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珪藻類の検出方法 コモンズ

国内特許コード P120008308
掲載日 2012年11月21日
出願番号 特願2011-000138
公開番号 特開2012-139191
登録番号 特許第5750796号
出願日 平成23年1月4日(2011.1.4)
公開日 平成24年7月26日(2012.7.26)
登録日 平成27年5月29日(2015.5.29)
発明者
  • 瀬尾泰久
出願人
  • 国立大学法人 大分大学
発明の名称 珪藻類の検出方法 コモンズ
発明の概要 【課題】珪藻類被殻の有無を直接又は珪藻類被殻をトラップしたDNAから間接的に検出する、安全で簡便な珪藻類検出方法の提供。
【解決手段】カオトロピックイオン存在溶液中に珪藻類被殻と共にシリカコートビーズを又はこれに短鎖DNAをコーティングして容れ、短鎖DNAコーティングビーズの場合はそのまま結合させ、シリカコートビーズの場合はそのまま或いは長鎖DNA、ビオチン・蛍光標識DNA、コーティング短鎖DNAとは配列の異なる短鎖DNA又は無標識DNAを添加して珪藻類被殻に不可逆的に結合してB/F分離洗浄し当該DNAを染色して検鏡し、或いは前記解離した珪藻類被殻に結合した短鎖DNAや長鎖DNAをPCR増幅して検量線を得て、珪藻類被殻を定量的に検出し、又は前記解離した珪藻類被殻に結合したビオチン・蛍光標識DNAの蛍光強度を測定して珪藻類被殻を定量的に検出する珪藻類の検出方法。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


従来、珪藻類の観察や分類法として、珪藻類の特徴であるケイ酸質の被殻を顕微鏡下で観察する方法が用いられてきた。このケイ酸質の被殻には、種ごとに特有の形態や殻面、殻面上の文様が形成されており、これを一般の光学顕微鏡下で観察することによって属や種を分類する。しかし、被殻は弁当箱の蓋と実のように組み合わさっており、そのなかに核や葉緑体などの細胞成分が入っているため、採取したそのままの状態で観察したのでは、それぞれの種に固有な被殻の特徴まで見分けることは困難である。このため、珪藻類の観察には、まず、被殻の内部に含まれる核や葉緑体をはじめとした有機物を取り除くためにクリーニングという操作を行うのが一般的である。



この被殻のクリーニング方法としては、濃硫酸や硝酸を使う壊機法、硫酸-重クロム酸カリウム湯煎法、紫外線照射法、焼灼法、ブリーチ撹拌法、パイプユニッシュ法などがあり、目的や設備の状況にあわせて使い分けられる。なかでも、パイプユニッシュ法は、誰でも手軽に簡単な操作で実施でき、且つ、安全面でも問題がないため、学校などの実習として、教育現場でも取り入れられている。被殻のクリーニング終了後、プレパラート上に展開乾燥し適当な封入剤で封入し観察する。被殻は、プレパラートやカバーグラスと同じガラス質であるため、屈折率の小さな封入剤の元では観察できなくなる。一般的にはStyrax、Hyrax、Pleuraxなどの高屈折率の封入剤が使われる。
このような珪藻類被殻の観察方法は、生物学や水質環境化学の分野だけでなく、他のさまざまな分野で応用されている。特に、法医学の分野では、古くから溺死の証明方法として多用されてきた歴史がある。



法医学における溺死証明法とは、溺水中に存在するプランクトンが肺胞壁を通過して大循環系に入り、全身の臓器に移行することを診断の根拠としたものである。解剖によって取り出された心臓や肺臓、肝臓、腎臓、脾臓などの各臓器を濃硝酸とともに加熱して有機物を壊機し、残存した無機質の中に含まれる珪藻類の被殻を顕微鏡下で観察証明することによって生前に溺水を吸引したことを証明する。ただし、この方法では、肺以外の臓器ではその密度の低さから検出が困難である場合も多く、各臓器あたり数個以下の被殻しか検出されないケースも多数存在する。さらに、炭粉や脂質などの残存夾雑物により、顕微鏡下での観察が困難なケースもしばしば経験する。また、そもそも珪藻の被殻がガラス質であるためプレパラート上での観察が難しいなど、多くの問題点が指摘されている。



