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金属触媒、及び光学活性α-アミノ酸誘導体の製造方法

国内特許コード P120008348
整理番号 E076P104D2
掲載日 2012年11月28日
出願番号 特願2012-099540
公開番号 特開2012-210623
登録番号 特許第5607103号
出願日 平成24年4月25日(2012.4.25)
公開日 平成24年11月1日(2012.11.1)
登録日 平成26年9月5日(2014.9.5)
優先権データ
  • 特願2007-060816 (2007.3.9) JP
発明者
  • 小林 修
  • 齋藤 奨
  • 山下 恭弘
  • 関 和貴
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 金属触媒、及び光学活性α-アミノ酸誘導体の製造方法
発明の概要 【課題】光学活性α-アミノ酸誘導体の製造に際して、外部添加の塩基を必要としない技術を提供する。
【解決手段】M(OR1)2(但し、Mはアルカリ土類金属元素、R1はアルキル基)とMに結合をする配位子を構成する下記の式[I]で表される構造の化合物又はその鏡像体である金属触媒。式[I]



[但し、式[I]中、R2は脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基で、全てのR2は同一でも異なっていても良く、R3はH、脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基で、全てのR3は同一でも異なっていても良く、R4はH、アルキル基、アリール基、炭素との結合原子がヘテロ原子である置換基またはシアノ基である。]
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要



近年、グリシンエステル誘導体とα,β-不飽和カルボニル化合物とを用いる触媒的不斉1,4-付加反応が注目を集めている。触媒的不斉反応においては、光学活性なグルタミン酸誘導体が得られる上、光学活性配位子の適切な選択により天然からの供給が困難な光学異性体の高効率的合成が可能な為である。





グリシンエステル誘導体に関しては、1903年にSorensenがDL-α-アミノ酸合成に次のような化合物を用いた(Figure3-1-1)ことから始まり、幾つかのSchiff塩基誘導体が合成されて来た。但し、その多くは不安定な化合物であり、その上エノール化にLDA等の強塩基を必要とした為、この時点では、余り、注目を浴びなかった。しかしながら、1978年にO’Donnellらは、不安定なアルデヒド由来のイミンでは無く、より安定なベンゾフェノン由来のグリシンSchiff塩基を合成し、水溶液中でも安定であるグリシンSchiff塩基化合物の特性を活かした相間移動触媒を用いる二相系反応を開発 (Scheme3-1-7) している。この研究が発表されて以来、この安定なベンゾフェノン由来のグリシンエステル誘導体が、多くの研究者によって、不斉アルキル化を始めとした様々な反応に用いられている。










又、近年、多くの光学活性な相間移動触媒が開発され、触媒的不斉アルキル化反応等へと展開されて来た。アルキル化反応においては、グリシンを用いて他のアミノ酸エステル誘導体をD,L体に拘らず、両方とも作り分けられることが特徴となっており、様々な反応系が構築されて来た。又、一方で、触媒的不斉1,4-付加反応での触媒系は以下のものが既に開発されている。





Coreyらは、シンコニジン由来の触媒を用いて、グリシンエステル誘導体の触媒的不斉アルキル化反応を1997年に発表しており、その翌年1998年に触媒的不斉1,4-付加反応を報告(Scheme3-1-8)している。反応例は少ないものの、高いエナンチオ選択性が発現している。








又、その後、Ishikawa等やO’Donnell等が、2001年に、立て続けに、同様の触媒的不斉1,4-付加反応を報告している。特に、Ishikawa等の報告では、グアニジン部位を有する触媒を用いており、基質は過剰に用いなければならないものの、触媒量の塩基で反応が進行する。反応時間は半日から一週間位と長時間が必要であるが、興味深い報告である。又、一方で、Shibasaki等は、二つのカチオン性四級アンモニウム部位を有する酒石酸由来の新規触媒を用いて反応を行っており、比較的良好な結果を報告(Scheme3-1-9)している。








又、Arai等は、独自のカチオン性四級アンモニウム触媒を用いて、不斉反応を報告している。2002年には、一例のみの報告であったが、触媒量の塩基のみで反応が進行し、中程度のエナンチオ選択性で反応が進行している。その後、2006年に、グリシン以外の他のα-アミノ酸エステル誘導体を用いる触媒的不斉1,4-付加反応を報告している。比較的多くの基質を用いて検討を行っているが、その殆どが低い選択性に留まってしまっている。一方で、Akiyama等は、2003年に、クラウンエーテルとアルカリ金属から調製される触媒を用いて不斉反応を行っており、6例の報告で比較的高いエナンチオ選択性が発現しており、用いる基質も1.5当量程度と報告している。又、2005年にはLygo等が独自の四級アンモニウム相間移動触媒を用いて反応を行っており、5例の報告ではあるものの、高収率・高選択性を実現 (Scheme3-1-10) している。








