TOP > 国内特許検索 > Hsp90を標的にした新規抗がんキメラペプチド

Hsp90を標的にした新規抗がんキメラペプチド 外国出願あり

国内特許コード P120007670
整理番号 2220
掲載日 2012年6月14日
出願番号 特願2010-537823
登録番号 特許第5700409号
出願日 平成21年11月13日(2009.11.13)
登録日 平成27年2月27日(2015.2.27)
国際出願番号 JP2009069405
国際公開番号 WO2010055929
国際出願日 平成21年11月13日(2009.11.13)
国際公開日 平成22年5月20日(2010.5.20)
優先権データ
  • 特願2008-292849 (2008.11.14) JP
発明者
  • 川上 浩司
  • 河野 雅之
  • 堀部 智久
出願人
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 Hsp90を標的にした新規抗がんキメラペプチド 外国出願あり
発明の概要 本発明は、細胞内安定性や正常細胞への機能障害などから副作用を避けることができる抗がん剤またはDDSとして使用可能な物質を提供することを課題とする。本発明は、Hsp90は単独で機能を担うのではなく、パートナータンパク質の一つであるHopが結合することで、サービビンなどのタンパク質の折りたたみを補助するシャペロン機能を発揮することができることを見出し、Hsp90 TPRドメイン結合ペプチドと、細胞透過性ペプチドとを有するキメラペプチドとすることによって、かかる課題を解決した。
従来技術、競合技術の概要


植物または細菌の毒素に結合させた、がん細胞表面上に過剰発現されるタンパク質に対する免疫毒素、モノクローナル抗体またはリガンドは、抗がん剤としてのその使用可能性について、広く研究されている(非特許文献1)。多数の免疫毒素が、前臨床試験および臨床試験において試験されており、インターロイキン-2-ジフテリア毒素(IL2-DT;Ontak(登録商標)、エーザイ)が、慢性T細胞リンパ球性白血病(CLL)の処置について米国食品医薬品局(FDA)に認可されている(非特許文献2;非特許文献3)。さらに、インターロイキン-4-Pseudomonas外毒素[IL4(38-37)-PE38KDEL]およびインターロイキン-13-Pseudomonas外毒素(IL13-PE38QQR)を含めたPseudomonas外毒素ベースの免疫毒素が、臨床試験で試験中である(非特許文献4;非特許文献5)。ジフテリア毒素およびPseudomonas外毒素は共に、リソソーム中に取り込まれ、活性化され、そして、サイトゾルへとトランスロケーションした後、リボソーム複合体中の延長因子2を触媒的に不活性化することによって作用する。この作用機構は、免疫毒素が、休止状態の非複製腫瘍細胞を効率的に破壊することを可能にする。



細菌毒素ベースの免疫毒素を利用してがんに向けてターゲティングするアプローチは魅力的ではあるが、細菌毒素に起因する肝毒性と、毒素タンパク質により引き起こされる免疫原性とに、その制約が見出される(非特許文献2;非特許文献4;非特許文献6)。さらに、免疫毒素の分子サイズは、一般に、化合物またはフラグメント抗体薬物に比べて大きく、薬物が、ヒトの体内の腫瘍塊へと効率的に浸透することを妨げ得る。この問題を克服するために、進化したアプローチを有する新世代の免疫毒素が、決定的に必要とされる。



熱ショックタンパク質(Heat shock protein)の一つであるHsp90タンパク質は、あらゆる細胞に広く存在し、細胞の機能調節に欠くことのできない重要なタンパク質の一つである。近年、がん細胞で多く発現する抗アポトーシス(anti-apotosis)タンパク質(細胞がアポトーシスをおこすのを妨げる)の一つであるサービビン(survivin)がこのHsp90によって正しく折りたたまれて、機能することからHsp90の活性阻害によって抗がん作用を示す化合物、ゲルダナマイシン(geldanamycin)の研究が広く発表されている。しかしながら、化合物によるタンパク質の機能阻害は、化合物が細胞内で安定であること、および化合物が正常細胞へ与えうる機能障害などから副作用を避けることは非常に難しい。



