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触媒層形成用組成物、及び、触媒層の製造方法 UPDATE

国内特許コード P120008031
整理番号 13600
掲載日 2012年10月18日
出願番号 特願2011-042865
公開番号 特開2012-181961
登録番号 特許第5669201号
出願日 平成23年2月28日(2011.2.28)
公開日 平成24年9月20日(2012.9.20)
登録日 平成26年12月26日(2014.12.26)
発明者
  • 陳 進華
  • 浅野 雅春
  • 前川 康成
出願人
  • 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
発明の名称 触媒層形成用組成物、及び、触媒層の製造方法 UPDATE
発明の概要 【課題】低コストで高性能な電気化学デバイス用触媒層付電極の製造に好適な触媒層形成用組成物、及び、それを使用する触媒層の製造方法を提供する。
【解決手段】電気化学デバイスの触媒層付電極の触媒層形成に用いられる触媒層形成用組成物であって、イオン伝導性の導入が可能なビニルモノマー、金属微粒子の前駆体である金属化合物、及び、炭素担体を含むものであり、前記ビニルモノマーは、放射線照射により重合して、イオン伝導性ポリマーを形成するものであり、前記金属化合物は、放射線照射により還元されて、金属微粒子を形成するものであることとする。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


固体高分子形燃料電池などの電気化学デバイスの基本構成は、電気化学反応場としての負極と正極、及び負極と正極の間にある隔膜で成り立っている。



隔膜の高分子電解質膜としては、プロトン(水素陽イオン)伝導性交換膜が一般的であるが、近年、白金触媒の使用量低減を目的として水酸化物イオンなどのアニオン伝導性交換膜を用いる研究も盛んに行われている。



燃料電池は、燃料の化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換する発電装置なので、「負極」や「正極」は、一般電池の単純構造の電極板とは異なり、ガス拡散層の多孔性カーボンシートと、その表面に固定された触媒層とから成る反応プレートである。



燃料電池分野では、この様な構成の電極を一般電池の電極と区別するために「触媒層付電極」と呼称しているので、本明細書でもそれにならう。



反応プレートである「触媒層付電極」を2枚用意して、高分子電解質膜を挟んで熱プレスすれば、膜・電極接合体(Membrane Electrode Assembly, MEA)と呼ばれる基本単位が得られる(例えば、特許文献1を参照)。



また、高分子電解質膜の両面に触媒層のみが付加された構造体は、触媒層付膜(Catalyst Coated Membrane, CCM)と呼ばれている。この触媒層付膜CCMを多孔性カーボンシート2枚で挟んで熱プレスすれば、膜・電極結合体MEAが得られる。(例えば、特許文献2を参照)。



いずれの場合にも、膜・電極接合体MEAの構成は同じである。すなわち、多孔性カーボンシート/触媒層/高分子電解質膜/触媒層/多孔性カーボンシートの順に結合されたものである。



「触媒層」の構成を細かく見ると、イオン伝導性の電解質ポリマー、電気化学反応の触媒である金属微粒子、電子伝導性で触媒を担持するカーボンブラックの3者からなる。その作製方法は、一般的に、金属微粒子を担持するカーボンブラック、電解質ポリマー溶液、アルコール溶媒などを混ぜた「触媒ペースト」を、カーボンシートや高分子フィルムに塗布、乾燥して作る。



近年、電池メーカー、素材メーカーのみならず多方面で、触媒層の低コスト化や高性能化に向けて様々な研究が行われている。



触媒層の高性能化では、触媒層中に電気化学反応に必要な「三相界面」を形成することが重要である。「三相界面」とは、白金触媒などの固相に、電解質の液相、燃料ガスの気相が接触できる反応性の高い部位のことである。



このため、触媒ペーストに塩化ナトリウム粉を加えて塗布・乾燥して触媒層を形成した後に、水洗で塩化ナトリウム粉を溶出除去して「三相界面」になり易い細孔を形成する方法(例えば、特許文献3を参照。)などの改良製法が研究されている。



また、触媒層の高性能化では、耐久性を向上させることが重要であり、電解質ポリマー、プレポリマー、架橋助剤などを混ぜた触媒ペーストを、塗布した後、光照射で架橋固定して、流失を抑制する改良製法(例えば、特許文献4を参照。)や、フッ素系ポリマー基体の表面に、イオン伝導性基含有モノマーをグラフト重合して補強しつつ伝導性を高める方法(例えば、特許文献5~8を参照。)などの改良製法が研究されている。



他方、触媒層の低コスト化に関しては、触媒機能を維持しつつ貴金属微粒子の使用量を低減させる工夫が色々と研究されている。



たとえば、電解質ポリマーと炭素担体のペーストを塗布、成形した成形体を、白金系化合物(白金アンミン錯体塩化物)の水溶液に浸漬して吸着させてから、水素ガス中で還元して、担体表面にのみ集中的に白金触媒を分布させる方法などである。(例えば、特許文献9~10を参照。)
本発明の発明者らは、従来から放射線処理技術の産業応用に関して継続的に研究しており、近年は、上述の燃料電池用電極への応用について種々検討を重ねており、色々と研究成果を挙げている。



