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磁場による精密配向体の製造方法

国内特許コード P120007684
整理番号 3293
掲載日 2012年6月14日
出願番号 特願2004-242818
公開番号 特開2006-057055
登録番号 特許第4658540号
出願日 平成16年8月23日(2004.8.23)
公開日 平成18年3月2日(2006.3.2)
登録日 平成23年1月7日(2011.1.7)
発明者
  • 木村 恒久
  • 吉野 真司
出願人
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 磁場による精密配向体の製造方法
発明の概要

【課題】 3方向の磁化率χ、χ、χが異なる物体の集合体について、χ、χ、χの配向方向が、この集合体を構成する各々の物体について全て同じになるようにする(精密配向)手段、特に、従来の磁場配向技術では困難であった粒子径が小さく、熱揺動により容易に配向が乱れる系についても有用な精密配向手段を提供することにある。
【解決手段】 3つの磁化率χ、χ、χが異なる物体の集合体に、この物体の静磁場下での配向時間τの逆数より大きい角速度ωで楕円的に回転する磁場(高速回転楕円磁場)を印加することにより、この物体の3つの磁化率χ、χ、χの配向方向を精密配向させることを特徴とする磁場による精密配向体の製造方法に関する。
【選択図】 図4

従来技術、競合技術の概要


近年、物体の集合体に配向を付与する手段として、磁場が盛んに用いるようになってきた。特に、磁場配向によって材料の特定方向の強度をアップしたり(特開2002-146063号)、特定方向の熱伝導度を高める(特開2002-80617号)ことに利用されている。配向付与には、流動場や、電場等の外場を利用する方法が用いられるが、これらの方法では一軸配向あるいは面配向が得られるに過ぎない。結晶のように二軸性の物体を完全に所定の方位に配向させるためには、3つの結晶軸を空間の所定の方向に配向できなくてはならないが、従来の方法ではそのようなことは不可能であった。もしこのようなことが可能になれば、微結晶集合体を擬単結晶として扱うことができるので、材料作製、結晶構造解析試料作製において大きなインパクトをもたらす。



繊維や六方晶結晶のように磁気的および形態的に一軸対称な物体(繊維軸、または形状異方軸方向を方向1、それに直交する方向を各々、方向2、方向3とする)においては、磁化率は方向1(χ)と方向2(χ)、方向3(χ=χ)とで異なる。従来の磁場配向においては、χ=χ<χ<0である反磁性物体(以下、正の一軸異方性反磁性磁化率を有する物体、またはχ=χ1-χ=χ1-χ3>0の物体、または磁化容易軸がχ方向の物体)、例えば、カーボンファイバーの短繊維は、液体に懸濁した状態で一定外部磁場を印加することにより、ランダムな方向を向いていた繊維軸をすべて磁場に平行に一軸配向させることができた(下述、非特許文献2)。



他方、χ<χ=χ<0である物体(以下、負の一軸異方性反磁性磁化率を有する物体、またはχ=χ1-χ=χ1-χ3<0の物体、または磁化困難軸がχ方向の物体)、例えばポリエチレンの短繊維では、液体に懸濁した状態で回転磁場を印加すると、ランダムな方向を向いていた繊維軸(χ方向)は、回転磁場面に垂直な方向に配向するので、繊維の一軸配向が得られる(非特許文献3)。



3つの反磁性磁化率が全て異なる結晶(例えば単斜晶、斜方晶など)、例えばχ<χ<χ<0であるような結晶に静磁場を印加するとχ方向(磁化容易軸)が磁場方向に配向し、その結果他の2つは磁場に垂直な面上に来るものの、この面上では配向方向が定まらない。従ってこのような結晶粒子からなる集合体に静磁場を印加しても、各々の粒子のχ、χ方向はばらばらな方向を向いてしまう。3つの磁化率の方向と結晶軸の間には一定の関係がある。従って磁場により3つの磁化率の方向を空間的に固定することができれば、結晶の方位を空間的に固定できることになる。結晶粒子の集合体にこのような方法を適用すればすべての結晶粒子が空間的に同一の配向形態を取ることになるので、その結果、集合体はあたかも単結晶のような(擬単結晶または精密配向体)電気的、熱的、光学的性質を示すと期待され、大変価値のある物体となる。またそのような物体集合体を用いれば、ランダムな集合体に比べ、X線回折や分光学的測定において、構造情報が飛躍的に増大する。



更に、集合体を構成する粒子がナノオーダの粒子のように粒子径が小さい場合、粒子が熱揺動で配列を乱される場合でも、精度良く精密配向する手段が求められていた。逐次的な磁場印加方法、即ち、(1)回転磁場を用いて磁化困難軸を一軸配向させた後、(2)静磁場を印加し磁化容易軸を配向させる、ことにより擬単結晶化が可能である。しかし、この方法では静磁場を印加している間に、(1)で達成された磁化困難軸の配向が熱揺動により乱れてしまう。この効果は、粒子サイズが小さくなるほど顕著となるため、逐次的な方法はナノオーダの粒子には適さない。




【特許文献1】特開2002-146063号公報(第1-2頁)。

【特許文献2】特開2002-80617号公報(第1-2頁)。

【非特許文献1】木村恒久、「未来材料」、株式会社エヌ・ティー・エス、平成14年、第2巻、第8号、p.20-26。

【非特許文献2】木村恒久、他4名、「Langmuir」、アメリカ化学会、2000年、第16巻、p.858-861、米国。

【非特許文献3】木村恒久、他4名、「Langmuir」、アメリカ化学会、2004年、第20巻、p.5669-5672、米国。

産業上の利用分野


本発明は、物体の集合体に磁場を印加することにより得られる磁場配向体の製造方法に関し、特に、3つの磁化率χ、χ、χが異なる物体の集合体に、その物体の静磁場下での配向時間τの逆数より大きい角速度ωで楕円的に回転する磁場(高速回転楕円磁場)を印加することにより、その物体の3つの磁化率χ、χ、χの配向方向が、その集合体を構成する各々の物体について全て同じになるようにする(精密配向)ことを特徴とする、磁場による精密配向体の製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】 3つの磁化率χ、χ、χが異なっており、媒体に懸濁されている物体の集合体に、該物体の静磁場下での配向時間τの逆数より大きい角速度ωで楕円的に回転する磁場(高速回転楕円磁場)を印加することにより、該物体の3つの磁化率χ、χ、χの配向方向が、該集合体を構成する各々の物体について全て同じになるようにする(精密配向)ことを特徴とする磁場による精密配向体の製造方法。
【請求項2】 前記高速回転楕円磁場が、N極、S極が向かい合う一対の磁石を平面内で回転し、且つ回転に同期して磁極間距離を変化させることにより発生されることを特徴とする、請求項1記載の磁場による精密配向体の製造方法。
【請求項3】 前記高速回転楕円磁場が、強度が各々B・a・cos(ωt)及びB・b・sin(ωt)で時間的に変化するところの、互いに直交する2対の電磁石により発生されることを特徴とする、請求項1記載の磁場による精密配向体の製造方法。
ここでωは角速度、tは時間(秒)、Bは磁場強度(テスラ)、a及びbは互いに異なる正の定数。
【請求項4】 前記a、bの値が、b/a=(χ-χ)/(χ-χ)(但しχ<χ<χ)であるような定数であることを特徴とする、請求項3記載の磁場による精密配向体の製造方法。
【請求項5】 前記懸濁媒体を固化または除去することにより、前記被懸濁体の配向が固定されることを特徴とする、請求項1記載の磁場による精密配向体の製造方法。
産業区分
  • 高分子化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2004242818thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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