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リン酸カルシウム系多孔質焼結体およびその製造方法

国内特許コード P010000309
掲載日 2002年9月30日
出願番号 特願平11-105579
公開番号 特開2000-302567
登録番号 特許第3400740号
出願日 平成11年4月13日(1999.4.13)
公開日 平成12年10月31日(2000.10.31)
登録日 平成15年2月21日(2003.2.21)
発明者
  • 井村 浩一
  • 上本 英雄
  • 北條 顯道
  • 田中 順三
  • 菊池 正紀
  • 末次 寧
  • 山崎 拓
  • 木下 雅実
  • 蓑輪 信昭
出願人
  • 国立研究開発法人物質・材料研究機構
  • クアーズテック株式会社
発明の名称 リン酸カルシウム系多孔質焼結体およびその製造方法
発明の概要 【課題】 機械的強度が十分で、生体親和性が高く、大半の気孔が満遍なく連通状態にあり、かつ気孔内に骨芽細胞等が侵入しやすい多孔質構造を持つリン酸カルシウム系多孔質焼結体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 焼結体の気孔率が55%以上90%以下であり、球状の気孔がほぼ全体にわたって連通しており、気孔間の連通部分の平均的な直径が50μm以上であり、気孔径が150μm以上であり、焼結体の三点曲げ強さが5MPa以上であるリン酸カルシウム系多孔質焼結体とその製造方法。
従来技術、競合技術の概要


歯科、脳外科、形成外科、整形外科などで、人工骨、人工歯、骨類の補填などに用いられる材料(以下「骨補填材」という)としては、毒性がなく、機械的強度が十分で、生体組織と親和性が高く結合しやすいと共に、生体内で自然に消滅し、新生骨と自然に置きかえられるものが好ましい。
このような観点から、リン酸カルシウム化合物からなる多孔質構造の骨補填材が用いられる。
多孔質構造を持つ骨補填材の製造方法として、原料粉末と熱分解物質を混合し、所定の形状に成形した後、加熱して熱分解物質の除去と原料粉末の焼結を行う方法が知られている(特開昭60-21763号公報、特開昭60-16879号公報)。
しかしながら、これらの従来公知の製造方法では、気孔を形成するために添加した熱分解物質が必ずしも満遍なく接触するとは限らず、したがって、形成された気孔の大部分は独立した気孔となり易い。また、形成された隣接気孔同士が接しており、連続していたとしても、各気孔の連通する部分(以下「連通部」又は「連通部分」という)の断面積が小さくなる。このような気孔構造では、生体内に補填しても、各気孔内に満遍なく骨生成に必要な細胞(骨芽細胞等)を侵入させることが困難である。
そこで、連通部の断面積を大きくする目的で、可燃性の球状粒子の表面をバインダーで被覆し、この粒子の集合物を成形型内に収納して加圧し、各粒子の表面部分とその周囲に隣接配置される他の粒子の表面とを接触固定した後、同粒子間に存在する隙間部分に、リン酸カルシウム系粉末を懸濁させたスラリーを充填し、これを乾燥して、固化した後、加熱して、可燃性の球状粒子およびバインダーを熱分解して除去し、しかる後、焼結する方法が知られている(特開平7-291759号公報)。
この方法で製造される多孔質構造の骨補填材は、十分な連通部の断面積を持っている。
しかしながら、可燃性の球状粒子を加圧により接触固定する方法において、加圧する圧力を制限し、スプリングバックによる多孔質構造の破壊については、一応考慮はされているものの、乾燥時に固定された可燃性球状粒子の寸法変化はほとんど生じないにもかかわらず、スラリーから水分が除かれ粉体の充填状態が変化する際に大きな収縮が生じるために、多孔質体を構成する骨格部分に破壊が生じ易いという問題は考慮されていない。
さらに、固定された可燃性球状粒子が熱分解され除去されるに至る温度上昇過程において固定された可燃性球状粒子は大きな熱膨張を起こすが、原料粉末の充填体からなる多孔質体を構成する骨格部分にはあまり熱膨張が生じず、そのため、熱膨張差が大きくなり、その結果、多孔質体を構成する骨格部分に破壊が生じ易いという問題も、考慮されていない。
さらに、可燃性球状粒子やバインダーが熱分解する際に大量のガスが発生し、外部に逃げ切れず、その圧力によって多孔質体の内部に亀裂が生じるという問題についても考慮されていない。
それゆえ、このような従来方法では、十分な機械的強度を発現することは困難である。

産業上の利用分野


本発明は、骨や歯の置換材、修復材、薬剤徐放性基材、骨もしくは軟骨組織等の培養容器あるいは誘導容器として利用できるリン酸カルシウム系多孔質焼結体とその製造方法に関し、さらに詳しくは、生体との親和性や骨形成に必要な細胞侵入性、強度などの特性が優れている多孔質構造を持つリン酸カルシウム系多孔質焼結体とその製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
多孔質構造を有するリン酸カルシウム系の焼結体において、焼結体の気孔率が55%以上90%以下であり、球状の気孔がほぼ全体にわたって連通しており、気孔間の連通部分の平均的な直径が50μm以上であり、かつ、気孔径が150μm以上であり、焼結体の三点曲げ強さが5MPa以上であることを特徴とするリン酸カルシウム系多孔質焼結体。

【請求項2】
リン酸カルシウム系多孔質焼結体の骨格部分が概略緻密化したリン酸カルシウム系焼結体からなり、その表面部分が微細な凹凸もしくはリン酸カルシウム系の多孔質焼結体より成る層を有し、リン酸カルシウム系多孔質焼結体の比表面積が0.1m2/g以上であることを特徴とする、請求項1記載のリン酸カルシウム系多孔質焼結体。

