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再生装置、干渉計測装置、制御プログラム、および記録媒体 新技術説明会

国内特許コード P120008290
掲載日 2012年11月19日
出願番号 特願2009-255138
公開番号 特開2011-099781
登録番号 特許第5552707号
出願日 平成21年11月6日(2009.11.6)
公開日 平成23年5月19日(2011.5.19)
登録日 平成26年6月6日(2014.6.6)
発明者
  • 粟辻 安浩
  • 田原 樹
  • 下里 祐輝
出願人
  • 国立大学法人京都工芸繊維大学
発明の名称 再生装置、干渉計測装置、制御プログラム、および記録媒体 新技術説明会
発明の概要 【課題】光路長シフト法を用いたデジタルホログラフィにおいて、高精度計測を行うことができるデジタルホログラフィ装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るデジタルホログラフィ装置は、被写体からの物体光と物体光に対してコヒーレントな参照光とが干渉して形成される干渉パターンを示すデータから、物体光の複素振幅分布を求めるコンピュータ4を備え、コンピュータ4は、上記被写体からの光路長が異なる2つの干渉パターンを示すデータを取得するデータ入力部10と、上記2つの干渉パターンのデータを用いて、0次回折光の物体光成分を求め、上記0次回折光の物体光成分を用いて物体光の複素振幅分布を求める物体光算出部11とを備える。そのため、被写体の高精度な再生像を生成することができる。
【選択図】図2
従来技術、競合技術の概要



以後の文章中で位相の単位はラジアンで表す。加工技術の精密化や多様化に伴い、物体の3次元形状等の高度な計測や解析が求められ、様々な測定法が開発されている。該測定法のうち、光の干渉を利用した干渉計測技術、特にデジタルホログラフィは、非接触かつ非破壊で、物体の3次元情報を得ることができるため、近年、注目を集めている測定法の一つとなっている。





デジタルホログラフィは、3次元物体への光照射によって得られる干渉パターン(干渉光が形成する干渉縞)から、コンピュータを用いて3次元物体の像を再生する技術である。具体的には例えば、3次元物体への光照射によって得られる物体光と、該物体光に対して可干渉(コヒーレント)である参照光とが作る干渉パターンを、CCD(charge coupled device)等の撮像素子を用いて記録する。記録された干渉パターンに基づいて、コンピュータで3次元物体の像を再生する。これにより、物体の3次元の像再生だけでなく、3次元形状測定も行うことができる。





図19は、従来のデジタルホログラフィ装置の構成の一例を示す模式図である。デジタルホログラフィ装置101は、レーザ光源102を含む光学系と、CCDカメラ103と、コンピュータ104とを備える。レーザ光源102から出射されたレーザ光は、ビームエキスパンダ105およびコリメータレンズ106を通過することにより平行光となる。それから、レーザ光はビームスプリッタ107によって参照光と物体光とに分割される。物体光は被写体108に照射される。被写体108によって反射された物体光は、ビームスプリッタ107を通過しCCDカメラ103の撮像面103aに到達する。一方、参照光は、ミラー109およびビームスプリッタ107によって反射され、CCDカメラ103の撮像面103aに到達する。CCDカメラ103は、撮像面103aに到達した物体光と参照光とが作る干渉パターンを撮像し、干渉パターンのデータをコンピュータ104に出力する。入力された干渉パターンに対して、コンピュータ104がフレネル変換する等の計算処理を施すことにより、被写体108の再生像が得られる。





上記のデジタルホログラフィ装置101は、インライン(in-line)型のデジタルホログラフィ装置であり、CCDカメラ103の撮像面3aに対して参照光がほぼ垂直に入射する。すなわち、CCDカメラ103の撮像面3aには、参照光と物体光とがほぼ同じ方向から入射する。そのため、干渉パターンをフレネル変換して得られる再生像は、0次回折像および±1次回折像(直接像および共役像)が重なったものとなり、被写体108の鮮明な再生像を得ることが困難となっている。





そこで、1次回折像(直接像、すなわち真の像)を分離して高精度な再生像を得るために、被写体と撮像面との距離が異なる複数の干渉パターンを撮像し、この複数の干渉パターンから所望の再生像を得る技術がある(非特許文献1)。以後、この技術を光路長シフト法と呼ぶ。以下に光路長シフト法を用いたデジタルホログラフィについて説明する。





