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ポンププローブ測定装置

国内特許コード P120007590
整理番号 AF01P009
掲載日 2012年5月24日
出願番号 特願2011-169682
公開番号 特開2013-032993
登録番号 特許第5610399号
出願日 平成23年8月2日(2011.8.2)
公開日 平成25年2月14日(2013.2.14)
登録日 平成26年9月12日(2014.9.12)
発明者
  • 重川 秀実
  • 武内 修
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 ポンププローブ測定装置
発明の概要 【課題】高速現象を精度よく測定できる、ポンププローブ測定装置を提供する。
【解決手段】ポンププローブ測定装置1は、ポンプ光3aとなる第1の超短光パルス列とプローブ光となる第2及び第3の超短光パルス列3b,3cとを発生させる超短光パルスレーザー発生部2と、第2及び第3の超短光パルス列3b,3cが入射される光シャッタ部6と、ポンプ光3a及びプローブ光3b,3cを試料7に照射する照射光学系8と、試料7からのプローブ信号を検出するセンサー11と、センサー11に接続される位相敏感検出手段12と、を含む検出部20とを備え、光シャッタ制御部10によってポンプ光3aに対するプローブ光3b,3cの遅延時間が周期的に変調されて交互にプローブ光3b,3cとして試料7に照射され、プローブ信号を遅延時間の周期的変調信号に同期して位相敏感検出手段12で検出する。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要



ピコ秒(ps)からフェムト秒(fs)領域の超高速現象を測定するために、超短パルスレーザーを用いた計測が広く行われている。例えば、ポンププローブ反射率測定では、まず強い強度を持つポンプパルスを測定対象に照射することで、試料を瞬間的に励起する。そして、励起状態が緩和する最中に弱い強度のプローブパルスを照射して、その反射光強度が測定される。得られる反射光強度は、ちょうどプローブパルスが当たった瞬間の試料の反射率に比例する。ポンプパルスに対するプローブパルスの遅延時間を徐々に変化させながら反射光強度を測定することで、励起前後の試料の反射率変化をレーザーパルスの時間幅程度の時間分解能で観測することが可能になる。この時間分解能は、ps~fs程度である。





多くの場合、このような超高速測定で得られる信号強度は非常に小さいので、信号雑音比を向上させるために変調測定が行われる。最も一般的な手法として、ポンプパルスの強度を変調し、この変調に対するプローブ信号の応答をロックインアンプにより検出する手法がある。その他にも、ポンプパルスの偏光や、遅延時間に変調を加える手法も知られている。





特に近年、走査プローブ顕微鏡とパルスレーザーとを組み合わせた時間分解走査プローブ顕微鏡の実現には、遅延時間を矩形波的に変調する、遅延時間変調法が有効であることが示され、1psの時間分解能と1ナノメートル(nm)の空間分解能とを同時に実現する顕微鏡装置が構築された。





レーザーパルスの遅延時間をfsからナノ秒(ns)の時間領域において精確に制御するには、光路長を変化させることが一般的である。





図10は、従来型の遅延時間変調装置の構成を示す図である。

図10に示すように、従来型の遅延時間変調装置は、ミラー位置を機械的に振動させることで遅延時間に周期的な変調を加えている。光源からのレーザーパルスは、ハーフミラー1(HM1)でレトロリフレクター1(RR1)と、レトロリフレクター2(RR2)と、の2つの光路に分割される。分割時の光量は必ずしも1:1である必要は無く、用いるハーフミラーの特性により任意の比率を選ぶことができる。RR1とRR2は入射方向と正確に正反対の方向に光パルスを反射するデバイスであり、通常3枚のミラーを互いに直角になるように組み合わせたものが用いられる。RR1とRR2との反射光はハーフミラー2(HM2)において正確に同じ光軸上に重ね合わされる。





RR1を通る光路長と、RR2を通る光路長とが異なれば、HM2で重ね合わされた光軸上には時間的にずれた位置に光パルスが生じることになる。パルス間の遅延時間は、RR1あるいはRR2の位置を機械的に変化させることで正確に制御可能であり、ピエゾ素子などを用いた場合、1フェムト秒以下の精度が達成可能である。このような装置を用いて遅延時間を周期的に変調するためには、例えばRR1の位置を周期的に変化させればよい。これまでこのようにミラー位置を周期的に変化させることで遅延時間変調を行う測定は数多く行われてきた。





しかしながら、図10の装置では遅延時間の変調振幅と変調周波数に大きな制約が生じる。光路長と遅延時間とは光速を係数として比例関係にあるため、例えば遅延時間を100ps振幅で変調するためにはミラー位置を1.5cmの振幅で変動させなければならない。このような大振幅のミラー位置変調は、10Hz程度の非常に低い周波数でなければ達成することができず、それ以上の振幅、あるいは周波数では周囲の光学機器に悪影響を及ぼすほどの振動が生じたり、駆動機構自身の変形により正確な変調を行えないと言った問題を生じる。





