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探針を用いたイオン化方法および装置,ならびに分析方法および装置 外国出願あり

国内特許コード P120007986
整理番号 P08-029R
掲載日 2012年10月4日
出願番号 特願2010-534854
登録番号 特許第5034092号
出願日 平成21年10月19日(2009.10.19)
登録日 平成24年7月13日(2012.7.13)
国際出願番号 JP2009068294
国際公開番号 WO2010047399
国際出願日 平成21年10月19日(2009.10.19)
国際公開日 平成22年4月29日(2010.4.29)
優先権データ
  • 特願2008-271954 (2008.10.22) JP
発明者
  • 平岡 賢三
出願人
  • 国立大学法人山梨大学
発明の名称 探針を用いたイオン化方法および装置,ならびに分析方法および装置 外国出願あり
発明の概要

大気圧下において導電性探針11の先端を試料に接触させて試料Sを捕捉し,試料を捕捉した探針11の先端に溶媒を供給しながら,探針11にエレクトロスプレーのための高電圧を印加して探針先端の試料Sの分子をイオン化する。探針先端に極少量の微細な溶媒液滴を供給し,緩慢なエレクトロスプレーを実現している。これにより,帯電液滴のサイズが微細化されて,試料中の成分が選択性なく,あまねく分析できるようになる。また,長い時間がかかるイメージングにおいて,試料が乾いてしまった場合でもエレクトロスプレーが可能となる。

従来技術、競合技術の概要


生体試料や,工業製品などを対象としたイメージング質量分析法は,大別して2つある。第1はマトリックス支援レーザ脱離イオン化法(MALDI),第2は,二次イオン質量分析法(SIMS)である。これらの方法は,たとえば次のような文献に記載されている。
“Imaging mass spectrometry:a new tool to investigate the spatial organization of peptides and proteins in mammalian tissue sections”Current Opinion in Chemical Biology 2002,6,676-681
“Direct molecular imaging of Lymnaea stagnalis nervous tissue at subcellular spatial resolution by mass spectrometry”Anal.Chem.2005,77,735-741
MALDIによる試料調製法の一例を挙げれば,生体試料を-18℃程度に冷却し,ステンレスブレードなどによって15μmの生体試料切片を作成する。これを電導性のフィルムに載せ,試料を乾燥させる。さらに試料表面にマトリックスを薄く塗布してMALDI試料とし,これを真空チャンバーに挿入し,MALDIを行う。また,ポリエチレンフィルム上に生体試料を載せ,フィルムの裏側からレーザ光を照射して高分子フィルムを瞬間的に加熱して,接触界面の細胞をフィルムに転写する方法(laser capture microdissection)などもある。試料の脱離イオン化には,主に337nmの窒素レーザが使用される。
これらの方法では,レーザ光のビーム径を数10μm以下に絞るのが困難で,またアブレーションが広域にわたるので,空間分解能は50μmが限界である。また,MALDIの最大の特色であるマトリックスを使用することで,イオンの検出感度が飛躍的に増大するが,他方では,試料に塗布するマトリックスの結晶サイズが100μm以上になることから,空間分解能が制約される。
SIMS法では,点光源に近い金属イオン源(Ga,Auなど)などが実用化され,μm以下の空間分解能が達成されている。しかしながら,イオンのエネルギーが大きく(10~20keV),入射イオンが試料に数100オングストロームの深さにわたって侵入し,試料が損傷を受ける。このため,生体試料など分解し易い試料からのイオンの収率が時間とともに急速に低下する。脱離する試料は表面近傍の分子に限られるので,生体関連試料に対するイオンの検出感度が低い。
この欠点を解消することを目的に,クラスターSIMSが開発されてきた。たとえば,金クラスターイオン(Au)やC60イオンを入射イオンとして用いると,二次イオンの脱離効率が急増することが明らかとなった。
しかしながら,一次イオンビーム電流が小さいこと,イオンビーム径が数μm以上になることなどから,μm以下の空間分解能を得ることが困難である。これらのSIMS法は,いずれも生体高分子等の高質量分子には適用が難しい。
以上述べたようなMALDIやSIMSによるイメージング技術が,近年,ライフサイエンスの分野で普及しつつある。しかしながら,これらの方法はその原理的な制約によってμm以下の分解能を得ることは困難である。したがって,従来のMALDIまたはSIMS法にいかなる改良を加えたとしても,これらを基本技術とする限り,μm以下の分解能を実現することは困難である。
他方,従来エレクトロスプレーまたはナノレーザスプレーでは,試料液体がキャピラリー先端で円錐状の形状をなし(テイラー(Taylor)コーンと呼ばれる),円錐状の先端から微細な帯電液滴が生成する。この液滴は,液体の粘性のために,マイクロメートルないしはサブマイクロメートル以下のサイズにすることは原理的に不可能である。これは,テイラーコーンの先端が電場の力で引きちぎられて液滴が発生する際,液体の粘性によってテイラーコーンの先端径が自動的にサブマイクロメートルのサイズになってしまうからである。このように,エレクトロスプレーで生成できる液滴サイズは,自然発生的に決まってしまい,更なる極小化は困難である。
また,従来のエレクトロスプレーでは,ナノ化に伴い(ナノエレクトロスプレー),キャピラリーの径を細くする必要があり,目詰まり等,多くの制約がある。スプレーも発生させにくいし,取り扱いが煩雑である。さらに従来のエレクトロスプレーでは,塩濃度が高くなると,スプレーが困難になり,またイオンの気相への脱離効率が激減する。したがって,生理食塩水など,150mM程度のNaCl水溶液などには適用が難しい。

