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マイクロ波共振器装置とその調整方法及びそれを用いたアンテナ装置

国内特許コード P120008288
掲載日 2012年11月19日
出願番号 特願2009-187982
公開番号 特開2011-041100
登録番号 特許第5555936号
出願日 平成21年8月14日(2009.8.14)
公開日 平成23年2月24日(2011.2.24)
登録日 平成26年6月13日(2014.6.13)
発明者
  • 上田 哲也
  • 吉田 達仁
出願人
  • 国立大学法人京都工芸繊維大学
発明の名称 マイクロ波共振器装置とその調整方法及びそれを用いたアンテナ装置
発明の概要 【課題】共振周波数が構造のサイズに依存せず大幅に大型化あるいは小型化することができるマイクロ波共振器装置とその調整方法を提供する。
【解決手段】第1の誘電率を有する誘電体を挟設する平行平板の1対の金属板の間に、第1の誘電率よりも大きな第2の誘電率を有する誘電体共振器を載置してなる複数の単位セルを、1次元構造、2次元構造又は3次元構造で周期的にかつ繰り返して載置してなるマイクロ波共振器装置である。マイクロ波共振器装置は、1対の金属板に直交しかつ当該マイクロ波共振器装置の側壁終端に設けられた側壁部であって、1対の金属板を連結しかつ開孔を有する電気壁を構成する金属板からなるか、もしくは1対の金属板を連結する磁気壁を構成する金属板、開放面又は伝送線路からなる少なくとも1つの側壁部を備え、左手系モードと右手系モードの帯域の間に禁止帯の現れない平衡型右手/左手系複合伝送線路となるように調整する。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要



メタマテリアル(Meta-material)とは、光を含む電磁波に対して、自然界の物質には無い振る舞いをする人工構造体のことであるが、特に、負の屈折率を持った物質を指して用いられる場合もある。





従来から、当該メタマテリアルを用いて、1次元及び2次元右手/左手系複合メタマテリアルにてなるマイクロ波共振器が提案されている。ここで、「右手系」というのは、電磁波の電界ベクトル、磁界ベクトル、波数ベクトルが右手系をなす方向関係を有する電磁波の伝搬状態を指し、電磁波の伝送電力の方向(群速度の向き)と、位相面の流れの向き(位相速度の向き)が同方向となるフォワード波の伝搬状態を指す。この状態は、実効誘電率及び透磁率がともに正の値を持つ媒質及び構造体において可能となる。また、「左手系」というのは、電界ベクトル、磁界ベクトル、波数ベクトルが左手系をなす関係を有する電磁波の伝搬状態を指し、電磁波の伝送電力の方向と、位相面の流れの向きが反対となるバックワード波の伝搬状態を指す。この状態は、実効誘電率及び透磁率がともに負の値を持つ媒質及び構造体において可能となる。





メタマテリアルの構成方法はいくつか提案されているが、代表例として、共振型メタマテリアルと伝送線路型メタマテリアルの2つが挙げられる。前者の共振型メタマテリアルは、金属ストリップからなるスプリットリング共振器と細線の組み合わせに代表されるように、外部電磁界の磁界及び電界成分によって応答する磁気的及び電気的共振器の組み合わせからなる。この構造は、実効誘電率あるいは透磁率が反共振特性を示すので、共振周波数付近において損失の影響が非常に大きくなる。一方、後者の伝送線路型メタマテリアルは、一般的な電磁波の伝搬形態が伝送線路モデルで記述できることを用いて構造体が構成されており、フォワード波伝搬を許す従来の一次元右手系メタマテリアル構造は、直列枝に誘導性素子が、並列枝に容量性素子が挿入された梯子型構造を取るのに対して、一次元左手系メタマテリアル構造は、実効誘電率及び透磁率の値を負にするために、直列枝に容量性素子が、並列枝に誘導性素子が挿入された構造となる。この伝送線路型メタマテリアルの多くは、実効誘電率及び透磁率において反共振特性を示さないため、上記の共振型に比べて低損失となる特長がある。伝送線路型メタマテリアルにおいては、動作周波数帯域により、右手系メタマテリアル、左手系メタマテリアル、誘電率あるいは透磁率のどちらか一方が負で他方が正となるシングルネガティブメタマテリアル、実効誘電率あるいは透磁率が零のメタマテリアルとして動作することから、右手/左手系複合メタマテリアルと呼ばれる。





