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DNAマーカーを用いたブタの親子判定方法

国内特許コード P120007884
掲載日 2012年8月30日
出願番号 特願2006-281014
公開番号 特開2008-092904
登録番号 特許第4982746号
出願日 平成18年10月16日(2006.10.16)
公開日 平成20年4月24日(2008.4.24)
登録日 平成24年5月11日(2012.5.11)
発明者
  • 美川 智
  • 林 武司
  • 粟田 崇
  • 山口 倫子
  • 神山 佳三
出願人
  • 千葉県
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 DNAマーカーを用いたブタの親子判定方法
発明の概要 【課題】
本発明は、マイクロサテライト配列を含むDNAマーカーを検出することを特徴とする、ブタの親子判定を行う方法を提供することを課題とする。また、ブタの親子判定を行うためのプライマー、キットの提供を課題とする。
【解決手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために、まず、デュロック(D)種、大ヨークシャー(W)種、およびランドレース(L)種の多型性を指標とし、また親子サンプルを用いてマーカーの非特異的増幅、また増幅および伝達が不明瞭なアリルを評価しすることにより、一般的には99%以上、単一農場においても98%以上の確率で偽父を検出できる、ブタの親子を判定するための10個のマイクロサテライトマーカーを選定した。また増幅断片長の違いを利用し、複数のマーカーを同時に解析することを目的とし、プライマーの再設計、またプライマーの混合比の調整を行った。
【選択図】 なし
従来技術、競合技術の概要


BSE問題や食品偽装問題を契機に消費者の食品の安全性に対する関心の高まりから、農畜産物のトレーサビリティーシステムが注目されている。ウシについては、耳標による個体識別の義務付けが確立され、また国内で生産されたすべての個体のDNAを採取できる体制にあり、DNAを用いた個体識別が利用可能な状況にある。ブタについてはウシよりも遅れてはいるが、トレーサビリティーシステムへの社会的な関心は高く、システムを保証する基盤としてDNAを利用した判定技術の開発と普及が要望されている。しかしながらブタにおいては飼養頭数が多く、1頭あたりの単価が安いことからウシのような個体識別はコスト面から実用的でない。国内では主に大ヨークシャー(W)種とランドレース(L)種の交雑種を種雌ブタとし、デュロック(D)種を種雄ブタとしたLWD三元交雑種である肉ブタが生産されそのブタ肉が流通している。日本では約1600万頭の肉ブタが生産されているがその半数以上が約3万8千頭のデュロック(D)種種雄ブタから生産されている。肉ブタ生産のための種雌ブタは約90万頭が飼養され、約3~4年で更新されるのに対し、種雄ブタは約5~6年間使われることからも、父子検定がブタのトレーサビリティーシステムには最も有効である。



FAO(国連食糧農業機関)はブタ、ウシ、鶏、羊などの家畜の遺伝的多様性を分析するためのマイクロサテライトマーカー(ブタでは27個)をリストとして提唱しており、最も一般的に用いられている(非特許文献1)。しかしながらこれらは国内で生産に用いられていない品種やアジア在来ブタなどのアリルも含めて選定されているので日本国内での肉ブタのトレーサビリティーシステムにそのまま用いることは有効ではない。またNechtelbergerら(非特許文献2)はランダムサンプルの解析より、L種およびW種においては父母子の三者により99.97%以上、父子の二者により99.18%以上の効率で親子判定ができるとする10個のマイクロサテライトマーカーを報告しているが、日本国内で飼養されているD種を種雄ブタとして生産されたLWD三元交雑ブタでの父子検定の実証試験を行った結果96.99%の効率であり、また特定の単一農場において血縁が認められるサンプルを用いて解析すると効率はさらに低下し89.10%となり、実用レベルには至らなかった。その原因は種雄ブタとして利用されているD種と、L種およびW種との遺伝的差異、また日本国内に導入された個体の遺伝的背景によるものと考えられる。日本国内でブタの親子判定にマイクロサテライトマーカーを使用した報告は数例あるが、いずれも供試個体数が少なく、限定した家系内での調査である(非特許文献3、4)。また島貫ら(非特許文献5)によってブタの個体識別および親子判定のための14個のマイクロサテライトマーカーからなるセットが報告されており、親子判定の効率はランダムサンプリングから父子により99.64%と計算されているが、実証試験に関するデータの報告はまだ無い。また一般にマイクロサテライトマーカーには解析に再現性が保証されないものも含まれており、解析の確からしさによる視点でマーカーを選抜する必要がある。



