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Siインゴット結晶の製造方法 新技術説明会

国内特許コード P120008315
整理番号 S2011-0648-N0
掲載日 2012年11月21日
出願番号 特願2011-093418
公開番号 特開2012-224505
登録番号 特許第5398775号
出願日 平成23年4月19日(2011.4.19)
公開日 平成24年11月15日(2012.11.15)
登録日 平成25年11月1日(2013.11.1)
発明者
  • 中嶋 一雄
  • 森下 浩平
  • 沓掛 健太朗
出願人
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 Siインゴット結晶の製造方法 新技術説明会
発明の概要

【課題】Siインゴット結晶の製造に際し、融液内成長においてSiインゴット結晶を大きく成長させることができるとともに、歪みが十分低減され、かつ生産効率が良いSiインゴット結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】Siインゴット結晶のルツボ融液内成長において、融液上部よりも下部の方が高温となる温度分布を有するSi融液の表面近傍でSi種結晶を用いて核形成させ、Si種結晶からSi融液の表面に沿って又は内部に向かってインゴット結晶を成長させる第1の工程と、成長したインゴット結晶の一部を融液内から融液と分離しない程度に引き上げる第2の工程と、融液内に残った結晶からSi融液の表面に沿って又は内部に向かってインゴット結晶を引き続き成長させる第3の工程とを含み、上記第2及び第3の工程を順次複数回繰り返してインゴット結晶を成長させる。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


地球温暖化が予想以上に急速に進み始め、持続可能な自然エネルギーである太陽電池の位置づけが急速に大きくなった。太陽電池を代替エネルギー源として大きく普及させるためには、安全かつ資源が豊富で最も実績があるSi結晶を中心に戦略を立てる必要がある。このためには、新しい発想に基づく従来にない高品質・高均質なSi結晶を実現できる独創的かつ革新的な製造技術の開発が必要である。



しかし、従来技術で作製したSi結晶にはさまざまな要因により、さまざまな大きさや分布状態の残留歪みが内在しており、これらが転位などの結晶欠陥を発生させ、太陽電池の素子特性を劣化させている。ルツボを使う結晶成長では、Si結晶は融液から凝固し結晶に成長する過程で大きく体積膨張するために、膨張歪み、ルツボ歪み、熱歪みが発生する。このため、太陽電池用のSi結晶をさらに高品質にするためには、Si結晶の凝固時に発生する膨張歪みや熱歪みを抑制でき、歪みによる転位などの結晶欠陥の発生を低減できる新規な製造技術の開発が不可欠である。



現在主流の太陽電池用のSi結晶の成長技術は、単結晶では高品質結晶が得られるCzochralski法(CZ法)であり、多結晶では量産がしやすく低コストのCast法が使われている。
CZ法は、インゴット結晶をSi融液表面の表面張力を利用してSi融液外へ引き上げながら成長する方法である。このため、引き上げ速度によって決まる人工的な速度で結晶をSi融液外へ引き上げながらインゴット結晶を成長している。なおCZ法は、ルツボから歪みを受けるといった影響はあまり無い。



CZ法では、結晶成長の界面は、常に表面張力で種結晶又は成長結晶と接触しているSi融液表面から持ち上がった位置に存在する。そのため原子の最適移動速度と引き上げ速度のバランスが取りにくく、自然に結晶界面が融液内で移動して結晶が成長する融液内成長よりも熱歪みや結晶欠陥が結晶中に入りやすいという弱点を持つ。



一方Cast法は、ルツボの中で凝固する成長法であるため、Si結晶が凝固する時の膨張歪みやルツボとの接触によるルツボ歪み、さらにはルツボ壁からの不純物拡散による汚染の影響を強く受け、転位等の結晶欠陥や不純物が結晶中に入りやすいという難点がある。
このため、Cast法でSi多結晶インゴットの結晶組織を制御し、結晶粒サイズや結晶粒界性格を最適化して、歪みによる結晶欠陥の発生を抑制する方法としてデンドライト利用キャスト成長法が提案されている(非特許文献1参照)。



しかし、Si結晶で理想に近い品質を得るには、ルツボ成長によるSi結晶の各種歪みや人工的に形成された成長界面による熱歪み等の影響を無くした理想的な成長技術の開発が必要となる。



発明者らはすでにSi融液の表面中央から核形成させてSi結晶を成長する方法である中心凝固法を提案している。またこの技術でSi結晶を融液中に浮遊させて成長する場合は浮遊キャスト成長法と呼んでいる。
この方法では、図11に示すように、ルツボに入れたSi融液の表面近傍で核形成させ、インゴット結晶を融液内に向けて成長させる。あるいはインゴット結晶をSi融液に浮遊させて成長させてもよい。



