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目的遺伝子を染色体外で高度に増幅させるためのベクターおよびその利用 新技術説明会 外国出願あり

国内特許コード P120008145
整理番号 F07082-JP
掲載日 2012年11月1日
出願番号 特願2009-536987
登録番号 特許第5283044号
出願日 平成20年10月3日(2008.10.3)
登録日 平成25年6月7日(2013.6.7)
国際出願番号 JP2008068041
国際公開番号 WO2009048024
国際出願日 平成20年10月3日(2008.10.3)
国際公開日 平成21年4月16日(2009.4.16)
優先権データ
  • 特願2007-263258 (2007.10.9) JP
発明者
  • 清水 典明
出願人
  • 国立大学法人広島大学
発明の名称 目的遺伝子を染色体外で高度に増幅させるためのベクターおよびその利用 新技術説明会 外国出願あり
発明の概要

本発明は宿主細胞の染色体外で増幅するベクターDNA、および当該ベクターを用いた目的遺伝子の増幅方法を提供する。本発明にかかるベクターは、真核生物細胞内で機能する哺乳動物複製開始領域、および核マトリックス結合領域を具備するベクターであって、直鎖状であり、かつ少なくとも片側の末端の形状がヘアピン構造であることを特徴としている。本発明のベクターを用いることで、目的遺伝子をDMの形態、すなわち染色体外で高度に増幅させることが可能となる。したがって、反復配列依存的な転写抑制を受けることなく、目的遺伝子の増幅コピー数の増加に比例して、目的遺伝子から発現するタンパク質量も増加すると考えられる。

従来技術、競合技術の概要


本発明者は、哺乳動物の複製開始領域(IR;Initiation Region)と核マトリックス結合領域(MAR; Matrix Attachment Region)とを持つプラスミド(以下「IR/MARプラスミド」という)をヒト由来がん細胞(COLO 320 大腸がん細胞株、およびHeLa細胞株)にリポフェクション法で導入し、プラスミド上に存在する薬剤耐性遺伝子(ブラスティサイジン(Blasticidine)あるいはネオマイシン(Neomycine))を利用して選択するだけで、
(1)発現させるべきタンパク質をコードする遺伝子(以下、適宜「目的遺伝子」という)の細胞内コピー数を1万コピー程度にまで増幅できること、および、
(2)目的遺伝子はIR/MARプラスミドに対して同一の遺伝子構築物(シス)として導入した場合であっても、別の遺伝子構築物(トランス)として導入した場合であっても、高度に増幅することができるということを発見した(特許文献1および非特許文献1参照)。そして、本発明者は当該知見に基づいて、IR/MARプラスミドと目的遺伝子とを、哺乳動物細胞(例えば、ヒト由来がん細胞(COLO320 大腸がん細胞株、およびHeLa細胞株)、CHO細胞等)にリポフェクション法で導入し、プラスミド上に存在する薬剤耐性遺伝子(BlasticidineあるいはNeomycine)を利用して選択するだけで、目的遺伝子を1万コピー程度に増幅できる系(以下、「高度遺伝子増幅系」という)を完成させるに至った。



増幅した遺伝子は宿主細胞核内において、染色体外の巨大な環状DNAであるDM(ダブルマイニュート染色体)あるいは、宿主細胞の染色体に組み込まれた巨大な構造であるHSR(均一染色領域)の形態で存在する。



哺乳動物細胞内においては、ほとんどの場合目的遺伝子はHSRとして増幅する。しかし、HSRは宿主細胞の染色体に組み込まれた構造であることに加え、目的遺伝子が高度に反復した構造であるため、反復配列依存的な遺伝子の転写抑制を受ける。そのため、目的遺伝子からのタンパク質の発現量が遺伝子増幅数に比例して増加しないという問題があった。



現在、タンパク質の大量生産系として広範に用いられている、CHO細胞内でDHFR遺伝子と目的遺伝子を共に増幅する方法においても増幅構造の形態はHSRであるため、遺伝子の増幅コピー数と目的遺伝子からのタンパク質発現量が比例しないという上記した問題が発生している。



