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和周波発生分光装置及び和周波発生分光法

国内特許コード P120008121
整理番号 05028
掲載日 2012年11月1日
出願番号 特願2005-251718
公開番号 特開2007-064809
登録番号 特許第4719879号
出願日 平成17年8月31日(2005.8.31)
公開日 平成19年3月15日(2007.3.15)
登録日 平成23年4月15日(2011.4.15)
発明者
  • 石橋 孝章
  • 大西 洋
出願人
  • 国立大学法人広島大学
  • 国立大学法人神戸大学
発明の名称 和周波発生分光装置及び和周波発生分光法
発明の概要

【課題】芳香環等の共役系をもつ分子種を分析できるようにし、測定分野の一層大幅な拡大を可能にする和周波発生分光装置および分光方法を提供する。
【解決手段】単一のレーザー光源の基本波の分割波から広帯域赤外光を作製する赤外光作製手段と、残りの分割波を二分し逆方向にチャープさせた後合成して倍波を発生させて狭帯域可視光を作製する狭帯域可視光作製手段と、狭帯域可視光作製手段からの狭帯域可視光を光パラメトリック発振させて狭帯域可視光の波長を可変する波長可変手段と、狭帯域可視光から倍波発生等の非線形光学効果によって狭帯域紫外光を作製する狭帯域紫外光作製手段と、広帯域赤外光と狭帯域紫外光作製手段からの狭帯域紫外光を試料の表面または界面に集光させて広帯域和周波光を発生させる和周波光発生手段と、発生した広帯域和周波光の分光手段と、分光された和周波光を実質的に同時に計測する計測手段とを有する。
【選択図】 図1

従来技術、競合技術の概要


赤外光-可視光を混合して発生する和周波光を利用して試料の表面や界面に存在する分子の振動を計測する和周波発生(以下、「SFG」と略称することもある。)分光法は、Shenらによって1987年に開発された。このSFG分光法は原理的に界面選択性を有するうえに、時間分解測定への展開可能性において他手法を凌駕するが、得られる信号強度が微弱であるという問題を抱えており、それに伴って感度が不十分になることがあるという問題や、測定可能な対象が限られるという問題も生じている。Shenらによる開発当初の測定法は、単色の可視光と赤外光とから発生する単色の和周波光を赤外光波数を変化させながら一個の検出器で検出する方法であった(シングルチャンネル和周波分光法)。



1990年代後半に入ってから、SFG分光法における感度向上をめざした技術開発が行われた。まず、van der Hamらは1996年に、自由電子レーザーから射出される、より強い赤外光を入射光に利用してSFG光感度を高めた。このときには、赤外光は広帯域であり、波数幅80cm-1のスペクトルを位相整合条件を利用して分光器を用いることなくマルチプレックス計測している。この方法では、確かにSFG強度は増大し、かつ、遠赤外光を利用した低波数領域の分光も可能になるが、その一方で、大規模な自由電子レーザー施設を使わねばならないこと、および、自由電子レーザーによる赤外光と、別途準備する可視レーザー光とを同期させなければならないため、装置全体が複雑化するという欠点をもっている。



このような自由電子レーザー光を用いる方法に対し、1998年にRichterらによって新しい方法が提案された。この方法は、単一の卓上型レーザー光源から得られるパルス光を分割して波数幅の広い広帯域赤外光と波数幅の狭い狭帯域可視光とを作り出し、それらから広帯域SFG光を発生させるマルチプレックスSFG分光法である。本方法は、レーザーパルス強度の変動(通常、±20%程度)が惹起するSFGスペクトルの雑音(歪み)を除去する利点をもっている。つまり、単一の卓上型レーザー光源からのレーザー光を分割して広帯域赤外光と狭帯域可視光を作製しているので、レーザーパルスごとの強度変動が全波数域の和周波光強度に等しく影響することとなり、スペクトルのS/N比の悪化を防止することができる。Richterらは、フェムト秒レーザーの広帯域出力から広帯域赤外光を発生させるとともに、同レーザーの可視光出力を分光器によって切り出し狭帯域化する方法で、波数幅380cm-1にわたるSFGスペクトルを同時計測することに成功した。これは、SFG分光法におけるマルチプレックス計測法の優位性を実証した最初の例である。本発明者らは、このRichterらが開発した卓上型レーザーを光源とするマルチプレックス法が、優れたS/N比にて広範囲な対象に対して測定可能であることから、将来的にSFG測定の標準的手法になるものと推測している。



