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構造物の損傷の診断方法および装置 外国出願あり

国内特許コード P120008285
掲載日 2012年11月19日
出願番号 特願2009-553442
登録番号 特許第5224547号
出願日 平成21年2月12日(2009.2.12)
登録日 平成25年3月22日(2013.3.22)
国際出願番号 JP2009052311
国際公開番号 WO2009101978
国際出願日 平成21年2月12日(2009.2.12)
国際公開日 平成21年8月20日(2009.8.20)
優先権データ
  • 特願2008-032142 (2008.2.13) JP
発明者
  • 増田 新
出願人
  • 国立大学法人京都工芸繊維大学
発明の名称 構造物の損傷の診断方法および装置 外国出願あり
発明の概要

構造物の診断において、診断対象の構造物に取り付けられた1つ以上の電気機械変換素子を一定振幅の交流電圧で駆動して、電気機械変換素子を流れる電流を計測する。次に、この電流信号を電気機械変換素子の駆動周波数を中心とする高周波領域における高周波成分を分離する。次に、高周波成分の振幅復調および/または位相復調により損傷による変調情報を抽出し、変調情報を基に損傷の指標を評価する。これにより、構造物の健全性を、1つ以上の電気機械変換素子を用いて、ベースラインデータを必要とせずに、一度の計測で判定できる。

従来技術、競合技術の概要


構造物の損傷検知や健全性評価は種々の方法で行われている。構造物に生じる損傷を早期に検出しうる方法として、「圧電インピーダンス法」がある(たとえば特開2007-085733号公報、特開2004-028907号公報、特開2001-099760号公報参照)。圧電インピーダンス法では、構造物の表面に圧電素子を貼り付け、構造物中に発生した損傷による構造物の動特性の変化を、圧電素子の数10kHz~数100kHzの超音波帯域における電気インピーダンスの変化として検出する。圧電素子の電気インピーダンスの逆数(アドミタンス)は、圧電素子の静電容量と、圧電素子から見た構造物の駆動点モビリティに依存する。圧電素子の貼付位置近傍の構造部位に生じた損傷によって、数10kHz~数100kHzの帯域における構造物の駆動点モビリティは大きく変化し、上述の構造物の動特性と電気インピーダンス(もしくはアドミタンス)の関係より、この帯域における圧電素子の電気インピーダンス(もしくはアドミタンス)が大きく変化する。このため、圧電素子の電気インピーダンスの測定により圧電素子の貼付位置近傍の微小な損傷を感度よく検出できるとされている。電気インピーダンスの計測には、インピーダンスアナライザもしくは専用のインピーダンス計測回路が用いられる。



しかし圧電インピーダンス法では、損傷が高周波波動にあたえる影響を周波数応答(インピーダンス)で評価しており、損傷が与える力学的影響の時間平均を眺めているにすぎない。損傷は静的なものとしてとらえられており、損傷部の界面における各種の非線形効果や負荷と高周波波動との相互作用などは無視されている。また、構造物に貼付した圧電素子の電気インピーダンスの損傷前後での「変化」によって損傷を検出するため、評価が相対的であり、評価の基準となる「ベースライン」データが必ず必要である。ベースラインとなる健全時のインピーダンスまたはアドミタンスは、構造物ごとに全く異なるのはむろんのこと、圧電素子の貼付位置や寸法によっても大きく異なるため、計算などによる予測を行うことは現実的でなく、実測によらざるを得ない。これは、一度の計測で健全性を判定することが原理的に不可能であることを意味しており、実用上・運用上の大きな問題であると考えられる。



さらに、初期段階の損傷はしばしば、閉じたき裂、キッシングボンド(kissing bond)などの「隠れた損傷」の形態をとっており、これらを見逃すことは安全管理上極めて重大な脅威となりうる。しかし、閉じたき裂などは超音波を透過してしまうため、圧電インピーダンス法ではこれらの損傷の検出は困難であると考えられる。



