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カイコの卵および眼の着色に関与する遺伝子およびその利用

国内特許コード P120008330
掲載日 2012年11月26日
出願番号 特願2011-072777
公開番号 特開2012-205525
登録番号 特許第5780631号
出願日 平成23年3月29日(2011.3.29)
公開日 平成24年10月25日(2012.10.25)
登録日 平成27年7月24日(2015.7.24)
発明者
  • 瀬筒 秀樹
  • 立松 謙一郎
  • 二橋 美瑞子
  • 山本 公子
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 カイコの卵および眼の着色に関与する遺伝子およびその利用
発明の概要 【課題】 カイコのre遺伝子を同定すること、同定したre遺伝子を利用して、カイコの卵および眼の着色を改変すること、および、同定したre遺伝子を遺伝子マーカーとして利用して、遺伝子組換えカイコを選抜すること
【解決手段】 ポジショナルクローニングの手法などを利用して、re遺伝子を同定し、カイコの卵および眼における赤色の着色が、この遺伝子の機能が喪失によって標準型の色素が合成されないことにより生じていることを見出した。当該遺伝子を利用することにより、カイコの卵および眼の色の改変を行うことが可能であり、さらには、このような形質の変化を指標として、効率的に遺伝子組換えカイコを選抜することが可能であることを見出した。
【選択図】 なし
従来技術、競合技術の概要



オモクローム系色素は、非常に多くの昆虫において、卵、眼、体表の色に関わっていることが報告されている(非特許文献1)。オモクローム系色素はトリプトファンから派生し、3-ヒドロキシキヌレニンを前駆体として酸化縮合により生合成される色素である(図1)(非特許文献2、3)。オモクロームに関与する遺伝子は、主にショウジョウバエの複眼変異系統の研究から見出されているが、3-ヒドロキシキヌレニンの合成と色素顆粒への取り込みに関する遺伝子については知見が多いものの、色素顆粒にとりこまれた後の経路に関する遺伝子は、ほとんど明らかにされていない。





野生型(標準型)のカイコでは、オモクローム系色素によって産卵後72時間で卵は藤鼠色に着色するが、自然突然変異で見つかったカイコ赤卵突然変異系統red eggre)は、劣性ホモの個体の卵が薄いオレンジに着色する(図2)。さらに時間が経つと、野生型の卵の色は濃くなり、reの劣性ホモ個体の卵は赤色になる。また、野生型の成虫の蛾の眼は黒色に着色するが、reの劣性ホモ個体の成虫の複眼は濃赤褐色に着色する(図2)。reでは、オモクローム系色素の前駆体である3-ヒドロキシキヌレニンは合成されており、色素顆粒に取り込みも行われているが、最終的に生じる色素を調べると、野生型の卵と複眼に存在する色素成分のいくつかが存在しないことが報告されていた(非特許文献4)。このため、reの原因遺伝子は、3-ヒドロキシキヌレニンを色素顆粒に取り込んだ後、最終的な色素の合成に関係していることが予想されていたが、その実体は不明であった。





カイコでは、これまで3つのオモクローム関連変異体の原因遺伝子が同定されている。すなわち、キヌレニンを3-ヒドロキシキヌレニンに変換する遺伝子に欠損があるw-1、3-ヒドロキシキヌレニンを色素顆粒に取り込むためのトランスポーター遺伝子に欠損があるw-2w-3であり、それぞれショウジョウバエのcinnabarscarletwhiteに対応している(特許文献1、非特許文献5~7)。これら3つの変異体では、オモクローム系色素が合成されず、卵と複眼が白くなる。





カイコの卵色眼色変異系統は、肉眼でも容易に判別できるため、カイコの遺伝子組換え個体を判別するマーカーとして着目されている。現在、w-1が遺伝子組換えマーカーとして利用されているが、w-1の卵色は母親の遺伝形質に依存するため、卵の時期では組換え個体の判別は付かない。さらに、w-1w-2w-3はすべて白色卵で未受精卵と同じ色であるため区別がつきにくい。





一方、reは母性遺伝せず、さらに卵が赤くなるため、未受精卵とも、野生型の卵とも区別がつきやすい。reの原因遺伝子を同定することができれば、簡便に遺伝子組換え個体を判別する分子マーカーを作出することが可能となる。

産業上の利用分野



本発明は、カイコの卵および眼の着色に関与するred eggre)遺伝子およびその利用に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
カイコの卵および眼を変色させる活性を有するタンパク質をコードする、下記(a)~(e)のいずれかに記載のDNA。
(a)配列番号:2または4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
(b)配列番号:1または3に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA
(c)配列番号:2または4に記載のアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加、および/または挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
(d)配列番号:1または3に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNA
(e)配列番号:1または3に記載の塩基配列からなるDNAと相同性が90%以上の塩基配列からなるDNA

【請求項2】
カイコの卵および眼を変色させる活性を有する下記(a)~(b)のいずれかに記載のRNAをコードするDNA。
(a)請求項1に記載のDNAの転写産物と相補的な一重鎖RNAを含む二重鎖RNA
b)請求項1に記載のDNAの転写産物と相補的なアンチセンスRNA

【請求項3】
請求項1または2に記載のDNAを含むベクター。

【請求項4】
請求項に記載のベクターが導入された細胞。

【請求項5】
請求項に記載のベクターが導入されたカイコ。

【請求項6】
請求項5に記載のカイコの卵、子孫またはクローン。

【請求項7】
卵および眼が変色されたカイコの生産方法であって、請求項に記載のベクターをカイコに導入することを特徴とする方法。

【請求項8】
遺伝子組換えカイコの生産方法であって、任意のDNAと請求項1または2に記載のDNAをカイコに導入し、卵および眼が変色した個体を選抜することを特徴とする方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録


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