TOP > 国内特許検索 > 材料の単結晶薄膜製造方法及び単結晶薄膜製造装置

材料の単結晶薄膜製造方法及び単結晶薄膜製造装置 新技術説明会

国内特許コード P120008267
掲載日 2012年11月19日
出願番号 特願2006-179593
公開番号 特開2008-007377
登録番号 特許第4982845号
出願日 平成18年6月29日(2006.6.29)
公開日 平成20年1月17日(2008.1.17)
登録日 平成24年5月11日(2012.5.11)
発明者
  • 山雄 健史
  • 堀田 収
  • 大田 郷史
  • 三木 智晴
出願人
  • 国立大学法人京都工芸繊維大学
発明の名称 材料の単結晶薄膜製造方法及び単結晶薄膜製造装置 新技術説明会
発明の概要

【課題】材料が長時間高温の状態にさらされても分解や変質を生じない熱的安定性を有し、飽和溶液の温度低下を厳密に制御することができ、材料、特に有機半導体材料に適する単結晶薄膜の製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】(1)第1温度で溶媒に溶けないで残る材料の固体70を有する混合物60を準備する工程、(2)熱伝導部材10の少なくとも一部を混合物60に浸す工程、(3)混合物60を第1温度に保持する工程、及び(4)熱伝導部材10の混合物60に浸されていない部分の少なくとも一部を第2温度に保持する工程を含む材料の単結晶薄膜製造方法であり、混合物60から、それに浸した熱伝導部材10の少なくとも一部に、材料の単結晶薄膜を形成させる。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


有機半導体材料を光及び電子デバイスに応用するために、有機半導体材料の高配向膜、結晶膜の製造方法が多数研究されている。従来、有機材料の結晶を形成するために、以下のような方法が試みられていた:
(a)気相成長法:材料を加熱して気化又は昇華させ、冷却箇所で材料を結晶化させる;
(b)溶融成形法:材料を融点以上に加熱して融解後、冷却して再凝固させて結晶を得る;及び
(c)溶液法:材料を有機溶媒に溶かして飽和溶液を製造後、飽和溶液から溶媒を気化させる又は飽和溶液を冷却することで、温度変化にともなう材料の溶解度の変化を利用して、飽和溶液から結晶を析出させる。



これらの方法には、下記のような課題がある。
(a)気相成長法及び(b)溶融成形法では、有機半導体材料をその融点又は昇華温度以上に加熱する必要があるので、これらの方法を適用できる材料は、長時間高温の状態にさらされても分解や変質を生じない熱的安定性の高い材料に限られるという課題がある。



(b)溶融成形法は、材料が明確な融点を持つ場合、材料の高配向膜を提供できる方法であるという長所を有するが、基材上に有機半導体材料の結晶を直接成長させる場合、材料や基材を材料の融点以上の高温に加熱する必要があるため、常温に戻した際に、有機半導体結晶と基板の熱膨張率の差のために、温度ひずみが入り易いという課題を有し得る。



(a)気相成長法では、成長管内の圧力や雰囲気ガスを調整することで大きく成長した結晶を得ることができる。しかし、得られた結晶を利用するために、別途基板に貼付する等の結晶の取り扱いを必要とするので、その取り扱いの際に、成長した結晶を破壊する恐れがあるという課題がある。
更に、気化又は昇華した材料を必ずしも高い割合で、好ましくは100%の割合で再結晶化することができるとは限らないので、所望の大きさ(重さ)の結晶を得るためには、多くの原材料を用いる必要があるという課題がある。



