TOP > 国内特許検索 > 制振合金の処理方法

制振合金の処理方法 コモンズ

国内特許コード P120007906
掲載日 2012年9月14日
出願番号 特願2012-094311
公開番号 特開2013-221191
出願日 平成24年4月18日(2012.4.18)
公開日 平成25年10月28日(2013.10.28)
発明者
  • 渡辺 義見
  • 須賀 裕介
  • 佐藤 尚
出願人
  • 国立大学法人 名古屋工業大学
発明の名称 制振合金の処理方法 コモンズ
発明の概要

【課題】制振合金に対し、材料組成を変化させずに制振特性と強度とを同時に向上する方法を提供する。
【解決手段】材料に加工と熱処理を繰り返し施すことによって、制振特性を支配するεマルテンサイト相を微細化し、そのマルテンサイト相の数密度(単位体積あたりの個数)を増加させる。この加工時において、振動と同一の変形モードで加工を行うことにより、振動中に移動しやすい制振源を優先的に発生させ、高い減衰能を発現させる。
【選択図】図8

従来技術、競合技術の概要


制振合金とは、金属材料でありながら高い振動減衰能(制振能)を有している材料のことである。制振合金は、従来制振材料として使用されていたプラスチックや高分子材料に比べて強度や耐熱性といった点で優れているが、制振能の面では劣っている。



制振合金の強度と内部摩擦の値(Q-1)との関係を図1に示す。ここで、内部摩擦の値(Q-1)は制振能をあらわす指標であり、内部摩擦の値が大きいほど制振能が高い。図1のように、制振合金は非常に高い内部摩擦を示すグループ、鋳鉄やステンレス鋼や鋼のグループ、およびアルミや銅合金の3つの分類に分けられるが、何れのグループにおいても、強度と制振能とは二律背反の関係にあり、強度を兼ね備えた高性能制振合金の開発が求められている。



制振能と強度とを同時に向上させる技術として、特許文献1や非特許文献1に示されているトレーニング処理や加工レーニング処理がある。ここで、トレーニング処理や加工トレーニング処理は、通常、形状記憶合金の形状記憶効果向上を目的として施される処理であり、マルテンサイト変態と逆変態とを繰り返すことにより、組織の微細化と均一化を生じせしめ、形状記憶効果向上を達成させる技術である。形状記憶効果向上の要因として、オーステナイト母相強化によるすべり変形の抑制、εマルテンサイトの核となる積層欠陥の導入、同じバーガースベクトルを持った部分転位の密度増加、トレーニング後の組織では低倍率では1枚に見えるε板がナノスケールのオーステナイト/ε積層状態になっていることなどが報告されている。



特許文献1記載のFe‐Mn系制振合金の制振特性を向上させるトレーニング処理として、Fe‐Mn系制振合金をオーステナイト領域温度で熱処理した後、水冷し、その後、液体窒素やドライアイスなどを用いたサブゼロ処理にて、より低い温度まで急冷し、この熱処理を繰り返すことによって行う方法が示されている。また、特許文献1において加工トレーニング処理として、Fe‐Mn系制振合金をオーステナイト領域温度で熱処理した後、水冷し、その後、液体窒素やドライアイスなどを用いたサブゼロ処理にて、より低い温度まで急冷し、制振特性をさらに向上させるために、この熱処理プロセスの間に圧延や鍛造などにより材料へ加工を加え、この熱処理と加工を繰り返すことによって、前記合金の制振特性を向上させる方法が示されている。この加工トレーニング処理では、前記トレーニング処理に加工プロセスを加えた処理に相当し、トレーニング処理と比較して大きな制振能向上が認められている。



ここで、Fe-Mn系制振合金の制振能発現の要因は、 積層欠陥境界、オーステナイト/εマルテンサイト境界、あるいはεマルテンサイトのバリアント境界の振動(移動)であることが報告されている(非特許文献2)。積層欠陥とは面状に形成された2次元的格子欠陥であり、ABCABCABCという面心立方格子の最密面積層の一部がABCABABCAのごとく乱れた部分をさす。また、εマルテンサイトとはhcp構造のマルテンサイト相であり、バリアント境界とはこのεマルテンサイト内の兄弟晶の境界を指す。上記のトレーニング処理では、制振能発現の要因を増加することが可能な技術であるが、単に積層欠陥境界、オーステナイト/εマルテンサイト境界、あるいはεマルテンサイトのバリアント境界の密度を増加するだけで、実際に制振能向上に関わらない方位を持つ要因の密度も増加させていたことになる。また、特許文献1記載の発明の加工トレーニング処理は圧延あるいは鍛造を行うものとしており、この加工によって優先的に発生した積層欠陥境界、オーステナイト/εマルテンサイト境界、あるいはεマルテンサイトのバリアント境界が振動減衰に有効に寄与する保証はない。

産業上の利用分野


本発明は、強度とともに高い振動減衰能(制振能)を有する制振合金を得る処理方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
制振合金をオーステナイト領域温度で熱処理した後、加工によりマルテンサイト相が生じる温度まで冷却し、その温度以下にて塑性加工を施すという操作を繰り返すことによりマルテンサイト相のバリアントを制御した制振合金の処理方法。

【請求項2】
前記塑性加工が振動と同一の変形モードによる塑性加工である請求項1に記載の制振合金の処理方法。

【請求項3】
前記制振合金がFe-Mn系の制振合金である請求項1または2に記載の制振合金の処理方法。

【請求項4】
前記マルテンサイト相がεマルテンサイト相である請求項1~3のいずれかに記載の制振合金の処理方法。
産業区分
  • 冶金、熱処理
  • 合金
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2012094311thum.jpg
出願権利状態 審査請求前
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close