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スピン注入デバイス及びこれを用いた磁気装置

国内特許コード P120007606
整理番号 A241P25-1
掲載日 2012年5月28日
出願番号 特願2011-223518
公開番号 特開2012-039141
登録番号 特許第5424178号
出願日 平成23年10月8日(2011.10.8)
公開日 平成24年2月23日(2012.2.23)
登録日 平成25年12月6日(2013.12.6)
優先権データ
  • 特願2002-363127 (2002.12.13) JP
発明者
  • 猪俣 浩一郎
  • 手束 展規
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 スピン注入デバイス及びこれを用いた磁気装置
発明の概要 【課題】小さな電流密度でスピン注入磁化反転することができる、スピン注入デバイス及びスピン注入磁気装置並びに磁気メモリ装置を提供する。
【解決手段】 単層の強磁性固定層26からなるスピン偏極部9とスピン偏極部9上に形成された第1の非磁性層からなる注入接合部7とを有しているスピン注入部1と、スピン注入部1に接して設けられる強磁性フリー層27と、強磁性フリー層27の表面に形成された第2の非磁性層28と、を備え、第1の非磁性層が絶縁体または導電体からなり、第2の非磁性層28がRu、Ir、Rhの何れかでなり、外部磁界を印加しないで、且つ、スピン偏極部9と強磁性フリー層27の表面に形成される第2の非磁性層28との膜面垂直方向に電流を流して強磁性フリー層27の磁化を反転させる。
【選択図】図4
従来技術、競合技術の概要


近年、強磁性層/非磁性金属層/強磁性層からなる巨大磁気抵抗(GMR)効果素子および強磁性層/絶縁体層/強磁性層からなる強磁性スピントンネル接合(MTJ)素子が開発され、新しい磁界センサーや磁気メモリ(MRAM)への応用が期待されている。
GMRは、外部磁場によって2つの強磁性層の磁化を互いに平行あるいは反平行に制御することにより、界面でのスピン依存散乱によって抵抗が互いに異なることに起因して巨大磁気抵抗効果が得られている。一方、MTJでは、外部磁場によって2つの強磁性層の磁化を互いに平行あるいは反平行に制御することにより,膜面垂直方向のトンネル電流の大きさが互いに異なる、いわゆるトンネル磁気抵抗(TMR)効果が得られる(例えば、非特許文献1参照)。



トンネル磁気抵抗率TMRは、用いる強磁性体と絶縁体との界面におけるスピン分極率P に依存し、二つの強磁性体のスピン分極率をそれぞれP1,P2とすると、一般に次の式(1)で与えられることが知られている。



TMR=2P12/(1-P12) (1)
ここで、強磁性体のスピン分極率Pは0<P≦1の値をとる。



現在、得られている室温における最大のトンネル磁気抵抗率TMRはP~0.5のCoFe合金を用いた場合の約50パーセントである。
GMR素子はすでにハードデイスク用磁気ヘッドに実用化されている。MTJ素子は現在、ハードデイスク用磁気ヘッドおよび不揮発性磁気メモリ(MRAM)への応用が期待されている。
MRAMではMTJ素子をマトリックス状に配置し、別に設けた配線に電流を流して磁界を印加することで、各MTJ素子を構成する二つの磁性層を互いに平行、反平行に制御することにより、“1”、“0”を記録させる。読み出しはTMR効果を利用して行う。
しかし、MRAMでは大容量化のために素子サイズを小さくすると、反磁界の増大により磁化反転に必要な電流が増し、消費電力が増大するという解決すべき課題を抱えている。



このような課題を解決する方法としては、非磁性金属層を介して二つの磁性層が互いに反平行に結合している三層構造(人工反強磁性膜、Synthetic Antiferromagnetit、以下「SyAF」と記載する。)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。



このようなSyAF構造を用いると反磁界が軽減するため、素子サイズを小さくしても磁化反転に必要な磁場が低減される。
一方、最近、電流磁場を用いない新しいスピン反転法が理論的に提案され(例えば、非特許文献2参照)、実験的にも実現されている(例えば、非特許文献3参照)。



このスピン反転法は、図15にその原理を示すように、第1の強磁性層61/非磁性金属層63/第2の強磁性層65からなる三層構造において、第2の強磁性層63から第1の強磁性層61に電流を流すと、第1の強磁性層61から非磁性金属層63を介して第2の強磁性層65にスピン偏極電子が注入され、第2の強磁性層65のスピンが反転するというものであり、スピン注入による磁化反転と呼ばれている。



このスピン注入磁化反転は三層構造において、第1の強磁性層61のスピンが固定されているとすると、第1の強磁性層61から非磁性金属層63を経てスピン注入すると、注入した上向きスピン(多数スピン)が第2の強磁性層65のスピンにトルクを与え、そのスピンを同じ向きにそろえる。したがって、第1の強磁性層61と第2の強磁性層65のスピンが平行になる。



