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危害要因定量方法、危害要因定量装置、および、プログラム

国内特許コード P120007970
掲載日 2012年10月1日
出願番号 特願2011-040398
公開番号 特開2012-177606
登録番号 特許第5840845号
出願日 平成23年2月25日(2011.2.25)
公開日 平成24年9月13日(2012.9.13)
登録日 平成27年11月20日(2015.11.20)
発明者
  • 杉山 純一
  • 蔦 瑞樹
  • 富田 かおり
  • 吉村 正俊
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 危害要因定量方法、危害要因定量装置、および、プログラム
発明の概要 【課題】蛍光指紋を測定し解析することにより、煩雑な前処理を不要にし、迅速かつ容易に危害要因を検知することができる危害要因検知方法、危害要因検知装置、および、プログラムを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、所定の励起波長範囲および所定の蛍光波長範囲で、照射する励起波長および観測する蛍光波長を段階的に変化させながら、測定対象物の蛍光強度を測定して、測定対象物の蛍光指紋情報を取得し、取得した蛍光指紋情報に対して多変量解析を行い、当該多変量解析の結果に基づいて、測定対象物から危害要因を検知する。
【選択図】図3
従来技術、競合技術の概要


現代の日常生活においては、様々な危害要因が存在し、特に超高齢化社会になりつつある日本においては、危害要因の回避が非常に重要であり、危害要因の判別、検知、定量を迅速かつ容易に行うことが求められている。



ここで、危害要因とは、非特許文献1に記載の農林水産関係用語集によると、健康に悪影響をもたらす原因となる可能性のある食品中の物質または食品の状態等を意味する。例えば、危害要因には、有害な微生物、農薬、添加物や人の健康に悪影響を与えうる食品自体に含まれる化学物質などの生物学的要因(例えば、食中毒菌、ウィルス、寄生虫等)、化学的要因(例えば、農薬、添加物等)または物理的要因(例えば、異物、放射線等)がある。例えば、日常生活における危害要因の一例としては、病原菌細菌(例えば、サルモネラ、病原大腸菌等)、腐敗微生物、ウイルス、寄生虫、病原微生物(例えば、コレラ菌)、生物由来物質(例えば、貝毒、ふぐ毒)、食品添加物、異物(例えば、毛髪、虫等)などが挙げられる。



特に食品分野においては、危害要因の一例であるデオキシニバレノール(DON)、ニバレノール(NIV)、ゼアラレノン(ZEA)等のカビ毒が世界的に大きな問題となっている。



また、食品加工および食品製造に携わる工場等の現場においては、衛生管理の徹底が期待されている。食中毒等を防ぐには、危害をもたらす微生物の菌数の確認とともに、その増殖を防ぐために、危害要因として、微生物の栄養源となる食品残渣や汚れを取り除くことが大きな予防となる。



これに対し、従来から、上述の危害要因(例えば、カビ毒、食品残渣および汚れ等)を検知する手法として、以下の技術が用いられていた。



例えば、上述の危害要因のうち、カビ毒(例えば、デオキシニバレノール、ニバレノール、ゼアラレノン等)の検知に関しては、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)や質量分析等の化学分析的手法や培養法などが用いられていた。



しかし、上述の化学分析的手法および培養法は、煩雑な前処理を行う必要があるという問題があった。更に、上述の化学分析的手法および培養法は、専用の試薬や培地を必要とし、結果が得られるまで時間を要し、装置が高価であり、また、装置の操作者に対して専門技能が必要とされるため、現場での迅速かつ容易な判定が困難であるという問題があった。更に、検知対象となるカビ毒(例えば、デオキシニバレノール、ニバレノール、ゼアラレノン等)の量は、非常に低濃度(例えば、ppmやppbオーダーの濃度)であるため、上述の化学分析的手法および培養法では、濃縮や増殖等の前処理なくしてはこれらのカビ毒を検知できず、そのため、煩雑な前処理を省略できないという問題があった。



また、上述の危害要因のうち、微生物の栄養源となる食品残渣や汚れの検知に関しては、非特許文献2および3に記載されたATP(アデノシン三リン酸)ふき取り検査が用いられていた。



