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線虫を用いた菌類寄生ウイルスを糸状菌に導入する方法

国内特許コード P120007634
掲載日 2012年6月4日
出願番号 特願2011-151451
公開番号 特開2012-085636
登録番号 特許第5787313号
出願日 平成23年7月8日(2011.7.8)
公開日 平成24年5月10日(2012.5.10)
登録日 平成27年8月7日(2015.8.7)
優先権データ
  • 特願2010-213127 (2010.9.24) JP
発明者
  • 澤畠 拓夫
  • 中村 仁
  • 佐々木 厚子
  • 兼松 聡子
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 線虫を用いた菌類寄生ウイルスを糸状菌に導入する方法
発明の概要 【課題】 特定の菌種や菌株の種類に制限されることなく、‘任意の’糸状菌類の菌種や菌株に容易に適用が可能である(極めて汎用性が高い)、菌類寄生ウイルスの導入方法を開発することを目的とする。
【解決手段】 口針によって糸状菌類の菌糸に穿孔して細胞内容物を吸汁摂取する性質を有する線虫を用いることを特徴とする、糸状菌類への菌類寄生ウイルス導入方法を提供する。また、詳しくは、前記線虫と、導入対象の菌類寄生ウイルスが感染していない糸状菌類(ウイルス受容菌)及び導入対象の菌類寄生ウイルスが感染している糸状菌類(ウイルス供与菌)とを、同時に共存させることによって、前記菌類寄生ウイルスを、当該線虫の口針を介して前記ウイルス供与菌に感染させることを特徴とする、糸状菌類への菌類寄生ウイルス導入方法を提供する。
【選択図】 図2
従来技術、競合技術の概要


植物病原糸状菌に感染する菌類寄生ウイルス(マイコウイルス、菌類ウイルスともいう。以下、本明細書において単にウイルスという場合、菌類寄生ウイルスを指す。)を利用して、その宿主となる病原菌の病原力を低減させることによって植物病害を防除する生物防除法の開発が試みられている。
その先駆的研究として、果樹類の重要な病害である紋羽病(白紋羽病および紫紋羽病)を防除するために菌類寄生ウイルスを利用する研究開発が進められている(非特許文献1 参照)。



しかし、菌類寄生ウイルスは、任意の植物病原糸状菌の菌株に導入できないという問題がこの生物防除法の開発を遅らせている。
その問題は、異なる菌体間における菌類寄生ウイルスの伝搬は、(1) 体細胞的に和合な菌体間での菌糸融合によってのみ認められ、体細胞的に不和合な菌体間では認められないこと、(2) そして菌類寄生ウイルスは外部から直接に菌糸細胞に感染しないこと、に起因する(非特許文献2 参照)。



菌類寄生ウイルスの人為的な導入方法としては、ベクターモノカリオンを用いた導入方法、すなわち、同じ菌種内の異なる菌株と菌糸融合を行う性質を有するベクターモノカリオン菌株を仲介することによって菌類寄生ウイルスを導入する方法(特許文献1 参照)、が挙げられる。しかし、当該方法は、担子菌類にのみ限定される手法であり、さらにウイルスを導入できる菌株には制限があり、任意の菌株にウイルスを導入することができない方法である。(非特許文献3,4 参照)。
また、プロトプラストを用いた導入方法(ウイルス発現ベクターを用いた形質転換によるウイルス発現、試験管内転写産物の導入、電子銃による純化ウイルス粒子の導入、異なる菌体由来のプロトプラスト融合による導入などを含む)(非特許文献5 参照)を挙げることもできる。しかし、当該導入方法は、プロトプラスト化と再生系が確立している種類や菌株にしか用いることができず、また、プロトプラスト化やプロトプラストからの菌糸再生が得られにくい菌種や菌株には適用が困難な方法である。



このように、従来の方法では、菌類寄生ウイルスを糸状菌類に人為的に導入する際に利用できる菌種や菌株に大幅な制限があり、任意の菌種や菌株に菌類寄生ウイルスを導入できる汎用性の高い方法の開発が望まれていた。

産業上の利用分野


本発明は、口針によって糸状菌類の菌糸に穿孔して細胞内容物を吸汁摂取する性質を有する線虫を用いることを特徴とする、糸状菌類への菌類寄生ウイルス導入方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
糸状菌類に対して当該糸状菌類に寄生可能なウイルスを導入するにあたり、;口針によって糸状菌類の菌糸に穿孔して細胞内容物を吸汁摂取する性質を有する線虫を用いることを特徴とする、;糸状菌類への菌類寄生ウイルス導入方法。

【請求項2】
前記線虫を、下記(a)及び(b)の糸状菌類との共存在下で生育させることによって、;下記(a)の糸状菌類に感染している導入対象の菌類寄生ウイルスを、当該線虫の口針を介して下記(b)の糸状菌類に感染させることを特徴とする、;請求項1に記載の糸状菌類への菌類寄生ウイルス導入方法。
(a):導入対象の菌類寄生ウイルスが感染している糸状菌類。
(b):導入対象の菌類寄生ウイルスが感染していない糸状菌類。

【請求項3】
前記線虫および前記(a)の糸状菌類を、前記(b)の糸状菌類が生育する培地, 土壌, 又は植物体の根、に放すことによって、;前記(a)の糸状菌類に感染している導入対象の菌類寄生ウイルスを、当該線虫の口針を介して前記(b)の糸状菌類に感染させることを特徴とする、;請求項2に記載の糸状菌類への菌類寄生ウイルス導入方法。

【請求項4】
前記(a)の糸状菌類と前記(b)の糸状菌類とが、;異なる菌種間の関係にある、又は、同一菌種であるが体細胞不和合性の関係にあるものである、;請求項2又は3に記載の糸状菌類への菌類寄生ウイルス導入方法。

【請求項5】
前記線虫が、Aphelenchoides属、Anomyctus属、Aphelenchus属、Bursaphelenchus属、Deladenus属、Ditylenchus属、Dorylium属、Filenchus属、Iotonchium属、Leptonchus属、Paraphelenchus属、Paurodontus属、Pseudohalenchus属、およびTylencholaimus属のいずれか1以上に属する線虫である、請求項1~4のいずれかに記載の糸状菌類への菌類寄生ウイルス導入方法。

【請求項6】
前記糸状菌類が植物病原菌であり、前記寄生ウイルスが前記植物病原菌によって引き起こされる植物に対する病原力を低減させるウイルスである、請求項1~5のいずれかに記載の糸状菌類への菌類寄生ウイルス導入方法。

【請求項7】
前記植物病原菌が、白紋羽病菌もしくは紫紋羽病菌である、請求項6に記載の糸状菌類への菌類寄生ウイルス導入方法。
産業区分
  • 農林
  • その他農林水産
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2011151451thum.jpg
出願権利状態 登録


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