これらの問題を解決するためにこれまで数多くの研究が行われ、報告されているが、その方向性は二つに大別することができる。
第一には、溺水中に含まれる珪藻類以外の微小異物を検出証明する方法である。溺水中に含まれるバクテリアなどの微生物を主要臓器や血液中から培養証明する方法(Kakizaki E, Takahama K, Seo Y et al. Forensic Sci Int 2008)、肺に特異的に存在するサーファクタントプロテインDをマーカーとしたサンドイッチ酵素免疫測定法(Kamada S, Seo Y et al. Forensic Sci Int 2000)などがこれにあたる。
第二には、珪藻の検出法自体に改良を加えるもので、プロテアーゼ処理による臓器の可溶化、壊機法の改良などがあげられる。これに加え、珪藻類をはじめとするプランクトンのDNAを、直接PCR法などで特異的に増幅して証明する研究なども進められている。
しかし、先に述べた珪藻類以外の微小異物の証明法は、優れた方法ではあるもののその手法における特殊性が高く、特定の機関でしか実施できない汎用性に欠けるものが多い。さらに、珪藻検出法の改良も様々な問題点の抜本的な解決には至っていない。



<従来の珪藻類検出方法とその問題点>
従来、珪藻類の形態的な検出は、被殻をクリーニングした後そのままプレパラート上に封入して顕微鏡で観察するのみであるため、被殻以外の夾雑物の影響を排除することは不可能である。特に、河川や湖沼、海中の堆積物などから採取した大量の珪藻類をパイプユニッシュ法などでクリーニングしても、微細な土砂などの異物も同時に処理しているため、顕微鏡下での被殻の形態観察に支障を来すことも少なくない。
また、浮遊珪藻類が減少する夏期や冬期の水中から珪藻類を観察するためには大量の水を濾過したり、遠心分離したりして珪藻類を濃縮する必要があり、このとき水中にある他の浮遊物も同時に濃縮されることとなり、堆積物からのものと同じ結果となる。
現在、水中などに浮遊する珪藻類を特異的、選択的に抽出、精製する方法は存在しない。
海洋堆積物の生物起源ケイ素量の定量法として、珪藻被殻を直接計測する方法の他に、粒子密度差を利用した分離法及びX線回析法、モリブデンブルー比色法、アルカリ抽出法など様々な方法が用いられている。
血液中のケイ酸量を定量する方法として、ケイ酸をモリブデン錯体として薄層クロマトグラフィーで分離定量する方法などが報告されている。
しかし、これらの定量法は、多大な労量を必要とする上、特異性に欠ける面もあるばかりでなく、低感度であるため分析には多量の試料が必要となる。したがって、僅かな量の水や、時には数個以下の珪藻類しか存在しない溺死体の臓器などから珪藻類を検出、定量することは困難である。



そこで本発明は、壊機された珪藻類をより簡便に、より高精度に検出する方法を提供するものである。珪藻類のもつ最大の特徴は、ケイ酸質よりなる被殻を有し優れた耐酸性を持つことであり、第一に壊機法はこの特性を利用した検出法である。本発明者は、このケイ酸質の被殻がもつもう一つの特徴に注目した。
二酸化ケイ素(SiO2)を含むガラス質のものは、古くからカオトロピックイオンの存在下で、DNAやRNA、一部のタンパク質などを非特異的に吸着する性質を有することが知られていた。さらに、この吸着は、水などの低極性の環境下で容易に解離する特性をもつ。最近では、グラスファイバーを固相として使うDNAの精製法が開発され、多くのDNA抽出キットにこの基本原理が応用されている。本発明は、ガラス質の持つこれらの基本原理がケイ酸質でできている珪藻類の被殻にもそのまま当てはまることを利用したものである。