一方、原理的にベースラインデータが不要で、かつ「隠れた損傷」の検出に有効な方法としてこれまでに提案されているものの一つに「非線形波動変調法」がある(たとえばC. Liang, F. P. Sun, C. A. Rogers, An impedance method for dynamic analysis of active material systems, Journal of Vibration and Acoustics, Transactions of the ASME, Vol. 116, pp. 120-128, 1994、 G. Park, H. Sohn, C. R. Farrar, D. J. Inman, Overview of piezoelectric impedance-based health monitoring and path forward, The Shock and Vibration Digest, Vol. 35, No. 6, pp. 451-463, 2003、 K. E.-A. Van Den Abeele, P. A. Johnson and A. Sutin, Nonlinear elastic wave spectroscopy (NEWS) techniques to discern material damage, Part I: Nonlinear wave modulation spectroscopy (NWMS), Res Nondestr Eval, Vol. 12, pp. 17-30, 2000、 V. Zaitsev, V. Gusev, B. Castagnede and P. Sas, Micro-damage detection using a modulation technique based on dissipative nonlinear effects'', Proceedings of Forum Acusticum Sevilla 2002, 2002、V. Zaitsev and P. Sas, Nonlinear response of a weakly damaged metal sample: a dissipative mechanism of vibro-acoustic interaction, Journal o f Vibration and Control, Vol. 6, pp. 803-822, 2000参照)。この手法では、構造物に生じるき裂、ボルトの緩み、接着面の剥離などの損傷が、面と面の接触状態の変化を伴うことに着目し、損傷部位に作用する低周波数の動的負荷変動による面と面の接触状態の変化を、圧電素子などの電気機械変換素子から入力した高周波波動の振幅変調および位相変調として取り出す。損傷が存在しなければ変調は発生しないため、原理的に絶対評価であり、非線形波動変調法では一度の計測で健全性を判定できる。また、この方法は、損傷部位に作用する低周波数の動的負荷変動による損傷部位の動特性の変動を用いるため、原理的に「隠れた損傷」の検出が可能であるという特長も持つ。



ただし、非線形波動変調法では、高周波波動の送信用と受信用に最低限2枚の圧電素子が必要であり、圧電素子貼付のためのスペース制約が厳しい状況での適用可能性に問題があった。このため、これらを1枚にまとめたセルフセンシング手法の開発が課題となっていた。

産業上の利用分野


本発明は、機械構造物や設備、建築・土木構造物、航空宇宙構造物などの建造物の損傷検知や健全性評価に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
診断対象の構造物に取り付けられた1つ以上の電気機械変換素子を一定振幅の交流電圧で駆動して、その電気機械変換素子を流れる電流を計測し、
この電流信号から上記電気機械変換素子の駆動周波数を中心とする高周波領域における高周波成分を分離し、
上記高周波成分の振幅復調により損傷による変調情報を抽出し、
上記変調情報を基に損傷の指標を評価する
構造物の診断方法。
【請求項2】
上記の指標は、復調後の電流波形の振幅と復調後の電流波形の平均値の比であり、この比をしきい値と比較して損傷の発生を診断することを特徴とする、請求項1に記載された診断方法。
【請求項3】
試験対象の構造物に取り付けられた1つ以上の電気機械変換素子を交流電圧で駆動したときに電気機械変換素子で計測された電流信号から、電気機械変換素子の駆動周波数を中心とする高周波領域における高周波成分を検出する分離手段と、
上記高周波成分の振幅復調により損傷による変調情報を抽出する抽出手段と、
上記変調情報を基に損傷の指標を評価する指標評価手段と
からなる診断装置。
【請求項4】
診断対象の構造物に取り付けられた1つ以上の電気機械変換素子を一定振幅の交流電圧で駆動して、その電気機械変換素子を流れる電流を計測し、
この電流信号から上記電気機械変換素子の駆動周波数を中心とする高周波領域における高周波成分を分離し、
上記高周波成分の位相復調により損傷による変調情報を抽出し、
上記変調情報を基に損傷の指標を評価する
構造物の診断方法。
【請求項5】
上記の指標は、復調後の電流波形の振幅と復調後の電流波形の平均値の比であり、この比をしきい値と比較して損傷の発生を診断することを特徴とする、請求項4に記載された診断方法。
【請求項6】
さらに、上記高周波成分の振幅復調により損傷による変調情報を抽出し、
位相復調後の上記変調情報と、振幅復調後の上記変調情報とから損傷の指標を評価する、請求項4に記載された診断方法。
【請求項7】
試験対象の構造物に取り付けられた1つ以上の電気機械変換素子を交流電圧で駆動したときに電気機械変換素子で計測された電流信号から、電気機械変換素子の駆動周波数を中心とする高周波領域における高周波成分を検出する分離手段と、
上記高周波成分の位相復調により損傷による変調情報を抽出する抽出手段と、
上記変調情報を基に損傷の指標を評価する指標評価手段と
からなる診断装置。
【請求項8】
上記抽出手段は、さらに、上記高周波成分の振幅復調により損傷による変調情報を抽出し、上記指標評価手段は、位相復調後の上記変調情報と、振幅復調後の上記変調情報とから損傷の指標を評価する、請求項7に記載された診断装置。
産業区分
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2009553442thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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