より詳細には、次のような結晶の製造方法を提案している。
(1)半導体バルク結晶の製造に当たり、Si、Ge及びSiGeから選択された半導体の融液をルツボ中で融点近傍の温度に保持し、半導体の融液表面の中央付近に冷却用ガスを吹き付けることで核形成を制御し、このガス吹き付け位置近傍から凝固成長を開始させ、半導体の融液を凝固多結晶化させる方法(特許文献1参照)。
(2)Siバルク多結晶インゴットの製造に当たり、Si融液を入れたルツボ内において、ルツボの上部から冷媒をSi融液表面に近づける、又は冷媒をSi融液中に挿入することにより、Si融液の上面を局所的に冷却して、Si融液表面近傍にデンドライト結晶を生成させ、その後適切な温度分布を保ったまま冷却を行い、デンドライト結晶の下面を新たな成長面として上部から下部へSiバルク結晶を成長させる方法(特許文献2参照)。
(3)Siバルク多結晶インゴットの製造に当たり、Si結晶成長の途中又は最終段階で、成長したSi結晶インゴットを残留するSi融液から切り離す方法(特許文献3参照)。

産業上の利用分野


本発明は、Siインゴット結晶の製造方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
Siインゴット結晶のルツボ融液内成長において、融液上部よりも下部の方が高温となる温度分布を有するSi融液の表面近傍でSi種結晶を用いて核形成させ、Si種結晶からSi融液の表面に沿って又は内部に向かってインゴット結晶を成長させる第1の工程と、成長したインゴット結晶の一部を融液内から融液と分離しない程度に引き上げる第2の工程と、融液内に残った結晶からSi融液の内部に向かってインゴット結晶を引き続き成長させる第3の工程とを含み、上記第2及び第3の工程を順次複数回繰り返してインゴット結晶を成長させることを特徴とするSiインゴット結晶の製造方法。
【請求項2】
Si種結晶からSi融液の内部に向かって成長したインゴット結晶がルツボ壁又はルツボ壁から成長してきた結晶に触れる前に、Si種結晶を固定又は接触保持しているホルダーを引き上げるかSi融液を入れたルツボを引き下げることにより、インゴット結晶をSi融液から分離して取り出すことを特徴とする請求項1に記載のSiインゴット結晶の製造方法。
【請求項3】
Si融液の表面近傍で融液上に浮遊するようにホルダーに接触保持させた上記Si種結晶を用いて核形成させることを特徴とする請求項1又は2に記載のSiインゴット結晶の製造方法。
【請求項4】
Si種結晶に回転又は右左の繰り返し反復回転を与えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のSiインゴット結晶の製造方法。
【請求項5】
種結晶から結晶成長が始まる時点でのSi融液の冷却速度を調整することにより、Si種結晶から成長する結晶を単結晶又は多結晶に制御することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のSiインゴット結晶の製造方法。
【請求項6】
種結晶から結晶成長が始まる時点で、種結晶を固定又は接触保持するホルダーの引き上げ速度又はSi融液の入ったルツボの引き下げ速度を調整することにより、Si種結晶から成長する結晶を単結晶又は多結晶に制御することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のSiインゴット結晶の製造方法。
【請求項7】
Si種結晶の方位を調整して、種結晶から成長するデンドライト結晶の方位や配列を制御することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のSiインゴット結晶の製造方法。
【請求項8】
成長したインゴット結晶から分離されたSiの残留融液の表面にデンドライト結晶を発現させた後、デンドライト結晶の下面を用いて、融液表面近傍から融液内部に向かって結晶化させることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のSiインゴット結晶の製造方法。
【請求項9】
ルツボ内に移動可能なルツボと同質材料の側壁を設け、Si融液をこの側壁内に入れてSiインゴット結晶の融液成長を行い、成長の途中段階で、Si種結晶を固定又は接触保持しているホルダーを引き上げるかSi融液を入れたルツボを引き下げると同時に、ルツボ内の側壁を持ち上げて残留Si融液を側壁外のルツボ内に排出させて、インゴット結晶をSi融液から分離して取り出すことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載のSiインゴット結晶の製造方法。
【請求項10】
Si種結晶とそれを固定又は接触保持するホルダーを複数個用意し、さらにSi融液を入れたルツボを1個以上用意することにより、種付け、融液内成長、ホルダー引き上げ又はルツボ引き下げによる融液分離を順次行い、連続してSiインゴット結晶を成長することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載のSiインゴット結晶の製造方法。
産業区分
  • 処理操作
  • 無機化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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