昨年の研究成果は、放射線照射により金属微粒子(触媒)を必要な部位で"その場"生成する技術を確立し、上記した触媒層の形成に応用するものであった。



具体的には、炭素担体、電解質ポリマー、金属前躯体、アルコール系溶媒、水からなる触媒層形成用組成物を炭素電極基材に塗布し、その炭素電極基材を電子線照射して、直接、触媒層付電極を簡便なプロセスで製造する方法であり、既に特許出願している。(特願2010‐001574号)
ただし、その触媒層形成用組成物には、高価で難溶解性の「パーフルオロスルホン酸系電解質ポリマー」が必須であるなど、作業性やコスト面で改良すべき点が幾つもあった。

産業上の利用分野


固体高分子形燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell、PEFC)などの電気化学デバイス用の触媒層形成用組成物、触媒層の製造方法、並びに、これにより得られた触媒層、触媒層付電極、膜・電極接合体、電気化学デバイスに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
電気化学デバイス用の触媒層付電極の触媒層形成に用いられ、基材に塗布した後に放射線照射して、“その場”で、イオン伝導性基を持つビニルポリマーであるイオン伝導性ポリマー、及び、触媒として機能する金属微粒子を形成して触媒層とするための触媒層形成用組成物であって、イオン伝導性の導入が可能なビニルモノマー、前記金属微粒子の前駆体である金属化合物、炭素担体、及び、分散溶媒を含むものであり、
前記ビニルモノマーは、前記放射線照射により重合して、前記イオン伝導性ポリマーを形成するものであり、
前記金属化合物は、前記放射線照射により還元されて、前記金属微粒子を形成するものであり、
前記分散溶媒は、水とアルコールとの混合溶媒である
ことを特徴とする触媒層形成用組成物。

【請求項2】
前記イオン伝導性の導入が可能なビニルモノマーは、スルホン酸スチレンとその誘導体、アクリル酸とその誘導体、ビニルスルホン酸とその誘導体、全フッ素化ビニルスルホン酸とその誘導体、からなるカチオン系ビニルモノマー群の中から選択される1種類または2種類以上のビニルモノマーであることを特徴とする請求項1に記載の触媒層形成用組成物。

【請求項3】
前記イオン伝導性の導入が可能なビニルモノマーは、トリメチルアンモニウムメチルスチレンクロライド、トリエチルアンモニウムスチレンクロライド、ジメチルビニルベンジルアミン、メタクリル酸2-(ジメチルアミン)エチル、アンモニウム基を有するスチレン誘導体、2級または3級アミン基を有するスチレン誘導体、2級または3級アミン基を有するアクリル酸誘導体、からなるアニオン系ビニルモノマー群の中から選択される1種類または2種類以上のビニルモノマーであることを特徴とする請求項1に記載の触媒層形成用組成物。

【請求項4】
電気化学デバイス用の触媒層付電極の触媒層の製造方法であって、請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の触媒層形成用組成物を、基材表面に塗布してから放射線を照射して、基材表面に、前記触媒層形成用組成物に含まれるビニルモノマーからイオン伝導性ポリマーを形成し、また、金属化合物から金属微粒子を形成して触媒層を製造することを特徴とする触媒層の製造方法。

【請求項5】
基材が多孔性カーボンシートであることを特徴とする請求項4に記載の触媒層の製造方法。

【請求項6】
基材が高分子フィルムであることを特徴とする請求項4に記載の触媒層の製造方法。

【請求項7】
請求項4から6のうちのいずれか一項に記載の製造方法により得られたものであることを特徴とする触媒層。

【請求項8】
請求項7に記載の触媒層が少なくともその構成の一部とされていることを特徴とする電気化学デバイス用の触媒層付電極。

【請求項9】
請求項8に記載の触媒層付電極が少なくともその構成の一部とされていることを特徴とする電気化学デバイス。

【請求項10】
請求項5の製造方法で得られた触媒層付多孔性カーボンシートを電極として、高分子電解質膜の両面に接合してなることを特徴とする膜・電極接合体。

【請求項11】
請求項6の製造方法で得られた触媒層付高分子フィルムを高分子電解質膜の両面に転写して触媒層を転写することで形成されたことを特徴とする触媒層付高分子電解質膜。

【請求項12】
請求項11の触媒層付高分子電解質膜の両面に多孔性カーボンシートを接合してなることを特徴とする膜・電極接合体。

【請求項13】
請求項10または12の膜・電極接合体を含むことを特徴とする高分子形燃料電池。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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