そこで本発明者らは、このRichterらが開発した卓上型レーザーを光源とするマルチプレックス法をさらに高機能化した装置および方法を提案した。すなわち、単一のレーザー光源と、該レーザー光源の基本波の分割波から所定の波数幅、所定のパルス時間幅をもつ広帯域赤外光を作製する手段と、基本波の残りの分割波を二分し逆方向にチャープさせた後合成して倍波を発生させ狭帯域可視光を作製する手段と、広帯域赤外光作製手段からの広帯域赤外光と狭帯域可視光作製手段からの狭帯域可視光を試料の表面または界面に集光させて広帯域和周波光を発生させる和周波光発生手段と、発生した広帯域和周波光を分光する分光手段と、分光された和周波光をマルチチャンネルで実質的に同時に計測するマルチプレックス計測手段とを有する和周波発生分光装置である(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1には、上記和周波発生分光装置を用いた分光法も開示されている。



この特許文献1の装置および方法では、和周波励起用の狭帯域可視光が高効率で倍波光として作製されるので、従来のシングルチャンネルSFG分光法における弱点であった信号強度が弱いことが改善され、和周波分光における感度が大幅に向上される。そして、単一のレーザー光源からのレーザー基本波を分割して和周波発生用の広帯域赤外光と狭帯域可視光を作り出すようにしているので、本質的に両光を同期させる必要がなく、基本波のパルス強度変動は和周波光発生用の可視光および赤外光の全波数成分に等しく影響するから、和周波スペクトルのS/N比はパルス強度変動が存在しても本質的に悪化しない。したがって、感度の大幅な向上とともに、S/N比の向上が可能となる。



また、本発明者らは、特許文献1の装置および方法の優れた利点に着目しつつ、可視光の共鳴現象を利用することにより、一層の感度向上が可能になることに着目し、さらなる改良を試みた。すなわち、単一のレーザー光源と、該レーザー光源の基本波の分割波から所定の波数幅、所定のパルス時間幅をもつ広帯域赤外光を作製する手段と、上記基本波の残りの分割波を二分し逆方向にチャープさせた後合成して倍波を発生させ狭帯域可視光を作製する手段と、該狭帯域可視光作製手段からの狭帯域可視光を光パラメトリック発振させて狭帯域可視光の波長を可変する手段と、上記広帯域赤外光作製手段からの広帯域赤外光と狭帯域可視光波長可変手段からの狭帯域可視光を試料の表面または界面に集光させて広帯域和周波光を発生させる和周波光発生手段と、発生した広帯域和周波光を分光する分光手段と、分光された和周波光をマルチチャンネルで実質的に同時に計測するマルチプレックス計測手段とを有するものである(例えば、特許文献2参照)。



この特許文献2のものでは、可視光の波長を広い範囲で連続的に可変化することによって、可視光共鳴現象をSFGスペクトルの増強手段として利用することができるので、それによって発生する和周波光の測定感度がさらに大幅に高められ、測定精度のさらなる大幅な向上、測定対象の一層の大幅な拡大が可能になる。

【特許文献1】特開2002-90293号公報(図1、[0010]、[0011])

【特許文献2】特開2002-340672号公報(図1、[0014]、[0015])

産業上の利用分野


本発明は、試料の表面や界面の振動分光法の一種である和周波発生分光法及びその分光法に好適な和周波発生分光装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
単一のレーザー光源と、
上記レーザー光源の基本波の分割波から所定の波数幅、所定のパルス時間幅をもつ広帯域赤外光を作製する広帯域赤外光作製手段と、
上記基本波の残りの分割波を二分し逆方向にチャープさせた後合成して倍波を発生させて狭帯域可視光を作製する狭帯域可視光作製手段と、
上記狭帯域可視光作製手段からの狭帯域可視光を光パラメトリック発振させて狭帯域可視光の波長を可変する波長可変手段と、
上記波長可変手段の狭帯域可視光から非線形光学効果によって狭帯域紫外光を作製する狭帯域紫外光作製手段と、
上記広帯域赤外光作製手段からの広帯域赤外光と狭帯域紫外光作製手段からの狭帯域紫外光を試料の表面または界面に集光させて広帯域和周波光を発生させる和周波光発生手段と、
発生した広帯域和周波光を分光する分光手段と、
分光された和周波光をマルチチャンネルで実質的に同時に計測するマルチプレックス計測手段とを有することを特徴とする和周波発生分光装置。

