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ナノ構造体を有する磁気及び電気エネルギーの相互変換素子

国内特許コード P120007601
整理番号 N031P36-1
掲載日 2012年5月28日
出願番号 特願2011-141750
公開番号 特開2011-216899
登録番号 特許第5071908号
出願日 平成23年6月27日(2011.6.27)
公開日 平成23年10月27日(2011.10.27)
登録日 平成24年8月31日(2012.8.31)
優先権データ
  • 特願2005-224774 (2005.8.2) JP
発明者
  • バーンズ,スチュワート・イー
  • 前川 禎通
  • 家田 淳一
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 ナノ構造体を有する磁気及び電気エネルギーの相互変換素子
発明の概要 【解決課題】ナノ構造体を有する磁気及び電気エネルギーの相互変換素子を提供する。
【解決手段】ナノ構造体30を、第1の硬質磁性層34と第1の軟質磁性層35と第2の硬質磁性層36と第2の軟質磁性層37と第3の硬質磁性層38とを積層して構成する。第1及び第2の電極40,41と、中央電極42と、ナノ構造体の第1電極と中央電極との間に磁壁を保持できる第1の磁壁保持部と、ナノ構造体の第2電極と中央電極との間に磁壁を保持できる第2の磁壁保持部と、を備える。第1の硬質磁性層に第1電極を接続し、第3の硬質磁性層に第2電極を接続し、第2の硬質磁性層に中央電極を接続し、第1及び第2の軟質磁性層は磁壁を保持する磁壁保持部とする。第1及び第2の磁壁保持部の磁気エネルギーはナノ構造体の両端部側の磁気エネルギーよりも小さく、第1の磁壁保持部の磁気エネルギーは第2の磁壁保持部の磁気エネルギーよりも大きくする。
【選択図】図4
従来技術、競合技術の概要


電子は、その本来的属性として電荷とスピンを有している。従来のエレクトロニクスは電子の電荷をもっぱら利用したものであるが、近年、電子のもう一つの属性であるスピンを利用したデバイスの開発が盛んである。例えば、電子のスピンを利用したロジックデバイスや、電子のスピンにより電気抵抗を制御する巨大磁気抵抗(GMR)素子や磁気トンネル(TMR)素子が作製されている(非特許文献1,2参照)。



ところで、磁性体において、電子のスピン流と磁性体の局在スピン間における角運動量の保存の帰結として、磁気エネルギーと電気エネルギーの変換が可能であることが知られている(非特許文献3,4参照)。以下にその原理を説明する。
図6は、電子伝導性の強磁性細線における磁壁及び磁壁の移動を示すもので、(a)は磁性細線に電流を流す前の磁壁の位置を示し、(b)は電流をΔt時間加えた後の磁壁の位置を示す。なお、磁化は細線の軸方向(z方向)に一様に磁化されるとし、磁性細線の断面積をAとする。
磁性細線に電流密度jの電流を流すと、電流を担う伝導電子のスピン(大きさ1/2)は強磁性的相互作用により局在スピンM(大きさS)の向きと平行になる傾向があり、電流を担う伝導電子はスピン分極したスピン流を形成する。その分極率をpとすると、スピン流j(密度)は次式(1)で表される。
【数1】


ここで、電子の電荷の単位をeとした。



次に、図6(a)に示すように、磁性体の局在スピンMが反転し磁壁Wが形成されている場合を考える。局在スピンMの矢印は局在スピンMによる磁化の向きを示す。伝導電子のスピンと磁壁Wの局在スピンとの間の角運動量の保存の帰結として、単位時間当たりに磁壁Wに流入するスピン流jは、磁壁Wの局在スピンの変化量に等しくなり、磁壁Wの局在スピン量は保存されるので、磁壁Wは次式(2)に与えられる速度で電子の流れと同じ方向(電流と逆方向)に動く。
【数2】


ここで、vは単位胞の体積(=a、aは原子間距離)である。



外部磁界Bを、図6(a)に示すように細線に平行に加え、磁界Bのもとで磁壁Wを移動させたときの磁気エネルギー変化を評価する。磁壁が時間Δtの間に式(2)の速度で移動すると、vΔtA/v個の局在スピンの向きが磁界Bの方向と反対の方向から磁界Bの方向へと変化するので、下記式(3)だけ磁気エネルギーが減少する。
【数3】