ここで、ATPふき取り検査とは、食品残渣や汚れがどれだけ取り除かれているかの衛生指標として最も普及している技術であり、生物由来の汚れとしてATP(すなわち、細菌、カビ、酵母や動物、植物などの細胞中に含まれる、代謝活動に不可欠なエネルギー物質)をホタルの発光原理を利用して検知し、汚れの程度を数値化するものである。また、ATPふき取り検査は、2004年に厚労省監修の「食品衛生検査指針(微生物編)」において清浄度検査手法として収載されており、主に食品分野で加工機器や調理器具・用具の洗浄効果を判断する自主管理ツールとして普及が進んでいる。



しかし、上記非特許文献2および3に記載のATPふき取り検査では、検査できる範囲は1回につき10cm四方の範囲であり、かつ、被測定面を綿棒等の検査キットでふき取る必要があり、手が届かない部分や広い部分にわたって検査するには、時間と手間がかかるという問題があった。



そこで、近年、煩雑な前処理を不要にし、迅速かつ容易に測定対象物を分析する手法の開発が望まれていた。



例えば、本出願人による特許文献1に記載の穀粉の判別方法においては、測定対象物に対して照射する励起波長、および、測定対象物から観測する蛍光波長を段階的に変化させながら蛍光強度を測定することにより取得した蛍光指紋(別名:励起・蛍光マトリクス)を取得し、取得した蛍光指紋を解析することにより、穀粉の品種や種別を判別している。また、同出願人による特許文献2に記載の成分分布可視化方法において、蛍光指紋を画素単位で計測して、蛍光指紋イメージングを行っている。また、同出願人による特許文献3に記載の成分分布可視化方法においては、更に、測定対象物とサンプル間における溶媒含有率(または可視化対象の特定成分に対する外乱要因)の影響を除去し、測定対象物の特定の成分をより明確に分析している。



ここで、上記特許文献1~3に記載される「蛍光指紋」は、励起蛍光マトリクス(Excitation-Emission Matrix: EEM)ともよばれ、試料に照射する励起光の波長を連続的に変化させながら蛍光スペクトルを測定することによって得られる3次元データを意味する。蛍光指紋の形状が指紋のように成分特異的に決まるため、測定者は、通常の単一波長での蛍光測定だけでは判別できない微妙な成分の差異を検出できる。更に、測定者は、この蛍光指紋情報に加えて、位置情報(すなわち、画像における各画素の位置を示す空間情報)を伴って、各画素ごとあるいは画素ブロックごとに蛍光指紋を測定する蛍光指紋イメージングを用いることで、測定対象物中の特定成分の分布を可視化できる。

産業上の利用分野


本発明は、危害要因定量方法、危害要因定量装置、および、プログラムに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
測定対象物から危害要因を定量する危害要因定量方法であって、
前記測定対象物が粉体の場合に粉砕装置を用いて当該測定対象物を微粉砕に均一化する均一化工程、
所定の励起波長範囲および所定の蛍光波長範囲で、照射する励起波長および観測する蛍光波長を段階的に変化させながら、前記測定対象物の蛍光強度を測定して、前記測定対象物の蛍光指紋情報を取得する蛍光指紋情報取得工程、および、
前記蛍光指紋情報取得工程にて取得した前記蛍光指紋情報に対して多変量解析を行い、当該多変量解析の結果に基づいて、前記測定対象物から前記危害要因を定量する危害要因定量工程、
を含み、
前記蛍光指紋情報取得工程にて、
前記均一化工程にて前記微粉砕に均一化された前記測定対象物の蛍光指紋情報を取得し、
更に、取得された前記蛍光指紋情報から目的とする蛍光指紋以外のノイズ情報を除去して、前記測定対象物に含まれる前記危害要因の特徴を表す蛍光指紋情報のみを抽出し、
前記危害要因定量工程にて、
抽出された前記蛍光指紋情報から得られる行列データを並び替えて、連続した1次元ベクトルに変更し、前記1次元ベクトルに変更された蛍光指紋情報に対して、前記多変量解析を行うことで前記危害要因の量を推定し、当該推定された前記危害要因の定量結果に基づいて、前記測定対象物から前記危害要因を定量することを特徴とする、危害要因定量方法。