一方、目的遺伝子がDM、すなわち宿主細胞の染色体外にて増幅する、あるいはDMに組み込まれた上で増幅すると目的遺伝子からのタンパク質発現量は遺伝子増幅コピー数に比例して増加する(特許文献2参照)。しかしながら、DMまたはHSRという遺伝子の増幅形態をコントロールする方法は現在のところ存在していない。

【特許文献1】特開2003-245083号公報(公開日:平成15(2003)年9月2日)

【特許文献2】国際公開第2006/054561号パンフレット(国際公開日:平成18(2006)年5月26日)

【非特許文献1】Noriaki Shimizu, et al. (2001) Plasmids with a Mammalian Replication Origin and a Matrix Attachment Region Initiate the Event Similar to Gene Amplification. Cancer Research vol.61, no.19, p6987-6990.

産業上の利用分野


本発明は、哺乳類細胞内において目的とする遺伝子を宿主細胞の染色体外にて高度に増幅させるためのベクター、および該ベクターを用いて目的遺伝子を宿主細胞の染色体外にて高度に増幅させるための方法に関する。より具体的には、本発明者らが開発した「高度遺伝子増幅系」を用いて所望の遺伝子を増幅する際に、宿主細胞の染色体外に組み込まれることなく目的遺伝子を増幅させることができるベクター、および当該ベクターを用いた遺伝子増幅方法に関する。さらに本発明は、上記本発明にかかるベクターを用いた遺伝子発現方法、および当該遺伝子発現方法に用いられるキットに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】 CHO細胞または無限増殖能を有する腫瘍細胞である哺乳動物細胞の染色体外で目的遺伝子を増幅するためのベクターであって、
当該ベクターおよび目的遺伝子が導入された哺乳動物細胞に対する染色体内に目的遺伝子の増幅構造を形成している哺乳動物細胞の割合を1%未満とすることができるベクターであり、
真核生物細胞内で機能する哺乳動物複製開始領域、および核マトリックス結合領域を具備し、
直鎖状であり、かつ
少なくとも片側の末端の形状がヘアピン構造であり、かつ当該ヘアピン構造は合成オリゴヌクレオチドからなることを特徴とするベクター。
【請求項2】 両方の末端がヘアピン構造であることを特徴とする請求項1に記載のベクター。
【請求項3】 上記哺乳動物複製開始領域が、c-myc遺伝子座、ジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座、およびβ-グロビン遺伝子座の複製開始領域のいずれか1つに由来する、請求項1または2に記載のベクター。
【請求項4】 上記核マトリックス結合領域が、Igκ遺伝子座、SV40初期領域、およびジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座の核マトリックス結合領域のいずれか1つに由来する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項5】 CHO細胞または無限増殖能を有する腫瘍細胞である哺乳動物細胞の染色体外で、目的遺伝子を増幅するための方法であって、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のベクターと、目的遺伝子とを哺乳動物細胞に導入する工程を含む方法。
【請求項6】 上記目的遺伝子と、上記ベクターとをシスに配置して、哺乳動物細胞に導入することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のベクターと、目的遺伝子とがCHO細胞または無限増殖能を有する腫瘍細胞である哺乳動物細胞に導入され、
哺乳動物細胞の染色体外で、目的遺伝子を増幅している形質転換細胞。
【請求項9】 請求項8に記載の形質転換細胞を培養する工程を含む、目的遺伝子の発現方法。
【請求項10】 ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤およびDNAメチル化阻害剤のいずれか1つ以上を含む培地中で、請求項8に記載の形質転換細胞を培養する工程を含む、目的遺伝子の発現方法。
【請求項11】 CHO細胞または無限増殖能を有する腫瘍細胞である哺乳動物細胞の染色体外で、目的遺伝子を増幅するためのキットであって、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のベクターを含むことを特徴とするキット。
【請求項12】 CHO細胞または無限増殖能を有する腫瘍細胞である哺乳動物細胞の染色体外で目的遺伝子を増幅および発現するためのキットであって、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のベクターと、
ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤およびDNAメチル化阻害剤のいずれか1つ以上とを含むことを特徴とするキット。
産業区分
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2009536987thum.jpg
出願権利状態 権利存続中


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