これまでに他の動物種において個体識別や親子判定を目的としたマーカーセットとその父権否定確率についていくつかの報告があるが(非特許文献6~10)、いずれもマーカーは20個前後である。しかしながら流通するブタ肉のトレーサビリティーシステムにおいて20個のマーカーを解析するにはコストの面で問題があり、多様性の大きいマーカーを検索することで解析マーカー数を少なくする必要がある。



なお、本出願の発明に関連する先行技術文献情報を以下に示す。
【非特許文献1】
Secondary Guidelines for Development of National Farm Animal Genetic Resources Management Plans. Measurement of Domestic Animal Diversity (MoDAD): Recommended Microsatellite Markers. P19-24 Food and Agriculture Organisation of the United Nations (FAO)
【非特許文献2】
Nechtelberger D, et al., 2001. Anim Biotechnol. 12:141-144.
【非特許文献3】
吉岡豪ら、2000、食肉に関する助成研究調査成果報告書、18:162-167
【非特許文献4】
松本尚子ら、2001、群馬畜試研究報告、8:36-42
【非特許文献5】
島貫 伸一ら、2005、日本畜産学会第105回大会講演要旨集、p60
【非特許文献6】
DeNise S, et al., 2004. Anim. Genet., 35:14-17
【非特許文献7】
Ichikawa Y, et al., 2001. J.Vet.Med. Sci., 63:1209-1213
【非特許文献8】
Sherman GB, et al., 2004. Anim. Genet., 35:220-226
【非特許文献9】
Tozaki T, et al., 2001. J.Vet.Med. Sci., 63(11):1191-1197
【非特許文献10】
Luikart G, et al., 1999. Anim. Genet., 30:431-438

産業上の利用分野


本発明は、マイクロサテライト配列を含むDNAマーカーを検出することを特徴とする、ブタの親子判定を行う方法に関する。
さらに詳細には、被検対象となる種ブタおよび子ブタ、それぞれよりDNAを抽出する工程、抽出した種ブタおよび子ブタのそれぞれのDNAから、マイクロサテライト配列を含む10個のDNAマーカーに相当する配列の少なくとも一つを増幅する工程、種ブタおよび子ブタの増幅されたDNA断片の塩基配列、断片長、該DNA断片に含まれる対立遺伝子の種類および数を比較することにより、被検対象となる種ブタおよび子ブタの親子関係に矛盾があるか否かを判定する工程を含む、ブタの親子判定を行う方法に関する。
また、本発明はブタの親子判定を行うためのプライマー、キットに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
以下の(1)~(4)の工程を含む、ブタの親子判定を行う方法。
(1)被検対象となる種ブタおよび子ブタ、それぞれよりDNAを抽出する工程
(2)抽出した種ブタおよび子ブタのそれぞれのDNAにおいて、ACR(配列番号:1)、SW24(配列番号:2)、SW2429(配列番号:3)、SW1550(配列番号:4)、SW1027(配列番号:5)、SW1328(配列番号:6)、SW443(配列番号:7)、S0316(配列番号:8)、SWR1921(配列番号:9)、および、SW1263(配列番号:10)の全てのDNAマーカーについて、それぞれの該DNAマーカー、もしくは、その一部の配列であってマイクロサテライト配列を含む配列からなるDNA断片をそれぞれ増幅する工程
(3)種ブタおよび子ブタの増幅されたDNA断片を解析し、該解析結果を比較する工程
(4)相同遺伝子のうち少なくとも片方の遺伝子において、種ブタおよび子ブタの増幅されたDNA断片の解析結果が一致する場合に、親子関係が否定されないと判断する工程

【請求項2】
工程(2)において増幅される塩基配列が、下記(a)~(j)から選択される少なくとも一つの部分配列を含む塩基配列であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
(a)配列番号:1に記載の塩基配列において、359位~544位の配列
(b)配列番号:2に記載の塩基配列において、211位~506位の配列
(c)配列番号:3に記載の塩基配列において、291位~540位の配列
(d)配列番号:4に記載の塩基配列において、255位~447位の配列
(e)配列番号:5に記載の塩基配列において、21位~151位の配列
(f)配列番号:6に記載の塩基配列において、151位~461位の配列
(g)配列番号:7に記載の塩基配列において、359位~478位の配列
(h)配列番号:8に記載の塩基配列において、6位~155位の配列
(i)配列番号:9に記載の塩基配列において、155位~348位の配列
(j)配列番号:10に記載の塩基配列において、269位~534位の配列

