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真空蒸着成膜方法、真空蒸着成膜システム、結晶性真空蒸着膜

国内特許コード P120008312
整理番号 S2011-0628-N0
掲載日 2012年11月21日
出願番号 特願2011-088465
公開番号 特開2012-219355
登録番号 特許第5395842号
出願日 平成23年4月12日(2011.4.12)
公開日 平成24年11月12日(2012.11.12)
登録日 平成25年10月25日(2013.10.25)
発明者
  • 嘉治 寿彦
  • 平本 昌宏
出願人
  • 大学共同利用機関法人自然科学研究機構
発明の名称 真空蒸着成膜方法、真空蒸着成膜システム、結晶性真空蒸着膜
発明の概要

【課題】有機半導体真空蒸着膜の形成に当たり、蒸着膜を高結晶化させるための新規かつ有効な手段を提供する。
【解決手段】有機半導体の蒸着膜を構成すべき有機半導体分子を基板に真空蒸着させるに当たり、室温における蒸気圧が1Pa以下であるが有機半導体分子よりも高い蒸気圧を示し、真空蒸着条件下において蒸発又は昇華すると共に加熱された基板上において揮発性を示す不活性分子を共蒸発物として用いる真空蒸着成膜方法。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


近年、フラーレン(C60)、フタロシアニン、ポルフィリン等の有機半導体分子を基板上に成膜させてなる有機半導体素子を用いた有機電界発光(有機EL)、有機薄膜トランジスタ(TFT)、有機薄膜太陽電池その他のデバイスの研究、開発及び実用化が進んでいる。これらのデバイスにおいては、真空蒸着によって有機半導体分子を成膜させる技術が注目されており、特に高機能有機半導体膜を得るための高結晶性の真空蒸着膜が求められている。



上記の各種有機半導体分子を真空蒸着する際には、真空中で加熱された有機半導体分子が昇華・蒸発して対向位置する基板の表面に飛来するが、基本的には、飛来した有機半導体分子はそのまま基板上に凝着されて非晶質膜となり、必ずしも高結晶性の真空蒸着膜は得られない。基板を一定の温度に加温しておくと真空蒸着膜の結晶性が高まるとされているが、その効果は限定的である。



有機半導体分子の真空蒸着による成膜として、2種類以上の有機半導体分子を共蒸着して複数成分膜とする場合と、単一種類の有機半導体分子を蒸着して単一成分膜とする場合とを挙げることができる。以下において、2種類の有機半導体分子を共蒸着する場合として有機太陽電池におけるBHJ構造の作製について、又、単一種類の有機半導体分子を蒸着する場合としてチャネル領域に有機半導体層を有する薄膜トランジスタの作製について、それぞれの従来技術を述べる。



〔従来技術1:複数成分膜の作製(有機太陽電池)〕
有機半導体素子には共通して、キャリア伝導度が低いという問題があるが、この問題は有機ELでは膜厚を最小限にすることで克服された。しかしながら、太陽光-電力変換のための低価格技術として活発に研究されている有機太陽電池では、膜厚の極小化は光吸収量の減少に直結するため、膜厚の極小化によってキャリア伝導度の増大を図ることは困難であり、他の手段で解決する必要がある。その最も現実的な候補の一つが結晶化であるが、蒸着型有機太陽電池の共蒸着層を形成する方法は、通常、蒸着速度の制御と基板の温度制御に限られる(下記の非特許文献1参照)。



現在、有機太陽電池における研究の主流はバルクへテロジャンクション(BHJ)構造(下記の非特許文献2参照)の最適化による太陽電池の変換効率の向上に注力されている。BHJ構造とはドナー性(p-型)材料とアクセプター性(n-型)材料との組み合わせで構成される様々な有機材料の混合膜である。



