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リガンド様活性を有する分子の検出方法

国内特許コード P120007831
掲載日 2012年8月1日
出願番号 特願2011-251881
公開番号 特開2012-122994
登録番号 特許第5999542号
出願日 平成23年11月17日(2011.11.17)
公開日 平成24年6月28日(2012.6.28)
登録日 平成28年9月9日(2016.9.9)
優先権データ
  • 特願2010-258405 (2010.11.18) JP
発明者
  • 町田 幸子
  • 倉持 みゆき
  • 石川 祐子
  • 後藤 真生
  • 渡辺 純
  • 亀山 眞由美
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 リガンド様活性を有する分子の検出方法
発明の概要 【課題】AGEs様活性を示す分子の検出または定量方法等を提供すること。
【解決手段】AGEs様活性を示す分子の検出または定量方法であって、(A)検出または定量の対象となるサンプルを、固相に固定されたRAGE分子の存在下で標識したAGE分子に接触させるか、または固相に固定されたAGE分子の存在下で、標識したRAGE分子に接触させる工程、および(B)該AGE分子に対する該RAGE分子の結合を検出する工程であって、該結合の阻害の存否またはレベルは、該サンプルにおけるAGEs様活性を示す分子の存在もしくは存在レベルを示す、工程を包含する、方法。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


レクチン様酸化低密度リポタンパク質(LDL)受容体1(Lectin-like Oxidized LDL receptor:本明細書中以降、LOX-1ともいう)は、アテローム発生の原因となる酸化LDL(本明細書中以降、OxLDLともいう)のような変性LDLに対する特有のスカベンジャー受容体であり、1997年に、培養ウシ大動脈内皮細胞において初めて同定された。LOX-1は、他のスカベンジャー受容体と機能的には類似しているにもかかわらず、構造的には異なる独特の構造を有している。



ウシLOX-1(bLOX-1)は、C型レクチンファミリーに属する273アミノ酸残基からなる分子量約50kDaの糖タンパク質であり、N末端が細胞質内にあり、C末端が細胞外に出ている細胞膜1回貫通型のII型膜タンパク質である。ヒトLOX-1(hLOX-1)はまた、C型レクチンファミリーに属する273アミノ酸残基からなる約30kDa(139位および183位の糖鎖付加により、分子量約40kDa)のII型膜タンパク質である。この受容体は、構造的には、以下の4つのドメイン:N末端側の細胞質ドメイン、疎水性膜貫通ドメイン、ネックドメイン、およびC型レクチン様ドメイン(本明細書中以降、CTLDという)からなる。このCTLDは、種間で、特に、6個のシステイン残基の位置で高度に保存されており、LOX-1のリガンドを認識するための機能的ドメインである。このCTLD中の6個のシステイン残基は、hLOX-1の分子内ジスルフィド結合に関与している。この保存されたCTLDに加えて、hLOX-1および他の既知の種におけるネックドメインは、高い配列同一性を有している。また、Xieら(非特許文献1:Protein Expression and Prification 32:68-74(2003))によれば、CTLDが変性LDLを結合するのに十分な最小ドメインであり、たとえCTLDがグリコシル化されていなくても、変性LDLを認識および結合できることが明らかにされた。



これまでの研究により、LOX-1は、血管内皮細胞のみならず、マクロファージおよび活性化血管平滑筋細胞において発現されており、構造的に関連性のない種々の高分子(変性LDL、細菌、老化赤血球、アポトーシスを受けた細胞、および血小板があげられる)を認識し、生体防御機構や炎症性機転などの種々の生命現象において重要な役割を果たしていること、そしてその発現は種々の条件下で、高脂血症、糖尿病、高血糖、高血圧症、高血圧性腎硬化症、動脈硬化、虚血再灌流傷害、血管バルーン傷害後のような病態;ならびに酸化LDL、アンジオテンシンII、エンドセリン、TNF-α、後期糖化反応生成物(AGE)、TGF-β、8-イソ-プロスタグランジンF2α、ズリ応力のような刺激によって、調節されていることが分かっている(非特許文献2:Folia Pharmacol.Jpn. 127,103-107(2006))。



変性LDL測定に関しては、疾病の早期診断、機能性食品の予防効果評価、生活改善や投薬による治療効果の評価など様々な分野での活用が期待されている。これまで、ヒト血漿中の動脈硬化危険因子である変性LDLの測定には、モノクローナル抗体が用いられてきたが、特に変性LDLは分子の修飾構造は一定ではなく、意味のある分子種が明確でないなどの理由で、モノクローナル抗体による検出にも問題が多い。



後期糖化反応生成物(Advanced Glycation End Products:本明細書中以降、AGEという)は、糖尿病患者の生活の質を損ねる元凶である血管合併症として知られる糖尿病性血管障害の発症・進展に関与している。血管合併症による眼、神経、腎臓の障害は、それぞれ糖尿病網膜症、神経症、腎症(あわせて三大合併症)とよばれており、糖尿病患者に特徴的な病態である。



AGEを認識する受容体(Receptor for AGE:本明細書中以降、RAGEという)は、1992年に、ウシ肺から同定され、AGEと結合するイムノグロブリンスーパーファミリーに属する、分子量約35kDaのI型膜タンパク質(糖鎖修飾を受けた完全なRAGEは、分子量55kDa)である。RAGEの細胞外ドメインは、1つのV型イムノグロブリンドメイン、続いて、2つのC型イムノグロブリンドメイン(C1領域およびC2領域)の3つのイムノグロブリンフォールド構造を取るドメインが結合した構造を取っている。RAGEはまた、細胞膜1回貫通型のドメインおよび43アミノ酸の細胞内ドメインを含む。RAGEは、多様なクラスのリガンド(AGE、S100/カルグラニュリン(calgranμline)、アンホテリンおよびアミロイド-βペプチド(およびβ-シート原線維のクラス))と相互作用する。Vドメインは、リガンド結合に必須の部位であり、細胞内ドメインは、RAGE媒介性細胞内シグナル伝達に必須であることが示された(非特許文献3:Circ Res.2003;93:1159-1169)。



