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ペロブスカイト型酸化物の相転移誘起方法、電子機能素子材料として用いられるペロブスカイト型酸化物、ペロブスカイト型酸化物を用いた電子機能素子及び電子装置

国内特許コード P120008143
整理番号 08093-1
掲載日 2012年11月1日
出願番号 特願2009-283474
公開番号 特開2010-166039
登録番号 特許第5569836号
出願日 平成21年12月14日(2009.12.14)
公開日 平成22年7月29日(2010.7.29)
登録日 平成26年7月4日(2014.7.4)
優先権データ
  • 特願2008-322131 (2008.12.18) JP
発明者
  • 中村 文彦
  • 竹本 哲雄
  • 坂木 麻里子
  • 山内 洋平
出願人
  • 国立大学法人広島大学
発明の名称 ペロブスカイト型酸化物の相転移誘起方法、電子機能素子材料として用いられるペロブスカイト型酸化物、ペロブスカイト型酸化物を用いた電子機能素子及び電子装置
発明の概要 【課題】モット絶縁体であるペロブスカイト型酸化物の絶縁体相-金属相間の相転移を容易に誘起することができるペロブスカイト型酸化物の相転移誘起方法を提供する。
【解決手段】本発明のペロブスカイト型酸化物の相転移を誘起するための相転移誘起方法は、絶縁体相にあるペロブスカイト型酸化物に、これまでの数kV/cmよりも2桁低い40V/cm~80V/cm程度の電場を印加することで、絶縁体相にあるペロブスカイト型酸化物を金属相に相転移させると共に、電場の印加により金属相に相転移したペロブスカイト型酸化物を冷却させることで、常磁性金属相にあるペロブスカイト型酸化物を強磁性金属相に相転移させる。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要



新奇の量子相転移現象の探索は、現在の物理学の重要なテーマの1つである。また、量子相転移現象には、磁気記録媒体等の電子デバイスへの応用が期待されている。





ところで、超伝導、強磁性、モット転移等の量子相転移現象を実現するためには、高圧力や高磁気等といった特殊な設備環境を作り出さなければならない。このため、このような量子相転移現象の実現には大型の圧力装置や磁気装置、高度に熟練した圧力技術や磁気技術が必要とされている。





また、そのように作り出される極限環境の下で量子相転移現象を測定可能な実験手段は、現在、非常に限られている。





このため、高圧力、高磁気等の極限環境の下で現れる量子相転移現象を実用化することは、現実には、非常に困難な状況になってしまっている。





このような状況を考慮して、近年、光や電場を物質に印加することにより、物質のキャリア数や電子相関を制御しようという試みが盛んに研究されている(例えば、非特許文献1を参照)。





光や電場を物質に印加することで量子相転移現象を誘起することができれば、上述したような、高度な圧力技術や特別な実験環境を必要としなくても、その量子相転移現象を測定するための実験が可能となる。さらに、光や電場の制御は圧力や磁気の制御と比較して容易であり、このため、電子デバイス応用の可能性が飛躍的に増加する。





ところが、現実には、電場で電荷注入し、超伝導、強磁性、モット転移等の量子相転移を誘起することは容易なことではない。もちろん、電場で量子相転移現象を誘起することに成功できれば、電場が圧力に変わる外部パラメータとして有力な実験手法になることは間違いない。





一方、電場で物質の磁性(強磁性)を制御すること、すなわち、Electromagnetsが様々な物質で報告されている。そして、近年、強誘電体に電場を印加することで強磁性が発生する、いわゆるマルチフェロイクスが熱く研究されている。しかし、これまで発見されてきた物質は絶縁体であり、しかも強磁性の誘起には強電場を必要とするものであった。





例えば、特許文献1には、金属元素Mと6つの酸素OからなるMO6八面体から構成されるペロブスカイト型酸化物またはその類縁の酸化物におけるMO6八面体同士の相対的な配置を、圧力印加により調節することによって、電気伝導性や磁性等の電子状態を制御することができる、結晶構造歪による固体電子物性の制御方法が記載されている。





この結晶構造歪による固体電子物性の制御方法では、ペロブスカイト型酸化物の結晶構造の構成要素であるMO6八面体が相対的にどのようにネットワークを作っているかに着目し、その相対位置によって、電気伝導性や磁性を制御している。