産業上の利用分野


この発明は探針(プローブ)を用いた,特にエレクトロスプレーによる,イオン化方法および装置,ならびにイオン化分析方法および装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】 導電性探針の先端をステージ上の試料に接触させて試料の一部を捕捉し,
その後,上記探針を上記ステージ上の試料から離れる方向に移動させ,
試料の一部を捕捉しかつ上記ステージ上の試料から離れた上記探針の先端に加熱した溶媒の蒸気を供給し,上記探針にエレクトロスプレーのための高電圧を印加して上記探針先端の試料の分子をイオン化する,
イオン化方法。
【請求項2】 上記探針を試料の方向に近づけて上記探針を試料表面に接触させ,上記探針が試料表面に接触したところから上記探針を試料中の所定の深さまで侵入させる,請求項1に記載のイオン化方法。
【請求項3】 試料の捕捉に先だち,上記探針先端の表面を,所望の化合物を捕捉する分子で化学修飾する,
請求項1または請求項2に記載のイオン化方法。
【請求項4】 探針,
試料を保持する試料ステージ,
探針および試料ステージの少なくともいずれか一方を,これらが互いに接近離間する方向に移動させる変位装置,
少なくとも探針の先端が試料ステージから離れた位置において探針に高電圧を印加する電源装置,ならびに
少なくとも探針の先端が試料ステージから離れた位置において探針先端に加熱装置により加熱した溶媒の蒸気を供給する溶媒供給装置,
を備えたイオン化装置。
【請求項5】 探針先端が試料ステージ上の試料の表面に接触したことを検出する接触検出装置をさらに備え,
上記変位装置は,探針を相対的に試料ステージの方向に近づけ,探針先端が試料ステージ上の試料の表面に接触したことが上記接触検出装置によって検出されると,その検出された位置から探針を試料中の所定の深さまで侵入させるように変位させるものである,
請求項4に記載のイオン化装置。
【請求項6】 導電性探針の先端を試料に接触させて試料の一部を捕捉し,この後,
試料の一部を捕捉した上記探針の少なくとも先端部を真空中において冷却し,
冷却した上記探針先端部に溶媒ガスを吹き付け,上記探針にエレクトロスプレーのための高電圧を印加して上記探針先端の試料の分子をイオン化する,
イオン化方法。
【請求項7】 導電性探針の先端部の表面にマトリクスを塗布し,
マトリクスが塗布された上記探針先端を試料に接触させて試料を捕捉し,
試料を捕捉した上記探針の先端に上記マトリクスが吸収する波長のレーザ光を照射し,かつ上記探針にエレクトロスプレーのための高電圧を印加して,上記探針先端の試料の分子を離脱,イオン化する,
イオン化方法。
【請求項8】 試料から離れた位置にある上記探針の先端付近にレーザ光を照射して試料のイオン化を促進する,請求項1請求項2請求項3および請求項6のいずれか一項に記載のイオン化方法。
【請求項9】 請求項1請求項2請求項3および請求項6ないし請求項8のいずれか一項に記載のイオン化方法によりイオン化された分子を分析するイオン化分析方法。
【請求項10】 請求項4または請求項5に記載のイオン化装置と,イオン化された分子を分析する分析装置とを備えたイオン化分析装置。