RAGEは、正常組織および血管系においては低レベルでしか発現されない。しかし、この受容体は、そのリガンドが蓄積した場所においてアップレギュレートされる。例えば、糖尿病患者の血管では、RAGEの代表的リガンドとしては、以下のAGE構造体が挙げられる:(カルボキシメチル)リジン-タンパク質付加物(インビボで存在する主なAGE)、カルボキシエチル-リジン(CEL)タンパク質付加物、ペントシジン-付加物(コラーゲンおよび基底膜の不安定化に関連した糖尿病組織において見いだされる主要なAGE架橋物質)、ピラリン、イミダゾロン、メチルグリオキサール(他の範囲のAGEの形成の前駆体)、クロスリン、フルオロリンク、プロピリジン、アルグピリミジン、ベスパーリジン、グリオキサール誘導リジンダイマー、デオキシグルコサミン誘導リジンダイマーなど。RAGEの発現は、糖尿病血管系において内皮細胞、平滑筋細胞、および浸潤性単核食細胞で増加している。AGE-RAGE相互作用は、血管系ホメオスタシスにおいて重要な細胞の特性を変化させる。例えば、RAGEがAGEと結合した後、内皮細胞は、VCAM-1、組織因子、およびIL-6の発現、ならびに高分子へのそれらの透過性を増加させる。単核食細胞において、RAGEは、サイトカインおよび増殖因子の発現を活性化し、可溶性AGEに応じて細胞移動を誘導するのに対して、走触性は、固定リガンドで起こる(非特許文献4:J.Clin.Invest.108:949-955(2001))。



本発明者らは、これまでに、LOX-1変異体-界面活性剤複合体およびRAGE変異体-界面活性剤複合体、ならびにこれらを用いて生活習慣病危険因子などを検出する方法を出願した(特許文献7)。

産業上の利用分野


本発明は、AGEsまたはOxLDL等のリガンド様活性の新規検出技術および生活習慣病危険因子などの検出技術に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
AGE分子の検出または定量方法であって、
(A)検出または定量の対象となるサンプルを、固相に固定されたRAGE分子の存在下で標識したAGE分子に接触させる工程であって、該RAGE分子は、RAGE143、RAGE1、RAGE223、RAGE226またはその改変体である、工程、
および
(B)該AGE分子に対する該RAGE分子の結合を検出する工程であって、該結合の阻害の存否またはレベルは、該サンプルにおけるAGE子の存在もしくは存在レベルを示す、工程を包含する、方法。

【請求項2】
糖尿病または糖尿病性腎症の検出方法であって、
(A)糖尿病性腎症の検出の対象となる被験体からのサンプルを、固相に固定されたRAGE分子の存在下で標識したAGE分子に接触させる工程であって、該RAGE分子は、RAGE143、RAGE1、RAGE223、RAGE226またはその改変体である、工程、
および
(B)該固定れたAGE分子に対する該標識したAGE分子の結合を検出する工程であって、該結合の阻害のレベルが正常個体と比べていことは、該被験体が糖尿病または糖尿病性腎症に罹患していることを示す、工程を包含する、方法。

【請求項3】
前記RAGE分子は、RAGE143である、請求項1~2のいずれか1項に記載の方法。

【請求項4】
前記標識したAGE分子は、標識したLys-AGE(グルタルアルデヒド修飾リジン修飾AGE)、標識したグルコース修飾AGE(G-AGE)、標識したリボース修飾AGE(R-AGE)、標識したフルクトース修飾AGE(F-AGE)またはそれらの改変体である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。

【請求項5】
AGE子の検出または定量のためのキットであって、
(A)固定されたRAGE分子を有する固相および標識したAGE分子;および
(B)固定されたRAGE分子に結合した該標識したAGE分子の標識を検出する手段であって、該標識の強度から、AGE分子に対する該RAGE分子の結合が検出される、手段
を備え、該RAGE分子は、RAGE143、RAGE1、RAGE223、RAGE226またはその改変体であり、該結合の阻害の存否またはレベルは、AGE子の存在もしくは存在レベルを示す、キット。

【請求項6】
糖尿病または糖尿病性腎症の診断のためのキットであって、
(A)固定されたRAGE分子を有する固相および標識したAGE分子;および
(B)固定されたRAGE分子に結合した該標識したAGE分子の標識を検出する手段であって、該標識の強度から、AGE分子に対する該RAGE分子の結合が検出される、手段
を備え、該RAGE分子は、RAGE143、RAGE1、RAGE223、RAGE226またはその改変体であり、該結合の阻害のレベルが正常個体と比べていことは、該被験体が糖尿病または糖尿病性腎症に罹患していることを示す、キット。

【請求項7】
前記RAGE分子は、RAGE143である、請求項5~6のいずれか1項に記載のキット。

【請求項8】
前記標識したAGE分子は、標識したLys-AGE(グルタルアルデヒド修飾リジン修飾AGE)、標識したグルコース修飾AGE(G-AGE)、標識したリボース修飾AGE(R-AGE)、標識したフルクトース修飾AGE(F-AGE)またはそれらの改変体である、請求項5~7のいずれか1項に記載のキット。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録


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