Hsp90は正常細胞にも多く含まれていることから、Hsp90阻害薬は正常細胞にも作用する可能性があり、副作用が問題となりうる。ゲルダナマイシンの毒性は許容されなかったため、ゲルダナマイシンと同様にHsp90阻害効果があり、腎、肝毒性を軽減した誘導体に17-アリルアミノゲルダナマイシン(17-allylaminogeldanamycin;17-AAG)(タネスピマイシン(Tanespimycin)とも呼ばれる)である。



Hsp90に関しては、シェファーディン(shepherdin)という抗がん剤候補が提唱されている(非特許文献7、非特許文献8)。しかし、このシェファーディンは、サービビンとHsp90との間の結合を直接阻害するものであり、ATPポケットとの接触により、結合すべきタンパク質等が不安定化され、本来の機能を果たさなくなるというものであるが、in vivoにおける効果は、効果的であるといえない。また、in vitroの結果を併せてみてもまだ改善の余地があるという問題があった。



したがって、当該分野において、がん細胞に選択性の高く、かつ、in vitroでも効果的な新たな構造の抗がん剤を設計することが望まれている。



また、当該分野において、Hspをターゲットにした新しい薬剤の開発が望まれている。

産業上の利用分野


本発明は、Hsp90を標的にした薬剤に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
Hsp90 TPR(tetratricopeptide repeat)ドメイン結合ペプチドと、細胞透過性ペプチドとを有するキメラペプチドであって、
該Hsp90 TPRドメイン結合ペプチドは、
アミノ酸配列X101112(配列番号1)を有するものであって、ここで
は、K、RまたはAであり;
は、AまたはGであり;
は、YまたはLであり;
は、AまたはGであり;
は、R、AまたはKであり;
は、I、AまたはRであり;
は、GまたはAであり;
は、NまたはQであり;
は、SまたはYであり;
10は、YまたはSであり;
11は、FまたはYであり;
12は、KまたはRであるか、あるいは
RQIAKAYARIGNSYFKEEKYK(配列番号43)であり、
細胞透過性ペプチドは、RQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号5)またはその改変配列、あるいは、TATであるYGRKKRRQRRR(配列番号6)、またはRRRRRRRRRRR(配列番号7)であって、該改変配列は、アミノ酸配列Y10111213141516(配列番号8)を有するものであって、ここで
は、RまたはKであり;
は、QまたはNであり;
は、IまたはLであり;
は、KまたはRであり;
は、IまたはLであり;
は、WまたはYであり;
は、FまたはYであり;
は、QまたはNであり;
は、NまたはQであり;
10は、RまたはKであり;
11は、RまたはKであり;
12は、MまたはCであり;
13は、KまたはRであり;
14は、WまたはYであり;
15は、KまたはRであり;
16は、KまたはRである、
配列を有するものであり、
ここで、アルファベットは、アミノ酸の1文字表示であり、
抗がん活性を有する、
キメラペプチド。

【請求項2】
前記Hsp90 TPRドメイン結合ペプチドにおいて、
は、Gであり;
は、Gであり;
は、Aであり;
は、Qであり;
は、Yであり;
10は、Sであり;
11は、Yであり;または
12は、Rである、
ものを含む、
請求項1に記載のキメラペプチド。

【請求項3】
前記Hsp90 TPRドメイン結合ペプチドは、KAYAR(配列番号3)もしくはKAYARIGNSYFK(配列番号4)を含むか、またはRQIAKAYARIGNSYFKEEKYK(配列番号43)である、請求項1に記載のキメラペプチド

【請求項4】
前記細胞透過性ペプチドは、アンテナペディアホメオボックス配列(Antp)であるRQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号5)、TATであるYGRKKRRQRRR(配列番号6)、またはRRRRRRRRRRR(配列番号7)である、請求項1に記載のキメラペプチド。