ここで、gはg-因子、μはボーア磁子である。磁気エネルギーの減少に相当するエネルギーは電流により散逸するので、下記式(4)が成り立つ。
【数4】


ここでVは細線の両端に生じる電位差である。(2)式と(3)式をあわせて(4)式に代入すると次式(5)を得る。
【数5】


(5)式は磁気エネルギーEmagnetic( =gμB B)と電気エネルギーEelectric (=eV)の関係を示している。すなわち、外部磁場Bが印加された一様な広さの細線中を電流を流すことによって磁壁Wが移動すれば、外部磁場Bに基づく磁気エネルギーを電気エネルギーに変換できることを示しており、実際、定量的な実証がなされている(非特許文献4参照)。また、磁気エネルギーと電気エネルギーの変換式は次式(6)で表されることが分かる。
【数6】


産業上の利用分野


本発明は、磁気エネルギーを電気エネルギーに、電気エネルギーを磁気エネルギーに相互に変換するナノ構造体を有する磁気及び電気エネルギーの相互変換素子に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
電子伝導性を有する磁性体からなるナノ構造体を有し、
上記ナノ構造体の両端部に接続される第1及び第2の電極と、
上記ナノ構造体の中央部に接続される中央電極と、
上記ナノ構造体の第1電極と上記中央電極との間には磁壁を保持できる第1の磁壁保持部と、
上記ナノ構造体の第2電極と上記中央電極との間には磁壁を保持できる第2の磁壁保持部と、を備え、
上記ナノ構造体は、第1の硬質磁性層と第1の軟質磁性層と第2の硬質磁性層と第2の軟質磁性層と第3の硬質磁性層とが積層された構造を有しており、
上記ナノ構造体の一端部となる第1の硬質磁性層には上記第1電極が接続され、
上記ナノ構造体の他端部となる第3の硬質磁性層には上記第2電極が接続され、
上記第2の硬質磁性層には上記中央電極が接続され、
上記第1の軟質磁性層が磁壁を保持する上記第1の磁壁保持部となり、
上記第2の軟質磁性層が磁壁を保持する上記第2の磁壁保持部となり、
上記第1の磁壁保持部及び第2の磁壁保持部の磁エネルギー上記ナノ構造体の両端部側の磁エネルギーよりも小さく、上記第1の磁壁保持部の磁エネルギー上記第2の磁壁保持部の磁エネルギーよりも大きく
各磁性体の混合比を徐々に変化させてエネルギー勾配が生じる領域を上記第1乃至第3の硬質磁性層と上記第1及び第2の軟質磁性層との境界に設けることで、磁壁を上記第1の磁壁保持部から上記第2の硬質磁性層を通って上記第2の磁壁保持部まで移動させるのに必要なエネルギーを、上記第1の磁壁保持部の磁壁エネルギーと上記第2の磁壁保持部の磁壁エネルギーとの差に相当するエネルギーよりも小さくし、
上記第1電極と中央電極間に入力電圧又は電流を介して電気エネルギーを加えると共に、上記中央電極と第2電極間から出力電圧又は電流を介して増幅された出力電気エネルギーを取り出すことを特徴とする、ナノ構造体を有する磁気及び電気エネルギーの相互変換素子。

【請求項2】
前記硬質磁性層が鉄-白金合金からなり、前記軟質磁性層がパーマロイからなることを特徴とする、請求項1に記載のナノ構造体を有する磁気及び電気エネルギーの相互変換素子。

【請求項3】
前記第1電極と第2電極間に前記第1電極と中央電極間への入力電圧又は電流とは逆極性の電圧又は電流を印加して、磁気エネルギーを蓄えることを特徴とする、請求項1に記載のナノ構造体を有する磁気及び電気エネルギーの相互変換素子。

【請求項4】
前記ナノ構造体を有する磁気及び電気エネルギーの相互変換素子が、マトリクス状に配設されていることを特徴とする、請求項1~3の何れかに記載のナノ構造体を有する磁気及び電気エネルギーの相互変換素子。
産業区分
  • 半導体
  • 固体素子
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2011141750thum.jpg
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 高度情報処理・通信の実現に向けたナノ構造体材料の制御と利用 領域
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