一方で、このような低い周波数の変調では、測定結果にレーザー光強度の揺らぎなどの影響が強く表れてしまうために、ミラー位置変調を用いた遅延時間変調法は、非常に小振幅(おおよそ100fs程度まで)でしか実用的ではなかった。





近年、パルスレーザーの遅延時間変調と走査プローブ顕微鏡とを組み合わせた時間分解走査プローブ顕微鏡の開発に伴い、1パルス単位で光パルスの透過及び遮断を切り替えることのできる高速な光学シャッタ(パルスピッカーと呼ぶ。)を用いた遅延時間変調方式が提案され、その有用性が確認された(特許文献1参照)。





図11は、従来のパルスピッカーを用いた遅延時間変調方式を説明するタイムチャートである。

レーザー発振器は10ns程度の時間間隔でレーザーパルスを発生し、このレーザーパルスがハーフミラーなどで2つの光路に分けられた後、2つのパルスピッカーへそれぞれ右方向から入射する。パルスピッカーは連続して入射するパルス列から、任意のタイミングで1パルスを選んで透過させることができる。





したがって、図11に示すように、異なるタイミングでパルスを透過させることで、遅延時間を生成することができる。このようにパルスピッカーを用いて遅延時間を生成する場合、遅延時間の変調をきわめて高速に、また、大振幅で行うことができる。そもそも、この手法では遅延時間の変調幅の最小値はもとのパルス列のパルス間隔で決まっており、典型的には10ns程度である。これは光路長にすると3m程度に相当し、ミラー位置変調で実現可能な遅延時間変調振幅と比較すると3~4桁大きい。また、遅延時間は透過パルスごとに変更可能であり、必要であれば1MHz程度の高速変調が可能である。





一方、図11のパルスピッカーを用いた遅延時間変調は、1ns以下の高速現象に適用する場合、あまり良い結果が得られない。これは、遅延時間の生成のためにパルスが間引かれるために試料の励起頻度、すなわち単位時間あたりの測定回数が大幅に減少してしまうためである。





例えば、パルスピッカーとして水冷式のポッケルスセルを用いた場合、ポッケルスセルの発熱による制限から、出力される光パルスの繰り返し周波数を2MHz程度よりも大きくすることが難しい。通常、チタンサファイアレーザー発振器の繰り返し周波数が100MHz程度であることと比較すると、パルスピッカーを用いた場合、単位時間あたりの試料の励起回数は1/50になってしまい、検出される信号も1/50となる。

産業上の利用分野



本発明は、ポンププローブ測定装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
ポンプ光となる第1の超短光パルス列と、該ポンプ光に対して第1の遅延時間を有していてプローブ光となる第2の超短光パルス列と、該ポンプ光に対して第2の遅延時間を有していて上記プローブ光となる第3の超短光パルス列と、を発生させる超短光パルスレーザー発生部と、
上記第2及び第3の超短光パルス列が入射され、上記第2の超短光パルス列と上記第3の超短光パルス列とを交互に遮断するように動作して上記第2の超短光パルス列と上記第3の超短光パルス列とを交互に出射する光シャッタ部と、
上記光シャッタ部を制御する光シャッタ制御部と、
上記ポンプ光及び上記プローブ光を試料に照射する照射光学系と、
上記試料からのプローブ信号を検出するセンサーと、
上記センサーに接続される位相敏感検出手段と、
を備え、
上記第1の超短光パルス列が上記照射光学系を介して上記ポンプ光として上記試料に照射され、
上記第2及び第3の超短光パルス列が上記光シャッタ部に入射され、上記光シャッタ制御部によって上記第2の超短光パルス列と上記第3の超短光パルス列とが上記プローブ光として上記試料に交互に照射されて、上記プローブ光の上記ポンプ光に対する遅延時間を周期的に変調し、
上記試料からのプローブ信号が、上記遅延時間の周期的変調に同期して上記位相敏感検出手段で検出される、ポンププローブ測定装置。

【請求項2】
前記超短光パルスレーザー発生部が、
一つの超短光パルスレーザー光源と、
この超短光パルスレーザー光源で発生する超短光パルスを3つに分割して前記ポンプ光となる第1の超短光パルス列及び前記プローブ光となる第2及び第3の超短光パルス列を形成する光学部材と、
前記第2の超短光パルス列を前記ポンプ光に対して第1の遅延時間だけ遅延させる第1の光学遅延部と、
前記第3の超短光パルス列を前記ポンプ光に対して第2の遅延時間だけ遅延させる第2の光学遅延部と、を備えている、請求項1に記載のポンププローブ測定装置。

