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マルチステップ・ラティス・ボクセル法

国内特許コード P120007519
整理番号 S2011-0012-N0
掲載日 2012年5月14日
出願番号 特願2010-232524
公開番号 特開2012-088771
登録番号 特許第5641503号
出願日 平成22年10月15日(2010.10.15)
公開日 平成24年5月10日(2012.5.10)
登録日 平成26年11月7日(2014.11.7)
発明者
  • 熊田 博明
出願人
  • 国立大学法人 筑波大学
発明の名称 マルチステップ・ラティス・ボクセル法
発明の概要 【課題】大きさの異なるボクセルを含む撮影画像から撮影対象の3次元モデルを形成する方法の提供する。
【解決手段】以下の工程を含む方法。(a)撮影画像のスライスデータを、一つの領域内に所定個数のピクセルが含まれるように複数の領域に分割する工程、(b)分割された1つの領域内に含まれるピクセルが、すべて同じ特徴を有する組織又は物質を表すときは、当該ピクセル同士を結合して1つのボクセルデータに置換する工程、(c)分割された1つの領域内に、異なる特徴を有する組織又は物質を表すピクセルが含まれるときは、当該1つの領域内のピクセルデータを混合ボクセルデータとして定義する工程、(d)前記工程(b)及び工程(c)を繰り返して、置換されたボクセルデータ及び混合ボクセルデータを含むスライスデータを取得する工程、並びに(e)前記工程(d)により取得された複数のスライスデータを多段階に積み重ねる工程。
【選択図】図5
従来技術、競合技術の概要


次世代の放射線治療であるホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy: BNCT)は、ガン細胞に選択的に集積するホウ素薬剤を患者に投与し、病巣部に中性子線を照射することでガン細胞のみを選択的に破壊する腫瘍細胞選択的粒子線治療法である。放射線治療を実施するためには、放射線照射によって病巣及びその周辺に付与される線量をシミュレーション計算によって的確に評価し、最適な照射条件を決定できる治療計画が不可欠である。特にBNCTは、中性子の挙動が非常に複雑であるため、従来のX線治療、粒子線治療などの単純な計算アルゴリズムでは線量計算ができないため、高精度計算が可能なモンテカルロ計算法による線量評価が必要である。本発明者は、このBNCT用のモンテカルロ治療計画システムをこれまで研究開発し、実際の臨床研究に実用化させている(非特許文献1:H. Kumada, et al., Development of JCDS, a computational dosimetry system at JAEA for boron neutron capture therapy, Journal of Physics: Conference Series, Vol. 74, pp.1-7 2007)。



図1は、本発明者が開発した治療計画システムJCDSの概略を示す。「JCDS」とは、医療用の診断画像であるMRI及びCT画像のデータを用いて、患部周辺の数値モデルを作成し、このモデルと入射ビーム条件、核データライブラリーなどを用いてMCNPコードによるシミュレーション計算を行ない、中性子及び光子の線束分布を求め、線量分布に変換し、その結果を医療診断画像に重ねて表示するなどの治療に必要な情報を提供するものである(非特許文献2:熊田博明他、ホウ素中性子捕捉療法のためのBNCT線量評価システム(JCDS)の開発、JAERI-Tech 2003-002、(2003))。これはBNCT実施の前に線量計画を作成するために用いられるほか、照射後の線量分布を評価することにより治療成績との関係を解析するためにも使用される。さらに、中性子ビーム設備の照射コリメータなどの設計のツールとして用いることもできる。



世界でBNCT用に開発された治療計画システムは、JCDSを含めて3つだけであり(他の2つは、米国MITの「NCTPlan」とワシントン大学等で共同開発された「SERA」)、JCDSはモンテカルロ法による治療計画を実用化している世界でも数少ないシステムの1つである。さらに現在も改良、高度化が行われているのはJCDSのみであり、国内外のBNCT研究者から注目されている。



モンテカルロ法による線量評価は、高精度な線量計算が可能であり、X線治療や粒子線治療も導入が検討されている。しかし、モンテカルロ法は長時間の計算時間が必要である点で課題が多い。例えば、既存のX線治療の評価は数分以内で完了するのに対して、モンテカルロ法では計算が数時間かかることも多い。従って、X線治療、粒子線治療では治療効率を優先してモンテカルロ法は実用化されていない。



