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プラスミド除去用組み換えプラスミドおよびその利用

国内特許コード P120008100
整理番号 10175
掲載日 2012年10月29日
出願番号 特願2011-155056
公開番号 特開2013-017442
登録番号 特許第5818312号
出願日 平成23年7月13日(2011.7.13)
公開日 平成25年1月31日(2013.1.31)
登録日 平成27年10月9日(2015.10.9)
発明者
  • 山本 真司
  • 鈴木 克周
出願人
  • 国立大学法人広島大学
発明の名称 プラスミド除去用組み換えプラスミドおよびその利用
発明の概要 【課題】アグロバクテリア菌内のTiプラスミドまたはRiプラスミドの除去効率が高く、かつ生育抑制または細胞死に至ることが少ないプラスミド除去用組み換えプラスミド、プラスミドの除去方法、および、当該プラスミド除去用組み換えプラスミドを利用する遺伝子組み換え用アグロバクテリア菌の作成方法を提供する。
【解決手段】プラスミド除去用組み換えプラスミドは、野生型アグロバクテリア菌が持つ複製遺伝子と不和合性を示す複製遺伝子と、プラスミド安定化遺伝子と、感受性遺伝子とを含有することを特徴とする。好ましくは、当該プラスミド安定化遺伝子は、トキシン-アンチトキシンシステムを構成する遺伝子である。
【選択図】図4
従来技術、競合技術の概要


作物の耐性を増したり、貯蔵性または薬効成分の付与等の目的で、植物に組み換え遺伝子を導入し、遺伝子組み換え植物を作成する技術が頻用されている。アグロバクテリア菌(Agrobacterium tumefaciens(別名Rhizobium radiobacter)等の細菌)は、遺伝子を植物細胞核に輸送する機能を有するため、遺伝子組み換え植物を作成する主要な技術に必要不可欠な細菌である。アグロバクテリア菌は、根頭癌腫病菌および毛状根病菌として自然界から多数分離・保管されている。これらの菌は、種々の宿主範囲を有し、特定の植物種に高い感染・病徴誘導能を持つものも知られている。しかし、採取・保管された野生型アグロバクテリア菌の菌株の大部分は、遺伝子組み換えに使われていない。



一般的に、アグロバクテリア菌を用いて外来遺伝子を植物に組み込む方法には、バイナリーベクター法が用いられている。図1は、バイナリーベクター法でのアグロバクテリア菌を用いて外来遺伝子を植物に組み込む方法の概念を示す図である。なお、例として、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)の場合を示す。



図1に示すように、まず、野生型アグロバクテリア菌(a)がもつ病原プラスミドAを、植物への感染に必須であるvir領域を保持させたままで、全T-DNA領域(LBとRBとその内部領域を含む)を除去したプラスミドA’に改変する(b)。次に、大腸菌と野生型アグロバクテリア菌との両方で複製可能な小型プラスミドの境界領域(LBとRB)の中に所要のDNAを組み込んでT-DNA領域としたプラスミドBを導入する(c、d)。このように作成した当該アグロバクテリア菌を植物に感染させると、プラスミドA’にあるvir領域の働きで、プラスミドBのT-DNA領域を植物に導入することが可能となる(e)。



バイナリーベクター法において、遺伝子組み換え植物を作成するためのアグロバクテリア菌は、腫瘍形成の主体であるTiプラスミド、または、毛状根形成の主体であるRiプラスミドを改変し、病原発現遺伝子を含むT-DNA領域が除去されている必要がある。植物に感染し、細胞核にDNAを注入する機能領域は有するが、このようなT-DNA領域が除去された菌株を作成することは容易ではない。従って、遺伝子組み換え植物の作成に利用されるアグロバクテリア菌株の数は少ない。



病原性アグロバクテリア菌の菌株を用い、遺伝子組み換え植物を作成できるように改変する有力な方法として、野生型アグロバクテリア菌が有するTiプラスミドまたはRiプラスミドをいったん除去し、既に加工しておいたvir領域を有するがT-DNA領域は除去されているTiプラスミドを導入する、という方法が開発された(非特許文献1参照)。



TiプラスミドまたはRiプラスミドを除去する手段において、不和合性を用いたプラスミド除去法の場合であれば、除去効率が高く染色体DNAへの影響も少ない(特許文献1参照)。図2は、不和合性を用いるTiプラスミド除去法を示す図である。図2に示すように、TiプラスミドAと同じ複製遺伝子、薬剤耐性遺伝子(カナマイシン耐性遺伝子またはゲンタマイシン耐性遺伝子等)、および、ショ糖感受性遺伝子等を含むTi除去用プラスミドCを、大腸菌(a)を介し、野生型アグロバクテリア菌(b)に接合導入する。このように得られるカナマイシンまたはゲンタマイシン、および、リファンピシン耐性等を持つ接合体細胞(c)のうち、Tiプラスミドを失ったアグロバクテリア菌を、オパインの資化性またはハイブリダイゼーション法等により選別する。