右手/左手系複合メタマテリアルの実効誘電率及び透磁率がゼロの値を取る周波数は、一般に異なる。その場合、隣接する誘電率がゼロの周波数と透磁率がゼロとなる周波数の間の帯域は、誘電率あるいは透磁率のどちらか一方のみが負で、他方が正の値を取る。このとき電磁波の伝搬条件を満たさず、禁止帯が形成される。この禁止帯の下側の帯域では、誘電率及び透磁率がともに負であるので左手系メタマテリアルとして、上側の帯域ではともに正の値となり右手系メタマテリアルとして動作する。誘電率と透磁率がゼロとなる周波数が一致する場合、禁止帯(バンド・ギャップ)が形成されず、左手系伝送帯域と右手系伝送帯域が連続的に接続される。このようなメタマテリアルを平衡型右手/左手系複合メタマテリアルといい、そうでないものを非平衡型右手/左手系複合メタマテリアルと呼ぶ。平衡型右手/左手系複合メタマテリアルは、禁止帯を生じないばかりでなく、位相定数が0となる周波数においても、群速度がゼロとならず、効率良い電力伝送が可能という特長を持つ。





そこで、左手系のみならず右手系メタマテリアルも含めた、2次元右手/左手系複合メタマテリアルを実現するために、誘電体共振器を含む誘電体層が金属メッシュ板によって挟まれた板構造が少なくとも1つ以上からなる積層構造を採用してなる積層型メタマテリアル構造について非特許文献1において本発明者により提案されている。この構造について以下に説明する。





この構造は共振型メタマテリアルの一つであり、実効透磁率の操作として、誘電体共振器の2次元配置を採用している。つまり、磁気共振器として、金属からなるスプリットリング共振器の代わりに誘電体共振器を用いて、実効透磁率が所望の正/負の値を取るように構成される。但し、誘電体共振器の共振形態は限定されており、積層構造に平行な面内に電気力線の渦を形成し、それに対して垂直な方向に主軸を持つ磁気双極子と類似した電磁界分布をも持つ。また、実効誘電率を操作するため、隣り合う2枚の金属メッシュ板を平行平板線路として用いている。つまり、平行平板に沿って伝搬するTEモード(電界ベクトルが平行平板に平行な伝搬モード)がカットオフ周波数より低い周波数領域において、実効誘電率が負となることを利用し、同カットオフ周波数よりも高い帯域での動作も含めて、誘電率が所望の正/負の値を取るように構成する。メッシュ穴は、積層構造に平行な伝搬の場合において、実効誘電率の調整の際の設計の自由度を増やすために設けられていた。誘電体共振器を用いたこの積層型メタマテリアルは、メッシュ部分に金属材料を用いてはいるものの、反共振を引き起こす共振器部分に金属を用いていないために、伝搬損を比較的低く抑えることが可能となる。しかも、実効誘電率及び透磁率がゼロとなる周波数を一致させた平衡型右手/左手系複合メタマテリアルの構成も可能である。このように、上記の右手/左手系複合メタマテリアルとしての動作は、偏波(電界ベクトル)方向及び伝搬方向がともに積層面に平行となる場合に対してのみ動作可能で、伝搬方向の自由度が2次元である。





零次共振器に関する最初の報告は、非特許文献2によってなされた。これは、複数の単位セルよりなる有限長の右手/左手系複合伝送線路の両端に対して、開放もしくは短絡終端を設置することにより構成される。共振器の特長としては、