図20は、従来の光路長シフト法を用いたデジタルホログラフィ装置の構成を示す模式図である。デジタルホログラフィ装置111は、レーザ光源102を含む光学系と、CCDカメラ112と、コンピュータ113とを備える。光路長シフト法を用いるために、CCDカメラ112は、撮像面112aと、撮像面112aからΔz離れた撮像面112bとにおいて干渉パターンを撮像する。被写体108からの距離(光路長)が異なる2つの干渉パターンは、例えばCCDカメラ112を移動させることにより2回に分けて逐次撮像してもよい。





レーザ光源102から出射されたレーザ光は、ビームエキスパンダ105およびコリメータレンズ106を通過することにより平行光となる。それから、レーザ光はビームスプリッタ107によって参照光と物体光とに分割される。物体光は被写体108に照射される。被写体108によって反射された物体光は、ビームスプリッタ107を通過しCCDカメラ112の撮像面112a・112bに到達する。一方、参照光は、ミラー109およびビームスプリッタ107によって反射され、CCDカメラ112の撮像面112a・112bに到達する。CCDカメラ112は、撮像面112a・112bに到達した物体光と参照光とが作る干渉パターンをそれぞれ撮像し、干渉パターンのデータをコンピュータ113に出力する。入力された干渉パターンに対して、コンピュータ113が計算処理を施すことにより、被写体108の再生像が得られる。なお、撮像面112a・112bに入射する物体光の振幅は参照光の振幅よりも十分に小さくなるようにする。





<従来の再生像の計算方法>

以下に、光路長シフト法による直接像を再生する計算方法の概要を説明する。ここで、撮像面に垂直な軸をZ軸、撮像面に平行な2つの軸をX軸、Y軸とする。被写体108の一点を原点とし、被写体108から撮像面112aまでの光軸に沿った距離をz、被写体108から撮像面112bまでの光軸に沿った距離をz+Δzとする。





参照光は平面波であると仮定する。参照光は撮像面112a・112bに対して垂直に入射するので、撮像面112a上での参照光の複素振幅分布はur(z)=Arexp[jφr(z)] とおくことができる。撮像面112a上での物体光の複素振幅分布はuo(x,y,z) とおく。Ar は参照光の振幅、φr(z) は位置zでの参照光の位相である。j は虚数単位を示す。これらから、撮像面112a上での参照光と物体光による干渉光(干渉パターン)の複素振幅分布は次式で与えられる。





【数1】








また、撮像面112a上で撮像される干渉光の強度I(x,y,z)は、次式で与えられる。





【数2】








この4つの項のうち、|ur(z)|2 は0次回折光の参照光成分を表し、|uo(x,y,z)|2は0次回折光の物体光成分を表し、ur(z)*o(x,y,z) は直接像成分(+1次回折光)を含んだ成分を表し、ur(z)uo(x,y,z)*は共役像成分(-1次回折光)を含んだ成分を表している。被写体の像を再生するために必要な成分はuo(x,y,z) の直接像成分であり、以下ではこれを求める。なお、|ur(z)|2、|uo(x,y,z)|2 の0次回折光成分およびur(z)uo(x,y,z)*の共役像成分を含んだ成分は不要であり、式(2)からこれらの不要な成分を除去しなければ鮮明な再生像が得られない。なお、干渉光の強度I(x,y,z)は、各撮像面で干渉パターンを撮像することで測定することができる値であり、参照光の振幅の2乗|Ar|2は、物体光なしで参照光のみを撮像面112a・112bのいずれかにおいて撮像することにより測定することができる値である。





ここで、撮像面112a上での参照光の位相φr(z)=0とすると、式(1)は以下のようになる。





【数3】








ここで、物体光の振幅が参照光の振幅に対して十分に小さいとき、すなわちuo(x,y,z)≪Ar のとき、式(3)はテイラー展開の2次以上の項を無視することにより、以下のように近似することができる。





【数4】








よって、式(2)の干渉光の強度I(x,y,z) は、以下のようになる。





【数5】








o(x,y,z) は直接像成分、uo(x,y,z)*は共役像成分である。式(3)から式(4)への近似により、0次回折光の物体光成分|uo(x,y,z)|2 の項を無視して除去していることになる。