一方、電流の向きを逆に与え、第2の強磁性層65から第1の強磁性層61にスピン注入すると、第1の強磁性層61と非磁性金属層63との界面で下向きスピン(少数スピン)が反射し、反射したスピンが第2の強磁性層65のスピンにトルクを与え、そのスピンを同じ向き、つまり下向きにそろえようとする。その結果、第1の強磁性層61と第2の強磁性層65のスピンは反平行になる。
したがって、この三層構造のスピン注入磁化反転では、電流の向きを変えることによって第1の強磁性層と第2の強磁性層のスピンを平行にしたり反平行にしたりできる。

産業上の利用分野


この発明は電子のスピンを制御した機能デバイス、特に超ギガビット大容量・高速・不揮発性磁気メモリに利用し、より小さな電流密度でスピン注入磁化反転可能にするためのスピン注入デバイスと、これを用いたスピン注入磁気装置並びにスピン注入磁気メモリ装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
単層の強磁性固定層からなるスピン偏極部と該スピン偏極部上に形成された第1の非磁性層からなる注入接合部とを有しているスピン注入部と、
該スピン注入部に接して設けられる強磁性フリー層と、
上記強磁性フリー層の表面に形成される第2の非磁性層と、を備え、
上記第1の非磁性層が絶縁体または導電体からなり、
上記第2の非磁性層がRu、Ir、Rhの何れかでなり、上記第1の非磁性層が導電体である場合、該第1の非磁性層は上記第2の非磁性層とは異なる金属でなり、
外部磁界を印加しないで、且つ、上記スピン偏極部と上記第2の非磁性層との膜面垂直方向に電流を流して上記強磁性フリー層の磁化を反転させることを特徴とする、スピン注入デバイス。

【請求項2】
前記第1の非磁性層が、Cuからなることを特徴とする、請求項1に記載のスピン注入デバイス。

【請求項3】
前記第2の非磁性層の厚さは、該第2の非磁性層と前記強磁性フリー層との界面において、多数スピンを反射させ、少数スピンを透過させるように、スピン拡散長以内とされることを特徴とする、請求項1に記載のスピン注入デバイス。

【請求項4】
前記強磁性フリー層はCoまたはCo合金であり、前記第2の非磁性層はRu層でその膜厚が0.1~20nmであることを特徴とする、請求項1~3の何れかに記載のスピン注入デバイス。

【請求項5】
前記強磁性固定層及び/又は前記強磁性フリー層は、B2またはA2の結晶構造を有しているCoFeCr1-xAl(0≦x≦1)からなることを特徴とする、請求項1に記載のスピン注入デバイス。

【請求項6】
単層の第1の強磁性固定層からなるスピン偏極部と該スピン偏極部上に形成され第1の非磁性層からなる注入接合部とを有しているスピン注入部と、
該スピン注入部に接して設けられる強磁性フリー層と、
上記強磁性フリー層の表面に形成される第2の非磁性層と、
上記第2の非磁性層上に形成され上記第1の強磁性固定層と同じ磁化方向を有している第2の強磁性固定層と、を備え、
上記第1の非磁性層が絶縁体または導電体からなり、
上記第2の非磁性層がRu、Ir、Rhの何れかでなり、上記第1の非磁性層が導電体である場合、該第1の非磁性層は上記第2の非磁性層とは異なる金属でなり、
外部磁界を印加しないで、且つ、上記スピン偏極部と上記第2の強磁性固定層との膜面垂直方向に電流を流し、上記強磁性フリー層の磁化を反転させることを特徴とする、スピン注入デバイス。

【請求項7】
前記第1の非磁性層が、Cuからなることを特徴とする、請求項に記載のスピン注入デバイス。

【請求項8】
前記第2の非磁性層の厚さは、該第2の非磁性層と前記第2の強磁性固定層との界面において、多数スピンを反射させ少数スピンを透過させるようにスピン拡散長以内とされ、
前記強磁性フリー層は、スピン伝導が保存される厚さであることを特徴とする、請求項に記載のスピン注入デバイス。

【請求項9】
前記強磁性フリー層及び前記強磁性層はCoまたはCo合金であり、前記第2の非磁性層はRu層でその膜厚が2~20nmであることを特徴とする、請求項6~8のいずれかに記載のスピン注入デバイス。

【請求項10】
前記第1の強磁性固定層、前記第2の強磁性固定層及び前記強磁性フリー層の何れか又は二つ以上の層は、B2またはA2の結晶構造を有しているCoFeCr1-xAl(0≦x≦1)からなることを特徴とする、請求項6に記載のスピン注入デバイス。

【請求項11】
前記請求項1~10のいずれかに記載のスピン注入デバイスを用いたことを特徴とする、スピン注入磁気装置。

【請求項12】
前記請求項1~10のいずれかに記載のスピン注入デバイスを用いたことを特徴とする、スピン注入磁気メモリ装置。
産業区分
  • 半導体
  • 固体素子
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2011223518thum.jpg
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 新しい物理現象や動作原理に基づくナノデバイス・システムの創製 領域
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