【請求項2】
前記危害要因定量工程にて、
前記蛍光指紋情報に対して前記多変量解析としてPLS回帰分析を行うことで前記危害要因の量を推定し、当該推定された前記危害要因の定量結果に基づいて、前記測定対象物から前記危害要因を定量すること、
を特徴とする、請求項1に記載の危害要因定量方法。

【請求項3】
前記危害要因定量工程にて、
前記蛍光指紋情報に対して前記多変量解析として主成分分析を行い、当該主成分分析により得られた前記危害要因の主成分得点の分布に基づいて、前記測定対象物から前記危害要因を定量すること、
を特徴とする、請求項1に記載の危害要因定量方法。

【請求項4】
前記危害要因定量工程にて、
前記蛍光指紋情報に対して前記多変量解析として判別分析を行い、当該判別分析により得られた前記危害要因の判別スコアの分布に基づいて、前記測定対象物から前記危害要因を定量すること、
を特徴とする、請求項1に記載の危害要因定量方法。

【請求項5】
前記危害要因は、
カビ毒および/またはATPであること、
を特徴とする、請求項1から4のうちいずれか一つに記載の危害要因定量方法。

【請求項6】
前記カビ毒は、
デオキシニバレノール、ニバレノール、および、ゼアラレノンのうち少なくとも1つであること、
を特徴とする、請求項5に記載の危害要因定量方法。

【請求項7】
前記測定対象物は、
麦、トウモロコシ、食品残渣、および、微生物のうち少なくとも1つであること、
を特徴とする、請求項1から6のうちいずれか一つに記載の危害要因定量方法。

【請求項8】
測定対象物に所定の励起波長を照射する分光照明装置と、所定の蛍光波長で前記測定対象物を計測する分光検出装置と、前記測定対象物が粉体の場合に当該測定対象物を微粉砕に均一化する粉砕装置と、を備えた、前記測定対象物から危害要因を定量する危害要因定量装置であって、
所定の励起波長範囲および所定の蛍光波長範囲で、照射する励起波長および観測する蛍光波長を段階的に変化させながら、前記測定対象物の蛍光強度を測定して、前記測定対象物の蛍光指紋情報を取得する蛍光指紋情報取得部、および、
前記蛍光指紋情報取得部により取得した前記蛍光指紋情報に対して多変量解析を行い、当該多変量解析の結果に基づいて、前記測定対象物から前記危害要因を定量する危害要因定量部、
を備え、
前記蛍光指紋情報取得部は、
前記粉砕装置により前記微粉砕に均一化された前記測定対象物の蛍光指紋情報を取得し、
更に、取得された前記蛍光指紋情報から目的とする蛍光指紋以外のノイズ情報を除去して、前記測定対象物に含まれる前記危害要因の特徴を表す蛍光指紋情報のみを抽出し、
前記危害要因定量部は、
抽出された前記蛍光指紋情報から得られる行列データを並び替えて、連続した1次元ベクトルに変更し、前記1次元ベクトルに変更された蛍光指紋情報に対して、前記多変量解析を行うことで前記危害要因の量を推定し、当該推定された前記危害要因の定量結果に基づいて、前記測定対象物から前記危害要因を定量することを特徴とする、危害要因定量装置。

【請求項9】
前記危害要因定量部は、
前記蛍光指紋情報に対して前記多変量解析としてPLS回帰分析を行うことで前記危害要因の量を推定し、当該推定された前記危害要因の定量結果に基づいて、前記測定対象物から前記危害要因を定量すること、
を特徴とする、請求項に記載の危害要因定量装置。

【請求項10】
前記危害要因定量部は、
前記蛍光指紋情報に対して前記多変量解析として主成分分析を行い、当該主成分分析により得られた前記危害要因の主成分得点の分布に基づいて、前記測定対象物から前記危害要因を定量すること、
を特徴とする、請求項に記載の危害要因定量装置。

【請求項11】
前記危害要因定量部は、
前記蛍光指紋情報に対して前記多変量解析として判別分析を行い、当該判別分析により得られた前記危害要因の判別スコアの分布に基づいて、前記測定対象物から前記危害要因を定量すること、
を特徴とする、請求項に記載の危害要因定量装置。