そして、この制御方法では、そのMO6八面体同士の相対的な配置を調節するための具体的手法として、圧力を印加する手法が具体的に記載されている。

産業上の利用分野



本発明は、Ca2RuO4等のモット絶縁体であるペロブスカイト型酸化物の相転移を誘起するための相転移誘起方法、電子機能素子材料として用いられるペロブスカイト型酸化物、ペロブスカイト型酸化物を用いた電子機能素子及び電子装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
ペロブスカイト型酸化物の相転移を誘起するための相転移誘起方法であって、
前記ペロブスカイト型酸化物は、組成式Axyzで表されるペロブスカイト型結晶構造を有し、前記組成式Axyzにおいて、前記元素Aは、アルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素であり、前記元素Bは、遷移元素から選ばれる少なくとも1種の元素のうち、4d軌道または5d軌道に存在する電子が10個未満である元素である場合において、
絶縁体相にあるペロブスカイト型酸化物に所定の電圧を与えることにより、前記ペロブスカイト型酸化物に所定の電場を印加する電場印加ステップと、
前記電場印加ステップにおいて前記ペロブスカイト型酸化物に印加される前記電場を用いて、前記絶縁体相にある前記ペロブスカイト型酸化物を金属相に相転移させる第1の相転移誘起ステップと、
前記第1の相転移誘起ステップにおいて前記金属相に相転移した前記ペロブスカイト型酸化物の雰囲気中の温度を降温するとともに前記ペロブスカイト型酸化物に印加する電場を除々に大きくする降温及び電場印加ステップと、
前記降温及び電場印加ステップにおいて前記ペロブスカイト型酸化物を冷却するとともに前記ペロブスカイト型酸化物に印加する電場を除々に大きくして、前記金属相にある前記ペロブスカイト型酸化物を強磁性金属相に相転移させる第2の相転移誘起ステップと、
を含むことを特徴とするペロブスカイト型酸化物の相転移誘起方法。

【請求項2】
前記ペロブスカイト型酸化物を前記金属相に相転移させるときの雰囲気中の温度は、356K以下であることを特徴とする請求項1に記載のペロブスカイト型酸化物の相転移誘起方法。

【請求項3】
前記ペロブスカイト型酸化物を前記金属相に相転移させるために印加すべき前記電場のしきい値の設定範囲は、雰囲気中が常温であるときに40V/cm以上80V/cm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のペロブスカイト型酸化物の相転移誘起方法。

【請求項4】
前記ペロブスカイト型酸化物が前記金属相に相転移した後においては、前記ペロブスカイト型酸化物に印加される前記電場が25V/cm以下になるまでは前記金属相が維持されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のペロブスカイト型酸化物の相転移誘起方法。

【請求項5】
前記ペロブスカイト型酸化物を前記強磁性金属相に相転移させるときの雰囲気中の温度は、25K以下であることを特徴とする請求項1に記載のペロブスカイト型酸化物の相転移誘起方法。

【請求項6】
前記ペロブスカイト型酸化物の組成式は、Ca2RuO4であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のペロブスカイト型酸化物の相転移誘起方法。

【請求項7】
電子機能素子の材料として用いられるペロブスカイト型酸化物であって、
前記ペロブスカイト型酸化物は、組成式Axyzで表されるペロブスカイト型結晶構造を有し、前記組成式Axyzにおいて、前記元素Aは、アルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素であり、前記元素Bは、遷移元素から選ばれる少なくとも1種の元素のうち、4d軌道または5d軌道に存在する電子が10個未満である元素である場合において、
前記ペロブスカイト型酸化物は、自身に印加される電場を用いて、絶縁体相から金属相に相転移した後において、自身の温度の降下とともに自身に印加される電場を用いて、常磁性金属相から強磁性金属相へ相転移することにより、前記電子機能素子の機能を実現することを特徴とするペロブスカイト型酸化物。

【請求項8】
請求項7に記載のペロブスカイト型酸化物を用いて所定の機能を実現することを特徴とする電子機能素子。

【請求項9】
請求項7に記載のペロブスカイト型酸化物より成る可変抵抗部を有する電子機能素子と、
前記可変抵抗部に印加する電圧を調整する電圧調整手段と、
前記電子機能素子周辺の雰囲気温度を調整する温度調整手段と、
を備える電子装置。

【請求項10】
前記可変抵抗部に加える圧力を調整する圧力調整手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項9に記載の電子装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2009283474thum.jpg
出願権利状態 登録


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