そして、上記例が先行研究例であり、これ等の反応の問題点は反応で過剰量の基質を用いなければならないこと、又、過剰量の塩基が必要なことである。





又、アゾメチンイリドとアルケンとの反応は、ピロリジン化合物の最も効率的な合成法の一つである(下記Scheme4-1-2)。








この合成法は、反応経路、選択性やLewis酸金属の影響を理解する為に、広く研究がなされた。その中でも、Kanemasaらは、N-アルキリデングリシン誘導体のリチウムエノラートとα,β-不飽和エステルとの反応研究において、MNDOやPM3を用いた計算化学的な手法にて、反応が段階的に進行し得ることを1994年に報告 (Figure4-1-4) している。








ここでは、始めに、アンチ選択的な1,4-付加反応が遷移状態Bを経由してCになる。ここから、遷移状態Dを経由して分子内Mannich型反応が進行し、ピロリジン化合物Eを与える。エネルギーBとDとの大きさは、置換基Rの立体的な大きさが効いており、置換基Rによって遷移状態エネルギーが異なるとされている。





反応開発の分野では、ジアステレオ選択的な反応が1985年Padwa等によって報告(Schemes4-1-3)されて以来、幾つかのジアステレオ選択的な反応開発がなされ、光学活性化合物を合成する手法が提案(Scheme4-1-4)されて来た。








又、Husson等のように、1,3-双極子の方に不斉点を有する基質を用いて、ジアステレオ選択的な反応を行う例や、Griggらのようにアルケン部位に不斉補助基を導入して反応を行う例などがあり、様々な不斉補助基が用いられるようになった。





不斉反応に関しては、Griggらのコバルトと光学活性エフェドリン由来の配位子を用いる反応が始めての例

(Scheme4-1-5) である。








このGrigg等の例は等量反応であり、光学活性配位子が金属に対して二当量必要であり、又、高いエナンチオ選択性の発現にはα,β-不飽和エステルが溶媒量必要である等の幾つかの問題点が有るものの、極めて高いエナンチオ選択性を実現しており、エナンチオ選択的な反応が可能であることを示した功績は大きい。同時に、Griggらは、マンガン塩や酢酸銀も使用できることを報告している。特に、酢酸銀の場合には、二座ホスフィン配位子を用いることで、70%Eeのエナンチオ選択性が発現することを報告している。但し、用いた当量や反応条件についての開示は無い。





一方で、触媒的不斉反応に関しては、2002年のZhangらの酢酸銀と光学活性二座ホスフィン配位子を用いた報告 (Scheme4-1-6)

が最初の例である。








この報告では、様々な芳香族アルデヒド及び脂肪族アルデヒド由来のアゾメチン化合物が使用可能であり、中程度から高い収率、かつ、エナンチオ選択性で目的物が得られることが言われている。又、幾つかのα,β-不飽和エステルを用いることが出来、幅広い基質一般性を有する反応となっているが、触媒量ではあるものの外部添加のアミンが必要である。この報告を皮切りに、幾つかの研究グループによって触媒的不斉反応が報告 (Schemes4-1-7,4-1-8)されている。











Jogensen等は、2002年に、亜鉛トリフラートと中性型tert-uBox配位子を用いるアゾメチン化合物の触媒的不斉[3+2]付加環化反応を報告している。この反応においては、外部添加のトリエチルアミンが必須である。又、Schreiberらは、2003年に、酢酸銀とQUINAPを用いる触媒的不斉反応を報告しており、グリシンエステル誘導体だけではなく、他のα-アミノ酸エステル誘導体もエナンチオ選択性は中程度ではあるものの、使用できると報告している。又、Komatsu等は、銅トリフラート(II)とBINAP又はSEGPHOSを光学活性配位子として用いる反応系において、高いexo選択性で反応が進行することを報告している。又、Jogensen等は、2005年には、フッ化銀とシンコニン由来の不斉塩基触媒を用いる反応系を報告しているが、エナンチオ選択性は中程度に留まっている。更に、2005年には、ZhangやCarretero等が、続けて、過塩素酸銅(I)-フェロセン型光学活性配位子を用いる反応系を報告しており、広い基質一般性を有することが示されている。これらの反応系においては、高収率、かつ、高立体選択性を実現しているものの、外部添加のアミンが必須であり、原子効率の観点からは必ずしも満足できる反応系では無い。