【請求項3】
前記第1の光学遅延部又は前記第2の光学遅延部は可動ミラーを含む、請求項2に記載のポンププローブ測定装置。

【請求項4】
前記超短光パルスレーザー発生部が、
前記ポンプ光となる第1の超短光パルス列を発生させる第1の超短光パルスレーザー光源と、
前記プローブ光となる第2の超短光パルス列を発生させる第2の超短光パルスレーザー光源と、
前記プローブ光となる第3の超短光パルス列を発生させる第3の超短光パルスレーザー光源と、を備え、
前記第1~3の超短光パルスレーザー光源は、特定の遅延時間をもって同期発振する、請求項1に記載のポンププローブ測定装置。

【請求項5】
前記光シャッタ部が、第1の光シャッタと第2の光シャッタとを備え、
前記第2の超短光パルス列が、上記第1の光シャッタに入射され、
前記第3の超短光パルス列が、上記第2の光シャッタに入射される、請求項1に記載のポンププローブ測定装置。

【請求項6】
前記光シャッタ部は、音響光学変調器又は電気光学変調器を備える、請求項1に記載のポンププローブ測定装置。

【請求項7】
前記光シャッタ部は、電気光学素子と偏光回転素子とを備え、
前記第2の超短光パルス列は、上記偏光回転素子を介して上記電気光学素子に入射され、
前記第3の超短光パルス列は、直接、上記電気光学素子に入射される、請求項1に記載のポンププローブ測定装置。

【請求項8】
前記電気光学素子はポッケルスセルからなる、請求項7に記載のポンププローブ測定装置。

【請求項9】
前記偏光回転素子は1/2波長板である、請求項7に記載のポンププローブ測定装置。

【請求項10】
前記第2の超短光パルス列を前記ポンプ光に対して第1の遅延時間だけ遅延させる第1の光学遅延部と、前記第3の超短光パルス列を前記ポンプ光に対して第2の遅延時間だけ遅延させる第2の光学遅延部と、を備える、請求項1に記載のポンププローブ測定装置。

【請求項11】
前記第1の光学遅延部又は前記第2の光学遅延部は、可動ミラーを含む、請求項10に記載のポンププローブ測定装置。

【請求項12】
前記センサーがフォトダイオードで構成され、試料における前記プローブ光の反射光をフォトダイオードに入射し、反射光強度を前記プローブ信号として検出する、請求項1~11の何れかに記載のポンププローブ測定装置。

【請求項13】
前記センサーが走査プローブ顕微鏡で構成され、前記ポンプ光および前記プローブ光が照射された前記試料表面において、上記走査プローブ顕微鏡の探針により前記プローブ信号を検出する、請求項1~11の何れかに記載のポンププローブ測定装置。

【請求項14】
前記走査プローブ顕微鏡は、走査トンネル顕微鏡、走査原子間力顕微鏡及び走査近接場顕微鏡のいずれかである、請求項13に記載のポンププローブ測定装置。

【請求項15】
請求項1~14の何れかに記載のポンププローブ測定装置を構成要素の一つとして備える、測定装置。

【請求項16】
第1の超短光パルス列をポンプ光として試料に出射する一方、
上記ポンプ光に対して第1の遅延時間を有していてプローブ光となる第2の超短光パルス列と、上記ポンプ光に対して第2の遅延時間を有していて上記プローブ光となる第3の超短光パルス列とを、光シャッタ部に出射し、
上記光シャッタ部が上記第2の超短光パルス列と上記第3の超短光パルス列とを交互に遮断するよう動作することにより、上記第2の超短光パルス列と上記第3の超短光パルス列とを交互に出射して上記プローブ光として上記試料に交互に照射して、上記プローブ光の上記ポンプ光に対する遅延時間が周期的に変調され、
上記試料からのプローブ信号を、上記遅延時間の周期的変調に同期して位相敏感検出手段で検出する、ポンププローブ測定方法。

【請求項17】
前記第1の超短光パルス列と前記第2の超短光パルス列と前記第3の超短光パルス列とを、一つの超短光パルス列を3つに分割して発生させる、請求項16に記載のポンププローブ測定方法。

【請求項18】
前記第1の超短光パルス列を発生させる第1の超短光パルスレーザー光源と、前記第2の超短光パルス列を発生させる第2の超短光パルスレーザー光源と、前記第3の超短光パルス列を発生させる第3の超短光パルスレーザー光源と、を特定の遅延時間をもって同期発振させる、請求項16に記載のポンププローブ測定方法。

【請求項19】
前記プローブ光の前記ポンプ光に対する遅延時間を矩形波的に変化させる、請求項16~18の何れかに記載のポンププローブ測定方法。

【請求項20】
前記試料における前記プローブ光の反射光強度を、前記プローブ信号として検出する、請求項16~18の何れかに記載のポンププローブ測定方法。

【請求項21】
前記試料表面において、探針により前記プローブ信号を検出する、請求項16~18の何れかに記載のポンププローブ測定方法。

【請求項22】
前記探針により前記試料表面を走査して前記プローブ信号を検出する、請求項21に記載のポンププローブ測定方法。
産業区分
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2011169682thum.jpg
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 物質現象の解明と応用に資する新しい計測・分析基盤技術 領域
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