また、同様に、被写体から距離z+Δz離れた撮像面112b上での干渉光の強度I(x,y,z+Δz) は、以下のようになる。





【数6】








式(5)を変形して次式が得られる。





【数7】








式(7)の左辺は測定可能な値であるので、これにより、直接像成分の項と共役像成分の項の和が求まる。ここから共役像成分の項を除去して直接像成分の項を求める。





ここで、式(7)の両辺をXY平面に関してフーリエ変換すると次式が得られる。





【数8】








ここで、H(fx,fy,z) は光学伝達関数である。また、距離z+Δz離れた撮像面112b上での干渉光の強度I(x,y,z+Δz) からも、同様にフーリエ変換することにより、次式が得られる。





【数9】








次に、式(9)の両辺に光学伝達関数H(fx,fy,Δz) をかけると次式が得られる。





【数10】








式(8)から(10)を減算して共役像成分に関する項を除去することができ、式を整理することにより、次式が得られる。





【数11】








式(11)の右辺は測定値から計算可能である。求まったU(fx,fy,0) から、逆フーリエ変換を用いて、被写体がある位置での物体光の複素振幅分布uo(x,y,0) を求めることができ、物体の直接像を再生することができる。





また、非特許文献2には、上記の方法を応用し、アレイ状の素子を用いることにより、1つの撮像面での1回の撮像によって、被写体までの距離が異なる2つの干渉パターンを得る光路長シフト法を用いたデジタルホログラフィ装置が開示されている。この技術を並列光路長シフト法と呼ぶ。

産業上の利用分野



本発明は、参照光と物体光との干渉像を測定して得られた測定結果から被写体の像を再生する再生装置、該再生装置を備える干渉計測装置、制御プログラム、および記録媒体に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
被写体からの物体光と物体光に対してコヒーレントな参照光とが干渉して形成される干渉パターンを示すデータから、物体光の複素振幅分布を求める再生装置であって、
上記被写体からの光路長が異なる2つの干渉パターンを示すデータを取得する取得部と、
上記2つの干渉パターンのデータを用いて、0次回折光の物体光成分を求め、上記0次回折光の物体光成分の影響を除去した物体光の複素振幅分布を求める第1処理部とを備えることを特徴とする再生装置。

【請求項2】
上記物体光の複素振幅分布を用いて上記被写体の再生像を求める第2処理部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の再生装置。

【請求項3】
上記取得部は、参照光の強度を示すデータ、および、参照光の波長と2つの干渉パターンの上記被写体からの光路長の差との比を示すデータを受け取り、
上記第1処理部は、上記2つの干渉パターンのデータ、上記参照光の強度を示すデータ、および、上記参照光の波長と上記光路長の差との比を示すデータとを用いて、上記0次回折光の物体光成分と上記物体光の複素振幅分布とを求めることを特徴とする請求項1または2に記載の再生装置。

【請求項4】
上記第1処理部は、フーリエ空間において上記2つの干渉パターンの差分を求めることにより上記2つの干渉パターンに含まれる共役像成分を除去し、上記2つの干渉パターンの差分から、上記0次回折光の物体光成分を減算することにより上記物体光の複素振幅分布を求めることを特徴とする請求項3に記載の再生装置。

【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の再生装置を備える干渉計測装置であって、
コヒーレントな光を発生する光源と、上記光源から出射される光を参照光および物体光に分割する光分割部と、撮像素子とを備え、
上記光分割部で分割された物体光は被写体を介して撮像素子に到達し、
上記撮像素子は、参照光と物体光とが干渉して形成される干渉パターンについて、被写体からの光路長が互いに異なる2つの干渉パターンを撮像し、上記2つの干渉パターンを示すデータを上記取得部に出力することを特徴とする干渉計測装置。

【請求項6】
被写体からの物体光と物体光に対してコヒーレントな参照光とが干渉して形成される干渉パターンを示すデータから、物体光の複素振幅分布を求めるようにコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、
上記コンピュータに、上記被写体からの光路長が異なる2つの干渉パターンを示すデータを用いて0次回折光の物体光成分を求めさせ、上記0次回折光の物体光成分の影響を除去した物体光の複素振幅分布を求めさせることを特徴とする制御プログラム。

【請求項7】
請求項6に記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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