【請求項3】
リン酸カルシウム系多孔質焼結体が、CaHPO4、Ca3(PO4)2、Ca5(PO4)3OH、Ca4O(PO4)2、Ca10(PO4)6(OH)2、CaP411、Ca(PO3)2、Ca227、Ca(H2PO4)2、Ca227、Ca(H2PO4)2<HAN>・</HAN>H2Oからなる1群の化合物の1種以上を主成分とすることを特徴とする請求項1又は2記載のリン酸カルシウム系多孔質焼結体。

【請求項4】
Caの成分の一部が、Sr、Ba、Mg、Fe、Al、Y、La、Na、K、Ag、Pd、Zn、Pb、Cd、H、および、この他の希土類から選ばれる一種以上で置換され得るものであり、また、(PO4)成分の一部が、VO4、BO3、SO4、CO3、SiO4から選ばれる一種以上で置換され得るものであり、さらに、(OH)成分の一部が、F、Cl、O、CO3、I、Brから選ばれる一種以上で置換され得るものであることを特徴とする請求項3記載のリン酸カルシウム系多孔質焼結体。

【請求項5】
リン酸カルシウム系多孔質焼結体が、リン酸カルシウムからなり、結晶体、同型固溶体、置換型固溶体、侵入型固溶体のいずれかであり、非化学量論的欠陥を含み得るものであることを特徴とする請求項1又は2記載のリン酸カルシウム系多孔質焼結体。

【請求項6】
リン酸カルシウム系粉末および架橋重合により硬化し得る有機物質を溶媒に分散または溶解させたスラリーを調整する工程と、このスラリーに起泡剤を添加し撹枠および気体導入の両方または一方により所定の容積まで起泡し、泡沫状態のスラリーとする工程と、泡沫状態のスラリーに架橋剤および架橋開始剤の両方または一方を添加して混合し、型内に導入して架橋重合により硬化し成形体とする工程と、この成形体を乾燥して焼結する工程を具備することを特徴とするリン酸カルシウム系多孔質焼結体の製造方法。

【請求項7】
架橋重合により硬化し得る有機物質が、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、またはポリプロピレンイミンのアミノ基を含む線状、分枝状、またはブロック状の形態を有するポリマーであり、架橋剤が、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グルセロールポリグリシジルエーテル、又はポリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルのエポキシ基を2以上持つエポキシ化合物であることを特徴とする請求項6記載のリン酸カルシウム系多孔質焼結体の製造方法。

【請求項8】
リン酸カルシウム系多孔質焼結体の骨格部分の表面を酸によりエッチングし、骨格部分の表面に微細な凹凸を設けることを特徴とする請求項6または7記載のリン酸カルシウム系多孔質焼結体の製造方法。

【請求項9】
酸によるエッチング工程が、酸流路内に流路を遮るように設置されたリン酸カルシウム系多孔質焼結体の気孔内に酸を流通させる工程から成ることを特徴とする、請求項8記載のリン酸カルシウム系多孔質焼結体の製造方法。

【請求項10】
リン酸カルシウム系多孔質焼結体の、概略緻密化したリン酸カルシウム系焼結体より成る骨格部分の表面に、リン酸カルシウム系粉末を含むスラリーを付着させ、乾燥し、焼結して、リン酸カルシウム系多孔質焼結体の骨格部分の表面に概略緻密質のリン酸カルシウム系焼結体の層を設けることを特徴とする、請求項6~9のいずれか1項に記載のリン酸カルシウム系多孔質焼結体の製造方法。

【請求項11】
リン酸カルシウム系多孔質焼結体の、概略緻密化したリン酸カルシウム系焼結体より成る骨格部分の表面に、リン酸カルシウム系粉末を含むスラリーを付着させ、乾燥し、焼結して、リン酸カルシウム系多孔質焼結体の骨格部分の表面に多孔質のリン酸カルシウム系焼結体の層を設けることを特徴とする、請求項6~10のいずれか1項に記載のリン酸カルシウム系多孔質焼結体の製造方法。

【請求項12】
リン酸カルシウム系粉末が、CaHPO4、Ca3(PO4)2、Ca5(PO4)3OH、Ca4O(PO4)2、Ca10(PO4)6(OH)2、CaP411、Ca(PO3)2、Ca227、Ca(H2PO4)2、Ca227、Ca(H2PO4)2<HAN>・</HAN>H2Oからなる1群の化合物の1種以上を主成分とすることを特徴とする請求項6乃至11のいずれか1項に記載のリン酸カルシウム系多孔質焼結体の製造方法。

【請求項13】
Caの成分の一部が、Sr、Ba、Mg、Fe、Al、Y、La、Na、K、Ag、Pd、Zn、Pb、Cd、H、および、この他の希土類から選ばれる一種以上で置換され得るものであり、また、(PO4)成分の一部が、VO4、BO3、SO4、CO3、SiO4から選ばれる一種以上で置換され得るものであり、さらに、(OH)成分の一部が、F、Cl、O、CO3、 I、Brから選ばれる一種以上で置換され得るものであることを特徴とする請求項12記載のリン酸カルシウム系多孔質焼結体の製造方法。

【請求項14】
リン酸カルシウム系粉末が、リン酸カルシウムからなり、結晶体、同型固溶体、置換型固溶体、侵入型固溶体のいずれかであり、非化学量論的欠陥を含み得るものであることを特徴とする請求項6乃至11のいずれか1項に記載のリン酸カルシウム系多孔質焼結体の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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