(i)線路長に関係なく、単位セルの構造パラメータのみによって決まる共振周波数で共振すること、

(ii)共振時には、共振器内の電磁界分布の振幅及び位相が一様となることが挙げられる。





零次共振器の共振周波数は、右手/左手系複合伝送線路の伝搬特性を与える分散ダイアグラム(動作周波数と伝搬定数の関係)において、位相定数がゼロ(実効誘電率がゼロもしくは実効透磁率がゼロ)となる周波数に対応する。共振周波数が線路長に関係しないような共振条件を得るためには、両端がともに開放終端であるか、短絡終端であるかのどちらかの場合のみとなる。





両端がともに開放終端である場合、零次共振器を構成する線路の実効誘電率がゼロに対応する周波数において共振する。これは零次共振器を構成する線路の等価回路が梯子型構造をなしており、その並列枝における並列共振に相当する。一方、両端が短絡の場合、実効透磁率がゼロに対応する周波数において共振する。これは、上記梯子形構造の直列枝における直列共振に相当する。従って、非平衡型右手/左手系複合伝送線路を用いた場合、両端を開放する場合と短絡する場合とで、零次共振器の動作周波数が異なるというのが従来の共振器の設計方法であった。

産業上の利用分野



本発明は、電磁波の伝搬を可能にしたり、阻止させたりする機能を有するメタマテリアル(人工構造体)に関し、特に、メタマテリアルの実効誘電率が正、負、零のいずれかであり、一方で、実効透磁率が正、負、零のいずれかの値を取る1次元、2次元あるいは3次元右手/左手系複合メタマテリアルにてなるマイクロ波共振器装置とその調整方法及びそれを用いたアンテナ装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
第1の誘電率を有する誘電体を挟設する平行平板の1対の金属板の間に、上記第1の誘電率よりも大きな第2の誘電率を有する誘電体共振器を載置してなる複数の単位セルを、1次元構造、2次元構造又は3次元構造で周期的にかつ繰り返して載置してなるマイクロ波共振器装置であって、
上記1対の金属板は、複数の円形開孔を有し、
上記単位セルは、側壁部を有し、
上記側壁部は、開孔を有し又は有しない金属板と、何も接続しない開放面とのうちの少なくとも1つを備え、
上記マイクロ波共振器装置は、上記1対の金属板に直交しかつ当該マイクロ波共振器装置の最外部側壁に設けられた最外側壁部を有し、
上記最外側壁部は、
上記1対の金属板を連結しかつ開孔を有し又は有しない金属板と、
何も接続しない開放面と、
管内波長の4分の1長さの右手系伝送線路と、
上記マイクロ波共振器装置に給電する給電回路とのうちの少なくとも1つを備えることを特徴とするマイクロ波共振器装置。

【請求項2】
第1の誘電率を有する誘電体を挟設する平行平板の1対の金属板の間に、上記第1の誘電率よりも大きな第2の誘電率を有する誘電体共振器を載置してなる複数の単位セルを、1次元構造、2次元構造又は3次元構造で周期的にかつ繰り返して載置してなるマイクロ波共振器装置の調整方法であって、
上記1対の金属板は、所定の間隔で離隔して形成された複数の円形開孔を有し、
上記単位セルは、側壁部を有し、
上記側壁部は、開孔を有する金属板を備え、
上記調整方法は、
上記単位セルの長さを1対の金属板間を伝搬する電磁波の波長に比べて充分小さく設定し、
上記単位セルの1辺の長さであるサイズと、上記誘電体共振器の高さである1対の金属板の間隔と、上記1対の金属板の円形開孔サイズとに基づいて当該マイクロ波共振器装置の動作周波数を調整し、
上記単位セルの側壁部の金属板に形成された開孔のサイズによって実効誘電率の調整を行い、
上記誘電体共振器の間隔によって実効透磁率を調整することを特徴とするマイクロ波共振器装置の調整方法。

【請求項3】
請求項1記載のマイクロ波共振器装置と、
上記マイクロ波共振器装置に電磁波を給電する給電回路とを備えたアンテナ装置であって、
上記最外側壁部の開孔から上記電磁波を放射することを特徴とするアンテナ装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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