【請求項3】
工程(2)において、塩基配列の増幅がPCR法によって行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。

【請求項4】
PCR法がマルチプレックスPCRであることを特徴とする、請求項に記載の方法。

【請求項5】
配列番号:11~39に記載のオリゴヌクレオチドの少なくとも一つ以上をプライマーとして用いることを特徴とする、請求項またはに記載の方法。

【請求項6】
下記(a)~(j)のいずれかに記載のプライマーセットからなる群から選択される、少なくとも一つ以上のプライマーセットを同時に使用することを特徴とする、請求項またはに記載の方法。
(a)配列番号:11および12に記載の塩基配列からなるプライマーセット
(b)配列番号:15および16に記載の塩基配列からなるプライマーセット
(c)配列番号:19および20に記載の塩基配列からなるプライマーセット
(d)配列番号:21および22に記載の塩基配列からなるプライマーセット
(e)配列番号:23および24に記載の塩基配列からなるプライマーセット
(f)配列番号:27および28に記載の塩基配列からなるプライマーセット
(g)配列番号:29および30に記載の塩基配列からなるプライマーセット
(h)配列番号:32および33に記載の塩基配列からなるプライマーセット
(i)配列番号:34および35に記載の塩基配列からなるプライマーセット
(j)配列番号:38および39に記載の塩基配列からなるプライマーセット

【請求項7】
プライマーが蛍光修飾されていることを特徴とする、請求項5または6に記載の方法。

【請求項8】
工程(3)が、以下の(i)および(ii)の工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
(i)種ブタおよび子ブタの増幅されたDNA断片の塩基配列を決定する工程
(ii)(i)により決定したDNA断片の塩基配列を比較する工程

【請求項9】
工程(3)が、以下の(i)および(ii)の工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
(i)種ブタおよび子ブタの増幅されたDNA断片をゲル上で分離し、その長さを決定する工程
(ii)(i)により決定したDNA断片の長さを比較する工程

【請求項10】
工程(3)が、以下の(i)および(ii)の工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
(i)種ブタおよび子ブタの増幅されたDNA断片において、マイクロサテライト配列に含まれる対立遺伝子の種類および数を決定する工程
(ii)(i)により決定したマイクロサテライト配列に含まれる対立遺伝子の種類および数を比較する工程

【請求項11】
種ブタおよび子ブタの親子関係が、種雄ブタと子ブタとの間の親子関係であることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【請求項12】
種ブタおよび子ブタの親子関係が、種雄ブタ、種雌ブタおよび子ブタの三者間の親子関係であることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【請求項13】
種ブタが、デュロック(D)種、ランドレース(L)種、大ヨークシャー(W)種、LW交雑種(ランドレース種と大ヨークシャー種の交雑種)のいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。

【請求項14】
種雄ブタがデュロック種、種雌ブタがLW交雑種であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。

【請求項15】
下記(a)~(j)の全てのプライマーセットを含むブタの親子判定を行なうためのキット。
(a)配列番号:11および12に記載の塩基配列からなるプライマーセット
(b)配列番号:15および16に記載の塩基配列からなるプライマーセット
(c)配列番号:19および20に記載の塩基配列からなるプライマーセット
(d)配列番号:21および22に記載の塩基配列からなるプライマーセット
(e)配列番号:23および24に記載の塩基配列からなるプライマーセット
(f)配列番号:27および28に記載の塩基配列からなるプライマーセット
(g)配列番号:29および30に記載の塩基配列からなるプライマーセット
(h)配列番号:32および33に記載の塩基配列からなるプライマーセット
(i)配列番号:34および35に記載の塩基配列からなるプライマーセット
(j)配列番号:38および39に記載の塩基配列からなるプライマーセット

【請求項16】
前記プライマーセットを同時に使用することによって、複数のDNAマーカーを検出することを特徴とする、請求項15に記載のキット。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録


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