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光分解性ヘテロ二価性架橋剤 コモンズ

国内特許コード P120008064
掲載日 2012年10月26日
出願番号 特願2011-188009
公開番号 特開2012-072394
登録番号 特許第5721228号
出願日 平成23年8月30日(2011.8.30)
公開日 平成24年4月12日(2012.4.12)
登録日 平成27年4月3日(2015.4.3)
優先権データ
  • 特願2010-195079 (2010.8.31) JP
発明者
  • 山口 和夫
出願人
  • 学校法人神奈川大学
発明の名称 光分解性ヘテロ二価性架橋剤 コモンズ
発明の概要 【課題】(1)リビングラジカル重合によるポリマー伸長が可能であること;(2)固体基板表面の官能基との結合が可能であること;(3)光照射によるパターニングが可能であること;を具備する新規な架橋剤を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の光分解性ヘテロ二価性架橋剤は、リビングラジカル重合の開始基と、反応性基(但し、前記開始基を除く)とが光分解性基を介して連結されてなり、下記化学式1で表される点に特徴を有する。



式中、Iは開始基を表し、Rは反応性基を表し、Dは光分解性基を表し、S-S及びS-Sはスペーサーを表し、n及びmはそれぞれ独立して0又は1である。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


固体基板上の表面化学を制御することは、材料化学の分野において根本的に重要な問題である。例えば、近年、生体膜表面で起こる高度な分子識別機構をセンシングや分離などの技術に応用するために、固体基板上に生体膜を模擬した界面を自在に形成する手法の確立が求められており、この際、固体基板上の表面化学をいかに制御するかが課題となっている。



固体基板上の表面化学を制御する方法としては、当該基板の表面を自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayer:SAM)、ポリマー薄膜、ポリマーブラシなどで修飾する方法がよく知られている。SAMは、分子配向性に優れ、調製が容易なことから広く研究されている。また、ポリマーブラシは、SAMと類似の特性を示すだけでなく、表面被覆率、膜厚、組成、官能基密度、安定性などの点でSAMより優れた特性を示しうる。しかしながら、SAMと比べて調製法がより困難であるという欠点も有する。



ポリマーブラシの化学的調製法は、予め合成したポリマーの末端基を基板表面の官能基と反応させることにより基板表面にポリマーを固定させる「grafting to」法と、基板表面に化学的に固定された重合開始基からの重合反応によってポリマーを伸長させる「grafting from」法の二つに大別される。前者の方法では、基板表面へのポリマーの固定化反応が進むにつれ、既に基板表面に固定されたポリマーが障害となって新たなポリマーが基板表面の官能基に到達しにくくなる。よって、基板表面に高濃度の(多くの)ポリマーを固定することが困難であるという問題点を有する。一方、後者の方法では、基板表面に固定された重合開始基から順次モノマーが重合するために、前者の方法で生じるような立体障害の問題が起こりにくく、高濃度のポリマーを固定化することが可能である。



当該「grafting from」法に用いる重合方法として、リビングラジカル重合が注目されている。リビングラジカル重合法は、従来のラジカル重合では実現困難であった分子量と分子量分布を制御できる方法であり、適用できるモノマーも広範囲である。



近年、このようなリビングラジカル重合を用いるポリマーブラシの調製方法が数多く報告されている。また、リビングラジカル重合を用いたポリマーの伸長により、従来では得られなかった濃厚ポリマーブラシが膜厚を制御した薄膜として得られるようになり、その基礎的研究及び応用研究が盛んに行われている。応用研究の例としては、刺激応答性表面、細胞接着性表面、タンパク質の結合支持体、クロマトグラフィーの支持体、抗バクテリアコート剤、低摩擦表面に関する研究が挙げられる(非特許文献1及び非特許文献2を参照)。



さらに、ポリマーブラシのパターニングについての研究もいくつかなされている。パターニングの方法としては、半導体の加工に用いるフォトレジスト及び用いた一般的なフォトリソグラフィー、遠紫外リソグラフィー、マイクロコンタクトプリンティングなどが報告されている(非特許文献1及び非特許文献2を参照)。



本発明者は、自己組織化単分子膜の出発原料であるシランカップリング剤や、チオール又はジスルフィド化合物に光切断可能な2-ニトロベンジル誘導体を導入した化合物の合成とそれを用いた感光性SAMの開発に従事してきた。その中で、基板表面と反応するシリル基;アミンと反応する活性カルボナート基;及びチオールと反応するマレイミド基;の3種の反応性基のうちの、2種の反応性基が、光切断可能な2-ニトロベンジル誘導体で連結された光分解性ヘテロ二価性架橋剤を提案している(特許文献1を参照)。当該光分解性ヘテロ二価性架橋剤を用いると、光分解性基で連結されたアミンやチオールと反応するSAMを調製したり、光分解性ブロック共重合体の合成に応用したりすることができる。



また、活性カルボナートやマレイミドを末端に持つ光分解性基で連結したジスルフィドを用いると、金や銀などの基板上あるいはそれらの微粒子上に、アミンやチオールと反応するSAMを形成することが可能である(特許文献2を参照)。



さらに、最近、ポリエチレングリコールとリビングラジカル重合の開始基とを間に光分解性基を有する化合物の合成が報告されている。そして、当該化合物の開始基にモノマーであるスチレンを反応させ、ポリエチレングリコールとポリスチレンとが光分解性基を介して連結されてなるブロック共重合体を合成している(非特許文献3を参照)。

産業上の利用分野


本発明は光分解性ヘテロ二価性架橋剤に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
リビングラジカル重合の開始基と、反応性基(但し、前記開始基を除く)とが光分解性基を介して連結されてなる、下記化学式1
【化1】


式中、Iは開始基を表し、Rは反応性基を表し、Dは光分解性基を表し、S-S及びS-Sはスペーサーを表し、n及びmはそれぞれ独立して0又は1である。
で表される光分解性ヘテロ二価性架橋剤であって;
前記光分解性基が下記化学式2:
【化2】


(式中、Rは水素原子、炭素原子数1~8のアルキル基、又は置換されたもしくは非置換のフェニル基を表し、Rは水素原子又は炭素原子数1~8のアルコキシ基を表す。)
で示される基のうちのいずれか1種であり;
前記開始基が下記化学式3、化学式4、化学式5、又は化学式6:
【化3】


(式中、Rは水素原子又はメチル基を表す。)
【化4】


(式中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1~8のアルキル基を表し、Xは臭素原子又は塩素原子を表す。)
【化5】


【化6】


で表され;
前記反応性基が、ヒドロキシ基、ビニル基、エチニル基、アジド基、活性エステル基、マレイミド基、加水分解性シリル基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、ジスルフィド基、及びスルホ基からなる群から選択される少なくとも1種を含み;
下記化学式1中、S






が、-O-、-C(O)O-、-OC(O)O-、-NH-、-C(O)NH-、-OC(O)NH-、-S-、-C(O)S-、-OC(O)S-からなる群から選択される少なくとも1種を表し、







が、-O-を表し、







及びS






が、それぞれ独立して、アミド結合、イミド結合、エーテル結合、エステル結合、チオエーテル結合、もしくはスルホンアミド結合を有してもよい炭素原子数1~20のアルキレン基からなる群から選択される少なくとも1種を表す;光分解性ヘテロ二価性架橋剤。

【請求項2】
請求項1に記載の光分解性ヘテロ二価性架橋剤の反応性基と、基板表面の官能基とが結合されてなる、ポリマーブラシ形成用基板。
産業区分
  • その他無機化学
  • 有機化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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