高効率の有機太陽電池は、主にP3HT:PCBM(オリゴチオフェンのポリマー:フラーレン誘導体)のように、共役高分子をドナー、低分子をアクセプターとした溶液塗布型の混合膜によるBHJで構成される(下記の非特許文献3参照)。これらの高分子BHJにおいては膜形態と結晶性の制御が重要であり、その制御は通常、溶液塗布工程における適切な溶媒の選択(下記の非特許文献4参照)と膜形成後の微調整により行われる。しかし、真空蒸着型有機太陽電池ではBHJはドナー・アクセプター共に低分子で構成され、この構造の形態・結晶性を制御できる範囲は、溶媒の効果がないため、より大きく制限される。



BHJ構造の起源は低分子有機太陽電池の初期の研究に遡ることができる。最初に1986年にp-n2層構造、後に1991年にp-i-n3層構造が報告され、ここでi-中間層(interlayer)はBHJに相当し、フタロシアニンとペリレン誘導体の真空蒸着された混合膜であった。現在、BHJ構造を改善した真空蒸着型有機太陽電池は、単一セルで最高4~5%の効率を示している。高分子太陽電池と同様に、これらの改善は混合膜の形態の精密制御とそれによる電気特性の改善により達成されている。真空蒸着型有機太陽電池においては、形態制御の方法は一般的に、蒸着速度・蒸着中の基板温度・蒸着後の加熱温度に限られており、高分子太陽電池には元来存在する溶媒由来の効果はない。この差は明らかに低分子系の真空蒸着型有機太陽電池の性能を制限している主要要素である。高分子混合膜と比べて、ほとんどの真空蒸着された混合膜の電気伝導度は比較的低い。したがって、100nm程度までの非常に薄い膜のみが有機太陽電池として用いられ、不十分な光吸収とその結果の低い短絡電流につながっていた。また、真空蒸着混合膜は膜厚が大きいと、電気伝導度が低いためにフィルファクターがすべからく悪くなり、非常に低い変換効率の有機太陽電池となる。



なお、下記の特許文献1には、温度制御下において2種の有機半導体分子の共蒸着膜を作製する方法の一例が開示され、下記の特許文献2には、有機EL素子を製造するための真空蒸着装置の一例が開示されている。



〔従来技術2:単一成分膜の作製(薄膜トランジスタ)〕
薄膜トランジスタ、より具体的にはチャネル領域に有機半導体層を有する薄膜トランジスタの製造においては、例えば下記の特許文献3に示されるように、ナフタレン、アントラセン、フタロシアニン系化合物、アゾ系化合物、ペリレン系化合物、ヒドラゾン化合物、ジフェニルメタン化合物、スチルベン化合物等やそれらの誘導体と言った多様な有機半導体材料を用いて、真空蒸着その他の多様な手段で有機半導体層が形成されている。



又、例えば下記の特許文献4では、ペンタセンからなる有機半導体層の結晶化を促す方法として、ペンタセンの種結晶を基板上に析出させ、酸素の存在下で光照射することにより針状結晶を成長させる方法を開示している。