従来の放射線治療のモンテカルロ法による線量計算では、患者のCTデータを基に人体の3次元モデルを作成し、これを計算モデルに変換して線量計算を行う。このとき人体のような複雑形状の計算モデルに対しては、図2に示すように人体を含む直方体の領域をX、Y、Z方向に分割して小さな直方体(ボクセルという)に分割し、個々のボクセルに適切な材質の情報を定義することで、人体の計算モデル(ボクセルモデルという)を定義する。このとき、ボクセルの大きさをできるだけ細かくすることで、線量評価精度(計算精度)を向上することができる(図2-b)。その一方で、ボクセルの数が多くなるとボクセル間の境界数が増えてしまい、境界を粒子が通過するごとに計算が発生することから、計算時間が多くかかってしまう。つまりボクセル数(これに起因した計算精度)と計算時間には相関性がある。



現在実用化されているBNCT用の治療計画システムでは、治療効率を考えて計算時間の制限から、ボクセルの大きさを1cm角~5mm角などに大きくしたボクセルモデルでの計算を行っている(図2-a)。この大きなボクセルを使う場合、個々のボクセルの材質は、空気、軟組織、骨、などの情報を定義するが、例えば空気と皮膚(軟組織)の境界部にボクセルが重なった場合は、その混合の材質を定義することになるが、この混合材質が計算誤差の原因となる。

産業上の利用分野


本発明は、大きさの異なるボクセルが含まれる撮影画像のスライスデータを積み重ねて、撮影対象の3次元モデルを形成する方法、及びコンピュータプログラムに関する。特に、本発明は、人体モデルに対するモンテカルロ輸送計算を高速化できるマルチステップ・ラティス・ボクセル法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
コンピュータに、大きさの異なるボクセルが含まれる撮影画像のスライスデータを積み重ねて、撮影対象の3次元モデルを形成させる方法であって、以下の工程:
(a) 撮影画像のスライスデータを、一つの領域内に所定個数のピクセルが含まれるように複数の領域に分割する工程、
(b) 分割された1つの領域内に含まれるピクセルが、すべて同じ特徴を有する組織又は物質を表すときは、当該ピクセル同士を結合して1つのボクセルデータに置換する工程、
(c) 分割された1つの領域内に、異なる特徴を有する組織又は物質を表すピクセルが含まれるときは、当該1つの領域内のピクセルデータを混合ボクセルデータとして定義する工程、
(d) 前記工程(b)及び工程(c)を繰り返して、置換されたボクセルデータ及び混合ボクセルデータを含むスライスデータを取得する工程、並びに
(e) 前記工程(d)により取得された複数のスライスデータを多段階に積み重ねる工程、
を含む前記方法。

【請求項2】
撮影画像が人体の医療画像である請求項1に記載の方法。

【請求項3】
撮影画像のスライスデータが、CT、MRI、Bitmap及びJPEGからなる群から選ばれる少なくとも1つによるものである請求項1に記載の方法。

【請求項4】
工程(a)において分割する領域の数が1024個である請求項1に記載の方法。

【請求項5】
分割された1つの領域内に含まれるピクセルの数が256個である請求項1に記載の方法。

【請求項6】
コンピュータに、大きさの異なるボクセルが含まれる撮影画像のスライスデータを積み重ねて、撮影対象の3次元モデルを形成させるためのプログラムであって、以下の手順:
(a) 撮影画像のスライスデータを、一つの領域内に所定個数のピクセルが含まれるように複数の領域に分割する手順、
(b) 分割された1つの領域内に含まれるピクセルが、すべて同じ特徴を有する組織又は物質を表すときは、当該ピクセル同士を結合して1つのボクセルデータに置換する手順、
(c) 分割された1つの領域内に、異なる特徴を有する組織又は物質を表すピクセルが含まれるときは、当該1つの領域内のピクセルデータを混合ボクセルデータとして定義する手順、
(d) 前記手順(b)及び手順(c)を繰り返して、置換されたボクセルデータ及び混合ボクセルデータを含むスライスデータを取得する手順、並びに
(e) 前記手順(d)により取得された複数のスライスデータを多段階に積み重ねる手順、
を実行させるための前記プログラム。

【請求項7】
撮影画像が人体の医療画像である請求項6に記載のプログラム。

【請求項8】
撮影画像のスライスデータが、CT、MRI、Bitmap及びJPEGからなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項6に記載のプログラム。

【請求項9】
手順(a)において分割する領域の数が1024個である請求項6に記載のプログラム。

【請求項10】
分割された1つの領域内に含まれるピクセルの数が256個である請求項6に記載のプログラム。

【請求項11】
請求項6~10のいずれか1項に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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