一方、(c)溶液法は、材料の飽和溶液を用い、溶媒の気化又は温度変化にともなう材料の溶解度の変化を利用するため、(a)気相成長法及び(b)溶融成形法と比較して、より低温で結晶を成長させることができるという長所がある。
更に、温度変化にともなう材料の溶解度の変化を利用する場合、基材を用いて、該基材を溶液よりも低温に保持することで、基材上に直接有機半導体材料の結晶を成長させることができるという長所がある。
即ち、(c)溶液法は、有機半導体材料の結晶を基材上に直接成長させることができ、(a)気相成長法及び(b)溶融成形法と比較してより低温で操作できるので、得られた有機半導体材料の結晶に温度ひずみが入りにくいという長所を有する有機半導体材料の結晶成長方法といえる。そのような(c)溶液法は、例えば、特許文献1~8に例示されている。



一般的な(c)溶液法では、まず有機溶媒に完全に溶解した有機半導体材料の飽和溶液を調製する。この飽和溶液から、下記のようにして結晶を析出させ、成長させる:
(i)飽和溶液を冷却し、飽和溶液の温度変化(一般的には温度低下)に伴う溶解度(材料の飽和度)の減少を利用して、飽和溶液に溶けなくなった材料の結晶を析出させ、更に飽和溶液を冷却し続けて結晶を成長させる;又は
(ii)飽和溶液の溶媒を蒸発させ、飽和溶液の溶媒量の減少による材料の溶解量の減少を利用して、飽和溶液に溶けなくなった材料の結晶を析出させ、更に、溶媒を気化させ続けて結晶を成長させる。



(i)と(ii)の両方の方法に共通することは、結晶成長の開始から終了まで、常に、溶液を材料で飽和した状態に維持し続けることが必要であるということである。



そのため、(i)の方法では、常に飽和溶液が材料で過飽和の状態になるように、飽和溶液の温度を正確に制御することが必要である。また、この方法では、飽和溶液の温度がある程度まで低下した段階(溶媒が固化するなど)で結晶成長が停止する。



(ii)の方法では、溶液が材料で飽和した状態を維持するために、常に溶媒を蒸発させ続けることが必要である。そのため、蒸気圧の高い溶媒を用いることか、溶液の温度を高くすることが必要である。蒸気圧の高い溶媒を用いる場合、この方法は、その溶媒に比較的可溶な材料にしか適用できない、また溶液の温度を高くする場合、温度変化のために結晶にひずみを生じ得るという課題がある。
また、(ii)の方法では、溶媒が全て蒸発することで結晶成長が停止する。



(i)と(ii)の両方の方法とも、原理的に、結晶成長中に溶液に新たな有機半導体材料を供給することができないため、得られる結晶の大きさは、最初に準備した飽和溶液内に溶ける材料の量に制限される。
即ち、常に飽和溶液から出発するので、大きな結晶試料を得るためには有機半導体材料が溶媒中に最初から大量に溶けることが必要であるので、大きな結晶は、溶媒に溶けやすい(溶媒に大量に溶ける)有機半導体材料でしか、得ることが困難である。



更に(ii)の方法では結晶を成長させる際に、常に溶媒を蒸発させ続ける必要があるため、気化した溶媒を環境中に拡散させないために、別途溶媒回収機構を備えることが必要である。