このような中で、外部添加のアミンが不必要な反応系が、近年、一つ報告 (Scheme4-1-9) された。








彼等は、銀トリフラートを触媒として用いた時には、エナンチオ選択性が高いものの、反応の進行が遅く、その時、外部添加のアミンが反応加速効果をもたらすことを見出した。又、酢酸銀を用いた場合には、エナンチオ選択性は若干低下するものの、外部添加のアミンが必要なく、反応が円滑に進行することを見出している。加えて、光学活性配位子として、電子吸引性基を有する配位子を用いることによって、収率およびエナンチオ選択性が向上することを見出し、用いる金属の微妙なLewis酸性度が反応に大きな影響を与えることを報告している。又、最近、光学活性配位子の絶対立体配置はそのままで、水素結合できる部位(-NH)を導入した配位子に関して、得られる生成物の絶対立体配置が逆転すると言う興味深い結果も報告 (Scheme4-1-10) している。




産業上の利用分野



本発明は光学活性α-アミノ酸誘導体に関する。特に、光学活性α-アミノ酸誘導体の製造技術に関する。例えば、キラルカルシウム触媒に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
式[III]で表される化合物と式[IV]で表される化合物との反応に用いられる光学活性α-アミノ酸誘導体合成用金属触媒であって、
M(OR(但し、MはCa、Rはアルキル基)と該M(ORのMに結合をする配位子とを持ち、
前記配位子を構成する化合物が式[I]又は[II]で表される構造の化合物又はその鏡像体である
ことを特徴とする金属触媒。
式[III]


[但し、式[III]中、RはH、アルキル基またはアリール基、RはH、アルキル基またはアリール基、RはH、脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基、Rは脂肪族炭化水素基である。]
式[IV]


[但し、式[IV]中、Rは-COOR(但し、Rは脂肪族炭化水素基),-CON(R’)R’’(但し、R’,R’’は脂肪族炭化水素基あるいは何れか一方がアルコキシ基)又は-SOR’’’(但し、R’’’は脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基)、R10はH,X(ハロゲン原子)、脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基である。]
式[I]


[但し、式[I]中、Rは脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基で、全てのRは同一でも異なっていても良く、RはH、脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基で、全てのRは同一でも異なっていても良く、RはH、アルキル基、アリール基、炭素との結合原子がヘテロ原子である置換基またはシアノ基である。]
式[II]




【請求項2】
式[I]のRは芳香族炭化水素基で、全てのRは同一でも異なっていても良く、RはH又は芳香族炭化水素基で、全てのRは同一でも異なっていても良く、RはHである
ことを特徴とする請求項1の金属触媒。

【請求項3】
配位子を構成する化合物が下記の式[II]で表される構造の化合物又はその鏡像体である
ことを特徴とする請求項1の金属触媒。
式[II]



【請求項4】
M(ORと該M(ORのMに結合をする配位子を構成する化合物とが混合されて触媒が構成されてなる
ことを特徴とする請求項1~請求項3いずれかの金属触媒。

【請求項5】
M(ORのRは炭素数が1~10のアルキル基である
ことを特徴とする請求項1~請求項4いずれかの金属触媒。

【請求項6】
M(ORのRは炭素数が3~10の分岐型アルキル基である
ことを特徴とする請求項5の金属触媒。

【請求項7】
請求項1~請求項6いずれかの金属触媒の存在下で、式[III]で表される化合物と式[IV]で表される化合物とを反応させる
ことを特徴とする光学活性α-アミノ酸誘導体の製造方法。
式[III]


[但し、式[III]中、RはH、アルキル基またはアリール基、RはH、アルキル基またはアリール基、RはH、脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基、Rは脂肪族炭化水素基である。]
式[IV]


[但し、式[IV]中、Rは-COOR(但し、Rは脂肪族炭化水素基),-CON(R’)R’’(但し、R’,R’’は脂肪族炭化水素基あるいは何れか一方がアルコキシ基)又は-SOR’’’(但し、R’’’は脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基)、R10はH,X(ハロゲン原子)、脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基である。]

【請求項8】
-80℃~20℃の温度で反応を行わせる
ことを特徴とする請求項7の光学活性α-アミノ酸誘導体の製造方法。

【請求項9】
金属触媒の量が基質に対して0.1~20mol%である
ことを特徴とする請求項7又は請求項8の光学活性α-アミノ酸誘導体の製造方法。
産業区分
  • 処理操作
  • その他無機化学
  • 有機化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) ERATO 小林高機能性反応場プロジェクト 領域
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