しかし、これらの従来技術においても、蒸着された有機半導体層を高結晶化させると言う課題は、必ずしも十分に解決されていない。

産業上の利用分野


本発明は、有機半導体を用いた真空蒸着成膜方法と、真空蒸着成膜システムと、結晶性真空蒸着膜に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
有機半導体の蒸着膜を構成すべき下記(a)又は(b)の有機半導体分子を基板に真空蒸着させるに当たり、室温における蒸気圧が1Pa以下であるが有機半導体分子よりも高い蒸気圧を示し、真空蒸着条件下において蒸発又は昇華すると共に加熱された基板上において揮発性を示す不活性分子を共蒸発物として用いることを特徴とする真空蒸着成膜方法。
(a)ドナー性(p-型)材料とアクセプター性(n-型)材料との分子の組み合わせである有機半導体分子を共蒸着させる場合においては、
第1の成分として、フラーレン(C60)、炭素数が61以上の高次フラーレン及びそれらの誘導体と金属内包物を包含するフラーレン系分子材料の1種を用い、
第2の成分として、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン及びそれらの誘導体を包含する縮合数3以上の多環アセン系分子材料、セクシチオフェンやチオフェン環のオリゴマーを包含するチオフェン系分子材料、メタルフリーフタロシアニンや各種金属フタロシアニン、メタルフリーナフタロシアニンや各種金属ナフタロシアニンおよびその誘導体を包含するフタロシアニン系分子材料、メタルフリーポルフィリンや各種金属ポルフィリンおよびその誘導体を包含するポルフィリン系分子材料、ペリレンやその誘導体を包含するペリレン系分子材料、トリフェニルアミンとその誘導体を包含するトリフェニルアミン系分子材料からなる群から選択される1種を用いる。
(b)単一成分の有機半導体分子を蒸着させる場合においては、
フラーレン(C60)、炭素数が61以上の高次フラーレン及びそれらの誘導体と金属内包物を包含するフラーレン系分子材料の1種を用いる。
【請求項2】
前記(a)の場合において、
第2の成分として、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン及びそれらの誘導体を包含する縮合数3以上の多環アセン系分子材料、又はメタルフリーフタロシアニンや各種金属フタロシアニン、メタルフリーナフタロシアニンや各種金属ナフタロシアニンおよびその誘導体を包含するフタロシアニン系分子材料からなる群から選択される1種を用いることを特徴とする請求項1に記載の真空蒸着成膜方法。
【請求項3】
前記(a)の場合において、
第2の成分として、多環アセン系分子材料であるテトラセンの1種、又はメタルフリーフタロシアニンや各種金属フタロシアニン、メタルフリーナフタロシアニンや各種金属ナフタロシアニンおよびその誘導体を包含するフタロシアニン系分子材料の1種を用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の真空蒸着成膜方法。
【請求項4】
前記不活性分子が、室温における蒸気圧が1Pa以下であることを前提として、下記の(1)~(3)に列挙する分子のいずれかであることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の真空蒸着成膜方法。
(1)直鎖状又は分岐状のシロキサン骨格構造を持つ分子。
(2)直鎖状又は分岐状のアルキル骨格構造を持つ分子。
(3)直鎖状又は分岐状のエーテル骨格構造を持つ分子。
【請求項5】
前記(a)のドナー性(p-型)材料とアクセプター性(n-型)材料との分子の組み合わせである有機半導体分子を共蒸着させる場合において、有機半導体の蒸着膜が、バルクへテロジャンクション(BHJ)構造のi-中間層(interlayer)であることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の真空蒸着成膜方法。
【請求項6】
前記有機半導体の蒸着膜が真空蒸着型有機太陽電池に用いられるものであることを特徴とする請求項5に記載の真空蒸着成膜方法。
【請求項7】
前記(b)の単一成分の有機半導体分子を蒸着させる場合において、有機半導体の蒸着膜が、薄膜トランジスタ素子のチャネル領域を構成する有機半導体層であることを特徴とする請求項1に記載の真空蒸着成膜方法。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれかに記載の真空蒸着成膜方法を実施するためのシステムであって、少なくとも下記(1)~(6)の要素を含んで構成されることを特徴とする真空蒸着成膜システム。
(1)真空槽
(2)蒸着用の基板
(3)基板に対する加熱手段
(4)基板に有機半導体分子を蒸着させるための、単一種類の有機半導体分子を収容した有機半導体分子容器、あるいは、複数種類の有機半導体分子をそれぞれ収容した有機半導体分子容器
(5)室温における蒸気圧が1Pa以下であるが有機半導体分子よりも高い蒸気圧を示し、真空蒸着条件下において蒸発又は昇華すると共に加熱された基板上において揮発性を示す不活性分子の物質を収容した不活性物質容器
(6)有機半導体分子容器と不活性物質容器に対する加熱手段
産業区分
  • 表面処理
  • 半導体
  • 固体素子
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2011088465thum.jpg
出願権利状態 登録


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