【請求項12】
前記危害要因は、
カビ毒および/またはATPであること、
を特徴とする、請求項から11のうちいずれか一つに記載の危害要因定量装置。

【請求項13】
前記カビ毒は、
デオキシニバレノール、ニバレノール、および、ゼアラレノンのうち少なくとも1つであること、
を特徴とする、請求項12に記載の危害要因定量装置。

【請求項14】
前記測定対象物は、
麦、トウモロコシ、食品残渣、および、微生物のうち少なくとも1つであること、
を特徴とする、請求項から13のうちいずれか一つに記載の危害要因定量装置。

【請求項15】
測定対象物に所定の励起波長を照射する分光照明装置と、所定の蛍光波長で前記測定対象物を計測する分光検出装置と、前記測定対象物が粉体の場合に当該測定対象物を微粉砕に均一化する粉砕装置と、を備えた、前記測定対象物から危害要因を定量する危害要因定量装置に実行させるためのプログラムであって、
前記危害要因定量装置において、
前記粉砕装置を用いて前記測定対象物を微粉砕に均一化する均一化工程、
所定の励起波長範囲および所定の蛍光波長範囲で、照射する励起波長および観測する蛍光波長を段階的に変化させながら、前記測定対象物の蛍光強度を測定して、前記測定対象物の蛍光指紋情報を取得する蛍光指紋情報取得工程、および、
前記蛍光指紋情報取得工程にて取得した前記蛍光指紋情報に対して多変量解析を行い、当該多変量解析の結果に基づいて、前記測定対象物から前記危害要因を定量する危害要因定量工程、
を実行させ、
前記蛍光指紋情報取得工程にて、
前記均一化工程にて前記微粉砕に均一化された前記測定対象物の蛍光指紋情報を取得し、
更に、取得された前記蛍光指紋情報から目的とする蛍光指紋以外のノイズ情報を除去して、前記測定対象物に含まれる前記危害要因の特徴を表す蛍光指紋情報のみを抽出し、
前記危害要因定量工程にて、
抽出された前記蛍光指紋情報から得られる行列データを並び替えて、連続した1次元ベクトルに変更し、前記1次元ベクトルに変更された蛍光指紋情報に対して、前記多変量解析を行うことで前記危害要因の量を推定し、当該推定された前記危害要因の定量結果に基づいて、前記測定対象物から前記危害要因を定量することを特徴とする、プログラム。

【請求項16】
前記危害要因定量工程にて、
前記蛍光指紋情報に対して前記多変量解析としてPLS回帰分析を行うことで前記危害要因の量を推定し、当該推定された前記危害要因の定量結果に基づいて、前記測定対象物から前記危害要因を定量すること、
を特徴とする、請求項15に記載のプログラム。

【請求項17】
前記危害要因定量工程にて、
前記蛍光指紋情報に対して前記多変量解析として主成分分析を行い、当該主成分分析により得られた前記危害要因の主成分得点の分布に基づいて、前記測定対象物から前記危害要因を定量すること、
を特徴とする、請求項15に記載のプログラム。

【請求項18】
前記危害要因定量工程にて、
前記蛍光指紋情報に対して前記多変量解析として判別分析を行い、当該判別分析により得られた前記危害要因の判別スコアの分布に基づいて、前記測定対象物から前記危害要因を定量すること、
を特徴とする、請求項15に記載のプログラム。

【請求項19】
前記危害要因は、
カビ毒および/またはATPであること、
を特徴とする、請求項15から18のうちいずれか一つに記載のプログラム。

【請求項20】
前記カビ毒は、
デオキシニバレノール、ニバレノール、および、ゼアラレノンのうち少なくとも1つであること、
を特徴とする、請求項19に記載のプログラム。

【請求項21】
前記測定対象物は、
麦、トウモロコシ、食品残渣、および、微生物のうち少なくとも1つであること、
を特徴とする、請求項15から20のうちいずれか一つに記載のプログラム。

【請求項22】
前記測定対象物が粉体の場合、当該測定対象物を微粉砕に均一化する均一化工程、
を更に実行させ、
前記蛍光指紋情報取得工程にて、
前記均一化工程にて前記微粉砕に均一化された前記測定対象物の蛍光指紋情報を取得すること、
を特徴とする、請求項15から21のうちいずれか一つに記載のプログラム。
産業区分
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2011040398thum.jpg
出願権利状態 登録


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