【請求項11】 導電性探針の先端をステージ上試料の方向に近づけて上記探針先端を試料表面に接触させ,上記探針先端が試料表面に接触したところから上記探針先端を試料中の所定の深さまで侵入させてステージ上の試料の一部を捕捉し,
その後,上記探針を上記ステージ上の試料から離れる方向に移動させ,
試料の一部を捕捉しかつ上記ステージ上の試料から離れた上記探針の先端に溶媒を供給し,上記探針にエレクトロスプレーのための高電圧を印加して上記探針先端の試料の分子をイオン化する,
イオン化方法。
【請求項12】 探針,
試料を保持する試料ステージ,
探針および試料ステージの少なくともいずれか一方を,これらが互いに接近離間する方向に移動させる変位装置,
少なくとも探針の先端が試料ステージから離れた位置において探針に高電圧を印加する電源装置,
少なくとも探針の先端が試料ステージから離れた位置において探針先端に溶媒を供給する溶媒供給装置,ならびに
探針先端が試料ステージ上の試料の表面に接触したことを検出する接触検出装置を備え,
上記変位装置は,探針を相対的に試料ステージの方向に近づけ,探針先端が試料ステージ上の試料の表面に接触したことが上記接触検出装置によって検出されると,その検出された位置から探針を試料中の所定の深さまで侵入させるように変位させるものである,
イオン化装置。
【請求項13】 導電性探針の先端をステージ上試料の方向に近づけて上記探針先端を試料表面に接触させ,上記探針先端が試料表面に接触したところから上記探針先端を試料中の所定の深さまで侵入させてステージ上の試料の一部を捕捉し,
その後,上記探針を上記ステージ上の試料から離れる方向に移動させ,
上記探針にエレクトロスプレーのための高電圧を印加して上記探針先端の試料の分子をイオン化する,
イオン化方法。
【請求項14】 探針,
試料を保持する試料ステージ,
探針および試料ステージの少なくともいずれか一方を,これらが互いに接近離間する方向に移動させる変位装置,
少なくとも探針の先端が試料ステージから離れた位置において探針に高電圧を印加する電源装置,ならびに
探針先端が試料ステージ上の試料の表面に接触したことを検出する接触検出装置を備え,
上記変位装置は,探針を相対的に試料ステージの方向に近づけ,探針先端が試料ステージ上の試料の表面に接触したことが上記接触検出装置によって検出されると,その検出された位置から探針を試料中の所定の深さまで侵入させるように変位させるものである,
イオン化装置。
【請求項15】 請求項11または請求項13に記載のイオン化方法によりイオン化された分子分析するイオン化分析方法。
【請求項16】 請求項12または請求項14に記載のイオン化装置と,イオン化された分子を分析する分析装置とを備えたイオン化分析装置。
産業区分
  • 試験、検査
  • 電子管
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2010534854thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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