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多能性幹細胞を利用した毒性の判定方法 コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P120008380
掲載日 2012年12月3日
出願番号 特願2012-110115
公開番号 特開2013-236565
出願日 平成24年5月11日(2012.5.11)
公開日 平成25年11月28日(2013.11.28)
発明者
  • 森田 隆
  • 吉田 佳世
出願人
  • 公立大学法人大阪市立大学
発明の名称 多能性幹細胞を利用した毒性の判定方法 コモンズ 新技術説明会
発明の概要

【課題】本発明は、正確に、低コスト且つ短期間で被験物質の毒性を判定する方法を提供することを主な目的とする。
【解決手段】下記工程を含む被検物質の毒性を判定する方法により実現される:
(1)細胞機能関連遺伝子の少なくとも1種が欠損又は改変され、且つ当該細胞機能関連遺伝子が担う細胞機能が変化した多能性幹細胞を被検物質に暴露する工程、
(2)前記多能性幹細胞の生育機能の異常の有無を確認する工程、及び
(3)前記多能性幹細胞の生育機能に異常をきたした被検物質が毒性を有すると判定する工程。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


化学物質の毒性を判定するため、微生物や哺乳動物を使用する評価系が確立されている。微生物を用いた試験は費用が安く簡便であるという利点があるものの、ヒトとの差があまりにも大きいため、実際の効果が疑問視されている。また、動物を用いた試験は費用がかかることに加え、動物愛護の観点からも縮小される方向にある。更に、動物を用いた試験は、動物個体への総体的な毒性を確認することはできるが、毒性メカニズムを捉えることが困難である。



従って、近年では動物の培養細胞を用いた試験が盛んに研究され、実際に使用され始めている(例えば、特許文献1及び2を参照)。しかしながら、培養細胞系には、通常、細胞増殖が簡単な癌細胞等の株化した細胞を用いるために、細胞に染色体異常が起こっている場合が多く、正確に毒性を評価しているとは言い難いのが現状である。このような背景から、適正に毒性を評価することができる、簡便且つ低コストの試験方法が求められていた。



一方、DNAに損傷を与え、その結果遺伝子に変異を生じるとされている化合物が多数知られている。このような変異が細胞増殖に関係する遺伝子に起こった場合、癌発生の原因になると考えられている。これまで、発癌物質はどのような場合も癌を発生させ、発癌物質に閾値は存在しないと考えられてきた。しかしながら、生体には様々なDNA修復遺伝子が存在し、発癌物質により生じた変異を修復して発癌の危険性を回避するようにはたらくことが明らかとなりつつある。従って、このような機構が作用すれば、ある一定濃度までは発癌物質による発癌の可能性は回避されると考えられる。すなわち、発癌物質に対する閾値が存在すると予測されている。実際に、DNA修復遺伝子であるH2AXやアポトーシスに関与するp53の欠損は、胸腺リンパ腫の発生をそのタンパク質量に従って早めることが報告されている(例えば、非特許文献1及び2)。しかしながら、このような化合物の閾値を正確に決定する方法はこれまで知られていなかった。

産業上の利用分野


本発明は、特定の細胞機能関連遺伝子が欠損又は改変され、且つ当該細胞機能関連遺伝子が担う細胞機能が変化した多能性幹細胞を用いて、被検物質の毒性を判定する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
下記工程を含む被検物質の毒性を判定する方法:
(1)細胞機能関連遺伝子の少なくとも1種が欠損又は改変され、且つ当該細胞機能関連遺伝子が担う細胞機能が変化した多能性幹細胞を被検物質に暴露する工程、
(2)前記多能性幹細胞の生育機能の異常の有無を確認する工程、及び
(3)前記多能性幹細胞の生育機能に異常をきたした被検物質が毒性を有すると判定する工程。

【請求項2】
被検物質の毒性濃度閾値を決定するために行われる請求項1に記載の方法であって、
前記工程(1)が、細胞機能関連遺伝子の少なくとも1種が欠損又は改変され、且つ当該細胞機能関連遺伝子が担う細胞機能が低下した多能性幹細胞を、少なくとも2以上の異なる濃度の被検物質に暴露する工程であり、
前記工程(3)が、被検物質が前記多能性幹細胞の生育機能に異常をきたした濃度と、異常をきたさなかった濃度に基づいて該被検物質の毒性濃度閾値を決定する工程である、方法。

【請求項3】
前記工程(2)において、細胞の生存率を評価することを含む、請求項1又は2に記載の方法。

【請求項4】
前記多能性幹細胞として、同一濃度の被検物質に暴露された野生型多能性幹細胞に比べて低い生存率を示す、細胞機能関連遺伝子の少なくとも1種が欠損又は改変され、且つ当該細胞機能関連遺伝子が担う細胞機能が低下した多能性幹細胞を選択して使用する、請求項2に記載の方法。

【請求項5】
毒性を有する物質に対する抵抗性を示す、又は感受性を増す細胞機能関連遺伝子を同定するために行われる請求項1に記載の方法であって、
前記工程(1)が、細胞機能関連遺伝子の少なくとも1種が欠損又は改変され、且つ当該細胞機能関連遺伝子が担う細胞機能が低下した多能性幹細胞を毒性を有する物質に暴露する工程であり、
前記工程(3)が、前記多能性幹細胞の生存率が、細胞機能関連遺伝子が欠損又は改変されていない細胞よりも低い場合には前記細胞機能関連遺伝子が毒性を有する物質に対して抵抗性を示す遺伝子であると決定し、
前記多能性幹細胞の生存率が、細胞機能関連遺伝子が欠損又は改変されていない細胞よりも高い場合には前記細胞機能関連遺伝子が毒性を有する物質に対して感受性を増す遺伝子であると決定する工程である、方法。

【請求項6】
前記細胞機能関連遺伝子が、DNA修復関連遺伝子、アポトーシス関連遺伝子、薬物代謝関連遺伝子、活性酸素除去関連遺伝子、細胞周期調節遺伝子、シグナル伝達遺伝子及び酸素保持に関連する遺伝子からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1~5のいずれかに記載の方法。

【請求項7】
前記細胞機能関連遺伝子が、シトクロムP450、P53、SOD、ヒストンH2AX、Ku80及びサイトグロビンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1~6のいずれかに記載の方法。

【請求項8】
前記多能性幹細胞がiPS細胞又はES細胞である請求項1~7のいずれかに記載の方法。
産業区分
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 審査請求前


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