TiプラスミドAを失い、Ti除去用プラスミドCをもっているアグロバクテリア菌(d)を、高濃度ショ糖添加寒天培地に塗布、培養し、Ti除去用プラスミドを失った細胞を選別することで、プラスミドの無いアグロバクテリア菌(e)を得ることができる。なお、同様の方法にてRiプラスミドを除去することも可能である。



しかしながら、TiプラスミドまたはRiプラスミドは、アグロバクテリア菌内で安定に維持する複製機構と共に、当該プラスミドの脱落を妨げるプラスミド安定化遺伝子を有するものが多いため、前述したような方法を用いてもプラスミドを除去することができない菌株が存在することが明らかとなった(非特許文献2参照)。



安定なTiプラスミドまたはRiプラスミドの中には、複製遺伝子とは別に、プラスミド安定化遺伝子であるトキシン-アンチトキシン遺伝子を持つものがあることもわかっている(非特許文献2および非特許文献3参照)。図3は、トキシン-アンチトキシン遺伝子によるプラスミド安定化メカニズムの一例を示す図である。図3に示すように、細胞内に存在するトキシン-アンチトキシン遺伝子を含むプラスミドDは、細胞内において安定な毒性タンパク質と不安定な無毒化タンパク質とを発現しており、毒性タンパク質の毒性は無毒化タンパク質により抑制されている(a)。



しかし、プラスミドが脱落した細胞では不安定な無毒化タンパク質は速やかに分解される。その一方で、安定な毒性タンパク質が細胞内に残存して毒性を発揮するため、生育抑制または細胞死が引き起こされる(b)。結果として、プラスミドを失った細胞は生育できず、プラスミドを維持している細胞のみが生育することになる。また、細胞死に至らずとも、毒性タンパク質の作用で生育が強く抑制を受けた細胞では遺伝子の変異率が上昇することが示唆されている(非特許文献2および非特許文献3参照)。

産業上の利用分野


本発明は、アグロバクテリア菌を用いる遺伝子組み換えに利用される、プラスミド除去用組み換えプラスミド、プラスミドの除去方法、および、遺伝子組み換え用アグロバクテリア菌の作成方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
野生型アグロバクテリア菌のTiプラスミドまたはRiプラスミドが持つrepABC複製遺伝子と系統的に近縁または同一の複製遺伝子と、アグロバクテリア菌内においてトキシン-アンチトキシンシステムを構成する遺伝子と、感受性遺伝子とを含有し、
前記アグロバクテリア菌内においてトキシン-アンチトキシンシステムを構成する遺伝子は、アンチトキシン遺伝子のみからなることを特徴とする、プラスミド除去用組み換えプラスミド。

【請求項2】
記アンチトキシン遺伝子は、tiorf24、および/または、ietAであることを特徴とする、請求項に記載のプラスミド除去用組み換えプラスミド。

【請求項3】
さらに、薬剤耐性遺伝子を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のプラスミド除去用組み換えプラスミド。

【請求項4】
以下(a)またはb)の塩基配列を含有することを特徴とする、請求項1ないしのいずれか1項に記載のプラスミド除去用組み換えプラスミド。
(a)配列番号1ないし3のいずれかに記載の塩基配列。
(b)配列番号1ないし3のいずれかに記載の塩基配列に相補的な塩基配列

【請求項5】
請求項1ないしのいずれか1項に記載のプラスミド除去用組み換えプラスミドを、アグロバクテリア菌に導入する工程を含むことを特徴とする、プラスミドの除去方法。

【請求項6】
請求項1ないしのいずれか1項に記載のプラスミド除去用組み換えプラスミドを、アグロバクテリア菌に導入する工程と、
前記プラスミド除去用組み換えプラスミドを前記アグロバクテリア菌から脱落させる工程と、
を含むことを特徴とする、遺伝子組み換え用アグロバクテリア菌の作成方法。

【請求項7】
前記アグロバクテリア菌は、アグロバクテリウム・ツメファシエンス菌、アグロバクテリウム・リゾゲネス菌、アグロバクテリウム・ビティス菌、アグロバクテリウム・ルビー菌またはアグロバクテリウム・ラリームレイ菌のいずれかであることを特徴とする、請求項に記載の遺伝子組み換え用アグロバクテリア菌の作成方法。
産業区分
  • 微生物工業
  • 農林
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2011155056thum.jpg
出願権利状態 登録


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