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細胞質不和合性阻害による糸状菌類へのウイルス導入方法

国内特許コード P120007728
掲載日 2012年6月26日
出願番号 特願2011-181140
公開番号 特開2012-110318
登録番号 特許第5777159号
出願日 平成23年8月23日(2011.8.23)
公開日 平成24年6月14日(2012.6.14)
登録日 平成27年7月17日(2015.7.17)
優先権データ
  • 特願2010-248960 (2010.11.5) JP
発明者
  • 朴 杓允
  • 池田 健一
  • 井上 加奈子
  • 兼松 聡子
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 細胞質不和合性阻害による糸状菌類へのウイルス導入方法
発明の概要 【課題】 本発明は、特定の菌種や菌株の種類に制限されることなく、二核菌亜界に属する幅広い糸状菌類の菌種や菌株に容易に適用が可能である(極めて汎用性が高い)、菌類寄生ウイルスの導入方法を開発することを目的とする。
【解決手段】 ウイルス供与菌が保持している導入対象の菌類寄生ウイルスを、当該ウイルス供与菌と細胞質不和合性の関係にあるウイルス受容菌に導入するにあたり、;当該ウイルス供与菌とウイルス受容菌の両菌株を、亜鉛イオン存在下で共培養(好ましくは対峙培養)することによって、;‘人為的な菌糸融合’及び‘細胞質不和合性反応に伴う菌糸の細胞死阻害や遅延’を誘導し、当該菌糸融合を介して‘当該糸状菌類間でのウイルス移行’を行わせることを特徴とする、;糸状菌類への菌類寄生ウイルス導入方法、を提供する。
【選択図】 図4
従来技術、競合技術の概要


植物病を引き起こす病原菌の多くは、二核菌亜界(子嚢菌類及び担子菌類からなる分類群)に属する糸状菌類が原因であることが知られている。
そこで、植物病原糸状菌に感染する菌類寄生ウイルス(マイコウイルス、菌類ウイルスともいう)を利用して、その宿主となる病原菌の病原力を低下させることによって植物病害を防除する生物防除法の開発が試みられている。
その先駆的研究として、果樹類の重要な病害である紋羽病(白紋羽病および紫紋羽病)を防除するために菌類寄生ウイルスを利用する研究開発が進められている(非特許文献1 参照)。



しかし、菌類寄生ウイルスは、任意の植物病原糸状菌の菌株に導入できないという問題がこの生物防除法の開発を遅らせている。
その問題は、異なる菌体間における菌類寄生ウイルスの伝搬(移行)は、(1)体細胞的に和合な菌体間での菌糸融合によってのみ認められ、体細胞的に不和合な菌体間では認められないこと(細胞質不和合性)、(2)そして菌類寄生ウイルスは外部から直接に菌糸細胞に感染しないこと、に起因する(非特許文献2 参照)。
なお、自然界に生息している糸状菌類は、それぞれ細胞質和合に関する遺伝子型が異なっており、対峙培養を行うと細胞質不和合性反応に伴う細胞死が引き起こされてしまう。



現行の菌類寄生ウイルスの人為的な導入方法としては、ベクターモノカリオンを用いた導入方法、すなわち、同じ菌種内の異なる菌株と菌糸融合を行う性質を有するベクターモノカリオン菌株を仲介することによって菌類寄生ウイルスを導入する方法(特許文献1参照)、が挙げられる。しかし、当該方法は、担子菌類にのみ限定される手法であり、さらにウイルスを導入できる菌株には制限があり、任意の菌株にウイルスを導入することができない方法である。(非特許文献3,4 参照)。
また、プロトプラストを用いた導入方法(ウイルス発現ベクターを用いた形質転換によるウイルス発現、試験管内転写産物の導入、電子銃による純化ウイルス粒子の導入、異なる菌体由来のプロトプラスト融合による導入などを含む)(非特許文献5 参照)を挙げることもできる。しかし、当該導入方法は、プロトプラスト化と再生系が確立している種類や菌株にしか用いることができず、また、プロトプラスト化やプロトプラストからの菌糸再生が得られにくい菌種や菌株には適用が困難な方法である。



このように、従来の方法では、菌類寄生ウイルスを糸状菌類に人為的に導入する際に利用できる菌種や菌株に大幅な制限があり、任意の菌種や菌株に菌類寄生ウイルスを導入できる汎用性の高い方法の開発が望まれていた。

産業上の利用分野


本発明は、糸状菌類に感染している菌類寄生ウイルスを、細胞質不和合の関係にある他の糸状菌類に導入する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
下記(a)の糸状菌類に感染している導入対象の菌類寄生ウイルスを、下記(b)の糸状菌類に導入するにあたり、;下記(a)及び(b)の糸状菌類を、亜鉛イオン存在下で共培養することを特徴とする、;糸状菌類への菌類寄生ウイルス導入方法。
(a):導入対象の菌類寄生ウイルスが感染している二核菌亜界に属する糸状菌類。
(b):前記(a)の糸状菌類に属するが細胞質不和合の関係にあり、導入対象の菌類寄生ウイルスが感染していない二核菌亜界に属する糸状菌類。

【請求項2】
前記糸状菌類が、分子系統学的に子嚢菌類又は担子菌類に属するものである、請求項1に記載の糸状菌類への菌類寄生ウイルス導入方法。

【請求項3】
前記(b)の糸状菌類が、前記(a)の糸状菌類と同一菌種のものである、請求項1又は2に記載の糸状菌類への菌類寄生ウイルス導入方法。

【請求項4】
前記亜鉛イオンが、塩化亜鉛又は硫酸亜鉛に由来するものである、請求項1~3のいずれかに記載の糸状菌類への菌類寄生ウイルス導入方法。

【請求項5】
前記共培養が、0.4~2.5mMの亜鉛イオン存在下で行うものである、請求項1~4のいずれかに記載の糸状菌類への菌類寄生ウイルス導入方法。

【請求項6】
前記糸状菌類が、植物病原菌であり、;前記寄生ウイルスが、前記植物病原菌によって引き起こされる植物に対する病原力を低下させるウイルスである、;請求項1~5のいずれかに記載の糸状菌類への菌類寄生ウイルス導入方法。

【請求項7】
前記糸状菌類が、白紋羽病菌又は紫紋羽病菌である、請求項1~6のいずれかに記載の糸状菌類への菌類寄生ウイルス導入方法。
産業区分
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2011181140thum.jpg
出願権利状態 登録


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