【特許文献1】特開2006-36565

【特許文献2】特開2006-27967

【特許文献3】特開2005-100897

【特許文献4】特開2002-68899

【特許文献5】特開2001-187301

【特許文献6】特開平7-82095

【特許文献7】特開平6-194700

【特許文献8】特開平6-191984

産業上の利用分野


本発明は、材料の単結晶薄膜製造方法及び単結晶薄膜の製造装置に関する。特に、有機半導体材料の単結晶薄膜製造方法及び製造装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
溶媒に溶けないで残る有機半導体材料の固体が存在する、有機半導体材料と溶媒の混合物から、上記有機半導体材料の単結晶薄膜を形成する製造方法であって、
第1温度は上記有機半導体材料の固体が上記溶媒に溶けないで残り、上記有機半導体材料が混合物中に溶解した状態で存在するとともに、過剰の固体として存在し、上記混合物から有機半導体材料の結晶を成長させることで、混合物中の有機半導体材料の濃度が低下したときに、溶媒に溶け残った有機半導体材料が溶媒に溶けて、有機半導体材料で飽和した状態を維持する温度であり
第2温度は上記第1温度よりも上記有機半導体材料の固体の上記溶媒への溶解度が低い温度であり、
(1)上記第1温度で溶媒に溶けないで残る、有機半導体材料の固体を有する上記混合物を準備する工程、
(2)板状又は柱状の熱伝導部材の一部を、上記混合物に浸す工程、
(3)上記混合物の一部を第1温度制御手段により上記第1温度に保持する工程、及び
(4)熱伝導部材の上記混合物に浸されていない部分を第2温度制御手段により第2温度に保持する工程
を含んで成る上記有機半導体材料の単結晶薄膜の製造方法であって、
上記混合物に浸された熱伝導部材によって、溶媒に溶けないで残った有機半導体材料の固体を有する上記混合物に温度勾配を付与して、上記混合物中から、上記混合物に浸された上記熱伝導部材の一部に、上記有機半導体材料の単結晶薄膜を形成させる単結晶薄膜の製造方法。

【請求項2】
有機半導体材料の単結晶薄膜形成中に、有機半導体材料の固体が混合物中に存在し続ける請求項1に記載の製造方法。

【請求項3】
上記混合物に浸した熱伝導部材の一部に基材を設けて、基材に有機半導体材料の単結晶薄膜を形成させる請求項1又は2に記載の製造方法。

【請求項4】
材料遮蔽部材を熱伝導部材の周囲に配置する工程を更に含む請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。

【請求項5】
第1温度は第2温度より高く、第2温度は3~35℃の室温である請求項1~のいずれかに記載の製造方法。

【請求項6】
溶媒に溶けないで残る有機半導体材料の固体が存在する、有機半導体材料と溶媒の混合物から、上記有機半導体材料の単結晶薄膜を形成する製造装置であって、
第1温度は上記有機半導体材料の固体が上記溶媒に溶けないで残り、上記有機半導体材料が混合物中に溶解した状態で存在するとともに、過剰の固体として存在し、上記混合物から結晶を成長させることで、混合物中の有機半導体材料の濃度が低下したときに、溶媒に溶け残った有機半導体材料が溶媒に溶けて、有機半導体材料で飽和した状態が維持される温度であり
第2温度は上記第1温度よりも上記有機半導体材料の固体の上記溶媒への溶解度が低い温度であり、
(I)上記第1温度で溶媒に溶けないで残る有機半導体材料の固体を有する上記混合物を含む容器、
(II)一部が、上記混合物に浸される板状又は柱状の熱伝導部材、
(III)上記混合物を第1温度に保持する第1温度制御手段、及び
(IV)熱伝導部材の上記混合物に浸されていない部分を第2温度に保持する第2温度制御手段
を含んで成る上記有機半導体材料の単結晶薄膜の製造装置であって、
上記混合物に浸された熱伝導部材によって、溶媒に溶けないで残った有機半導体材料の固体を有する上記混合物に温度勾配を付与して、上記混合物中から、上記混合物に浸された上記熱伝導部材の一部に、上記有機半導体材料の単結晶薄膜を形成させる単結晶薄膜の製造装置。

【請求項7】
上記混合物中に存在する有機半導体材料の過剰の固体は、粉末状、塊状、粒状又は膜状の形態を有する請求項に記載の製造装置。

【請求項8】
熱伝導部材の混合物に浸される一部は基材を有する請求項又はに記載の製造装置。

【請求項9】
熱伝導部材の周囲に材料遮蔽部材を有する請求項のいずれかに記載の製造装置。

【請求項10】
(III)第1温度に保持する第1温度制御手段はヒーターであり、(IV)第2温度に保持する第2温度制御手段として、3~35℃の室温の空気を用いる請求項のいずれかに記載の製造装置。
産業区分
  • 有機化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2006179593thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、下記「問合せ先」まで直接お問い合わせください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close