産業上の利用分野


本発明は珪藻類の検出方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
カオトロピックイオン存在溶液中でシリカコートビーズに、DNAを介して又は異なるDNAで挟んで珪藻類被殻をトラップして、珪藻類被殻の有無を直接又は珪藻類被殻をトラップしたDNAから間接的に検出することを特徴とする珪藻類の検出方法。

【請求項2】
カオトロピックイオン存在溶液中にシリカコートビーズと長鎖DNAと珪藻類被殻を容れてこれを結合させた後にB/F分離洗浄して未反応長鎖DNAや夾雑物を洗い流し、次いで加水してシリカコートビーズ表面から長鎖DNAと珪藻類被殻を解離させて珪藻類被殻検鏡することを特徴とする請求項1に記載の珪藻類の検出方法。

【請求項3】
カオトロピックイオン存在溶液中にシリカコートビーズと長鎖DNAと珪藻類被殻を容れてこれを結合させた後に第一回目のB/F分離洗浄して未反応長鎖DNAや夾雑物を洗い流し、次いでビオチン・蛍光標識の短鎖DNAを添加してこれを珪藻類被殻に不可逆的に結合させて染色して後、第二回目のB/F分離洗浄し、次いで加水してシリカコートビーズ表面から珪藻類被殻をビオチン・蛍光標識の短鎖DNAに結合した状態で長鎖DNAとは個別に解離させて、ビオチン・蛍光標識の短鎖DNAに結合している珪藻類被殻を検鏡することを特徴とする請求項1に記載の珪藻類の検出方法。

【請求項4】
カオトロピックイオン存在溶液中にシリカコートビーズと長鎖DNAと珪藻類被殻を容れてこれを結合させた後に第一回目のB/F分離洗浄して未反応長鎖DNAや夾雑物を洗い流し、次いで未標識の短鎖DNAを添加してこれを珪藻類被殻に結合させて第二回目のB/F分離洗浄した後、珪藻類被殻に結合した未標識短鎖DNAを染色すると共に加水してシリカコートビーズから長鎖DNA、珪藻類被殻結合の未標識短鎖DNAを解離してこれを取り出して検鏡観察することを特徴とする請求項1に記載の珪藻類の検出方法。

【請求項5】
カオトロピックイオン存在溶液中に短鎖DNAをコーティングしたシリカコートビーズと珪藻類被殻を容れてこれを結合させた後にB/F分離洗浄し、次いで長鎖DNAを添加しこれを短鎖DNAに結合した珪藻類被殻に結合させ、次いで加水して被殻に結合した長鎖DNAのみを解離して取り出しそれをPCR増幅して検量線を得て珪藻類を定量的に検出することを特徴とする請求項1に記載の珪藻類の検出方法。

【請求項6】
カオトロピックイオン存在溶液中に短鎖DNAをコーティングしたシリカコートビーズに珪藻類被殻を容れてこれを結合させた後に第一回目のB/F分離洗浄し、次いで前記短鎖DNAとは配列の異なる短鎖DNAを添加しこれを珪藻類被殻に不可逆的に結合させた後に第二回目のB/F分離洗浄し、シリカコートビーズと共にこれに付着している珪藻類被殻を結合の短鎖DNAを取り出してPCR増幅して検量線を得て珪藻類を定量的に検出することを特徴とする請求項1に記載の珪藻類の検出方法。

【請求項7】
カオトロピックイオン存在溶液中に短鎖DNAをコーティングしたシリカコートビーズに珪藻類被殻を容れてこれを結合させた後に第一回目のB/F分離洗浄し、次いでビオチン・蛍光標識した短鎖DNAを添加してこれを珪藻類被殻に不可逆的に結合させて後、第二回目のB/F分離洗浄し、次いで基質を添加して染色しシリカコートビーズに付着した珪藻類被殻に結合のビオチン・蛍光標識の短鎖DNAを取り出し、蛍光強度を測定して珪藻類を定量的に検出することを特徴とする請求項1に記載の珪藻類の検出方法。
産業区分
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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