着原料とする原料前処理部と、請求項2~6のいずれかに記載の濃酸処理部とを含む、植物資源相分離系変換装置。

【請求項8】
植物資源に由来する原料を脱脂後、フェノールを加えてフェノール収着原料とする原料前処理部と、
請求項2~6のいずれかに記載の濃酸処理部と、
濃酸処理部から送出されたリグノフェノール誘導体含有混合溶液をフェノール溶液と濃酸溶液との比重差を利用して、リグノフェノール誘導体を含むフェノール溶液とセルロースの加水分解物を含む濃酸溶液とに液液分離して各別のタンクに回収する回収部とからなる、植物資源相分離系変換装置。

【請求項9】
フェノール収着原料と濃酸とを反応させて被処理液とする反応工程と、被処理液にフェノールを加えてリグノフェノール誘導体を含む混合溶液を抽出する攪拌抽出工程とからなるフェノール収着原料の濃酸処理方法であって、
上記反応工程において、濃酸との反応によって高粘性の塊状となったフェノール収着原料を反応器本体内面に近接して回転される攪拌羽根の羽根先端と反応器本体内面とで圧延し細分化する、濃酸処理方法。

【請求項10】
植物資源を脱脂し、フェノールを加えてフェノール収着原料とする原料前処理工程と、得られたフェノール収着原料と濃酸とを反応させて被処理液とする反応工程と、被処理液にフェノールを加えてリグノフェノール誘導体を含む混合溶液を抽出する攪拌抽出工程と、混合溶液をフェノール溶液と濃酸溶液との比重差を利用して、リグノフェノール誘導体を含むフェノール溶液とセルロースの加水分解物を含む濃酸溶液とに液液分離して各別のタンクに回収する処理を行う回収工程とを含む植物資源相分離系変換方法であって、
上記反応工程において、濃酸との反応によって高粘性の塊状となったフェノール収着原料を反応器本体内面に近接して回転される攪拌羽根の羽根先端と反応器本体内面とで圧延し細分化する、植物資源相分離系変換方法。
国際特許分類(IPC)
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