【請求項5】
RQIKIWFQNRRMKWKKKAYARIGNSYFK(配列番号9)、
RQIKIWFQNRRMKWKKRAYARIGNSYFK(配列番号10)、
RQIKIWFQNRRMKWKKAAYARIGNSYFK(配列番号11)、
RQIKIWFQNRRMKWKKKGYARIGNSYFK(配列番号12)、
RQIKIWFQNRRMKWKKKALARIGNSYFK(配列番号13)、
RQIKIWFQNRRMKWKKKAYGRIGNSYFK(配列番号14)、
RQIKIWFQNRRMKWKKKAYAKIGNSYFK(配列番号15)、
RQIKIWFQNRRMKWKKKAYARRGNSYFK(配列番号16)、
RQIKIWFQNRRMKWKKKAYARIANSYFK(配列番号17)、
RQIKIWFQNRRMKWKKKAYARIGQSYFK(配列番号18)、
RQIKIWFQNRRMKWKKKAYARIGNYYFK(配列番号19)、
RQIKIWFQNRRMKWKKKAYARIGNSSFK(配列番号20)、
RQIKIWFQNRRMKWKKKAYARIGNSYYK(配列番号21)、
RQIKIWFQNRRMKWKKKAYARIGNSYFR(配列番号22)、
KQIKIWFQNRRMKWKKKAYARIGNSYFK(配列番号23)、
RNIKIWFQNRRMKWKKKAYARIGNSYFK(配列番号24)、
RQLKIWFQNRRMKWKKKAYARIGNSYFK(配列番号25)、
RQIRIWFQNRRMKWKKKAYARIGNSYFK(配列番号26)、
RQIKLWFQNRRMKWKKKAYARIGNSYFK(配列番号27)、
RQIKIYFQNRRMKWKKKAYARIGNSYFK(配列番号28)、
RQIKIWYQNRRMKWKKKAYARIGNSYFK(配列番号29)、
RQIKIWFNNRRMKWKKKAYARIGNSYFK(配列番号30)、
RQIKIWFQQRRMKWKKKAYARIGNSYFK(配列番号31)、
RQIKIWFQNKRMKWKKKAYARIGNSYFK(配列番号32)、
RQIKIWFQNRKMKWKKKAYARIGNSYFK(配列番号33)、
RQIKIWFQNRRCKWKKKAYARIGNSYFK(配列番号34)、
RQIKIWFQNRRMRWKKKAYARIGNSYFK(配列番号35)、
RQIKIWFQNRRMKYKKKAYARIGNSYFK(配列番号36)、
RQIKIWFQNRRMKWRKKAYARIGNSYFK(配列番号37)、
RQIKIWFQNRRMKWKRKAYARIGNSYFK(配列番号38)、
RQIKIWFQNRRMKWKKRQIAKAYARIGNSYFK(配列番号39)、
RRRRRRRRRRRKAYARIGNSYFK(配列番号40)、
RQIKIWFQNRRMKWKKKAYAAIGNSYFK(配列番号51)、
RQIKIWFQNRRMKWKKKAYARAGNSYFK(配列番号52)、または
RQIKIWFQNRRMKWKKKGYGRIGNYYYK(配列番号53)、
の配列を有するものである、請求項1に記載のキメラペプチド

【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載のキメラペプチドをコードする核酸。

【請求項7】
請求項1~5のいずれかに記載のキメラペプチドをコードする核酸を含むベクター。

【請求項8】
請求項1~5のいずれかに記載のキメラペプチドをコードする核酸を含む細胞。

【請求項9】
請求項1~5のいずれかに記載のキメラペプチドを含む医薬組成物。

【請求項10】
請求項1~5のいずれかに記載のキメラペプチドを含む抗がん剤。

【請求項11】
前記がんは、固形がんおよび血液がんからなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項10に記載の抗がん剤。

【請求項12】
前記がんは、固形がんである、請求項10に記載の抗がん剤。

【請求項13】
前記がんは、血液がんである、請求項10に記載の抗がん剤。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close