【請求項2】
上記分光手段は、プローブ光から迷光を除去する低分散なプリズム分光器と高分散な回析格子分光器とを組み合わせた非対称二段分光器であることを特徴とする請求項1記載の和周波発生分光装置。

【請求項3】
上記レーザー光源がフェムト秒レーザー光源からなることを特徴とする請求項1又は2記載の和周波発生分光装置。

【請求項4】
上記波長可変手段が、上記狭帯域可視光作製手段からの狭帯域可視光の波長を実質的に連続的に変化させることが可能な手段からなることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の和周波発生分光装置。

【請求項5】
単一のレーザー光源と、
上記レーザー光源の基本波の分割波から所定の波数幅、所定のパルス時間幅をもつ広帯域赤外光を作製する広帯域赤外光作製手段と、
上記基本波の残りの分割波を二分し逆方向にチャープさせた後合成して倍波を発生させて狭帯域可視光を作製する狭帯域可視光作製手段と、
上記狭帯域可視光作製手段からの狭帯域可視光を光パラメトリック発振させて狭帯域可視光の波長を可変する波長可変手段と、
上記波長可変手段の狭帯域可視光から非線形光学効果によって狭帯域紫外光を作製する狭帯域紫外光作製手段と、
上記波長可変手段からの狭帯域可視光及び狭帯域紫外光作製手段からの狭帯域紫外光の一方を選択する選択手段と、
上記選択手段によって選択された狭帯域可視光及び狭帯域紫外光の一方と、上記広帯域赤外光作製手段からの広帯域赤外光とを試料の表面または界面に集光させて広帯域和周波光を発生させる和周波光発生手段と、
発生した広帯域和周波光を分光する分光手段と、
分光された和周波光をマルチチャンネルで実質的に同時に計測するマルチプレックス計測手段とを有することを特徴とする和周波発生分光装置。

【請求項6】
上記分光手段は、上記和周波光発生手段の和周波信号光から紫外プローブ光による迷光を除去する低分散なプリズム分光器と、和周波信号光からの可視プローブ光による迷光を除去する可視プローブ光除去フィルタとを並列に備え、
上記和周波光発生手段と、上記低分散なプリズム分光器・上記可視プローブ光除去フィルタとの間に配設され、上記和周波光発生手段の和周波信号光を受けて、該和周波信号光が紫外光または可視光による場合には上記低分散なプリズム分光器に和周波信号光を送り、該和周波信号光が可視光による場合には上記可視プローブ光除去フィルタに和周波信号光を送る選択手段と、
上記低分散なプリズム分光器及び可視プローブ光除去フィルタからの信号を受けて分光する高分散な回析格子分光器とを有することを特徴とする請求項記載の和周波発生分光装置。

【請求項7】
単一のレーザー光源からの基本波を、二つの分割波に分割し、一方の分割波から所定の波数幅と所定のパルス時間幅をもつ和周波光発生用の広帯域赤外光を作製するとともに、残りの分割波を二分し逆方向にチャープさせた後合成して倍波の和周波光発生用の狭帯域可視光を作製し、さらにその狭帯域可視光を光パラメトリック発振させて狭帯域可視光の波長を可変し、さらに波長を可変とした狭帯域可視光から波長可変狭帯域紫外光を作製し、作製した広帯域赤外光と波長可変狭帯域紫外光を試料の表面または界面に集光して広帯域和周波光を発生させ、発生した広帯域和周波光を分光手段で分散させ、分散された光をマルチチャンネルで実質的に同時に計測することを特徴とする和周波発生分光法。
産業区分
  • 測定
  • 光学装置
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2005251718thum.jpg
出願権利状態 権利存続中


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